The '60s -ザ・シックスティーズ-
放送局: NBC
放送日: 99年2月7日 (日)、8日(月) 21:00-23:00
製作: リンダ・オブスト・プロダクションズ Lynda Obst Productions
製作総指揮: リンダ・オブスト
製作: ジム・チョリー
監督: マーク・ピズナルスキ
脚本: ビル・コーチュリー、ロバート・グリーンフィールド、ジェフリー・フィスキン
撮影: マイケル・オシェア
編集: ロバート・フレイズン
音楽: ジェド・フューアー、ブライアン・アドラー
出演: ジェリー・オコーネル (ブライアン)、ジョッシュ・ハミルトン (マイケル)、ジュリア・スタイルス (ケイティ)、レオナード・ロバーツ(エミット)、チャールズ・S・ダットン(ウィリー)

物語: 1962年シカゴ。アイリッシュ系のハーリヒィ家の長男ブライアンはフットボール選手を夢見ていたが、大学からのスカウトがなく、進学を諦め海軍に志願する。次男のマイケルは成績優秀で将来を嘱望されており、長女のケイティは自由に育ったあまり時々常軌を逸してしまうのが玉に傷である。一方、南部ミシシッピ州では牧師のウィリーとその息子のエメットを中心に黒人の投票権獲得を目指す市民権運動が盛り上がっていた。マイケルはその抗議デモに参加するが、マイケルたちが去った後、教会は何者かによって焼かれてしまう。ウィリーの一家は西海岸に移住することになるが、ウィリーはそこで暴動が起きた時に警官に殴り殺される。時は流れ、大学生となったマイケルは反戦運動に傾いていき、ブライアンと対立する。ケイティはロック・シンガーの子供を身ごもって父の逆鱗に触れ、家を飛び出してサンフランシスコでヒッピー生活を始め、今や急進的改革派ブラック・パンサーの一員となったエメットと出会う。ブライアンはベトナムで勲章をもらいはしたが、やがて戦争後遺症に悩まされるようになり、誰もが時代の大きなうねりの中に飲み込まれていくのだった‥‥

The 60s 「ザ・シックスティーズ」はアメリカが最も激動の時代を体験した60年代を、白人と黒人の2つの家族を軸に物語る構成になっている。製作費は1,500万ドルと、日本では劇場用映画数本撮れるほどの金を注ぎ込んでいる。ボブ・ディラン、ビートルズ、ジェイムズ・ブラウン、ローリング・ストーンズ、クリーム、マーヴィン・ゲイ、バーズ等が全編に流れている他、JFK暗殺、黒人市民権運動、ヒッピー文化、ベトナム、ウッドストック等のカルチャー/カウンター・カルチャーが当時の実際の映像と共にプロットとして番組で描かれている。そのためベイビー・ブーマー世代にとっては堪えられないものとなっているようで、放映時の視聴率は非常に高かった。

ただし視聴率の高さがそのまま番組の質の高さと比例するとは限らない。学校のスター・フットボール・プレイヤーになれなくて志願し、戦争後遺症に陥る主人公ブライアンなど、本当にそういう人物はいたということはわかるが、どうも類型的で感情移入できないし、ジェリー・オコーネル (「スタンド・バイ・ミー」、「スクリーム2」) の演技にも全然心動かされない。あとの俳優陣も皆多かれ少なかれ同じようなものである。番組内に流れる音楽以外に価値は見出せないし、それならばCDを聞いてた方がましである。同じことはアメリカのマスコミも感じたと見えて、同様の批評を書いている媒体をよく見た。しかしNBCはこの視聴率の高さにいたく気をよくし、来年この作品に続く第2弾、今度は70年代のアメリカを描く「ザ・セヴンティーズ」を製作すると発表しており、非常にがっかりさせられた。私は今から予言するが、柳の下に2匹目のドジョウはいないだろう。視聴者はすぐに飽きる。絶対コケるに決まっている。

製作総指揮のリンダ・オブストは、「フィッシャー・キング」、「めぐり逢えたら」、「コンタクト」、「微笑みをもう一度」、「マーシャル・ロー」等話題作を次々に送り出しているプロデューサーである。今回は音楽雑誌「ローリング・ストーン」発行の「ヒストリー・オブ・シックスティーズ」の編集を務めたこともあるオブストに、NBCの方からアプローチして製作を依頼している。蛇足だがオブストが昨年出版したハリウッドの業界の裏側をすっぱ抜く暴露本タイプのノン・フィクションでは、クエンティン・タランティーノが何を勘違いしたかオブストに言い寄ってくる様を、彼が書いた口説きのレターの写真と共に載せて大いにバカにしており、タランティーノ人気が実力よりも先行していると感じている私としては大いに溜飲を下げた。


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