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バナナフィッシュ
バナナフィッシュの寓話

『バナナフィッシュにうってつけの日』でシーモアはシビルという少女にバナナフィッシュの
話を聞かせる。バナナフィッシュは、バナナを食べ過ぎて穴の中から出られなくなり、その
ままバナナ熱で死んでしまうという。バナナフィッシュについては、人間社会の縮図である
とか、男性器の象徴である、など諸説あり正体は明らかではない。シーモアから話を聞い
たシビルは「バナナを6本くわえたバナナフィッシュを見た」と言い出す。バナナフィッシュは
正直者だけには見える、というの類のものではないだろうから、虚実はともかく、シビルは
シーモアの期待を裏切るに充分な事をしたのだ。シビルが見たバナナフィッシュは、バナナ
を6本くわえていた。この直前に、シビルは『ちびくろサンボ』に登場する虎を「たった6匹の
虎」と言って、シーモアを驚かせている。シビルにとってはバナナもたった6本なのだろう。
虎とバナナの数をわざわざ同じにしているのには、何か理由があると考えてもいいだろう。
また、シーモアがシビルの青い水着を、黄色だ、と言った事も関連させて考えてみたい。
そして、もうひとつ重要なのは、シーモアは物語の最後に死んでしまうという事だ。物語の
中の寓話と物語の内容に何ら関係が無い事は考えにくい。ならば、自殺したシーモアは
バナナ熱で死んだのかもしれない。バナナフィッシュが何なのかは謎だが、その寓話が
指し示すところは、シーモアの自殺であろう。

*バナナフィッシュの寓話―『バナナフィッシュにうってつけの日』“A Perfect Day for Bananafish”
主な参考文献―『ミステリアス・サリンジャー隠された物語』田中啓史、南雲堂



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