File No.8:はっぴいえんどのレア音源と映像

●はっぴいえんどの未発表音源について

 はっぴいえんどはオリジナル・アルバムとして『はっぴいえんど(ゆでめん)』『風街ろまん』『HAPPY END』の3枚を発表していますが、実はこの3枚に収録されなかった、スタジオ録音による未発表作品が存在します。これらは今までリイシュー等の際にも一切発表されていない、幻の楽曲です。現在その存在が分かっているモノについて、ここでは触れてみたいと思います。


1:「風を集めて」

 勿論、セカンド・アルバム『風街ろまん』に収録されたものとは、同名異曲である。この「風を集めて」は、'70年8月5日にURCから発売された『はっぴいえんど(ゆでめん)』のアウト・テイクで、アルバムのミックスの段階まではB-2「12月の雨の日」とB-3「いらいら」の間に収録されていたが、何らかの理由でカットされてしまった。録音は'70年4月9日〜12日(のいずれか)、アオイスタジオ。楽曲は、作詞:松本隆/作曲:細野晴臣のコンビによるもので、ヴォーカルも細野晴臣が担当。元々は「手紙」という仮タイトルが付けられていたそうだ。全体的にはバッファロー・スプリングフィールドの「ON THE WAY HOME」に似た感じのアコースティック・ギターのフレーズが登場する比較的ポップな曲だが、歌詞の内容はサビに「風を集めて」というフレーズが登場する以外は、『風街ろまん』収録のものとは全くの別内容。「夕御飯の匂いがして」「風を集めて お袋の手紙を読む」といった言葉が登場するなど、より下町的な色合いが濃い楽曲。


2:「旅」「春よ来い」「12月の雨の日」('69年録音デモ)

 「旅」はデビュー前の'69年頃作られた、未発表曲。作詞:松本隆、作曲:細野晴臣。同年、新宿の御苑スタジオで録音されたデモ・テープが存在する。大滝詠一によると、プロコル・ハルム調のいい曲だったとの事。この時、同時に「春よこい」「12月の雨の日」も録音されているが、これらのデモも当然未発表。


3:「12月の雨の日」「春よ来い」('70年3月18日/吉田保ミックス)

 『はっぴいえんど(ゆでめん)』に収録されたものとは別に、シングル用として'70年3月18日にアオイスタジオで、はっぴいえんどとして初めてスタジオ録音し、吉田保がミックスしたものの演奏の出来が悪くおクラ入りとなった。この時同時に録音・ミックスされた「春よ来い」も同様におクラ入りとなった。


4:「12月の雨の日」('70年12月3日/吉田保ミックス)

 これも『はっぴいえんど(ゆでめん)』に収録されたものとは別に、シングル用として'70年12月3日にアオイスタジオで録音したものの、不評でボツとなったもの。同時に録音された「はいからはくち」も一度ボツとなったが、こちらは後に『CITY/はっぴいえんどベスト・アルバム』に収録された。2曲ともスローなアレンジだった。のち'71年4月1日にキングから発売されたシングルは、この後キング・レコードのスタジオでエンジニアを山崎聖次に代えて録り直したもの。


●はっぴいえんどの映像について

 はっぴいえんどの映像については、現在その存在が確認されているものが幾つかあります。また当時のテレビ出演なども数回記録に残っています。ここではこれら映像について、はっぴいえんどが映っているもの、あるいは映っている可能性があるものについての情報をまとめてみたいと思います。


1:『だからここに来た-全日本フォーク・ジャンボリーの記録』

 これは'70年8月8日〜9日に、岐阜県椛の湖畔で行われた「第2回全日本フォーク・ジャンボリー」の模様を収録した記録映画(監督:中本達男、野村光由/制作:秦政明/カラー16mm作品/90分)。この中に岡林信康とはっぴいえんどのステージ・シーンが登場する。あくまでも岡林をメインとして撮影されているため、はっぴいえんどのメンバーはバックに見え隠れする程度だが、一瞬全員が映るカットもあり貴重な映像記録として有名である。はっぴいえんどの当時のライヴを見た人の印象を聞くと、「メンバー全員が下を向いて演奏していた」「誰も客の方を向かず、つまらなそうに見えた」という証言を聞くが、この映画でのはっぴいえんども岡林の後ろで顔をうつむきながら、つまらなそうに演奏する姿が印象的だ。当時は全国でこの映画の映写会が開かれたそうだが、最近では'92年12月27日にWOWOWで、また'94年3月10日放送のNHK-BS2の特番「BSフォーク・ソング大全集」の中でも紹介された。


2:『(タイトル不明)』

 '71年8月7日〜9日にかけて岐阜県椛の湖畔で行われた「第3回全日本フォーク・ジャンボリー」の模様を収録した45分の記録フィルム。現在、テレビ番組の制作会社であるテレビマン・ユニオンが、このフィルムを保管しているそうだ。はっぴいえんどもこのイベントに出演しており、映っている可能性もあるが詳細は不明である。


3:『ドキュメンタリー青春〈ロック!ニューロック!-岡林信康の愛と別れ〉』

 これは'70年5月29日に東京12チャンネル(現テレビ東京)で放送されたドキュメンタリー番組で、岡林信康がロックへと転向する姿を追ったものだそうだが、詳細は不明。当然はっぴいえんども映っていると推測される。なおこの番組のビデオがテレビ東京に保存されているという情報もある。


4:『ナイトショー』

 これは当時フジテレビで放送されていた番組で、はっぴいえんども'71年1月15日に出演(この時がはっぴいえんどとしてのテレビ初出演)し、「春よ来い」を演奏した記録が残っている。が、この映像については現存するかどうかも含めて、詳細は全くの不明。


5:『土曜ショー』

 この番組も当時、NETテレビ(=日本教育テレビ/現テレビ朝日)で放送されていたもので、'72年7月29日に出演し「夏なんです」を演奏している。が、この番組の映像についても現存するかどうかも含めて、詳細は全くの不明。


6:『ラヴ・フェスティバル・ラヴ』

7:『(タイトルなし)』

 この2つは、マットルームという集団が8mmフィルムで撮影したはっぴいえんどの映像。『ラヴ・フェスティバル・ラヴ』の方は御苑スタジオでのリハーサル風景や'70年4月12日文京公会堂での「ロック叛乱祭」(はっぴいえんどとしては初のライヴ)でのステージの模様、さらには横浜でのロケの様子などを撮影したもの。もう1本の方は、千葉のマザー牧場で遊ぶ4人の姿を撮影したものと言われる。だが2本とも、'71年に上映された後所在不明となり、現存するかどうかも含めて詳細は分からない。


(付記)その後の情報によると、『ナイトショー』『土曜ショー』についてはどうも映像が現存しないようである。またテレビマンユニオンが保管しているという『(タイトル不明)』についても、過去佐野史郎さんが同社の仕事の際に関係者にこのフィルムの捜索を頼んだことがあるそうだが、分かる方がおらず、その発見が待たれるところだ。さらにテレビ東京が保管しているとされる『ドキュメンタリー青春〈ロック!ニューロック!-岡林信康の愛と別れ〉』についても、同様にこのフィルムの存在を知る方が同局におらず、分からないとの事。
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