ケイパームービー


ケイパームービーとは、わかりやすく言えば金庫破り映画のことである。それぞれが得意技をもつプロの犯罪者(資金調達者、計画立案者、金庫破りのプロ、狙撃のプロなど)が寄り集まって、大きな獲物を狙う周到な強奪計画をたてて、それを実行していく映画である。ちなみに、"caper"とは俗語で犯罪という意味がありますが、スラングとしてヤマ、仕事などという意味があるらしいです。

して、その定義として、

この4点を見てみると地味な感じがあるので、最近の映画(派手なCGやアクションシーン)を観なれている方には物足りなく感じられるかもしれません。去年の『スコア』『オーシャンと11人の仲間』など再びケイパームービー映画復活の兆しがありファンとしてはうれしい限りです。 ちなみに、ケイパーの本では、ドナルド・E・ウエストレイクのドートマンダーシリーズ(「ホットロック」が映画化されています)がお勧めです。リチャード・スタークのペンネームでも「悪党パーカーシリーズ」をだしています。 では、主なケイパームービーを紹介したいと思います。


『アスファルト・ジャングル』(1950)
監督: ジョン・ヒューストン 出演: サム・ジャッフェ(ヴェネチア国際映画祭男優賞)、スターリング・ヘイドン、マリリン・モンロー
ドクは宝石泥棒を計画し、ボスのエメリックに相談した。エメリックはドクに仕事をさせて、相棒と情婦を連れて国外逃亡を計画する。ドクはディクスという若者の手伝いを得て、金庫破りの名人ルイスと共に50万ドルの宝石を手に入れるのだが……。なんといってもサム・ジャフェの存在感に脱帽です。ラストの音楽を聞くシーンはもう最高です!

『男の争い』(1955)
監督:ジュールス・ダッシン
出所したヤクザのトニーが、仲間と宝石の強奪を図る。精緻をきわめた作戦は見事に成功するが、仲間の一人の情婦からアシがつき、大物ギャングが乗り出してくる。敵は仲間の息子を誘拐して、トニーの居場所を突き止めようとするが……。

『マダムと泥棒』(1955)
監督:アレクサンダー・マッケンドリック 出演:アレック・ギネス、ケティ・ジョンソン、ピーター・セラーズ
老婦人が営む下宿に五人の男たちが部屋を借りる。彼らは楽団員でここで練習をさせてほしいというが、実は現金輸送車を狙う強盗団だった。お節介な老婦人に邪魔されながらも彼らは計画を練り、ついに実行に移すが。老婦人を騙して現金を運ばせるのだがなかなか届かず最後には警官が運んでくるところ、それをはらはらしながら見てる強盗たちが面白い。また細かいオチ(老婦人がよく警察に行くこと、傘を忘れやすいことなど)があとで利いてくるのもうまいなと思いました。また独特の雰囲気の家やアレック・ギネスの衣装など映像的にも面白いものがありました。

『現金に体を張れ』(1956)
監督:スタンリー・キューブリック 出演:スターリング・ヘイドン
ジョニーを筆頭に数人の男たちが、競馬場の売上金強奪計画を練っている。まず屈強なレスラーを一人雇い、競馬場内で派手に喧嘩をさせ、別の場所からは狙撃手が疾走中の本命馬を撃つ。群集が騒然となっている頃、ジョニーが200万ドルを強奪し、窓の下で待つ仲間の警察官にリレーしながら、アジトに金を運ぶ。しかし仲間の一人が自分の女房に作戦を漏らしてしまい、計画はこの女房の浮気相手に知れる。ジョニーたちはまんまと大金を手に入れたが、金を横取りしようとした間男がそこへ踏み込んできて撃ち合いになる。僕はまったく期待しないで観たらあまりの面白さにびっくり。同じ時間の3人の行動をひとつひとつ映画描いている撮り方も斬新でしたし、ラストの結末は映画史上の名場面でしょう。原作はライオネル・ホワイトの「逃走と死と」。

『泥棒株式会社』(1960)
監督:ロバート・デイ 主演:ピーター・セラーズ
イギリスの片田舎にある刑務所に、三人の金庫破りが収監されていた。そこへ、かつての仲間が牧師に変装してやってくる。刑務所の中ならアリバイは完璧だと言って、三人をダイヤ強奪の計画に誘う……。この映画に似ているのが『新・黄金の七人 7x7』。刑務所にいることをアリバイにして脱獄して本物の札を造幣局で作る計画を立てるが、ひょんなことから脱獄についてきた男が計画をめちゃくちゃにしてしまう。この男(アーネスト・ボーグナイン似)の存在がほんと面白い。

『紳士同盟』(1960)
監督:ベイジル・ディアデン
ハイド元中佐(昇進間近で退役となったので大佐を自称しているが)は、“金の羊毛”なる一冊の犯罪小説を元陸軍精鋭の“札つき”のワル六人に送りつけ、それと同じ手筈で銀行強盗に及ぼうとする。彼の睨んだ通り、全員がその話に乗ってきて、ハイド(ホーキンス)は沈着冷静なレイス少佐を副官に任命、軍隊方式で機敏に計画を進める。軍の施設から銃器をIRAの犯行と見せかけて調達し、実行も見事に運んだ。後はアジトで皆で祝杯をあげ、均等に分配した金を詰めたトランクを持って各自散開のつもりだったが……。

『オーシャンと11人の仲間』(1960)
監督: ルイス・マイルストン 出演:フランク・シナトラ、ディーン・マーティン
元空挺部隊員オーシャンは、一攫千金を夢見て、カジノの襲撃を計画した。彼はかつての仲間を集め、大晦日の午前0時、いよいよ大作戦を展開する……。

『地下室のメロディ』(1963)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ 出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン
五年の刑期を終え出所した老ギャングのシャルル。彼は青年フランシスと組み周到な計画を立てて、再びカジノの現金を強奪する。そして、計画は成功したかに思えたが……。

原作はジョン・トリニアンの「地下室のメロディー」(早川文庫)。映画版とほぼ同じ展開だが舞台はアメリカ、ラストが変更してあります。僕は映画版ラストも良かったですけど、それ以上に原作のラストが良かったです。

『トプカピ』(1964)
監督:ジュールス・ダッシン 出演:メリナ・メルクーリ、ピーター・ユスティノフ(アカデミー助演男優賞)、マクシミリアン・シェル
主人公の女盗賊が挑んだ獲物は、トルコのトプカピ宮殿にある宝剣だった。彼女は仲間を集め、警戒厳重な防御システムの突破を図る…… 原作はエリック・アンブラーの「真昼の翳」(早川文庫)。原作は、ケイパーというよりサスペンス小説で、映画でみられるようなコメディタッチではなくシリアス物で、僕としては映画の方がおもしろかった。

『御金蔵破り』(1964)
監督:石井輝男 出演:大川橋蔵、片岡千恵蔵
牢内で知り合った旗本くずれのヤクザ・半次と老盗賊・富蔵は、江戸城内の御金蔵破りを計画する……。金を運ぶ時もっと重量があるだろと突っ込みたくなりますが、その他はまあ楽しめました。

『黄金の七人』(1965)
監督:マルコ・ヴィカリオ
ジュネーヴのスイス銀行に眠る7トンの金塊を狙って展開される一大強奪作戦。銀行の真向かいにあるホテルの一室に陣取った“教授”(P・ルロワ)から無線で指示が飛び、6人の仲間が実働部隊として地上に地下に待機している。“教授”の傍らには妖しい美女ジョルジア(R・ポデスタ)の姿も。そして、遂に決行の時が来た!

『華麗なる賭け』
監督:ノーマン・ジュイソン 出演:スティーヴ・マックィーン、フェイ・ダナウェイ
ニューヨークのとあるホテルの一室で、二人の男がボストンの市中銀行を白昼襲撃するという一大犯罪計画が密談されていた。そこへプランナーと思われる男が、度肝を抜く秒刻みの作戦を披露する。やがて計画は実行されるが……。

『おしゃれ泥棒』(1966)
監督:ウィリアム・ワイラー 出演:オードリー・ヘプバーン、ピーター・オトゥール
贋作画家シャルル・ボネの家に、内偵中の私立探偵シモンが忍び込んだ。ところがたちまち、画家の娘ニコルに発見されてしまう。美術館に出展している父親が作った贋作に検査が入ることを聞いたニコルは、父親が贋作作り捕まらないように美術館に忍び込み贋作を盗もうとする。警戒厳重な美術館に、二人は潜入することに成功するが……。金庫破りというよりはロマンチックコメディでした。

『さらば友よ』(1968)
監督:ジャン・エルマン  出演:アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソン
アルジェリアの外人部隊から帰還した軍医ドロンは、広告会社に勤める女ジョルジュ=ピコから奇妙な依頼を受ける。彼女が黙って持ち出した債券を会社の金庫に戻して欲しいというのだ。ドロンと同じく戦争帰りのブロンソンは、ドロンの仕事に興味を持ち、二人は金庫に潜入する事となった。こうなれば債券を持ち出す代わりに金庫の金を奪い取ろうという魂胆だ。だが、ようやく開いた金庫の中には金はなく、そのうえ二人は金庫に閉じ込められてしまった……。債権を戻すために金庫に忍び込む映画ですけれど、一応金庫破り映画としました。ただ、どちらかというとドロン、ブロンソンの友情映画ですね

『仁義』(1970)
監督: ジャン=ピエール・メルヴィル 出演:アラン・ドロン、イヴ・モンタン、ジャン・マリア・ヴォロンテ
宝石強奪を計画するドロン、ヴォロンテは、元刑事の射撃の名手を加えることになる。

『ホットロック』(1971)
監督:ピーター・イエーツ 出演:ロバート・レッドフォード
アフリカ某国の大使から依頼され、ブルックリン博物館から高額なダイヤを奪う事になった泥棒プロフェッショナルたち。計画はうまくいったかに見えたが、ドジった一人がダイヤを呑み込んだまま捕まったために作戦変更、今度はそいつが囚われた刑務所への潜入となる……。見事脱獄させたかと思いきやダイヤは刑務所に隠してきたというので再び刑務所に忍び込むが隠してきた場所にダイヤはなかった。というふうにダイヤをめぐって二転三転する映画。
原作はドナルド・E・ウエストレイクの「ホットロック」。

『サンダーボルト』(1974)
監督:マイケル・チミノ 出演:クリント・イーストウッド、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・ケネディ、ジェフリー・ルイス

『新・おしゃれ泥棒』(1974)
監督:アラム・アヴァキアン 出演:キャンディス・バーゲン
原作と比べてみると映画のほうが襲撃シーンに重点を置いていて細かいところまでこだわっているので面白かったです。。原作はジェラルド・A・ブラウンの「ハロウハウス11番地」(ハヤカワ文庫)。

『掘った奪った逃げた』(1979)
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ
犯行を計画したスパジァリたちが、地下にトンネルを掘り、南フランス、ニースのソシエテ・ジェネラル銀行から50億フランを盗み出して、まんまと逃亡を果たすまでを描く。
原作はアルベール・スパジアリの「掘った奪った逃げた」(新潮社)。

『ブロンディー/女銀行強盗』(1993)
監督:ラッセル・マルケイ 出演:キム・ベイジンガー、ヴァル・キルマー、テレンス・スタンプ
裏切りにあい刑務所暮しを余儀なくされたプロの中のプロの銀行強盗カレン・マッコイ(ベイシンガー)は、六年の後、ようやく仮釈放される。前夫に預け、離れ離れになっていた息子との暮しをやり直そうとするが、かつてのボス(スタンプ)から再び銀行強盗の誘いが。一度は断るものの、息子が人質となりやむなく仲間に。襲撃が成功しあとは獲物をいただいて終わりかなと思った瞬間にテレンススタンプを金庫に閉じ込めて逃げる。

『スコア』(2001)
監督:フランク・オズ 主演:ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、マーロン・ブランド、アンジェラ・パセット
世界をまたにかけ活躍してきた金庫破りの超一流のプロ、ニック(デ・ニーロ)。これまで1度もミスしたことのない彼の信条は“危険は冒さない”“ひとりでやる”というもの。そんな彼はある日、長年のパートナーである盗品ブローカー、マックス(ブランド)から報酬400万ドルという願ってもない話を持ちかけられる。が、この仕事を成功させるためには内部に詳しいジャック(ノートン)という男と組むことになる……。


他にも、『汚れた七人』『ザ・ビッグマン』『クィーン・メリー号襲撃』『泥棒成金』『紳士泥棒/大ゴールデン作戦』『MR.ダイヤモンド』『大列車強盗』『オーシャンズ11』『ミニミニ大作戦』『大列車強盗団』『空かける強盗団』などがあります。


《参考資料》
  • 『スコア』パンプレット 小鷹信光
  • 『ミステリーサスペンス 洋画ベスト150』なにがなんでも盗み出す 小鷹信光<文集文庫>
  • 『泥棒の辞典』外国映画にみる泥棒美学 双葉十三郎<新評社>
  • 『all cinema online』

ほかにケイパー映画がありましたら連絡ください。よろしくお願いします。