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葉巻の吸い殻
葉巻を吸う/吸わない


『大工よ、屋根の梁を高く上げよ』には、ミュリエルの親戚である小柄な老人が登場する。
この老人は、バディが乗り込んだ車に居合わせたひとりであり、唖として描かれている。
この車内では、シーモア、延いてはグラース家への反感と批判に満ちており、バディが
望む、シーモアをそっとしておく、という状態には程遠い。そのなかで、この小柄な老人
だけは、沈黙を守っている事になっている。そして、バディも老人に好意を持つ。老人の
特徴は唖である事とタキシードを着ている事、そして、火の点いていない葉巻をくわえて
いる事である。火の点いていない葉巻は老人が態度を保留している事の象徴であろう。
では、この老人が葉巻に火をつけるのは何時なのかと言うと、保留していた問題、即ち
シーモアが幸せなのかという問題、が解決した時という事になる。
車に乗りあわせた人たちはバディのアパートに立ち寄る。バディはそこでシーモアの
日記を見つけ、シーモアの幸せを確信する。そして、客室に戻ると老人は葉巻に火を
つけていたのである。つまり、シーモアの幸せは証明されたという証なのである。
物語の最後でバディが、この葉巻の吸い殻に白紙を添えて、シーモアへの贈物にしたい
といっているのは、冒頭の穆公の説話を受けて、目利きの達人シーモアなら、白紙の
説明書きを添えるだけで、吸い殻の持つ意味、シーモアの幸せが証明されたという事、
察してくれるだろう、という事なのである。

*葉巻の吸い殻−『大工よ、屋根の梁を高く上げよ』"Raise High the Roof Beam.Carpenters"


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