76(「烈々宙王」へ
ご来場ありがとうございました)

75へ戻る続く

4月21日

13回公演、烈々宙王は、昨日、無事に終了いたしました。
おいでくださったお客様、ご協力くださった皆様、まことにありがとうございます。心より御礼申し上げます。

次回公演は、

7月30日(水)〜8月3日(日) 中野ザ・ポケット

です。詳細が決まりましたら、当HPでおしらせ致します。皆様のお越しを、お待ち申し上げております。

***

演の2週間ほど前に、座長から
「打ったせいで、頭が悪くなったような気がする」
という電話があった。

「打った」というのは、詳しくはひげだよりで当人が書いているが、稽古場で頭を打って、CTスキャンを撮ったという話である。

「だから台本が遅れている」という。

それはなんだか違うような気がする。

が、ともかく台本が遅れていた。
「今回は今までで一番遅い」と言う。
しかしこのせりふは、毎回聞かされているので、あまり心配はしない。
そこへさらに、もっと恐ろしい事件が起きた。

公演の2日前の深夜、座長から電話が来て、
「こんな話ばかりで悪いけど、足の骨折った」ときたときは、さすがに、もう、「おい、こら」である。
松葉杖をつきながら、座長は「痛みは感じない」と言い張ったが、しかしやはり、「おい、こら」である。
せっかく来てくださるお客様にそれはないだろう、と。

今回の公演は、『SPA!』に掲載され、『ぴあ』にも写真つきで紹介された。
今まで来て下さっていたお客様にも、初めて来てくださるお客様にも、いいところをお見せしたい。

それなのに、である。

ともかく、それから初日までの二日で、座長はめざましい回復力を見せはした。
「脳の中で、何か変な物質がでて一時的に回復を早めているのではないか」とスタッフのひとりが言った。
なるほどそんな感じであった。
加えて、他の出し物師たちも、さすがに組体操で人を持ち上げ慣れているだけあって、舞台以外で座長が移動するときは、持ち上げて運んだりと、随分働いたようである。

周囲のスタッフや出し物師たちの苦労はいかばかりかと思う。
そして、何より、劇場まで足をお運びくださったお客様には、心より感謝である。

ともかくこうして初日を迎えたのであった。

今後はこういうことがないように、充分に注意しなくてはならいない。



***


伝美術の当方は、ゲネで舞台写真を撮影してしまうと、もう現場にいても何も役にも立たない。
皆が忙しくしているのに、何もしないでいると何か非常に申し訳ない気持ちになってくるので、ついその場で起きていることを必要もないのにやみくもにメモをとったりしてしまう。今回とったメモを開いてみると、例えばこんなことが書いてある。

「人から物に変わるときは、皆きびきびめりはりを」
(座長から出し物師たちへの注意である。
人になったり物になったりするから、出し物師も色々と大変である)

「シーシー・ざわざわ微調整」
(「シーシー」だの「ざわざわ」だの、出し物師が口で発する効果音。なんとなく聞いていたが、強弱や緩急など、色々工夫があるらしい。何度も繰り返し調整していた)

「象の耳が」
(象の耳がどうしたのか忘れたが、ともかく、皆で象の耳の形を研究していた)

「ものすごくノドが渇く石川」
(「どうすればいいんでしょうか、このノドの渇き」と突然石川が言った。
そばにいた細川が、リュックから飲み物を出しかけて、(親切である)ふと、「でも、今乾くってわけじゃないんだよね。飲み物ならあるけど」と言った。
「はい、喉が張り付く感じ。ずっとなんです。上がり性なんです」と、全然上がり性には見えない石川が答えた。
「わかるわかる、それ」と言ったのは、やはり全然上がり性には見えない座長であった。)


ころで、座長(中央)が演じる役は、たいがい、かっこいい役である。一応そう言っておく。

かっこよくならないと座長自身不満であるし、一番上にのぼりたがるし、一番目立つところにいたがる。
物語の中でも、自分が大活躍する。自分で台本を書いて演出して主演しているのだから、誰にも止められない。

しかし、そのかっこよさとは、普通の意味での若々しいかっこよさとはちょっと違う。どちらかというとオヤジである。百戦錬磨のオヤジ、というのが、座長の考える理想のかっこよさらしい。

だから、かっこいい、を演じつつ、ときどき、すっかりオヤジの顔になりきるときがある、

いい例がこれである。
今回、荒川演じる若き国王と、座長演じる流れ者の男は、ふたりで力を合わせ、敵に挑む。だから同じような苦難に見舞われるシーンが何度かある。
一見同じように苦しんでいても、表情が随分ちがうのである。

若き国王を演じる荒川(↓)。


一方座長は同じシーンで
(↓)
拡大すると(↓)

いや、このときも、総じて見れば、座長もかっこいい動きをしていた。が一瞬を取り出して見るとこんな表情である。



次は同じくふたりが、切り立った崖の上で突然敵に襲われて絶体絶命のシーン。それを、アングルを転換して上方から見下ろした形で演じている場面である。

ふたり同様にかなり焦って苦しがっている模様である。
(左:座長、 右:荒川)



しかし、その次のカットを拡大してみると。


こんな具合である。なんだか左の座長は、動物のような顔になっている。
珍しい顔である。
ある意味ものすごく真に迫っているのかもしれない。
「百戦錬磨」こその余裕で、走馬灯のように、次の手について考えをめぐらせているところかもしれない。
座長らしいと言えば座長らしい。
よく言えば、自力でなんとかしようとしている顔である。(こう書けば、座長もこの写真の掲載に不満は述べないであろう)

‥‥というわけで、ちゃんとした舞台写真は、近日中に当HPで公開いたします。



75へ戻る続く
HOME