銃と魔法


川崎 康宏 / 富士見ファンタジア文庫

またしても”ファンタジー”です。でも、一味も二味も違います。
 この物語の主人公の一人、ギルバート・ケインはエルフ(六十五歳!)。もう一人の主役、ウィルバー・オコーナーはドワーフ。
 エルフもドワーフもファンタジー小説には欠かせない”人間以外の種族”(亜人種)で、彼らが登場するファンタジー小説は洋を問わず、山ほどありますが、それではコンクリートの街を車に乗って駆け回り、銃をぶっ放す刑事の話がその中にあるかというとおそらく他にないでしょう。
 つまり、”銃と魔法”という小説は、そんなお話なのです。

 主役二人はアイロリッジ市警ウィリス分署のベテラン刑事で、仲間のゴブリンやオーク(!)、人間の刑事達とともにストリートギャング、ジャングルラッツの摘発を行います。この時、アイロリッジ市警は麻薬撲滅キャンペーンの期間中。五、六週間前から急激に凶悪さが増し、その名が知られるようになったジャングルラッツが最初のやりだまに挙げられたわけですが、二人はグループのボス、マイク・ヒースを取り逃がしてしまいます。それがケチのつきはじめ。
  ヒースを捕まえようとするたびに、この件とは全く無関係なものまで巻き込んで引き起こすのは、収拾のつかない大騒動。肝心のヒースには逃げられ、仲間も敵(?)にまわして奮闘します。ようやく追い詰めたと思ったら、予想外の出来事が・・・と、息をつく間もありません。

  とにかく勢いと迫力があって、しかもノリもいいお話です。これはファンタジー小説を読んでいると言うよりも、アメリカの刑事ドラマを見ている感じ。タバコの煙と一緒に文句を吐いて、あんまりカッコ良く決まらないけれどそれなりに一所懸命なケインとオコーナー。何とも楽しくて魅力的です。
  この本と、出てくる人物の魅力を言葉にするのは大変難しいので、どれだけこの本が”面白い”かを理解していただくには、実際に読んでもらうのが一番手っ取り早いのですが、これだけははっきりと書いておきましょう。この本は”文句なしに面白い!”です。読んでいて、すごく気持ちいい(決して暴力的・破壊的な願望があるわけではありませんよー)。ストレス発散になりそうなくらいですね。だから、すかっとした気持ちの良いものを読んでみたいという方は是非読んでみてください。それでこの本が気に入られた方には、続編の”青い炎”もオススメします。生憎三作目は出ていないようですが・・・・・・出て欲しいなぁ・・・。