ひげ太夫の宣伝美術・渡辺佳代による出し物師達の観察日誌

82(『雀躍天』の稽古場撮影) 

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5月8日

回の日誌を書いてから、随分と間を空けてしまった。
宣伝美術の当方の、日誌を書く回数が減った理由は主に三つほどある。

1)以前にくらべて、大勢の方が公演のお手伝いをしてくださるようになったおかげで、当方の宣伝美術以外の仕事が減り、前より打ち合わせなどで顔を会わせる回数が減ったこと。

2)以前より、座長が「立派」になったこと。いつのまにか出し物師中最年長の34歳にもなっていた。
サンドイッチに妙に固執したりすることもほとんどなくなった。

3)当方も、座長の要望はおおよそ見当がつくようになった。
例えば、「明日の午前中までに、これ作って」というように、突然用件を頼んでくる事がけっこうある。
当方としては、あらかじめその辺のことを予想しいるので、いちいちビックリしなくなった。

またチラシのラフ案を見ると座長はたいてい「人物をもっと大きく」という要望を出してくる。(この場合の「人物」とは自分である)。だからチラシ案ではあらかじめ「人物をかなり大きく」作っておいて、ひとまず座長を落ち着かせる。そうしておけば、あとは、意外に多くの部分が当方の判断にまかされるということもわかった。

ともかく、このような理由で、小さな事件は度々あるが、改めて日誌をかくほどでもなく、当方も淡々と宣伝美術の作業をしていた。

最近では、新聞や雑誌に載せていただく機会も増えてきたが、そういうのも、掲載されたあとになって知ることも多いぐらいで、実際、今ひげ太夫がどんな具合なのか、実は当方もあまりよく知らないのである。


かし、一つ確かなことがある。
彼らは、以前にもまして、お金がないということである。

この日誌を書き始たころのような、2日間の公演でお客様数が合計百数十人、というような時代も勿論お金はなかったが、それよりは大勢のお客様に見ていただけるようになった今、なぜか以前にも増して、お金がない。

そのために以前は作れたTシャツも、最近は予算がなくて作れない。

昨年の夏には、チラシに登場させたこの金魚のTシャツを実際に作りたいと座長が言い

冬には、 組み体操をモチーフにしたTシャツを、とこんなTシャツをデザインし

今また「ひげだより」によると、座長は、舞台美術用に自分がデザインした画像をあしらったTシャツを新たに作りたがっているようである。しかし、いずれも予算が無く、頓挫する可能性が大である。

また、住所をご登録くださっているお客様には、毎回公演間際に、チラシを葉書大に印刷して公演のお知らせをお送りしているが、それも、今回は予算の関係で印刷所に出す事ができず、コピーで作ることになった。

さらに、今回の公演では、チラシの撮影をする予算がなかったので、新たに撮影はせずに、以前に撮った写真をかき集めて合成している。チラシ

後ろの方で雲に乗っている人々も、以前に撮った写真を使い、座長は合計六人、細川が二人登場している。

もっとも、98年の旗揚げ以来、ほぼ毎回チラシ用に撮影をしてきており、そのなかから実際にチラシに載せるのは、表裏あわせても2〜3枚だけなのだから、集めてみればかなりの枚数の写真が使われずに、眠っていることになる。
インパクトありすぎで当時は採用しなかったような写真でも、今になると、目が慣れたのか、面白い組み合わせが可能なように思えるものもある。

宣伝美術に関してだけ言えば、当面ひげ太夫は貧乏なままでもなんとか切り抜けられそうである。

***

んな貧しい状況ではあるが、次回公演「雀躍天」の準備は着々と進んでいる。

公演の10日前にあたる、5月6日、稽古場に写真を撮りに行ってきた。

今回「雀躍天」では、新出し物師としてあらたにこの三名が参加する。



成田みわ子


阪突子



藤田未来


がて稽古が始まった。

今日は最初の「タイトルコール」のあたりを稽古しているようだった。
張り切る座長(中央)。


動きを忘れないように、一同台本に細かくメモをとる。


タイトルコールの組み体操。
これはまだ途中の段階で、このあとさらにふたりが上に乗ってくるのだが、普段の稽古ではすんなりいくのに、今日はどうも調子が悪いらしい。微妙な力加減を調節するため、何度も繰り返しているがなかなか安定しない。こういうときもあるようだ。当人達もなぜだろう、と首をひねるが、やがて安定しはじめた。


 
。鳥になった気持ちを熱心に説明する座長(左)。眉の角度や、指の曲げ方なども細かく指示を出している。「威嚇する表情ではなく、こめかみを上げる感じで!」
実際にやってみる出し物師達(右)。三人で一羽である。中央で懸命に羽ばたいているのは細川
「それぞれ鳥の表情をよく研究しておくように」と座長

再び動きのポイントをメモする。


次は、風が吹いているシーンのようだ。
風の吹く様を全身で表現する細川(手前のぶれている人物)


風に吹かれて転がるある「物」の様子を実演してみせる座長(上)。
床に骨があたるので、けっこう痛いらしい。
「オーディションします」と座長が言うと、全員が一斉にごろごろと稽古場の床を転がり始めた。もっともうまく転がる事の出来た二人がこの「物」役を演じることになった。選ばれたうちの一人神宮は、「アザになるのを怖がらず思い切って行くのがコツです」と言っていた。



新出し物師に何か説明している神宮(右)。
若手だった神宮も、いつのまにか古株の出し物師となり、りりしくなっていた。


***

のように稽古は進んでおります。
次回公演は「雀躍天」は5月15日(土)・16日(日)
天王洲アイル スフィアメックスです。
詳しくはこちらをご覧下さい。
皆様のお越しを一同心よりお待ちしております。



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