
植物人間の少年が夢を見ていた。夢の中で彼はいわゆるオチコボレ。
テストは常に0点。寝坊遅刻は当たり前。ガキ大将と金持ちキザ息子にはいじめられる。
そんな彼の前にある日、救世主が降り立つ。
その力を利用すれば宇宙の帝王に君臨することすら可能であろう能力を秘めたマシーンが。
ノストラダムスはこう記した。
1999年7の月恐怖の大王がやってくると・・・。
そう、大王は少年の心の闇に現れたのだ。
そのアルティメット・マシーンの名を人はこう呼ぶ・・・
ドラえもーーーーん!(映画OP風に)
日本が世界に誇れる文化「漫画」
「ドラえもん」はその漫画文化が生み出した最高の作品である。
現在も金曜夜に放映されているTVアニメは微妙に現代風アレンジがされており
俺みたいないい大人が観てもそれなりに楽しめる。
(最近のエピソードは笑いの要素とか結構すぐれてる。まじでおもしろい)
そして毎年3月に公開される「大長編ドラえもん」も、もはや日本の恒例行事だ。
最近の作品は正直パワーダウン(ネタ不足)が否めないが初期の作品は
本当に本当に傑作揃いだった。その中で今回は第5作「魔界大冒険」を取上げよう。
物語はのび太の夢から始まる。
魔王ジャイアンにさらわれたプリンセスしずかを救うため城に向かう
ハリー・ポッターのび太。
颯爽と魔法の絨毯を乗りこなし、追ってくるジャイアンとスネ夫には
魔法でジャイアンの母ちゃんを登場させることで撃破。
「剛ぃーっ!」
「母ちゃーん!ずるいぞ!のび太!」
そんな夢から覚めたのび太は例によって魔法の世界を夢見る。
早速アルティメットマシーンの秘密道具「もしもボックス」でこの世を魔法の世界に変える。
が、魔法の世界も本質的には現実と変わらず、のび太はやっぱりオチコボレ。
簡単な魔法すら使いこなせず先生からどなられる。
ただひとつだけ習得した魔法。それはしずかのスカートをめくる「チンカラホイ」だった。
さて、のび太とアルティメットマシーンが談笑していると、突然上空から
アルティメットマシーンの石像が落下してくる。
誰だ!こんないたずらをしたのは!
怒るマシーン。
さらに今度はのび太の石像も出現。
二人は困惑しながらも家の庭に置いておくことにする。
その日夜、雨。
のび太は妙なうめき声と床をする音を聴き目を覚ます。
マシーンを連れて階下におりる。
すると玄関にポーズを変えた二人の石像が!
どうしてこんなところに!?
謎は深まるばかりだった。
この魔法世界では変人で有名な満月博士がひとつの説を提唱していた。
「魔界接近説」まもなく魔界の大王がこの世界を征服にやってくるというもの。
もちろん誰も信用しない。だが、数奇な運命に導かれのび太とマシーンは彼に出会う。
のび太は満月の説を信じる。ならば僕たちがそれを阻止しなければならない。
そのとき、魔界の悪魔が満月邸を襲撃!
魔界接近説が真実であることを確信したいつものメンバーは魔王征伐の旅に出た!
この作品は本当にいろんな要素が盛り込まれている。
上記の石像の謎は言わば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」的要素を含んだ謎であるし
さらに見せ場として、甘美な声で獲物を眠らせる魔物セイレーンと郷田剛の歌合戦がある。
そして、一度事件が解決して物語は終わり、エンドロール!と見せておいて
まだ終わっちゃ駄目!と登場人物が話を再開するなどの反則技も見せてくれる。
ラストで見せるジャイアンの豪腕ぶりとその男前さも必見だ。
(大長編ドラえもんでは必ずジャイアンの見せ場があり、それがどれもいいシーン)
有名なところでは小泉今日子が主題歌を担当、さらに満月博士の娘の声を担当。
ここからは第二部。
ドラえもんのとっておきエピソードを紹介しよう。
実はドラえもんはパーマンとリンクしておりさらに時代的には
パーマン世界から約10年後がドラえもん世界であるということが発覚する名エピソードがある。
その話を紹介する前にまずパーマンを軽く紹介する。
のび太同様オチコボレのミツ夫が何の因果かパーマン1号になる。
マスクを被れば凄まじい力を発揮し、マントを羽織れば空もひとっ飛び。
文字通りスーパーマン。
彼の他には猿の2号(ブービー)、アイドル星野スミレが正体の3号(パー子)、
金にうるさい大阪の寺の息子4号(ぱーやん)、ちなみに赤ちゃんの5号もいる。
そんな彼らはボス「バードマン」にときに褒められ、ときに叱られながらも
日々平和維持活動に精を出す。
ある日、バードマンはミツ夫をバード星に留学させることを決意する。
宇宙中の惑星からパーマンが一堂に会しさらなる能力向上を図るために。
ミツ夫は苦悩する。行けばいつ帰ってこれるかわからない。
それは愛する家族、仲間との別れを意味するのだ。
しかし、ミツ夫は決意。
メンバーに「さよならは言わないよ。僕はいつか立派なパーマンになって帰ってくる」と
涙流してしまいそうな名台詞を残して旅立つ。(パーマン最終回)
パーマンには恋愛要素も盛り込まれており、実はミツ夫はアイドル星野スミレの大ファンながら
自分の仲間パー子がその当人であることにまったく気づいていなかった。
というかパー子の男勝りな部分に嫌悪すらしていた。(スミレちゃんを見習えよ、みたいな)
一方、パー子も自分がそのスミレであることは言えず、そしてミツ夫への恋心も言えなかった。
どうです、このお手本みたいな恋愛図式。
(ちなみに最終回で旅立つミツ夫に最後、パー子は自分の正体を明かす。ここも感動シーン)
ここまで踏まえたうえでようやくドラえもんに戻る。
あるエピソードで大人になった星野スミレが登場する。(人気アイドルなのは変わらず)
二枚目俳優との熱愛が噂され、
レポーターに追い回されたスミレを偶然のび太とマシーンが救出。
自身スミレファンだった二人は本人に尋ねる。
「あの報道は真実なのか?」と。
スミレは黙ってロケットを取り出す。
そして語りだす。
「自分にはずっとずっと好きな人がいる。その人は今は理由があって遠い世界にいるけど
私は彼が戻ってくるのを待っているのだ」と・・・。
そしてそのロケットを開くとそこには一枚の少年の写真が入っていたのだった・・・。
追伸
有名なのび太が植物人間だったって最終回はガセです。
コミック6巻に「さようならドラえもん」という一回目の最終回収録されています。
本気で泣けます。ちなみに短編で映画化もされました。

2002/05/18
