72(「ひげだより」スタート 〜
座長、子供の仲間入りをする)

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10月13日

のたびHPに、ひげだより」なるコーナーを新たに作ることになった。

宣伝美術の当方は、稽古場へ行く機会はなかなかないので、元来この日誌では、座長との打ち合わせでのやりとりや、座長が周囲を困らせた話などを人づてに聞いたりして、それを記述し続けてきたわけである。

が、これらは所詮、氷山の一角に過ぎない。
当然のことながら、日々の稽古場では、もっと様々なことが勃発している。

加えて、この日誌では、情報がこちらにもたらされるまでに日数がかかり
、掲載までにタイム・ラグが生じがちであるし、
情報源がもっぱら座長本人のため、座長が主人公の話題ばかりがもたらされ、登場人物にむらがある。

というわけで、ひげ太夫出し物師達自身が、自らの言葉で、日々の様子を綴っていく機会があってもいいのではないか、ということになった。
そこで‥、


この日誌のほかに、「ひげだより」なるものを作ることになりました。
「ひげだより」は、ひげ太夫の出し物師(役者)
達自身が、順番で、稽古の様子や、その日起きた事件など、週1〜2回のペースで、お知らせして参ります。

何しろ原始人ぞろいのひげ太夫のことですので、どの程度実現できるか分かりませんが、もし、ふと、「奴らは今ごろどうしているだろうか」、などとお思いのときに、ご覧いただければ幸いです。

なお、こちらの「ひげ太夫・観察日誌」は、月1、2回(ネタが入れば随時)の更新を目指して、引き続き掲載を続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

***

の間、ひげ太夫出し物師たちは一体何をしていたのかというと、それぞれ、体育館に通ったり、トレーニングをしたり、体力や技術の向上につとめていたということである。

そんな中、一度、座長と出かけたついでに、動物園に寄ったことがあった。9月始めのある暑い日であった。
座長、ささやかな夏休みである。

動物園に入ると、座長は迷わず、「ちびっこ動物園」へ向かう。子供が、ウサギやハムスターを抱いたり、ヤギを思う存分撫でたりできる場所である。

屋根のある砂場みたいなところで、子供達は丸くなって座り、中央に立つ係のお姉さんから順番にウサギやハムスターを渡されてそっと抱く。

座長も、子供に混じって座る。
「抱っこしたい子は手を挙げて」と係りのお姉さんが皆に向かって言い、手を挙げた子供のひざに、大体小さい動物から順番に選ばれ、乗せられていく。

子供ではない座長は、自分は触らせて貰えないかもしれないと思っておとなしくすわっていたので、ちょっと出遅れた。
すると、最後に残ったのは特大の白ウサギ一匹だけになった。
さすがにこれは、幼児のひざにのるには大きすぎたので、座長もこれなら許可されるだろうと考え、
「あの、この大きいの、わたし抱っこしてもいいですか」と遠慮がちに係の人にたずねた。
すると、「はい、しっかりもって」、と、ずっしりするやつをひざの上に渡された。

座長、嬉しがってウサギを抱く。
重いので、ひざと両手でしっかり支えなくてはならず、爪先立ちである。
身動きが取れず、「これじゃ撫でられやしない」と小声でつぶやく。


ウサギを抱いていたら、どういうわけか、うしろから、ヤギ(?)がノソノソ接近してきた。ヤギ、カメラ目線である。


この時点で座長はウサギに夢中でヤギに気付いていなかったが、この後、座長が左の肩にかけたカバンの中に突然このヤギが頭をつっこみ、驚いたウサギが、見をよじって激しく暴れ、周囲はちょっとした騒動になった。

しかし子供の仲間入りをして、嬉しそうである。
こうして座長の夏は終わる。

***


細川は、次の公演に備え、この夏の間に、新たなトレーニング方法を編み出したということである。

実際に舞台をご覧になった方はおわかりかと思うが、ひげ太夫では、全員でテーマ曲を歌ったりするシーンがよくある。
繰り返し流れる勇ましいテーマ曲であったり、ハミングであったり、長唄であったり。
しかしいずれにしても、息が切れる。
激しく動きながら、歌い、かつ、台詞を言う。
もしそれが、息をひそめた静かな台詞だったりすると、余計に苦しいに違いない。

そこで、それに備えて細川が、新しい訓練法を編み出したというのである。


ず走る。
ただ走るといっても、
細川の場合ちょっとそこまでといった生易しい走り方ではなく、ものすごく走る。
多分、30分とか1時間とか、そのくらいは走る。

走り終わると、すかさずオカリナを取り出す。
そして、息を途切れさせずに、
「ほー ほー」
となめらかに、そっと吹く。

この、「そっと」、と言うところが肝心である。

全力で走っては、ほーほー、全力で走っては、ほーほー
夏の間この訓練を、細川はずっと続けていたという事である。
かなりきついらしいが、その分成果も期待できそうである。

***

んな具合に、皆それぞれに工夫して、次の公演にむけて準備をすすめて参りました。
そろそろ稽古も本格的になってきました。

次回公演は、雲丈郭 (うんじょうかく)
11月29日(金)〜12月2日(月) 下北沢 駅前劇場
です。

皆様のお越しを心よりお待ちしております。




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