
監督:フォルカー・シュレンドルフ 主役のダーヴィット・ベネントの演技が実に見事でした。大人になることを拒否し、それでも精神的にはどんどん大人になっていく姿は異様としか言いようがない。母親の淫らな生活を目の当たりにして成長するオスカルと、周囲の人物の描写(特に初恋の女性との淫靡な関係)は本当に気持ち悪い。前半はこのオスカル少年の奇行を中心に描かれるが後半はナチスの侵略とその犠牲になった家族の離散という暗いテーマだが、全く悲しさをアピールするようなつくりにはなっていない。どうやらオスカルという少年は時が止まっているという特殊な設定なので当時を写すカメラとして登場しているように感じた。ブリキの太鼓というアイテムは時代の進行を促すマーチングバンドの役割を果たしているようだ。音楽は「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャール。 この映画は生理的な嫌悪感をもたらすような気持ち悪いものなのであまり好きではないが、それだけに映像の持つ力強さは一級品と言えるだろう。ウシの頭からウナギを出すシーンなんて気持ち悪くて吐き気がした。79年度カンヌ映画祭グランプリ、80年度アカデミー外国語映画賞受賞。
総合:55点 |