連載小説 『野の球』
(ののたま)   from 大友ヒップホップblog

――これは、とある高校の野球部を舞台に、主人公である後のエースピッチャーが、
部の存続の危機・チームメイトとの衝突・数多くのライバルの出現などを乗り越え、地方大会を勝ち上がり甲子園で優勝し、
プロからのスカウトもされるのだが大会での腕の酷使により野球を続けられなくなるまでの 軌跡を描いた物語である――


第零部 人探し編
第壱部
Road to KO-SHIEN編
'07. 03.28 第壱球  『入学式だ、ルンルン!!』
'08. 09.11 inning.22  『己ノ背負フ数字』

03.31 第弐球  『拘束』
'09. 03.02 inning.23  『守ルベキ位置関係』

04.21 第参球  『約分』

03.03 おまけ1   作者インタビューvol.1

04.25 第肆球  『勧誘』
'10. 03.23 inning.24  『最初ノ試合』

05.02 第伍球  『再会』

04.13 inning.25  『走ルノガ速ヒ人』

07.18 第陸球  『送達』

04.19 inning.26  『目デ見ル』
'08. 02.19 第漆球  『発見』

05.17 inning.27  『コング降臨』

03.27 第捌球  『陸上』
'11. 06.12 inning.28  『攻撃ガ始マル』

08.05 第玖球  『屋上』 08.13 inning.29  『砲丸投ゲノ力』

08.10 第拾球  『一閃』 '12. 01.27 inning.30  『与ヘラレシハンデ』

08.14 第拾壱球  『逆光』 02.02 inning.31  『購買名物コケモモジャムパン』

08.16 第拾弐球  『潜伏』 '15 05.11 inning.32  『引キ継ガレシ機械』

08.17 第拾参球  『握潰』

08.18 第拾肆球  『博徒』

08.20 第拾伍球  『命懸』

08.22 第拾陸球  『錯覚』

08.23 第拾漆球  『治癒』

08.24 第拾捌球  『兄弟』

08.27 第拾玖球  『解散』

08.29 第弐拾球  『救世』

08.31 第弐拾壱球  『登録』



































はじめに
文字のサイズは「中」くらいで書いてます。この文章が1行に入ってればきっと平気。




第壱球 『入学式だ、ルンルン!!』



「入学式だ、ルンルン。今日から高校生だ、ルンルン」

  スキップで校門をくぐる真新しい学ラン姿の彼は、

  左手にグローブをはめ、右手には野球のボールを握っている。

修斗「俺の名は武田修斗(たけだ しゅうと)。

    今日からこのジャクソン商業高校の1年。

    壁当てで鍛えたこの腕で、ここの弱小野球部を甲子園に導いてやるぜ!」

  校庭で一人名乗り上げている修斗の足元へ一匹の猫が擦り寄る。

猫「にゃー」

修斗「たららったったっ、ニャーゴ!」

猫「にゃー」


―体育館―

*「これより第11回ジャクソン商業高校入学式を挙行します」

  厳粛な雰囲気。大勢の生徒の中、修斗もパイプ椅子に座っている。

  :

  :

隣の男「ねぇ、きみ。それは何?」

修斗「…ん?これかい?これはグローブだよ。(パスン)

    俺は野球部に入るんだ。君は誰だい?どこ中だい?(パスン)」

  左手のグローブにパスンパスンとボールをぶつけながら受け答えする修斗。

隣男「僕は三中の三中(みつなか)だよ。

    僕も何か運動部に入ろうかと思ってるんだけど、野球もいいね」

修斗「じゃあ一緒に野球部に入ろうぜ(バスン)」

三中「うん。考えておくよ」


*「つづきまして、今日から赴任されました新校長の挨拶です」

  壇上に二十代後半のメガネ男が上がる。

校長「皆さん御入学おめでとうございます。新校長です。

    私も皆さんと同じ新入生ですので、お互いに頑張っていきましょう!

    新たな環境ということで、皆さんやりたいことがたくさんあると思います。

    私にもたくさんあります。

    そこでまず始めに…野球部を潰します」

  新校長がそう言うと、アシスタントの女性が

  “野球部”と書かれたバルーンに長い針を刺す。パンッ!


修斗「――ッ!?(ポロッ)」

  修斗の手からボールがこぼれ落ちる…

つづく


突如現れた新校長の「野球部を潰す」発言!

果たして修斗は野球部に入ることが出来るのか!?



作者コメント:はじめまして。絵が描けないので文字でやっていきますが

 イメージとしては劇画調の絵がついてるつもりで書いてるので、

 そんな感じで読んでもらえるとありがたいです。

 このブログには珍しいシリアスな物語ですがよろしくお願いします。

 週に1つくらいは書けるといいな。





<前回までのあらすじ>

新校長が「野球部潰します」って言った。



第弐球 『拘束』



校長「野球部潰します」

修斗「ふざけるな校長ぉー!」

  修斗の叫びが式の静寂を打ち破る。

  すぐさま校長のもとへと駆け出す1年3組20番の武田修斗!


  高木・平・宗田・鈴木・篠塚・佐々木・小島の脇を抜ける!

修斗「あ、ちょっとスイマセン、椅子…」


  さらに、黒田・木村・北岡・小野村・宇野・伊藤の脇を抜ける!

修斗「すいません、通して下さい。

    さっき校長が『野球部潰す』って言ってたんで」


  さらに、伊藤・伊藤・伊藤・伊東・伊藤・伊藤

修斗「伊藤(伊東)ーーーーッ!!!」

  果てしない絶望を抱きながら、修斗はワックスの香り漂う体育館の床へ倒れこむ。


校長「ふっふっふ…」



  伊藤(伊東)の影響もあり、あっさりと修斗は警護兵に捕まってしまい

  監獄へと送られた。



―監獄―

  暗くじめじめとしたコンクリート造りの監獄で修斗は目を覚ます。

修斗「・・・・・・うぅっ…」

校長「目が覚めたかね?」

修斗「…校長!てめぇー!」

  修斗は掴みかかろうとするが、檻の向こうにいる校長には届かない。

校長「おっと、まだ反省が足りないようだね。

    野球部のことを諦めない限り、出す訳にはいかないな」


修斗「俺は諦めない。野球は俺にとって…野球は俺にとっての

    酢豚での酢のようなものだ!」


校長「ふっ…そうなると、私は豚かな?

    まぁいいだろう。無駄にあがくがいい」

  校長は修斗に背を向け離れていく。


看守「武田!出ろ、釈放だ」

  看守が檻を開ける。

修斗「じゃあな。

    あんたは…まだ出られないのかい?」

校長「それほど私の罪は軽くない。時間は充分にあるのさ」

  修斗がもう一つの檻の中へ声をかけると、

  校長はベッドに腰をかけたままそう答えた。


  校長はもう修斗と目を合わせはしなかった。

  修斗もそれ以上は聞かず、地上への階段を登っていった。

つづく


野球は諦めない!それが修斗のレジスタンス!





<前回までのあらすじ>

1年3組には伊藤(伊東)がいっぱいいた。修斗が捕まった。出た。



第3話 『約分』



修斗「うっ…まぶしい」

  ひと月ぶりに見る見慣れた景色。

  さっそく教室へと向かう。


―教室―

  ガラガラガラ…

  入学式で見かけた懐かしい級友たちで溢れる教室。

修斗「ここが俺の教室か。おいお前、俺の席はどこだい?」

*「あ!武田君。君の席なら…あそこだよ」

  指差された方向を見ると、教室の隅にボロボロにされた机がある。


修斗「!!」


??「ケッケッケッケ…」


修斗「こ…これが俺の机…?ちくしょう、俺が不甲斐ないばっかりに!(バンッ)

    そんなことより、まずは一緒に野球部を作るメンバーを探さなければ!」

  廊下へ飛び出し、当てもなく走り出す修斗。


―廊下―

修斗「野球をするには最低でも9人が必要だ。

    残りの8人をどうするか…」


*「待ちな!」

  待つ。

修斗「…お、お前は?」

中田「俺は中田。お前と同じ1年だ。俺も野球部作りに協力するぜ!

    あの校長だけは許せねぇ…」

修斗「本当か!?どこ中だい?」

中田「五中だ」

修斗「ありがとう。これで2人だ。9分の2、約分すると4.5分の1。

    つまり、5回に1回は試合が出来るようになった」

中田「そうだな。甲子園を目指すにはもう少し確率を上げた方がいいだろう」

修斗「あぁ。その辺は抜かりない俺の事だ。今、部員を探してるんだ」

中田「よし、俺も野球部作りに協力するぜ!あの校長だけは許せねぇ!

    一緒に探そう!」

修斗「走れッ!!」

  ダッ!!


つづく


ついに2人になった修斗たち。ジャク商野球部の戦いはまだ始まったばかりだ!



作者コメント:前回は作者コメントを書き忘れました。いかんいかん。

        やっぱ高校野球っていいですよね。青春ですよね。





<前回までのあらすじ>

中田が仲間になった。走れッ!!



第肆球 『勧誘』



  廊下を走り続けながら会話を繰り広げる。

中田「はぁ…はぁ…

    かれこれ10分だぞ。一体どこまで走るつもりだ?」

修斗「わからない。とりあえず真っ直ぐ走ろう」

中田「それもそうだな」

修斗「お、見えてきた。ここは……図書室…?」

中田「馬鹿野郎が!

    図書室に運動できる奴がいるわけないだろ!」

  中田の怒声に図書室の扉が震える。


修斗「すまない。でも、逆に考えてみたらどうだ?」

  修斗の目がキラリと輝く一方、中田は阿呆みたいな顔をし、口を開く。

中田「逆に?」

修斗「そうだ。普通に考えたら図書室に運動できる奴はいない」

中田「それを逆に考えると、図書室に運動できる奴は…いる!?」

修斗「あぁ。逆もまた真なり、だな」

中田「わかった。図書室に入ろう」


  ガラガラガラ…


―図書室―

中田「結構いるな。さぁて、どいつに声をかけようか?(キョロキョロ)」

修斗「…いた!あいつだ!」

中田「え?」

修斗「(スタタタタ…)なぁ、ちょっといいか?どこ中だ?」

  本を積み上げ勉学に励む、メガネをした男子生徒の肩を叩く修斗。

*「??…な、何の用でプリンスか?」

  変わった語尾の彼が焦る。

修斗「一緒に野球部を作らないか?」

*「突然なんでプリンスか?オイラは野球なんかやった事ないでプリンス」

修斗「いや、大丈夫だ。お前ならできる。一緒に頑張ろう!」

*「(な、なんてキレイな目で見つめるでプリンス…

   これじゃ断れないでプリンス)

  わかったでプリンス。やるでプリンス!

  オイラの名は賢沢(かしこざわ)でプリンス!」

修斗「賢沢、よろしくな!お前にはキャッチャーをやってもらう。

    俺はピッチャーだ!」

賢沢「頑張るでプリンス!」

  手を重ねる3人。

3人「エイエイオー!」



―喫茶店―

  修斗と中田が帰りに寄り道し茶をすすってる。


中田「なぁ、さっきのはどういう事なんだ?」

修斗「ん?」茶をすする。

中田「賢沢の事だよ。何であいつにしたんだ?」

修斗「あぁ…。あいつはメガネをかけてただろ。それさ」

中田「メガネ?」

修斗「そう。プロ野球に古田って伝説の捕手がいるだろ?

    詳しくはわからないが、彼はメガネをする事によって

    大地や空から何らかのエネルギーを受けているに違いないんだ。

    つまり、メガネをかけた奴をキャッチャーにする事で色々いいと思うんだ」

  中田にわかりやすいように、紙ナプキンに『空』『エネルギー』『メガネ』などと

  図を描いて説明する修斗。

中田「…さすがだな。

    じゃあ俺はイチローっぽいからライトをやるよ」

修斗「そうですね」茶をすする。


  カランコロンカラン

  新規のお客様1名様がご入店なさいました。


修斗「…お、お前は!?」


つづく


…お、お前は!?



作者コメント:前回は間違えて「第3話」と書いてしまいました。

        「第参球」に訂正して下さい。

        飲み終えたコーラのペットボトルを思い切り吸うとむせるよね。





<前回までのあらすじ>

賢沢(メガネ)が仲間になった。喫茶店に行って茶をすすってたら誰か来た。



第伍球 『再会』



修斗「…お、お前は!?」

中田「武田、一体どうした?知り合いか?」

  店に入ってきた男は、この地域で有名な強豪校で甲子園にも数回

  出場したことのある『漢闘学館』(かんとうがっかん)の野球部員であることが、

  着ているそのユニフォームから一目で分かる。


男「久しぶりだな、修斗」

修斗「……」

中田「おい、武田。誰だよ?知り合いか?」


店員「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

男「1名。野球部員で」(ブンッ!)

中田「す、すごいスイングだ…」


男「修斗、俺はもう漢闘学館の4番でキャプテンになったぜ。

  お前はジャク商だったよな?どんなあんばいだ?」

修斗「…野球部は廃部になったよ」

男「そうか、大変だな。まぁお前のことだから、

  ゼロからでも野球部を作って大会には出てくるんだろうな」

中田「あぁ。そのつもりだ」


男「じゃあな。俺は帰るよ。

  …一緒に甲子園に出ようぜ!」(バットを振り、ウィンク)

  そう言って男は席に案内される前に喫茶店を後にした。



中田「行っちまったな。あいつは一体誰だったんだ?」

修斗「俺の幼馴染でライバルの山田だ。小学校の頃から

    『バットはマブダチ』って言って毎日持っていたからなぁ。

    あのスイングもそこから生まれてるんだろう」

中田「あんな連中を倒さなくちゃ甲子園には行けないんだな」

修斗「あぁ。頑張ろう!まずは部員探しだ!」

中田「そうだな」

修斗「走れッ!!」


  ダッ!!


つづく


ライバル山田の一言が修斗の心(ハート)にプレイボール!



作者コメント:野球と焼きおにぎりって最初の2文字が似てますよね。





<前回までのあらすじ>

修斗の幼馴染は、強豪 漢闘学館の4番でキャプテンですごいスイングだった。



第陸球 『送達』



―翌日の教室―

  自分の席で1時間目の予習を確認する修斗。

  そこへ駆け寄る中田。ダッ!!

中田「はぁ…はぁ…。おはようございます。

    やっぱりなかなか部員は見つからないな」

修斗「そうだな。おはようございます。

    とりあえず、コレをみてくれないか」(1枚の紙を渡す)

中田「こ、これは…」




でぃあ 修斗


野球部づくり頑張ってるみたいですね。

参考までに「打順の決め方」を書いておきますので、良かったら使ってください。

別に使わなくてもいいけどね。ブタぶー。


※打順の決め方

1番:足が速い

2番:小技できる

3番:ぜんぜん打つ

4番:すげぇ打つ

5番:当たりゃでかい!

6番:器用

7番:適当

8番:ザコ。打てない

9番:ピッチャー


やーまだ より



中田「山田って昨日喫茶店で会った…」

修斗「あぁ。あいつがFAXで送ってきやがった。

    くそっ!昨日は馬鹿にしやがって!」


 ホワンホワンホワン…

−−−−−−回想ココカラ−−−−−−


修斗「…野球部は廃部になったよ」

山田「そうか、大変だな。まぁお前のことだから、

    ゼロからでも野球部を作って大会には出てくるんだろうな」

修斗「まぁな」

山田「出てこなかったら、バーカバーカ!

    うんこーうんこー臭いうんこー」


−−−−−−回想ココマデ−−−−−−

 ホワンホワンホワン…


修斗「馬鹿にしやがって!」

  予習ノートを叩き付け、怒りをあらわにする修斗。

中田「でも、この“打順の決め方”って正しいのか?」

修斗「いや、それはどうだか分からない。

    昼休みに賢沢に聞いてみよう」



―昼休みの図書室―

 机の上に高く積まれた本たちの間から賢沢が話す。

賢沢「確かにこの“打順の決め方”は理にかなってるでプリンス。

    オイラが読んだ野球の理論書にも同じようなことが書かれてたでプリンス」

中田「ここに積み上げられた野球本は全部読んだっていうんだろ?

    その賢沢が言うんなら間違いはないな」

修斗「ふっ…敵に塩を送ったつもりか」

中田「ど、どういう意味だ!?」

修斗「戦国時代、今川・北条によって、海に面していない甲斐の武田信玄に対して

    塩の流通を止めるという作戦が取られた。その信玄に対し、

    敵であるはずの上杉謙信が『苦しんでいる領民を放っておけない』と

    塩を送ったことが語源となっているのである」

賢沢「そこから、困ってる敵に手助けすることを『敵に塩を送る』と言うでプリンス」

中田「謙信は信玄と何度も何度も争っていた仲だというのに驚きだな!」

歴史博士「そうじゃな」


修斗「こうなったら塩を使わせてもらおうじゃないか。

    とりあえず、俺はエースですげぇ打つと思うんだが、

    その場合は何番になるんだ?」

賢沢「ルール上、4番と9番の両方を打つことはできないでプリンス。

    どちらか自分にとってより重要な方を選んでほしいでプリンス」

修斗「なら、俺は…エースだ!」(バスン!)

  グローブにボールを叩きつける。

中田「俺は…まだ未定だ!」


修斗「それじゃ、あとはこの“打順の決め方”に書かれた特徴を持った選手を

    1人1人探していけばいいだけだな」

中田「と、なると…1番最初に探すべきなのは…」

  修斗と中田が顔を見合わせて声をそろえる。

修斗・中田『8番!!』

修斗「やっぱりな。他の特徴の選手は難しそうだからな」

中田「そうと決まったら早速『ザコ。打てない』を探しに行こうぜ!」

  ダッ!!

  しかし、走り出そうとする修斗・中田の前に賢沢が立ちふさがる。

賢沢「…ちょ、ちょっと待つでプリンス!」

中田「ん?どうした?」

  中田は走りを完全に止めることはなく、ジョギングモードで話を聞く。


賢沢「『ザコ。打てない』なら…オイラがいるでプリンス!

修斗・中田「はっ!!」


つづく


あの賢沢までもが叫ぶ!ジャク商ナインは気合充分だ!



作者コメント:小説家や漫画家が「キャラが勝手に動き出す」とか言うよね。

        運動不足の僕に走り出したキャラ達を捕まえるのは困難でした。

        やっぱ現役の子らは速いね。





<前回までのあらすじ>

走ろうとしたら賢沢が叫んだ。



第漆球 『発見』


賢沢「オイラがいるでプリンス!」

修斗・中田「はっ!!」

  賢沢の珍しい大声に、修斗・中田・図書室の人々が驚く。


修斗「それもそうだ。『ザコ。打てない』の8番なら賢沢が適任だ!」

中田「頼んだぜ!」

賢沢「任せるでプリンス」(メガネをクイッ)


修斗「いや、そんな事はどうでもいいんだが、次は何番を探す?」

中田「そうだな…『適当』の7番辺りがいいんじゃないか?」

修斗「ふざけたことを言うな!」

  修斗が怒鳴りながら中田の頬をグローブで叩く。

中田「すまん」

賢沢「どういうことでプリンス?」

  冷静さを取り戻そうと深呼吸をしてから修斗が語り始める。

修斗「お前ら、『適当な語句を埋めよ』って問題に正解したことはあるか?」

中田「…(長考)…いや、ないな」

賢沢「ないでプリンス」

修斗「そういうことだ」

中田「それじゃあ何番を探すっていうんだ?」

修斗「おい!12行上を見ろ!その質問は俺が既に出してる。

    つまり俺にアイデアは無い!」

中田「となると…走り回るしかない、か…」

修斗「そういうことだ!」

  ダッ!! 笑顔で走り出す2人。

賢沢「頑張ってくれでプリ〜ンス」手を振り見送る。


―廊下―

  ダダダダダダ…

中田「でさぁ、そのケーキ職人が言ってたわけ…」

  ドギューン!

 2人の横を駆け抜けていく男子生徒。


中田「は、速い!」

修斗「あいつは一体何者なんだ!?」

中田「おい!ちょっと打順メモ見せろ!

   …1番だ!あいつを1番にするぞ!」

修斗「そうだな。でも今から追いかけても無理だろう。

    よし、あれ程の俊足なら陸上部が何か情報を持ってるかもしれない。

    行ってみよう」

  ダッ!!


―陸上部部室前―

中田「ゴクリ…ここが陸上部の部室か」

修斗「あぁ。ここまで来てしまったんだ。やるしかない!」

中田「おぅ!」

つづく


次回、ついに修斗らが陸上部と対決!!


作者コメント:ハム焼いて食べたい。




<前回までのあらすじ>

足速い人を見かけたので、とりあえず陸上部へ行ってみた。



第捌球 『陸上』



―陸上部部室前―

修斗「行くぞ!」

中田「おぅ!」


修斗・中田「りーくじょーぶー!」


  部室の中から1人の大男が現れる。

*「何だ?」


修斗「ちょっと聞きたいことがあるんだ」

*「面白い。わしは陸上部部長のビーストだ!何でも聞けい!」

中田「ビ、ビースト?」

ビースト「ガハハハ。そいつは陸上競技特有のRN(陸上ネーム)だ。

      他にも色々いるぞ。フレイム、コング、ゼウス、デス・キラー…」

修斗「いや、今はいい。それよりも人を探しているんだが」

ビースト「そういう話ならアイツの方がいいな

      …おーい。カッティング・スティールボードを呼べ!」


  その名が示すとおりの男が現れる。

カッ「どうも。マネージャーのカッティング・スティールボードです」

修斗「かくかく!しかじか!」

カッ「なるほど。廊下で2人を追い抜いたとなると…オイヌキII(トゥー)メンですね」

修斗「オイヌキIIメン?」

カッ「部長!」


  離れた所でビーストと中田が話している。

ビースト「なんで水泳部は水中部に改名しないのかね」

中田「そうッスね」


カッ「部長!分かりましたよ。オイヌキIIメンです」

ビースト「オイヌキIIメンか…」

中田「そいつは陸上部員なんスか?」

ビースト「そうだ。いや、アイツには我々も手を焼いていてなぁ」

  ビーストとカッティング・スティールボードが顔を見合わせ、

  少し困ったような表情を見せる。

中田「何か問題でもあるんスか?」

ビースト「あぁ。実力的には申し分ないんだが1つだけ問題点がな。それは――」

  かくかくしかじか。修斗に耳打ちするビースト。


  修斗はニヤリと笑み、バスン!とボールをグローブにぶつける。

修斗「だったらどうだい?野球部で引き取らせてくれないか?」

ビースト「何?…グヮハハハ!構わない、構わないぞ!カッティーング!」


  すかさずカッティング・スティールボードが書類を持ってくる。

カッ「これが彼との契約書です。本当にいいんですか?彼の問題点」

中田「おい武田!本当に大丈夫なのかよ?」

  1人その問題点を聞かされていない中田は不安そうな顔をしている。

修斗「いや、逆に良いくらいだよ、その問題点」

  契約書を受け取る修斗。


ビースト「アイツなら屋上にいるはずだ」

修斗「ありがとうビースト」

ビースト「何か困ったらいつでも来い!ガーハハハハ」

  ダッ!!

  屋上へ向かって走る修斗と中田。


―屋上―

  そこにはしゃがんで猫にエサをやるオイヌキIIメンの姿。


  バンッ!!

  修斗と中田がやってきて扉を開く。

修斗「オイヌキIIメン…だな」


オイ「……」

つづく

修斗らとオイヌキIIメンが対峙!仲間となるのか?そして彼の問題点とは!?



作者コメント:どうやら他にも連載小説マンガを書き始めた人がいるようです。コレ

        すでに追い抜かれそうな更新頻度の差ですが、

        僕もチマチマと頑張りたいと思います。





<前回までのあらすじ>

陸上部からオイヌキIIメンをゲット。しかし、彼にはある問題点が…。



第玖球 『屋上』



―屋上―

修斗「オイヌキIIメン…だな」



オイ「…君たちは?」

中田「野球部だ!」

オイ「その野球部が僕に何の用?」

修斗「足が速いお前に1番打者を任せに来た」

オイ「いや、僕は野球に興味ないし。いいよ」

中田「そこを何とか!」

オイ「いや、ルールもよく知らないし」

中田「そこを何とか!」

オイ「そういえば野球部って廃部になったんじゃ?」

中田「そこを何とか!」

オイ「いや、やっぱり断らせてもらうよ」

中田「そこを…クソー!ダメかー!」

  地面を叩き悔しがる中田。

修斗「これを見ろ!」

オイ「…ッ!そ、それは!」

  修斗が手にしていたのはオイヌキIIメンと陸上部との契約書。

修斗「そうだ。これがある限りお前は逆らえない」

中田「やるな武田!」

  オイヌキIIメンが崩れ落ちる。

オイ「それを取られてるんじゃしょうがない。1番打者でも何でもやるよ。

    でも、陸上部から僕の事も聞いてるんじゃないの?」

修斗「あぁ」

中田「そういえば何か問題点があるとか…何なんだ?」

オイ「……」


修斗「こいつは泥棒なんだ」

中田「泥棒!?犯罪じゃないか!」

オイ「悪かったな」

中田「どうりで足が速いわけだ」

修斗「お前が泥棒をやるなんて…何か理由があるんだろ?」

オイ「仕方なかったんだ。最近パソコンを始めて、ハッキングの技術が

    どんどん上がってきたから、それを確認するためには

    色々な機関の情報を盗み出すしかなかったんだ」

  オイヌキIIメンは自白を終えるとスッと両手を差し出した。

修斗「大丈夫だ。これからは野球部の1番打者になって盗みまくってくれ。

    …塁を!」

  やったぜ決まった。ナイス修斗。ナイッシューッ。

オイ「盗塁ってやつか…泥棒としては一度やってみたかったんだ」


修斗「よろしくな。オイヌキIIメン」

オイ「その呼び方はやめてくれないかな?もう陸上部じゃないし」

修斗「それもそうだ。じゃあ名前とどこ中か教えてくれないか」

オイ「一中出身の橋本だよ」

修斗「よろしくな。橋本」

  ガシッと握手をする2人。

  その日は帰ってメシ食って寝た。

つづく

オイヌキIIメンが参戦!泥棒橋本がジャク商野球部に機動力を与える!



作者コメント:オールスター、高校野球、オリンピックと野球三昧ですね。

        野の球も負けてられない!





<前回までのあらすじ>

屋上で握手をした。



第拾球 『一閃』



  修斗と中田が廊下を走りながら喋っている。

中田「これで1番打者が手に入ったな。さて、次はどうするか」

修斗「あぁ。とりあえず今いきなり甲子園が始まっても1番まではどうにか打てるな」

中田「本当だな。備えあれば憂いなし」


  後ろから走って追いつく橋本。


橋本「何の話?2人とももう2周遅れだよ。そんな調子でナインが見つかるの?」

修斗「さすが陸上部だけあって速いな」

中田「おまけに泥棒だしな」

橋本「言うなって」

3人「ハッハッハッハ」

  笑いながら廊下を走る。

無関係な生徒たち「……」


橋本「ところで、次の目星はついてたりするのかい?」

修斗「いや、まったく無い。お前を見つけたのも奇跡的偶然チャンスだったんだ」

橋本「野球部の人たちには声をかけたの?」

中田「何言ってるんだバカだな。俺たちが野球部だろバカだな」

修斗「そうだぞ(バカだという意味で)」

橋本「いや、前にあった野球部って廃部になったんでしょ?」

中田「そうだ。だから俺たちが新・野球部なんだ。本当お前アレだな」

修斗「そう。俺たちが真・野球部なんだ。ごめんな(アレなんだな…)」

橋本「その、前にあった野球部の人たちを誘ってみたらどうかな?」

修斗・中田「ハッ!!」

  ハッとする2人。修斗は思わずボールを落とす。


中田「そうか!その手があったか!」

修斗「プロでは気付かない点に素人が気付くってのも皮肉な話だな」

橋本「それじゃ早速、野球部の部室に行ってみよう!」

  ズギゥーン!かなたへ消える橋本

中田「さすが陸上部だけあって速いな」

修斗「俺たちも行こう!」

  ダッ!!



―野球部部室前―

橋本「遅いよー」

  手を振りながら修斗たちを迎える橋本。

中田「ゴクリ…ここが野球部の部室か」

修斗「あぁ。野球部は廃部になっても、部室は残されたままなんだ…永遠にな」

  廃墟と化した元野球部の部室にはただならぬ雰囲気が漂っており、

  おのずと3人の緊張は高まっていく。

中田「こんな所に人なんているのか?」


修斗「よし!入るぞ!」

中田・橋本「おぅ!」


  ガラガラガラ…

  絡まるツタを引きちぎりながら扉を開き中へ入ると、

  部屋の奥に1人の男が座っているのが見える。

  しかし、男の顔は逆光のため見ることができない。

修斗「…お、お前は!?」

男「君たちは…?そうか…」

つづく


橋本の閃き!そして、廃墟と化した野球部部室にいたこの男は一体!?


作者コメント:

 今回(今の球)で気が付いたんですが、学校の廊下を走っちゃいけないです。

 このお話(お球)はフィクションなので良い子は絶対にマネしないでください。

 泥棒もダメです。


そろそろ表に出て野球をしよう!


<前回までのあらすじ>

かつての野球部部室へ行った。そしたら、人がいた。



第拾壱球 『逆光』



―野球部部室―


修斗「…お、お前は!?」

男「君たちは…?そうか…」

  その男の顔は逆光でわからない。


中田「俺たちは真・野球部だ!」

男「やっぱりね…噂は聞いているよ」

修斗「お前は誰だ!ここで何をしてるんだ!?」

男「僕は前の…そう、廃部にされた野球部のキャプテンだったんだ」

修斗・中田・橋本「キャ、キャプテン!?」

男「うん」

中田「ってことは野球が上手いはず。真・野球部に入ってもらおう!」

  ↑中田がうれしそうに言う。

  ↓修斗もうれしそうに言う。

修斗「そうだな。是非そうしよう」

男「いや、僕は全然上手くなんかないよ。ルールもよく知らないし」

修斗ら「???」

男「僕がキャプテンになったのは罰ゲームだったんだ。

  ほら、よくあるだろ?罰キャプテン」

  あからさまにがっかりした顔の中田。

中田「罰キャプテンじゃそんなに上手くないな?どうする?」

橋本「じゃあ他の部員の人たちを紹介してください」

修斗「そうだな」


  ふぅ、と息をついて男が喋り始める。

男「他の部員たちなら、全員…死んだよ」

修斗ら「!!!」

  突然の事実に動揺をあらわにする3人。

修斗「何でだ!?」

男「今年新しく来た校長が野球部を廃部にしただろ?

  そのショックで皆、心臓麻痺を起こしたんだ」

中田「くそっ!」

橋本「どうしてあなたは平気だったんですか?」

男「僕は…罰キャプテンで皆ほどヤル気がなかったから。ショックも無いよ」

修斗ら「……」

  言われてみれば当然の答えに返す言葉もない。


修斗「よしっ!だったらあなたに真・野球部のキャプテンをやってもらおう」

男「僕は…いいよ。野球はもうやりたくないんだ」

修斗「ダメだ!」

男・中田・橋本「!!!」

男「ど…どうして…?」

  逆光で表情はわからないが、動揺が震える声に表れている。

修斗「あなたは罰キャプテンなんですよ。

    罰なんだから、あなたに野球部を辞める権利はない!」

  弁護士の様に論理的な修斗の攻撃にざわめきたつ。

中田「確かに…そうだ」

男「野球部が無くなっても、その関係は真・野球部に承継されるのか…」

修斗「あなたもうすうす感づいていたんじゃないのか?

    だから今もこうして野球部の部室に来ているんだ!」

男「まだ…まだ僕の罰は終わらないっていうのか…


  うわぁぁぁぁ……!」

  修斗のとどめのロジックが炸裂し、頭を抱え込み絶叫する罰キャプテン。

  しかし、逆光でその顔を見ることができないので、

  もしかしたら学生服も前後逆に着ていて、

  顔だと思っていた部分が後頭部だった、という可能性も否定はできない。

  この日も帰ってメシ食って寝た。

つづく

罰はまだ続く!彼がこの苦しみから解放される日は来るのか!?


作者コメント:夏場の炎天下での練習中はまめに水分を採ろう!




<前回までのあらすじ>

罰キャプテンを見つけた。



第拾弐球 『潜伏』



―図書室―

机を囲む修斗・中田・橋本・賢沢の4人。


修斗「さて、これで野球部メンバーが5人になった」

中田「キャプテンも決まったし楽勝だな」

橋本「いや、ここからが厳しい気がするよ」

中田「確かにな。何事も折り返し地点を過ぎてからが地獄だからな」

修斗「あぁ。それとキャプテンに1つ気になることを言われたんだ」

中田「何だ?」


  ホワンホワンホワン…


(回想)

罰キャプ「選手を集めるのもいいが、今の野球部には大切な役者が欠けてるよ」

  回想の中でも罰キャプテンの首から上は映ることがない。

(回想おわり)


  ホワンホワンホワン…


修斗「一体どういうことなんだ?」

中田「本当にどういうことなんだ?ってか、何でキャプテンは来てないんだよ!」

修斗「キャプテンはやる気がないからな。今も隙あらば辞めようとしているよ。

   一体どこ中だっていうんだ」


  しばらく黙って考え込んでいた橋本が閃く。

橋本「なるほど」

修斗「何か分かったのか?」

橋本「僕らに欠けてるのって、たぶんマネージャーのことなんじゃないかな」

中田「マネー…ジャー?」

橋本「うん。陸上部にいた時にもマネージャーのカッティングさんには

    いつもお茶を作ってもらってたし。

    炎天下の甲子園で、お茶無しでやるのは無茶だと思うんだ」

  ※無茶――中国の古い故事に由来する。唐の時代、中華まん早食い大会で

       「俺は持って帰るから」と、主催者側から配布されたお茶を

        飲まなかった選手がノドを詰まらせて倒れた。

        以来、そのような行為は「無茶」と言われるようになり、

        中華まんの皮をお茶で濡らしてから食べる形がスタンダードになった。

    歴史博士「そうなんじゃ」


修斗「そうか。野球の事で頭がいっぱいでそこまで気が回らなかったな」

中田「となると、野球部なんて男だらけで気持ち悪いだけだから

   マネージャーは女子の方がいいよな!」

橋本「賛成!」

修斗「決まりだな。じゃあ誰か知り合いに心当たりのある奴はいるか?」

中田・橋本「……」

  直前までキャッキャ言ってた空気が一変しての沈黙。

修斗「暗礁に乗り上げた!」


賢沢「…あ、いいでプリンスか?」

  それまで下を向き何かの数式を解いていた賢沢が手を挙げる。

中田「お!賢沢の知り合いに目ぼしいやつがいるのか?」

  元気を取り戻す中田。

賢沢「いや…知り合いってわけじゃないでプリンスが…。

   この図書室に時々来る娘がいて、その娘なんてどうかな、と」

橋本「どうして、その娘が?」

賢沢「いや、何となくでプリンス。マネージャーが得意そうというか

   マネージャー向きの雰囲気というか…」

  手元の数式は、中田がノートをずらしのにも気付かず机にまで広がっている。


修斗ら「ほほぉ〜」

  いやらしい顔で賢沢を見る3人。

中田「賢沢さんが、ねぇ」

橋本「そう言うんですから、ねぇ」

修斗「その人にしましょうか、ねぇ」

  いやらしく顔を合わせニヤニヤニヤニヤする3人。

賢沢「ち、違うでプリンス!別に変な意味はないでプリンス!」

  中田と橋本で机を動かしたのにも気付かず、数式は修斗の顔面にまで広がる。

  そして、その顔面数式男が喋り出す。

修斗「よし!わかった!

   俺らがその娘を誘ってくるから、何か知ってる事を教えてくれ」

  数式の行方にようやく気付いた賢沢が話す。

賢沢「図書室に時々来てるのを見る程度であまり知らないでプリンスが、

   よく占いの本を借りていってるから、きっと占い部の1年

   七星(ななほし)さんでプリンス。これが写真でプリンス」

修斗「それじゃ行ってくるぜ!」

橋本「楽しみに待っててね」

中田「楽しみにな」

  賢沢から受け取ったアルバムをそれぞれが両脇に抱え、図書室を出て行く。

  ダッ!!

賢沢「頼んだでプリ〜ンス!」


―占い部部室前―

  洋館風の扉は固く閉ざされており、3人は中に入ることができない。

中田「ゴクリ…ここが占い部の部室か」

修斗「あぁ。どうやらまだ誰も来ていないみたいだな。鍵がかかってる」

橋本「それじゃ、そこの茂みに隠れて標的が来るのを待ちましょうか」

中田「そうだな」

  そう言って近くの茂みへと身を潜める。


  (30分後)


中田「でさぁ、その時に円盤投げ選手たちが言ってたわけ…」

修斗「来たぞ!伏せろ!」

  いっそう身体を小さくして、見つからないよう努める修斗ら。

  占い部部室の扉へと近づいてくる長い黒髪の女生徒。

  それは、賢沢アルバムを埋め尽くしている顔だった。


修斗「よし。彼女が鍵を開けたらその瞬間に3人がかりで仕留めるぞ!(小声)」

  修斗はグローブで口元を隠し、声が漏れないようにしながら喋る。

中田・橋本「おぅ!(小声)」


  しかし、鍵を開けようとはせず、扉の前で止まる七星。

七星「出てきなさい。茂みに隠れているんでしょ」

修斗ら「!!!」

  思わず「ストライク!」と叫びたくなる口を押さえる。


中田「どうする?(小声)」

橋本「ハッタリじゃないかな?バレてないはずだよ(小声)」

修斗「んー…(小声)」


七星「武田くん…中田くん…それに橋本くんでしょ」

修斗ら「!!!」

  思わず「2ストライク!」と叫びたくなる口を押さえる。2球で追い込まれる。


修斗「どういうことだ!?完璧に隠れているというのに!(小声)」

橋本「それに僕らの知り合いじゃないのに名前まで知られてるよ(小声)」

中田「どうする?(小声)」

修斗「仕方ない」

  そう言うと、茂みから顔だけ出す修斗。ヒョコッ。


修斗「どうして分かった?」

七星「タロットが…教えてくれるから…」

  突如吹いた風に美しい黒髪をなびかせながら、その合間に見えた彼女の手には

  スペードの6が握られていた。

つづく


これが占いの力!?果たして彼女をマネージャーにできるのか?



作者コメント:男キャラばかりでは臭いので女キャラを投入してみました!

        女性を上手く描けることが漫画家にとっては重要らしいですが、

        僕の場合は文字だけでいいのでだいぶ楽です。




<前回までのあらすじ>

賢沢が推す女子、七星をマネージャーに誘うため占い部へ行ったら

完璧に隠れてたのにバレた。


第拾参球 『握潰』



―占い部部室前―

  隠れていた茂みからぞろぞろと出てくる修斗・中田・橋本。


修斗「俺たちが来ることが占いで分かっていたって言うのか?」

七星「そうよ」

中田「そんなわけあるかよ。占いで何でも分かるんなら、

    人生なんてお茶の子セレナーデじゃねぇ…か…」
       七星「お茶の子セレナーデ」

中田「何で俺のセリフが分かったんだ!」

七星「タロットに出てるから。(ダイヤの2と8を見せながら)

    それに、何でも分かるっていうわけではないの」


修斗「俺たちが今日ここに来た理由は…」

  修斗が説明しようとするが七星が割って入る。

七星「えぇ。分かってるわ。私に野球部に入れって言うんでしょ?」

修斗「あ、あぁ。頼む」

七星「でも私は占い部の部長なの。私がいなくなったらこの部は潰れるわ」

  修斗はコクリと頷く。

修斗「大丈夫。覚悟はできてる」

七星「…だったら入るかどうかは占いで決めさせて」

修斗「さすが占い部の部長だな。で、どうやって決めるんだ?」

  七星はタロットを1枚取り出す。

七星「ここにあるプラスチック製のタロットを握り潰して、

    私の手の平から血が出たらあなた達の勝ち。私は野球部に入る。

    血が出なかったら私の勝ち。あなた達の全財産をもらう」

修斗「あぁ。それで構わない」


七星「(大丈夫。できるはずよ。

    この日のために毎日おろし金で鍛えたんだから!)」


  ギュウゥゥゥ…


  パッ。手を開く。

  握り潰されたジョーカーがいびつな笑顔で床へと落ちる。

  そして、七星の手の平は……


  …無傷!

  微笑を浮かべながら七星が言う。

七星「私の勝ちね」


修斗「うわわわぁぁぁーーーー!!!!」

  まるで狂ったかの様に七星の手の平を爪で引っかく修斗。

七星「痛たたたたた!!」

七星「痛たたたたた!!」

七星「痛たたたたた!!」


  血がちょっと出た。


七星「はぁ…はぁ…」

修斗「ふぅ。俺たちの…勝ちだな」

七星「仕方ないわね。わたし負けましたわ。

   こうなったら、エースで4番として皆を甲子園に導けるように頑張るわ!」

  小さなガッツポーズを作りやる気を見せる七星。

橋本「えっ?マネージャーだよ」

七星「えっ?」

修斗「あぁ。あんたにはマネージャーをやってもらう」

七星「選手じゃないの?『マネージャー』って…天国、地獄、大地獄、天国、地獄、大地獄。

    画数的に大地獄だからイヤよ!」

  七星が一瞬だけ後ろを向いて、指で何かを数えると怒鳴った。

橋本「なんてことだぁ!」

  橋本は頭を抱え込み嘆く。そのとき、中田が1枚の紙を手にしながら言う。

中田「…お、おい!打順メモを見てみろよ!

    この5番打者の『当たりゃでかい!』ってもしかして…」

修斗「!!

    これはすごい発見だな。占い部の部長ってことは確かに…

    占いが『当たりゃでかい!』」

橋本「本当だ!」

  修斗・中田・橋本の3人がそれぞれ驚愕の事実に驚愕している一方、

  七星はよくわかっていない様子でたたずんでいる。

修斗「そういうわけだ。七星さん、あんたには5番打者を務めてもらう。

    こっちもマネージャーを諦めたんだ。あんたにも4番は諦めてもらおう。

    エースは俺だし」

  ボールを握った手を七星に見せつける修斗。

七星「分かったわ」

  観念したように言う。


修斗「どこ中だ?」

七星「…」

橋本「でも、結局マネージャーは見つからなかったね」

中田「そうだな」

七星「だったら、占い部のマネージャーを入れたらいいわ」

修斗「いいのか!?」

七星「えぇ。もともと2人だけの部で、私が抜けたら占いできる人はいないんだし」

  さっきまで修斗が握っていた野球ボールを、初めて見るようにコロコロと

  転がしたりペチペチ叩いたりしながら七星が言った。

中田「願ったり叶ったり!」

修斗「マネージャーと選手をいっぺんにGET できるとはな」

  橋本が指折り数えながら言う。

橋本「えーっと、これで6人だから、あと3人いれば試合に出られるね」

修斗「よし、ラストスパートだ!走れ!」

  ダッ!!

  走り出す修斗・中田・橋本。後ろでそれを見ている七星。

  この日も帰ってメシ食って寝た。

つづく


潰れてしまった占い部のためにも修斗たち野球部は負けられない!


作者コメント:当初は不可能かと思われた選手探しも残り3人です。

        ついに終盤!熱く盛り上げられるように頑張りたいです。




<前回までのあらすじ>

修斗は占いに勝ち、仲間を増やした!


第拾肆球 『博徒』


―図書室―

  席に座る修斗・中田・賢沢の前で、橋本が女子2人を隣に並べて立っている。

橋本「ジャーン。新メンバーのお2人でーす」

  背の低い方の女子が先に挨拶を始める。

金地「…あ、占い部のマネージャーだった金地(かねじ)です。

    よろしくお願いします!」

  そう言って一礼し、栗毛がかったショートヘアーを揺らす。

七星「七星…です。よろしく」

  会釈程度に頭を下げる。

  ピゥィー! ピゥィー! 席の方から指笛の音が鳴り響く。

*「女子マネージャー!」

*「女子選手ー!」

*「女ぁー!」

  様々な合いの手が入る。これまで男だらけだった野球部に一気に2人も女子が

  入るので異様なテンションになっている。


中田「よかったな賢沢」

  中田が賢沢の肩を叩きながら言う。

賢沢「!!…な、何がでプリンスか!」

  メガネが著しくずれる。

  橋本と女子2人が席に着き、次は修斗が前に立ち、話し始める。

修斗「さて、これで選手は6人になった。バレーボールなら大会に出られる人数だ」

中田「!! その手があったか!確かにバレーボールだったら十分な人数だな!」

修斗「しかし俺たちがやろうとしてるのは野球だから、あと3人必要だ」

中田「そうだな。野球だもんな」


修斗「ここで、あとはどんな選手が必要なのか確認しておきたい」

賢沢「今のところ打順が決まってるのは、1番の橋本氏。5番の七星氏。

    8番のオイラ。9番の武田氏でプリンス」

  賢沢が言うのを聞きながら、修斗がホワイトボードに書き出す。

修斗「キャプテンと中田の打順が決まってないってわけか」


  手を挙げる橋本。

橋本「いいかな?まだ付き合いが短いくせに言うのもなんだけど、

   中田くんは7番打者が向いてるんじゃないかな?」

  打順メモを再度確認しながら中田が言う。

中田「7番っていうと…『適当』!?」

修斗「確かにそうだな。中田には『適当』がピッタリだ!」

中田「よっしゃ!任せろ!これであと必要なのは…

   2番『小技できる』、3番『ぜんぜん打つ』、4番『すげぇ打つ』、6番『器用』。

   キャプテンがどこに入るか分からないから、この4つか」

賢沢「難しそうなのが残ったでプリンス」


  ピーン!

修斗「お、おい!そういえば、麻雀をやることを『打つ』って言わないか?」

中田「言うぞ」

橋本「なるほど。3番や4番の候補が麻雀部にいるかもね」

修斗「あぁ。野球以外で『打つ』なんて言葉を使うのは麻雀くらいしか無いからな。

    この閃きに感謝感激だぜ」

中田「そうと決まれば」

修斗「そうと決まれば早速、俺と中田で麻雀部へ行ってくる!」

  ダッ!! 走り出す修斗と中田。

橋本「じゃあ僕たちは小技や器用を探してくるよ」

  図書室を出る橋本・七星・金地。

賢沢「頑張ってくれでプリ〜ンス」

  手を振り皆を見送る賢沢。


―麻雀部部室前―

  ここは校舎の奥のエリア、一般生徒は滅多に訪れない地階に存在する部室。

中田「ゴクリ…ここが麻雀部の部室か」

修斗「あぁ。すげぇ打つ奴がいればいいんだがな。

    …行くぞ!」

中田「おぅ!」


修斗・中田「まーあじゃーんぶー!」


  ガラガラガラ…

  突然、扉が開かれる。


中田「これは?」

修斗「入れってことだろ」

  中へと入っていく2人。

修斗・中田「ウッ!」

  そこは紫煙と騒音に包まれた空間。

  入口の2人に全員の視線が注がれる。


受付のオヤジ「あんたら2名かい?空いてる席に座っておくれ」

  ざわ・・ざわ・・

*「へっへっへ。アイツら、ついてねぇな」

*「ご愁傷様」

  ちょうどそこだけ空いていた1番奥の席。

  そこへ行く途中に、周りからは薄気味悪い笑い声が聞こえてくる。

  席へ着くと、そのテーブルに座っていたのは

  明らかに周囲の連中とは違うオーラをまとった2人。

浅木「よろしくな。俺は浅木(アサギ)。この部の中じゃ“すげぇ打つ”ぜ」

天城「俺は天城(アマギ)。俺も“ぜんぜん打つ”ぜ」

修斗・中田「!!」


浅木「何を賭ける?血か…金か…?」

修斗「いや、どっちでもない。

   俺たちが勝ったら、野球部に入ってくれ!」

浅木・天城「!!」

  思いもよらぬ修斗の提案に驚きと喜びの入り混じったような表情を見せる浅木。

浅木「参ったな。久しぶりに熱くなれそうな博打だ」

天城「安岡さん。立会人になってくれ」

安岡「おう」

  部屋の端にいた男がテーブルの側へやってくる。

修斗「テメェどこ中だ?」

安岡「八中だ」


中田「大丈夫か?こいつら、かなり強そうだぞ」

  中田が不安げに修斗へ話しかける。

修斗「やるしかないだろ。行くぞ!」

  ダッ!!

つづく


稀代の博徒、浅木・天城との麻雀対決が今ッ!


作者コメント:夏の勢いでまさかの『野の球』連続更新です。

        まだ続くのか!それともバテてしまうのか!




<前回までのあらすじ>

麻雀部の浅木・天城に野球部入りを賭けた麻雀対決を挑んだ。


第拾伍球 『命懸』


―麻雀部部室―

浅木「それじゃルールを説明しよう。

    基本的には麻雀のルールに従って、先にテンホーを出した方の勝ちだ」

中田「テンホーだって!?配られた時点でアガリってやつだろ。

    出した人は死んでしまうと言われる伝説の役じゃないか!」

浅木「クックック…そう言われてるらしいな」


―― そう。テンホーとは「一生かかっても出せない」「出すと死ぬ」「蓮舫に似てる」と

    言われるほど難しい役。最初に配られた時にアガリという、

    小細工が一切効かない、まさに運否天賦の役 ――


中田「武田!やめよう!勝っても死んじまったら甲子園には出られないぞ!」

修斗「いいんだ。人間誰だっていつかは死ぬんだ」

中田「ちくしょー!なんてバカなんだ、お前は」

  覚悟を決めた修斗には中田の常識的な論理は通じなかった。


浅木「始めるぞ」


―― 勝負の幕が切って落とされる。

    この時アサギ、16歳の晩春であった ――


修斗「…これは!?」

中田「どうした武田?もしかして…」

修斗「あぁ。

   (あとはアレが来ればアガリだ。来い!来い!)


   (来い!来い!)


   (来い!来い!)」


―― 他の何ものでもない神頼み。この場に来ての神頼み ――



  ソレが来る。

修斗「来た!テンホーだ!」

中田「やったな!これで俺たちの勝ちだ!」


浅木「…残念だったな。俺もテンホーだ」

天城「俺もだ」

  ざわ・・ざわ・・

  眉一つ指一つ動かさずにテンホーを見せる浅木と天城。


中田「何てことだ。引き分けじゃないか」

浅木「クックック…こんな面白い勝負、1回で終わらせてたまるかよ」


―― 自らの運命が賭けられた勝負においてすら面白いと言い張るこの男、

    まさに狂気の沙汰である ――


浅木「それじゃ次のゲームを始めるぜ」

  再び配られる。

修斗「これは…また!?」

中田「(…武田?もしかして)」

修斗「テンホーだ!」

  これで2ポイント獲得。またもアガリを引き当てる強運。

浅木「すごいな。麻雀部に入ったほうがいいんじゃないのか?」

  そう言いながら見せてきた浅木もテンホー。

  ざわ・・

天城「俺もだ」

中田「なんて勝負なんだ」

修斗「俺の野球に対する情熱と浅木のテクニックの真っ向勝負!

    先に気を緩めた方が間違いなくやられる!」


  :

  :


(第50ゲーム)

修斗「はぁ…はぁ…」

浅木「そろそろ限界だろ?ギブアップするか?」

修斗「諦めてたまるかよッ!」

浅木「オイオイ。あまり熱くなりすぎるなよ。思考が鈍るぜ」

  そう言いながら配る。


修斗「(…しまった!熱くなりすぎた!)」

―― 不用意!まさに不用意に冷静さを欠いてしまった修斗 ――


修斗「グギギ…グゲゲ…グゴゴ…」

浅木「おや?どうした?テンホーじゃないのか?」

  浅木は当然のように50回目のテンホーを出す。

天城「俺もだ」

  2人に続いて修斗も自らの手を見せるが、それは何も揃っていないブタの状態。

修斗「俺は…テンホーじゃない…」


浅木「ククク…残念だったな。それじゃ勝負はここまでだ」

天城「なかなか楽しめたぜ」


―― 結着!! ――


  席から立ち上がり行こうとする浅木・天城。

  その時…


中田「待て!」


浅木「!!」

天城「!!」

修斗「!!」

  ざわ・・ざわ・・


中田「俺がテンホーだ!」

  ざわ・・ざわ・・ざわ・・ざわ・・ざわ・・

修斗「な、中田…」


浅木「クックック…」

つづく

これぞチームワーク!


作者コメント:今回は全然野球漫画じゃなかったですね。まるで麻雀漫画です。



<前回までのあらすじ>

俺がテンホーだ!


第拾陸球 『錯覚』


中田「俺がテンホーだ!」

  中田の脳内をリチン、セロトニン、プリンパルフェ、カボス…

  あらゆる分泌物が駆け巡る。


修斗「な、中田…」

浅木「クックック…」

中田「何がおかしい!」

浅木「いや、美しいチームワークだと思ってね」


―― この男は修斗らのチームワークに微笑んでいたというのか

    …否ッ!! 断じて否ッ!!

    そうではない。これは侮蔑の笑い ――


天城「…もう一度、よく見てくれないか」

中田「何だ?」

修斗「中田…」

  修斗はガッカリした表情で中田を見つめる。

浅木「それ、逆さまだ。9じゃなくて6だよ」

中田「…んがっ!」


―― 不覚!この時、中田が9だと思って使用していたのは、

    逆さになった6だったのだ。

    見間違いでは済まされぬミス。致命的ミス! ――


浅木「危うく騙されるところだったよ」

天城「9は俺が全部持っていたんだ。ついてなかったな」

―― 不運にもその時9は全て天城の手中。

    中田のテンホーは張子の虎…ハリコに過ぎなかった ――


中田「…すまない武田。普通に間違えた」

修斗「いいんだ。俺がテンホーを出せなかったのが悪いんだ」

浅木「そういうわけなんで、俺も天城も野球部には入れないけど」

天城「悪いな」

  立ち去る浅木と天城。―― 悪鬼!


―― 刹那、奥の部屋から黒服の大男たちが現れる。

    はなから仕込まれていたであろう黒服たちの目は―― 猛獣!まさに猛獣!

大男「お客さん、金も持たずに麻雀やりに来るなんて。

    ちょっと来てもらえますか?」

  襟首を掴まれて裏へと連れて行かれる修斗と中田。


大男「お客さん!(ボコッ!)お金も持たずに!(ボコッ!)

大男「金持ってこないで!(ボコッ!)麻雀やろうだなんて!(ボコッ!)

大男「麻雀やるのに!(ボコッ!)お金持ってないだなんて!(ボコッ!)

大男「お金がなくっちゃ!(ボコッ!)麻雀やりに来るな!(ボコッ!)

大男「金が無いのに!(ボコッ!)麻雀やりに来やがって!(ボコッ!)


  ボコッボコッにされ、徐々に視界は暗闇に侵されていく。

  壁1枚向こうから聞こえる先程までの騒音を、

  とても心地よく感じながら意識を閉じていく。

  これで良かったんだ…これで…良かっ…た……どこ…中…なん…だ…



  一方、その頃橋本班は。

  橋本・七星・金地の3人が、てろてろ歩いてる。


七星「次は…右」

橋本「こ、ここは…」

つづく


空振り!次に活かせ修斗!


作者コメント:読者の皆さんは賭博が原因で殴られたりしないようにしましょう!





<前回までのあらすじ>

チョンボでボッコボコ。


第拾漆球 『治癒』


―橋本班―

  木の棒を倒す七星。

七星「次は…右」

橋本「こ、ここは…」

  眼前に広がるジャングル。


橋本「ここはどこなんだ?」

  振り返るが七星と金地の姿はもうそこにない。

橋本「やられた!」



  一方、修斗は。

  ベッドの上で目を覚ます。

修斗「……うぅ」

中田「あ!目が覚めたか!」

修斗「…ここは?どこ中だ?」

  意識がまだはっきりしない。

中田「保健室だよ。あやうくテンホーで命を落とすところだったな」

修斗「そうか。お前は大丈夫だったか?」

中田「なんとかな。まぁ俺も昨日ようやく目が覚めたんだけどな」

修斗「俺はどれくらい眠ってたんだ?」

中田「2週間だ」

修斗「そうか。イテテテ…休んでる時間はない。行こう」

  中田の肩を借りて立ち上がる修斗。


中田「先生、ありがとうございました」

ザ・消毒「今後は気をつけなさい」

  2人は保健室を出て行く。ガラガラガラ…


中田「どうする?麻雀部はダメだったし」

修斗「そうだな。無闇に走り回ろうにも俺がこんな状態じゃ、な」

中田「おいおい。なに弱気なこと言ってんだよ。

    走れよ!」

修斗「それもそうだ(微笑む)。行くぞ!」

  ダッ!!


―橋本―

  派手な色の果実をかじりながらジャングルの中をさまよう橋本。

橋本「ここは一体どこだ?ジャングルだなんて…

    …あれ?今、一瞬動いたように見えたけど」


  ズズズ…ズズズ…

橋本「やっぱり動いてる!

    それも、人影や茂みが動いてるんじゃない!

    ジャングル自体が動いてるんだ!」


  ズズズズ…ズズズゥ…


つづく

動くジャングルの正体とは一体!?

作者コメント:修斗たちも仲間を求めて頑張っていますが、僕もです。

        はぐれメタルが仲間になりません。



<前回までのあらすじ>

橋本の前でジャングルが動いた。修斗たちはどこか走ってる。


第拾捌球 『兄弟』


  ズズズズ…ズズズゥ…

  確かにジャングル自体が動いている。


橋本「何が起きてるんだろう?」


  ズズ…ズズズ…ヴィィィン

  目の前で動いていたジャングル…だと思っていたもの。

  それが突然2人の人間に姿を変えた。

橋本「うわ!」


男A「あ、悪い。驚かせちゃったな」

橋本「君たちは…何?」

男B「僕たちは1年4組の林兄弟です」

男A「俺が上で、こいつが弟だ」

林(弟)「僕たち林が2人いると、林+林=木がいっぱいってコトで

     ジャングルに見えてしまうんです」

橋本「そうだったのか。ビックリしたよ」

林(兄)「悪かったな」

  ピーン!閃く音が鳴る。

橋本「それじゃあさ。僕を驚かせたお詫びとして、野球部に入ってくれないかな?」

林(兄・弟)「やきゅ…うぶ?」

橋本「そう。野球部」

  橋本はノートPCを取り出し操作し始める。


―修斗班―

  校内を走り回る修斗と中田。修斗はケガの影響で苦しそうにしている。

中田「はぁ…はぁ…」

修斗「はぁ…はぁ…。くそっ!人っ子一人見当たらない!」

  しばらく走っていると遠くに人影。

中田「あれ?あそこに誰かいるぞ」

修斗「あれは…橋本!」

  駆け寄ると、林兄弟の横で橋本がノートPCを構え立っている。


橋本「お。武田くんに中田くんじゃない」

中田「そっちにいる2人は?」

橋本「あー。彼らは4組の林兄弟。野球部に入ってくれるってさ」

修斗「本当か!?どこ中だ?」

  顔面蒼白でガタガタと震えうつむいている林兄弟。


橋本「入ってくれるんだよね?林くん」

林(兄)「ん?…あ、あぁ。はい。入ります、野球部。弟も一緒に、な?」

林(弟)「あ、はい。僕も入ります」

橋本「よし、決まり!」

  そう言ってノートPCをたたむ。

中田「橋本やるな!」

修斗「これで一気に2人増えたからな。ついに残りはあと1人だ!」

中田「やったな」


修斗「そうだ。この打順メモを見てもらえるか?」

  ポケットから例の打順メモを取り出すと林兄弟に渡す修斗。

修斗「自分が当てはまりそうなのを2・3・4・6番の中から選んでくれ。

    それと、どこ中か教えてくれ」

  弟が持つメモを後ろから覗き込みながら兄が答える。

林(兄)「そうだなぁ。俺は野球は全然わからねぇが、弟はチョコが好きだから

     コンビニ行くとよく小枝を買ってるぜ。2番がいいんじゃねぇか?」

橋本「2番のタイプは『小枝』じゃなくて『小技』だよ」

林(兄)「ハッ!す、すいません!」


修斗「いや、待て!! …たしかに『小枝』と『小技』はよく似ている。

    ほとんど同じと言っても過言ではないはずだ。ということは、

    小枝好きを『小技できる』の2番に入れてもいいんじゃないか?」

中田「なるほど!」

  またも修斗の閃きが真・野球部を救う。


橋本「となると、弟くんは2番打者だね。兄くんはどうしようか?」

修斗「それと兄貴の方、今『野球は全然わからない』って言ったな?」

林(兄)「あぁ。言ったが」

修斗「つまり、お前は3番打者の『ぜんぜん打つ』タイプだってことだよ!」

中田「こいつは言葉の端々のヒントを見逃さないぜぇ」

  修斗の肩に腕を回す。


  プルルルル…プルルルル…

  その時、修斗の携帯が鳴り響く。

つづく

ジャングルは林兄弟だった!2人を迎え入れ喜ぶ修斗に悪魔の着信!


作者コメント:あっと1人!あっと1人?




<前回までのあらすじ>

林兄弟が入ったら電話が鳴った。


第拾玖球 『解散』



  プルルルル…プルルルル…

  修斗の携帯が鳴る。


修斗「もしもし」

賢沢「オイラでプリンス。キャプテンの打順がわかったでプリンス」

修斗「何番だ?」

賢沢「図書室の資料で調べたところによると、キャプテンは勉強も恋愛もバイトも

    ペサパッロ(フィンランドの国技)も器用にこなすタイプでプリンス。

    つまり、6番打者タイプでプリンス!」

修斗「わかった。今こっちで2番と3番を見つけたところだ」

賢沢「本当でプリンスか?ということは残りは…」

修斗「あぁ。4番が残っちまった」

賢沢「一番難しいとこでプリンス」

修斗「なぁ。やっぱり最初に言ったみたいに、俺がエースで4番じゃダメか?」

賢沢「ダメでプリンス。何度言ったらわかるでプリンスか!

   4番と9番を掛け持つことはできないでプリンス!」

修斗「やっぱりそうか…」


  携帯電話から漏れて聞こえる賢沢の怒鳴り声に不安そうな中田。

中田「どうした?」

修斗「キャプテンの打順は6番らしい。それで残ったのが4番だ」

橋本「なんてことだ」

  頭を抱える橋本。


中田「何言ってるんだ。すげぇ打つ奴を見つければいいだけの話だろ。」

修斗「簡単に言うな!どれだけ走ったと思ってるんだ!」

中田「知らねぇよ!」

  そう言い中田は修斗の頬をペチンと叩いた。


橋本「よし。とりあえず散ろう。散って皆で手分けして探そう」

林(兄)「俺たちも協力するぜ。草の根分けてでも4番を見つけてやる。な?」

林(弟)「はい!」

橋本「それじゃあ一旦ここで解散して、見つけ次第連絡するって形で」

全員「おー!」

  ダッ!!


  それぞれの道へと走り出した5人。

  ジャクソン商業野球部の熱い戦いは始まったばかりだ!!


つづく


そうだ!始まったばかりだ!!


作者コメント:もう8月も終わりです。宿題がんばれ!





<前回までのあらすじ>

最後の1人を見つけるため全員(ほぼ)が走り出した!


第弐拾球 『救世』


―1週間後―

  一人で走っている中田。

中田「くそーっ!もうあれから1週間か。何も見つからねぇ!」

  プルルルルル…

  携帯が鳴る。

中田「もしもし。あ!武田か。どうした?

    …わかった。すぐに行く」


―図書室―

  修斗に集められた中田・賢沢・七星・金地・林兄弟。

  金地が皆に何らかのお茶を配っている。


修斗「皆、すまない。急に集まってもらって」

林(兄)「おい。4番探しの途中なのに、一体どういうことだ?」

  全員が修斗の方を見る。七星はタロットをシャッフルしている。

修斗「いや、少し不安になっちまって…。

    俺1人で探してるけど誰にも会わないし、

    皆は既に帰っちゃったんじゃないか、ってな」


中田「安心しろ。皆ちゃんと探し回っているんだよ。

    …あれ?橋本とキャプテンは?」

金地「そういえば来てないね。キャプテンが来ないのはわかるけど、

    橋本くんはどうしたんだろ?」

修斗「何やってるんだ!猫の手も借りたいってのに!」

金地「ご、ごめんなさい」

  びっくりしてポットを落とす。

七星「マリが謝る事じゃないわ」

  金地と修斗それぞれにハートの5を見せ落ち着かせる。

金地「ぶちょー!」

  七星に抱きつく。


修斗「…猫の手?…ハッ!」

  何かに気付いたように図書室を飛び出していく修斗。

賢沢「あ!ダメでプリンス!止めるでプリンス、中田氏!」

中田「なんだなんだ?」

賢沢「武田氏は4番が見つからないから、

    代わりに猫をチームに入れるつもりでプリンス。

    高校野球の公式ルールで、猫を選手にするのは許されてないでプリンス」

中田「くそっ!なんてことだ!」

林(兄)「早く追いかけて止めないと!猫と入部手続きを済ませてからじゃ遅いぜ」

中田「皆、行こう!」

全員「おー!」

  立ち上がり修斗を追いかける。

賢沢「頑張ってくれでプリ〜ンス!」

  1人残り、手を振り見送る。



―屋上―

  1匹の猫の前に立っている修斗。

猫「にゃ?」


  そこへ中田たちが現れると雨が降り始め、雷鳴が響き渡る。

中田「はぁ、はぁ。待て!武田!」

  その声に屋上の入口の方を見る修斗。

修斗「どうしたんだ?そんなに慌てて」

中田「お前、その猫を野球部に入れようとしてるんだろ?」

修斗「あぁ。今、入部手続きをしようと思って、してるところだ」

林(兄)「落ち着け!猫は野球部に入れないんだぞ!」

中田「そうなんだ。猫ってほら、四足歩行だろ?だから、な?」

修斗「やってみなくちゃ分からねぇだろ!」


  修斗が猫に向かってボールを投げつける。

  その瞬間――

  バリバリバリバリ!

  その音は雷鳴だったのか別の何かの音だったのか、もはや知る術は無い。

  しかし、その音と共に、そこにいた猫はみるみる人間へと姿を変えていった。

  そして現れたのは、屈強な益荒男(ますらお)。

  修斗の投げつけたボールを片手で掴んでいる。


全員「!!!」

猫男「私の力が必要か?」

修斗「…あぁ、頼む」

猫男「ならば、くれてやろう」

修斗「入部手続きに名前が必要なんだ。どこ中出身かと一緒に教えてくれ」

猫男「我が名は…猫黒キャット飛丸(ねこぐろきゃっととびまる)。

    この学校に住み着いた野良。中学は出ていない」


  まさかの事態に周りのメンバーはぽかんとしている。

林(兄)「なんてことだ…」

林(弟)「お、お兄ちゃん」


  金地は七星にしがみついている。

金地「ぶちょー?」

七星「私にもこれは占えなかった…

    …ううん、占うことはできた。タロットでは出ていたの。

    『猫』 『仲間になる』 『屋上』 『猫黒キャット飛丸』と。

    ただ私はそれを意味不明と思ってしまい、無かったことにした。

    武田くんは私と違って、最後まで自分を信じきることができたのね」


  中田もいる。

中田「奇跡だ…奇跡が起こったんだ!」


  バンッ!

  恍惚な時間を切り裂くように大きな音を立て、屋上の扉が開かれた。

つづく

修斗の情熱が生んだ奇跡!!感涙にむせぶ彼らの前に現れたのは…


作者コメント:ついに9人目を描くことができました。

        いや、正確には8人と1匹ですけどね。




<前回までのあらすじ>

最後の1人は猫!



第弐拾壱球 『登録』



  バンッ!

  屋上の扉が開かれた。

  そして、現れたのは…


賢沢「大変でプリンス!」

修斗「どうした!?図書室から出て平気なのか?」

賢沢「そんなことより大変でプリンス!」

中田「今9人目が見つかる奇跡が起こったところだぞ。祝えよ」

賢沢「コングラチュレーション!大変なんでプリンス!」

修斗「何があったんだ?」

賢沢「今、文献をあさっていてわかったでプリンスが

    甲子園の予選大会の登録〆切が今日まででプリンス!」


全員「なんだってー!」


賢沢「今日の5時までに全員揃って登録所に行かなければ、

    甲子園どころか地区予選にも出られないでプリンス!」

修斗「くそっ!今は何時だ?」

中田「4時。あと1時間しかない」

修斗「今ココにいるのが7人+マネージャー。

    あとは橋本とキャプテンを連れて行けばいいんだな」

林(兄)「橋本さんに電話してみるぞ」


  プルルルル…プルルルル…


林(兄)「出ない…あ、出た」

修斗「どこにいる?」

  横から修斗が林(兄)に聞く。

林(兄)「はい…はい…。分かりました。(ガチャン)

     分かったぞ。監獄だ」

修斗「あんな所に?なぜ?」

中田「武田!案内してくれ!」

修斗「分かった。じゃあ女性陣と林兄弟は先に校門に行って、

    登録所に向かう準備をしていてくれ。急ぐぞ!」

  ダッ!!


―監獄―


修斗「またここに来るとは思わなかったな」

  長い階段を下ると、どんどん空気が澱んでいき、地下レベル高ぇと思わされる。


中田「いたぞ!」

橋本「こっちこっち」

  扉が開かれた檻の中、罰キャプテンは頭に布の袋を被せられ

  片手を壁の鎖に繋がれている。そして、その隣に橋本が座ってる。

修斗「こんな所で何してるんだ?」

橋本「いやー、僕らが部員探しをしているうちにキャプテンが

    マニラに飛ぼうとしてるのが航空チケットの購入履歴からわかったからさー。

    見つけて、今度は逃げないように閉じ込めておいたんだよ」

修斗「助かった。これで全員だな。よし行こう!」


橋本「あ、ごめん。キャプテンが最後にちょっと暴れちゃって。

    僕も鎖につながれちゃったんだ。

    今、お酢に漬けてるから、溶けるまでもう少し待ってくれない?」

  よく見れば罰キャプテンの隣で橋本も壁の鎖に右手を繋がれている。

賢沢「何言ってるでプリンス!登録〆切まで時間がないでプリンス!」

橋本「えぇー!そうなの!? でも…」

  ブチッ!

  猫黒が表情も変えず鎖を引きちぎる。


橋本「…あ、ありがとう。…誰?」

修斗「ウチの4番だ」

  と言い、猫黒の肩をポンと叩く。


  ブチッ!

  罰キャプテンの鎖も同じように引きちぎる。

  頭に被せられた布の袋はあまりに固くヒモが結ばれているため外れない。

中田「よし行こう!」

  猫黒がヒョイと罰キャプテンを肩に担ぎ、修斗以外のメンバーは階段を上っていく。



修斗「まだ出られないのか?」

  一人残った修斗が暗い檻の中に声をかける。

校長「…元気そうだな。あれは…新しい野球部か?」

  以前よりやつれ、髪もヒゲも整っていない姿の校長。

修斗「あぁ。今9人揃ったから登録所に行くところだ」

校長「参ったな…。せっかく廃部にしたっていうのに…」


修斗「試合、見に来てくれよ」

校長「!!

    …いいのか?また廃部にするかもしれないぞ」

修斗「その時は…また新しいメンバーを見つけるさ」

校長「…なるほど。……フハハハハハ!」

修斗「それじゃあな」



―校門―


  中田・賢沢・橋本・七星・金地・林兄弟・猫黒(その肩の上に罰キャプテン)と

  真・野球部全員が集合しているところへ向かって修斗が走ってやってくる。

中田「おーい!武田ー!いそげー!」

賢沢「間に合わないでプリンスー!」

修斗「悪い!登録所まで走らないと間に合わないな。行くぞッ!

全員「おー!」

  ダッ!!

  登録所へ向けて走り出す9人と肩の上の1人。


橋本「先に行くよー!」

修斗「おーう。全員着くまでどうにか時間を稼いでおいてくれー!」

  ドギゥーーン!! かなたへ消える橋本。

林(兄)「さすが。橋本さんだ」

林(弟)「本当だね、お兄ちゃん」



賢沢「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

中田「大丈夫か?」

賢沢「走ったり…するのは…久しぶりで…プリンス…」

中田「くそっ!このままじゃ登録所までもたねぇ」

  ヒョイッ

中田「猫黒!お前キャプテンも担いでるのに賢沢まで…」

猫黒「構わぬ」

中田「ありがとな」

罰キャプ「うぅぅぅ…ぐぅぅぅ…」

  布の袋の中からうめき声が聞こえる。



七星「次のY字路…右に行った方がいいわ」

修斗「そうなのか?」

金地「ぶちょーの占いは絶対ですよ!」

  右へ行く。


  ドガーーン!!


通行人「Y字路でいうと左の道で大爆発が起こったぞー」

  修斗たちが走る後ろの方から通行人の声が聞こえる。

金地「ね!」

修斗「すごいな」

七星「……」(クローバーの10を見せる)



―登録所―


  走って中へ入ってくる修斗たち。

橋本「来た!こっちだよー!おーい!」

  受付の前で手を振っている橋本。もう片方の手で高速でノートPCを操る。

受付「何なんだ!パソコンが次々と声優のブログを開いていく!

    これじゃ登録〆切ボタンが押せない!」


修斗「はぁ…はぁ…間に合ったか?」

受付「何言ってるの!?もう〆切時間すぎてるよ!ほら!」

  壁の時計を指差す受付。

  しかし、突然現れたジャングルに時計は隠されてしまう。

受付「あ…あれ?ジャングル?」

中田「ほら、時計もないことだし。ギリギリセーフってことで」

受付「しょうがないなぁ。それじゃ、この紙に学校名とメンバーの名前書いて。

    それと1人づつ拇印を押していって」

  :

  :

  :

受付「それでは登録は完了しましたので。予選頑張ってください」

修斗「はい!我ら、ジャクソン商業高校野球部です!!」


バーン!!


第零部 人探し編・完


ギリギリで登録完了!これがジャク商野球部快進撃の始まりだ!


作者コメント:ようやく第零部の人探し編を書き終えることができました。

 絵も描けないし文章も上手くないのに、修斗の「野球部を作りたい!」と同様に

 「野球マンガ書きたい」という情熱だけで突き進んでしまいました。

 もしもこの文字漫画を読んでくれた人がいて、それが面白かったなら、

 そんな素敵な想像力に感謝です。つまらなかったら僕の糞文章のせいです。

 すいません。


 第零部が終わりましたが、つまりこれは第壱部の始まりということですので

 これからの地区予選での戦い(予定)も頑張って書いていきたいと思います。

 まぁ、ペースは前みたいに遅くなりそうですけど。


そろそろ表に出て野球をしよう!


10日もの長き沈黙を経て連載再開!
ついに待望の第壱部が始まる!



<前回までのあらすじ>

色々すごくて、読者は全員 感動の涙がすごい止まらなかった!


INNING.22 『己ノ背負フ数字』


  無事に登録を済ませ、登録所から出てくるジャク商野球部。


中田「ついにやったな!」

修斗「そうだな。あとは第1試合が始まるまでヒマでしょうがないから、

    その間にチームを仕上げていこうと思う」

賢沢「本番に向けて、練習試合をやったらいいでプリンス」

修斗「なるほど練習試合か。それも…アリだな」

  賢沢の方を指し、指をパチンと鳴らす。


橋本「その前にさ、ポジションを決めなきゃいけないと思うんだ」

修斗「ポジ…ション?」

橋本「守備位置を決めなきゃ」

修斗「あぁ、そういうことか。だったら…俺は、ピッチャーだ!(バスン)」

  グローブにボールを叩きつける。

中田「俺はイチローっぽいからライトだ!」

橋本「それはいいんだけど、僕は野球はわからないよ」

林(兄)「俺もだな。自分がどのポジションをやればいいのか全く分からない」

七星「私も」

猫黒「私もだ」

罰キャプ「うぅぅぅ…」

  布の袋を頭に被されているので聞き取れない。


橋本「だからさ、武田くんが決めてくれないかな」

修斗「任せておけ!もう大体イメージできてる」

中田「練習試合の相手も見つけなくちゃな」

修斗「任せておけ!もう大体イメージできてる。

    練習試合は次の日曜だ!みんな予定を空けておいてくれ!」

全員「おー!」

修斗「今日は解散!」

  この日は帰って赤飯食って寝た。


―次の日曜―

  練習試合控え室でリッツやシャンパン(ノンアルコール)を楽しむジャク商ナイン。

  そこへ金地が入ってくる。ガラッ。


金地「おはようございまーす!」

中田「おや?それは?」

  金地が両手に持ってる紙袋を見て中田が言う。

金地「へっへっへ。皆さんのユニフォーム作ってきましたー!」

  紙袋を掲げる。

全員「おおぉー!!!」


中田「これみんな手作り?」

金地「はい!編み物得意なんです!」

橋本「すごいね」

金地「みんな、自分の名前が書かれてるのを持っていってください」

  皆グラスをテーブルに置き、自分のユニフォームを取っていく。

中田「あれ?背番号が無い」

金地「あ!それは皆に好きな番号を聞こうと思って。

    言ってくれれば、今その番号を縫いますよ」


  皆ローストビーフの乗った皿をテーブルに置き、背番号を考える。

修斗「俺はエースだから1番にしてくれ」

中田「俺はイチローっぽいから51番だ!」

金地「了解です」

  チクチクチク。縫う。


賢沢「オイラは0(ゼロ)にしてほしいでプリンス。

    0という数字がインドで発明されたことによって…」

金地「はい、了解です。ぶちょーは?」

七星「私は…そうね、名前から取って、7でいいわ」

金地「はい」

  チクチクチク。縫う。


林(兄)「じゃあ俺も名前の884(ハヤシ)にしてくれ」

林(弟)「僕もそれで」

金地「了解です」

  チクチクチク。縫う。


橋本「僕は何番でもいいんだけど」

猫黒「私もだ」

罰キャプ「僕もどうでもいい…」

金地「キャプテン!その顔どうしちゃったんですか?」

  罰キャプテンは顔中を包帯でグルグル巻きにされている。

罰キャプ「あぁ。ちょっと、ものもらいを貰い過ぎちゃって」

金地「気をつけてくださいね。一応、薬もありますけど」

罰キャプ「いや大丈夫」


修斗「キャプテンなんだから背番号は10番しかないだろ!」

  着替えながら修斗が言う。

金地「それもそうですよね」

  チクチクチク。縫う。


中田「橋本はオイヌキIIメンなんだから、II(ツー)で2番だろ」

金地「オイヌキ?」

  あわてて中田を隠す橋本。

橋本「な、何でもないよ!じゃあ2番で」

金地「了解です」

  チクチクチク。縫う。

  背番号を縫ってもらったユニフォームを受け取ると、

  橋本は着替え中の中田の所へ行く。

橋本「陸上ネームはもう使わないでよ」

中田「ん?なんで?」

橋本「陸上部では当たり前だけど、他の所だと恥ずかしいよ」

中田「オッケーオッケー」


金地「猫黒さんのはどうしましょうか?」

猫黒「何でもよい」

中田「猫だから、ニャーで28番はどうだ?」

修斗「いや、もう猫の絵でも描いとけばいいんじゃないか?」

金地「いいんですか?」

猫黒「構わぬ」

金地「じゃあ猫の絵にしときますね」

  チクチクチク。縫う。

金地「できたー!はい、猫黒さん。だいぶカワイイの描けましたよ」

猫黒「……」


―数分後―

  女子も着替えを終えて控え室へ戻ってくる。

金地「私はマネージャーだから、背番号“マネ”にしちゃいましたー」

  背中を見せるようにクルリとバク宙する。

修斗「よし。みんな着替えも終わって、背番号も決まった。

    これからポジションを発表する!」

  金地が滞空時間の長いバク宙から、ズンッ!と着地する。

  控え室の中が緊張感に包まれる。

つづく


ついに次回、ジャク商ナインのポジションが決定する!


作者コメント:第壱部始まりました。ここからは試合も始まるので、

        躍動感のある文章を書けるよう頑張りたいと思います。





<前回までのあらすじ>

各選手の背番号が発表された!


INNING.23  『守ルベキ位置関係』


―控え室―

修斗「よし。ポジションを発表する!」

控え室を緊張が包む。

  修斗は数個の水晶玉が入ったような袋を取り出す。


修斗「まず俺がエースだ!そして賢沢がキャッチャー」

  そう言って袋の中に手を入れガサゴソと探ると中から何かを取り出す。

  それは…

  水晶玉!

  握りしめ見せつけられたその玉には『投』と刻まれている。

  そして、修斗は『捕』と刻まれた玉を賢沢にポンと投げ渡す。


中田「そして俺がイチローっぽいからライトだ!」

修斗「え!?…あ、あぁ、うん」

  中田が修斗の持つ袋の中から『ラ』と刻まれた玉を取っていく。


修斗「キャプテン、あなたには前の野球部のときのポジションを

    これからもやってもらいます」

罰キャプ「僕は罰キャプテンだよ。ポジションなんか…」

賢沢「調べさせてもらったでプリンス」

罰キャプ「!!」

  罰キャプテンの表情(包帯越し)が曇る。

  それを見逃さず賢沢は話を続ける。

賢沢「キャプテンは昨年1月11日の試合中、

    ベンチで食べようとしたポップコーンが飛び散ったときに

    それを拾うためにレフトエリアに入ったでプリンスね?」

  罰キャプテンは全てを諦めたかのような笑顔(包帯越し)とともに

  身体の力を一気に抜くと答えた。

罰キャプ「…賢沢君の言う通りだよ。よくそこまで調べたね」

賢沢「図書室は知識の宝庫でプリンス!」

修斗「そんなわけだから、キャプテンにはレフトをやってもらいます」

罰キャプ「あぁ。仕方ないね」

  修斗の投げた『レ』と刻まれた玉を受け取る罰キャプテン。


橋本「さて、残ったのは未経験者ばかりだね」

修斗「安心しろ。お前の分のポジションも用意したぜ」

橋本「楽しみだなぁ」

修斗「まぁ待て。まずは女子である七星から発表だ」

林(兄)「お。レディーファーストか?武田は意外と紳士なんだな」

七星「いいわ。もうタロットでわかっているから」

  七星の投げたジョーカーが修斗の頬に傷をつける。


修斗「まぁ、そう言うなって。(頬から出る血をガーゼで押さえながら)

    …そう。今、林(兄)が言ったように、ヨーロッパに古くから伝わることわざに

    『レディーファースト』っていうのがあるんだ」

歴史博士「そうなんじゃ」

中田「へぇ…物知りだな」

修斗「だから、チームで唯一のレディーである七星にはファーストを守ってもらう!」

七星「……」

  タロットのシャッフルを続けている七星の横を『ファ』の玉が転がる。

中田「確かにそれが道理ってもんだ」

橋本「となると…?」

  今の話を聞き何かを思いついた橋本が修斗の顔を見る。


修斗「そうだ。レディーファーストってことは、つまり…

修斗・橋本「キャットサード!

  2人で顔を指し合いながら言う。

林(兄)「当然そうなるな」

修斗「だから猫黒にはサードを守ってもらう」

猫黒「構わぬ」

  修斗が掲げた『サ』の玉を受け取る。


修斗「次に林兄弟だ。2人のジャングル化の能力を活かすために

    もっとも距離が近くなると言われるセカンド・ショートを用意した。

    どっちをやるかは2人で勝手に決めてくれ」

林(兄)「俺は長男だしセカンド(2番目)には向かないだろう。

     ショートをやらせてもらうぜ」

林(弟)「四男の僕がセカンドでいいの!?」

林(兄)「あぁ。もちろん」

林(弟)「ありがとう…お兄ちゃん」

  林(弟)の頬を濡らす涙が虹のカケラを feel like a sky.

  修斗が『セカ』『ショ』の玉を2人に渡す。


橋本「それじゃ僕は余ったセンターだね?」

修斗「あぁ。これが、消去法ってやつだ…な」

橋本「うん。林兄弟を後ろから見守らせてもらうよ」

林(兄)「はっ!?」

橋本「頑張ろうね、兄くん・弟くん」

  『セン』の玉をキュッキュやりながら林兄弟に近づく。

林(兄)「はい!橋本さんの所にボールが行かないように

     誠心誠意守らせていただきます!」

林(弟)「はい!」


中田「よし!これで準備は完璧だな!」

修斗「さぁ、大事な初戦だ。勝とうぜ!」

全員「オー!」

  全員が握りしめた(※七星は横に置いています)

  投・捕・ファ・ショ・セン・サ・セカ・ラ・レの玉が輝きを放つ。


橋本「あれ?ところで今日の対戦相手っていうのは?」

修斗「ふっふっふ。それじゃあそろそろ入ってもらおうか」


 ガラガラガラ…

  修斗が今、扉を開く!

つづく



ジャク商 真・野球部のデビュー戦の相手とは一体!?


作者コメント:今回マネージャーにセリフがありませんが、ちゃんといます。

        皆さんが心に描いたコマの端にでも、彼女を足してあげてください。





『野の球』作者インタビューvol.1

「今日はよろしくお願いします」

「よろしくお願いしマリナーズ!」
「いやー、本当に野球が大好きなんですね」

「もちろん!毎日セ・リーグ観てます」
「好きなチームってあるんですか?」

「特にそういうのはないです。もう野球自体にLOVEって感じで
(笑)」
「実際に野球はよくなさるんですか?」

「いや、僕はやりません。見る専門です(笑)」
「昔は野球少年だったり?」

「いえ。でもまぁ、もしやるとしたらキャッチャーかな?
ずっと座ってられるから楽でしょ(笑)」
「そんなに体力ないんですか?」

「はい。ペンを持つので精一杯で…」


「ところで『野の球』の方はといえば、
ついにメンバーが揃って、第1部が始まりましたが」


「はい」
「今後はどうなっていくんでしょうか?」

「地方予選が始まって、一癖も二癖もあるチームが次々と
ジャク商ナインの前に現れます。お楽しみに!」
「どんなチームが出るのか読者も気になってると思います。
1つくらい教えてもらえませんか?」


「それはシークレットぞ!」
「以前読者から募集した『オリジナル球児』は出ますか?」

「はい。どんどん出ますし、まだまだ大募集中です」
「それは楽しみですね」


  ―続いて、読者からの質問に答えてもらいました―


「『野の球』というタイトルにしたのはどうしてですか?」
(東京都・ののたん さん)


「普段ヤキューって口に出してる時は気付かないですけど
漢字で書くと“野の球”になるじゃないですか。それで」
「なるほど。そんな意味が含まれていたんですね」


「一番好きなキャラは誰ですか?」
(静岡県・修斗大好き さん)


「難しい質問ですね。全員好きですよ」
「そうですね。どのキャラも個性豊かで魅力的ですからね。
特に選ぶとしたら誰ですか?」


「やっぱり修斗ですかね。あの熱い感じがカッコいいし。
あとはやっぱり全員大好きです」


「僕も修斗みたいになりたいのに、
校長が野球部を廃部にしてくれません」

(諏訪市・おにムカデ さん)


「校長先生も野球が好きなんでしょうね」
「おにムカデさんはどうすべきでしょうか?」

「画期的ですが、野球部に入ったらどうでしょうか。
で、校長をぶん殴れば廃部になると思います」
「確かにそうですね」

「もういいです。ありがとうございました」

「ありがとうございます」


『野の球』の作者に応援メッセージを送ろう!




<前回までのあらすじ>

各選手のポジションが発表された!作者がインタビュー受けたり調子に乗った。


INNING.24 『最初ノ試合』


―控え室―

橋本「今日の練習試合の対戦相手っていうのは?」

修斗「ふっふっふ。それじゃあそろそろ入ってもらおうか」


  ガラガラガラ…

  巨体の男が真・野球部の前に姿を現す。

そいつ「ずいぶん待たせおって」


中田と橋本「あっ!」

  驚く2人と、「この巨男は何なんだ」といった表情の他メンバー。


修斗「ほとんどのメンバーは『オイ、この巨男は何なんだオイ』って顔だな。

    今日オレ達の相手になってもらう陸上部の部長、ビーストだ!」

ビースト「困ったときは力になると言ったからな。ガーハッハ!」

(※詳しくは第捌球 『陸上』を見てくれ!)


林(兄)「今日の対戦相手って、ウチの陸上部だったのか」

橋本「僕はてっきり他校の野球部とやるものだと思ってたよ」

修斗「それも考えたんだが…まだ俺達の力は秘密にしておいた方がいいからな」

中田「やるぜッ!」


ビースト「ウチの連中は既に校庭で整列してるぞ」

修斗「よし!俺達も行くぞ!オー!」

  ダッ!! 駆け出す修斗。それに続く真・野球部の部員たち。

  そして、それらをゴボウ抜きするビースト。

  さすが陸上部。陸上部をなめるな野球部。



―校庭―

  既にランニングシャツ・ランニングパンツという正装をした陸上部が整列している。

  そこへようやく真・野球部が到着する。


ビースト「待ちくたびれたわ!」

修斗「はぁ…はぁ…。さすが陸上部だ、足の速さではかなわないな。

    でもな、野球では俺達が勝たせてもらうぜ!オー」

ビースト「面白い。それでは、試合開始だ!」



練習試合
ジャク商 真・野球部


VS


ジャク商 陸上部



メンバー表
打順 NAME ポジション 背番号
橋本 セン
2
林(弟) セカ 884
林(兄) ショ 884
猫黒 サド o(^・x・ ^)o
七星 ファ 7
キャプテン レフ 10
中田 ライ 51
賢沢 0
修斗 1
金地 マネ
マネ

メンバー表
打順 NAME ポジション
フレイム ファ
ロンドン
ゼウス セカ
コング サド
デス・キラー セン
レフ
パンドラ
ライ
マグナム7
ショ
ビースト
ブレイブ

ノヴァ
他6名
カッティング・
スティールボード
マネ



  修斗がコインを親指ではじき上げる。地面に落ちたコインの表示は「後」。

修斗「俺たちが後攻か」

  陸上部が先攻となり、真・陸上部の面々は各ポジションへと散らばる。


林(兄)「やるぞ。弟」

林(弟)「うん」


中田「結構外野って遠いんだな」


金地「がんばれー」


罰キャプ「辞めたい」


修斗「これが…俺が甲子園に向かって進む道――

    ――Road to KO-SHIENの第1歩だ!」

  バスン!とボールをグローブに叩きつける。


第壱部
Road to KO-SHIEN編

つづく


ついにRoad to KO-SHIENを駆け出し始めたジャク商 真・野球部!

第1戦 陸上部との試合が今、始まらんとしている!


作者コメント:まさか初戦の相手が陸上部だとは

        作者の私にも予想できませんでした。




<前回までのあらすじ>

ジャク商 真・野球部の初戦 vs陸上部が始まった!


INNING.25 『走ルノガ速ヒ人』



―1回表―

  ノーアウト走者なし。

  陸上部1番打者フレイム。


修斗「ついにマウンドに立つことができた。

    まさか入学早々に野球部が廃止にされるなんて思いもしなかった。

    一時は無理かもしれないとも思った。

    それでも、ただただ諦めずに走り続けた。

    そして、ようやく集めたこのメンバー。

    中田、橋本、林兄弟、猫黒、キャプテン、七星、賢沢、金地。

    俺達の甲子園への想いは誰にも止められやしない。

    この1球が全ての始まりになるんだ。

    俺の全身全霊を込めたストレートを投げてやるぜ。

    この投球で腕が砕けても構わない、それくらいの気持ちで投げる。

    陸上部なんかに打たれてたまるかよ!

    行っけーっ!ストレート!」


  バヒューーン

  修斗の渾身のストレートが放たれる。


修斗「決まった!完璧なストライクだ!

    これなら陸上部ごときじゃバットにかすらせることもできない…

    …何ッ!?」


  修斗の投げた球がホームに辿り着こうとしたその時、

  フレイムは構えていたバットをスッと倒し、ボールの軌道に合わせた。


  コツン。


  通常はバットを馬鹿みたいに振り回しボールを叩くことで遠くへ飛ばすのだが、

  フレイムはバットにボールを当てることだけを重視した。

  遠くへ飛ばすことはできないが確実にバットに当たる方法である。


賢沢「しまった!バントでプリンス!」


  フレイムはすぐさま走り出す。

  彼らの着ているランニングパンツ・シャツは非常に軽量で

  また太ももやヒザが覆われていないので、走る際の足の動きの邪魔にならない。

  陸上部で鍛えられた肉体、さらに、走るために開発されたユニフォーム。

  これらが組み合わされたことによる猛スピードで、

  修斗が転がったボールを捕ったとき、既にフレイムは1塁に到達していた。


修斗「くそっ!」

賢沢「仕方ないでプリンス」

修斗「あんな技を使うとは…陸上部だってことをすっかり忘れてたぜ」


フレイム「そう。我々陸上部は走ることのエキスパート。

      貴様らでは影を追うことすらできないだろう」


  突如訪れたノーアウト1塁という最大のピンチ。

  続くバッターは2番のロンドン。


修斗「こいつも陸上部ってことは足が速いのか?

    そうなると、さっきの技を使われないためには

    バットが届かないエリアーに投げるしかない。

    しかし、そればかりではストライクを取ることができない。

    ストライクを投げるか、届かないエリアーに投げるかの駆け引きか…。

    まずはバットが届かないエリアー、なるべくロンドンから遠い地点に投げる。

    行けー!ストレート!」

中田「走ったぞ!」

修斗「!! 何が走ったっていうんだ?悪寒か?いや、この場面では考えづらい。

    そうか。ランナーがいたな。つまり、盗塁かッ!?」


  中田の声が聞こえたとき、既にボールは指から離れる直前だったので、

  修斗はそのままキャッチャー方面へ投げることを選んだ。


修斗「頼む、賢沢!2塁でアウトにしてくれ!」


  バヒューーン

  修斗の渾身のストレートが再び放たれる。



  スポッ!

  賢沢のグローブにボールが吸い込まれる。

賢沢「ストラーイク!」

  全く2塁へ投げる様子を見せず座ったままでいる賢沢。


林(兄)「2塁へ投げろー!」

  彼の声はおそらく届いているのだろうが、賢沢は微動だにしない。


林(兄)「早く!ボールを俺に投げるんだー!急げー!」

  林(兄)の悲痛な叫び声だけがジャク商の校庭に響き渡る。

  賢沢はまるで死んだドブネズミのようにピクリとも動かない。

  その隙にフレイムは2塁へと到達した。セーフ。


林(兄)「おい!なんで2塁に投げなかった!アウトにできたかも…」

修斗「取り乱すな!」

林(兄)「!!」


修斗「皆にはまだ話してなかったが、こうなった以上は隠しておけないな」


  ざわ・・

つづく


次回!!修斗が皆にはまだ話してなかったが、

こうなった以上は隠しておけない秘密が明かされる!!


作者コメント:目がかゆいしクシャミが出るので、花粉症なのかもしれません。




<前回までのあらすじ>

陸上部の足を使った攻撃を受け、修斗が皆に語り始めた。


INNING.26 『目デ見ル』


修斗「皆にはまだ話してなかったが、こうなった以上は隠しておけないな」


  ざわ・・


修斗「賢沢が2塁にボールを投げなかった理由…

    それはあいつの“特殊能力”にあるんだ!」

  いまだ座ったままでいる賢沢を指差し、声を張り上げる。


林(兄)「!」


橋本「!」


中田「!」


罰キャプ「!」


猫黒「…」


七星「…」


林(弟)「!」


金地「!」


フレイム「!」


ビースト「!」


ロンドン「!」


デス・キラー「!」


他の陸上部員たち「!」



―漢闘学館―

山田「バットはマブダチだ!」

野球部員たち「はいっ!キャプテン!」


マネージャー「キャプテン。ジャク商野球部の件ですが…ヒソヒソ」

山田「ようやく動き始めたか、修斗」 空を見上げ微笑む。



―某所―

謎の陶芸家「(パリン!) 割れたか…何か起こりそうだな…」


―某所―

謎のフランクフルト屋「   〃   」



―再びジャク商校庭―

賢沢「その先はオイラに説明させてほしいでプリンス」


  ついに賢沢が立ち上がる。


賢沢「オイラの特殊能力は狎栂気稜鯡椨瓠礇屮襦璽疋薀乾鵐此Ε曠錺ぅ肇▲ぁ

    盗塁をされたとき、ランナーの走力・投球のスピード・オイラの肩力などから

    見ただけでアウトにできるかを瞬時に分析できる目を持ってるでプリンス」


林(兄)「つまり、今も間に合わないことがその目の力で分かったから

     無駄にスタミナを消費したり暴投したりするリスクを避けるために

     投げなかったというのか?」

賢沢「その通りでプリンス」

修斗「どうだい?使える能力だろ?」

ビースト「さすが野球部だな!陸上部にはそんな力を持つ奴はいないぞ!」

修斗「ふっ。まだまだ俺たち真・野球部の力を見せつけてやるぜ!」

ビースト「ガーハッハ!楽しみじゃわい!」

つづく


まだ試合は始まったばかり!野球部員の力が次々と明らかに!


作者コメント:最近、暑くなったり寒くなったり大変だからドームで練習をしよう。




<前回までのあらすじ>

キャッチャー賢沢の能力狎栂気稜鯡椨瓩明らかに!


INNING.27 『コング降臨』


―1回表―

  ノーアウト2塁。ランナー:フレイム


  ロンドンがブンッ!

賢沢「ストラーイク!」


  ゼウスがブンッ!

賢沢「ストラーイク!」


  いきなりランナーを出しピンチを招いたが、

  狎栂気稜鯡椨瓩鯣動した賢沢の活躍などにより

  2番3番を抑えることができ、2アウト2塁となった。


中田「楽勝だな!」


  しかし、次に現れた打者は4番のコング。


修斗「何だ…あれは…?」


  ジャラ…

  彼が持ってきたのは

  持つ所と打つ所が分かれていて鎖で繋がれている

  ちょうどヌンチャクのような形の特殊バットである。


  ピッチャーの修斗が振りかぶると

  コングは握り部分を両手で持ち、頭の上でブンブンと、

  あたかも「私はヘリコプターです」とでも言わんばかりに

  振り回し始めた。


修斗「タ、タイム!」


  言い知れぬ恐怖を感じた修斗が

  タイムをかけ全員をマウンドへ集める。


修斗「おい、あれは一体どういうことなんだ?」

橋本「コング先輩はハンマー投げの選手なんだ。

    それに合わせてバットを改造したんだと思うよ」


修斗「あんな改造が許されるのか?」

賢沢「たしかに公式戦だったら注意されるかもしれないでプリンス。

    でも今日は練習試合で審判もいないでプリンスから、

    オイラ達が言っても水掛け論になるだけでプリンス」

修斗「それじゃ仕方ないな」


賢沢「タイムオーバーでプリンス」

  再びそれぞれのポジションへと散っていくジャク商ナイン。


修斗「ハンマー投げがどれほどのものか見せてもらおうじゃないか」

  コングは既にヘリコプターを始めて、バットへと力をためている。


  バヒューーン


  修斗が投げる。

  コングはさすがに慣れた様子で操縦桿をコントロールし

  バットをボールへとぶつけてくる。


  カキーン


  一直線でバックスクリーンへと飛んでいく。


コング「ウオー!」

コング「ウオー!」

コング「ウオー!」


  大声で後押しをするコング。


  グワシャッ!


  バックスクリーンへと突き刺さる…


  …バットが。


修斗「すごい飛距離だな」


  打ったボールはというと、

  1・2塁間のヒットコースへと痛烈な勢いで転がっている。


  だが、ここを守るのは七星。

  あらかじめタロットで占って守備位置を変えていたので難なく捕球。


  しかし、ここで予想だにしない事態が発生した。

  ファーストの七星が自身でボールを捕ってしまったため、

  1塁上に誰もおらず投げることができない。


七星「…」


修斗「バックホーム!」

  その声を聞き、あわてて七星はホームへとボールを投げた。


  そう。2塁にいたランナーのフレイムが

  超高速で一気にホームを狙っていたのだ。


  超高速の豪炎フレイム vs 投げたボール

  ホームへ先に辿り着いたのは…


  ボール!


  ザッ!

  ホーム数歩手前で急ブレーキをかけたフレイム。

  ボールを手にした賢沢とにらみ合う形になる。


  ジリッジリッと距離を縮めていく賢沢。

  後ずさるフレイム。


  刹那、フレイムがくるりと反転し、賢沢に背を向け立ち止まる。


賢沢「スキありでプリンス!ターッチ!」

橋本「ダメだ!罠だ!」


  賢沢がボールを持った手でタッチにいくが、

  それは空を切ることになる。

  神速の炎獣フレイムは跡形もなくなっていた。


  賢沢の頭上数メートルから声がする。

フレイム「残念だったな。私ならココだ」


  タッチの勢いで転倒した賢沢を尻目に

  フレイムは空からホームベースを襲撃した。


  1点!

つづく


なんと!先制点はまさかの陸上部!


作者コメント:ちょっといっぺんに長く書きすぎて首が痛くなりました。

        ウオー!ウオー!ウオー!あたりで止めとけば良かったです。




<前回までのあらすじ>

コングがウオー!ウオー!言ってたら1点入った。


INNING.28 『攻撃ガ始マル』


  背面跳び――

  設置された棒を飛び越え、その高さを競い合う競技「走り高跳び」で

  用いられる跳法の一つ。

  棒に対し背中を向けて飛び越えるという極めてテクニカルな跳法のため、

  通常人には決して真似することができない。

  毎年、十分な修行を積まずに挑戦し命を落とす者が

  数万人にも上ると言われている。


修斗「背面跳びだって!?」

橋本「そうだよ」

賢沢「面目ないでプリンス。知ってはいたでプリンスが…」


フレイム「ふっふっふ。実際に使う人間を見るのは初めてか?」

  豪快なバックドロップをくらったような体勢で

  首から上が地面に突き刺さったままのフレイムが言う。

修斗「くそ!まだ1点取られただけだろ!勝負はここからだ!」

ビースト「ガハハハ!まだわからんのか?」

修斗「何がだ!」

ビースト「このグラウンドのある場所は空中でも水中でもなく陸上。

      すなわち、我々陸上部のテリトリーということだ!」

真・野球部全員「ハッ!」

  愕然とするナイン。


修斗「くっ…」

賢沢「待つでプリンス!ボールは空中を飛んでるから陸上じゃないでプリンス!」

ビースト「ガーッハッハ!これは一本とられたな!」

  そうこうしているうちに5番のデス・キラーが三振し陸上部の攻撃は終わる。


修斗「チェンジだー!」

林(兄)「わー!」

中田「イェーィ!イェーィ!」

  駆け足でベンチへ帰ってくるジャク商ナイン。


―ベンチ―

修斗「よし、今のうちに相手の情報をまとめておこう。

    こっちには都合よく元陸上部の橋本がいるしな」

橋本「うん。今の攻撃で分かったと思うけど、

    陸上部は入部試験で100m走10秒台が要求されるから

    足は全員きわめて俊足だよ。

    それでフレイム先輩は走り高跳び、コング先輩はハンマー投げの選手」

中田「なるほど」

橋本「あとは、キャッチャーのロンドン先輩が円盤投げ。

    セカンドのゼウス先輩がマラソン。外野の3人は全員ヤリ投げのスタメン。

    ショートのマグナム7って人は…僕がいたときにはいなかったなぁ。

    それとピッチャーのビースト部長は…」

  それぞれの選手を指しながら話していた橋本が止まる。

修斗「どうしたんだ?」

橋本「部長は…砲丸投げの高校記録保持者なんだ…」

修斗「…!」

  修斗の頬を一筋の汗が流れる。


修斗「面白いじゃねぇか!それぐらい打てなきゃ甲子園には行けねぇよ!」

林(兄)「そうだな」

橋本「それじゃ行ってくるね」

修斗「おう!」

金地「がんばってー」

  橋本がバッターボックスに入る。


ビースト「ほう。お前からか、オイヌキIIメン」

橋本「部長。僕はもうオイヌキIIメンじゃありません。橋本です」

ビースト「ガハハ!そうだったな。

      ではこちらも遠慮なく本気で投げさせてもらうぞ」

  そう言うとボールをアゴの横に持ち上げ、バッターに背中を向ける。

  そう。これが砲丸投げのフォームである。


ビースト「うぉら!」

  ズバーン!!

  ビーストが反転するとものすごい豪速球が放たれた。

ロンドン「ストラーイク!」


修斗「!!」

  真・野球部ベンチが沈黙に包まれる。


ビースト「球が軽すぎて投げごたえがないわい」

つづく


ビーストの豪速球!真・野球部は打つことができるのか!


作者コメント:先日いつものようにTVで野球を見ていたら、急に審判が

        カメラにお尻を向けたので、セクシーアピールかよ!KARAかよ!と

        思ったら、ホームベースを掃除してただけでした。紛らわしいわ!




<前回までのあらすじ>

陸上部のビースト部長は砲丸投げ選手だから豪速球を投げた。


INNING.29 『砲丸投ゲノ力』


  ビーストの放った豪速球に言葉を失うジャク商ナイン。


修斗「クソッ!あんな球、素人の橋本には打てない…」

  バッターボックスの中で足の震えを抑えきれない橋本。

ビースト「ガハハ!どんどん行くぞ!」

  再びビーストが砲丸投げの構えを始めると、ベンチの修斗が叫んだ。

修斗「ファーボールだ!ファーボールを狙え!」

橋本「ファー…ボール?」

修斗「そうだ!砲丸投げの投げ方は、一度後ろを向くことで

    キャッチャーから完全に目を離してしまうところが弱点だ!

    コントロールしづらいから、振らずにファーボールになるのを待つんだ!」

橋本「わかった!」


  陸上部側のベンチからカッティング・スティールボードが言う。

カッ「フフフ…そううまく行きますかね?」

修斗「何だと!?」


ビースト「ガハハー!」

  ズバーン!!

  ビーストの2投目もストライクゾーンのど真ん中を射抜いた。

ロンドン「ストラーイク!」

修斗「まさか!」


ビースト「ガハハハハ!砲丸投げの練習では、前に投げた砲丸がある所に

      砲丸をぶつけて砕いていくコントロールトレーニングがあるんじゃい。

      わしはそれが大得意でな。

      砲丸投げより軽く距離も短い、野球でストライクを取ることなど

      お茶の子さいさいじゃ!」


修斗「何てことだ。

    …そうだ!橋本!お前もバントを使え!

    元陸上部の脚を活かすんだ!」

橋本「わかった!」

カッ「フフフ…そううまく行きますかね?」

修斗「何だと!?」


  先ほど陸上部のフレイムが見せたように、バットを横に倒し

  ストライクゾーンに合わせる橋本。

ビースト「ガーハハー!」

  3投目を投じる。ギューン

修斗「よし!ピッタリの位置だ!」


  バキッ!

修斗「何ッ!?」

  ビーストの投げた球はバットをへし折り、そのままミットに吸い込まれた。

ロンドン「アウトー!」


ビースト「これが砲丸投げの力じゃい!ガハハーハ ハーハハ!」

修斗「ぐぅ…」

橋本「ごめん」 ベンチへ帰ってくる橋本。


  そして、続く2番・3番の林兄弟もずぶの素人であるため手も足も出ず、

  初回の真・野球部の攻撃は終了したのであった。

修斗「ぐぅ…」

つづく


圧倒的な力の差!一体どうすれば勝てるのか!?


作者コメント:ほんと暑くて家から出たくない。





<前回までのあらすじ>

ビーストの豪速球にジャク商打線は手も足も出なかった。


INNING.30 『与ヘラレシハンデ』


修斗「ぐぅ…。何かヤツの弱点を見つけなくては…」


  そうこうしているうちにM、パンドラが三振に終わり2アウト。

  続いて現れたのはマグナム7。

修斗「こいつの種目は、いまだ謎だったな」


修斗「おい!」

マグナム7「何だ?」

修斗「お前は何の種目をやってるんだ?」

マグナム7「そうか。俺が入ったときにはもうあの元陸上部はいなかったか…

      残念だが、自らの種目・能力を知られることは即、死につながるこの世界。

      そうやすやすと教えるわけにはいかない」

修斗「くそっ!」

マグナム7「そうだな。じゃあ少しだけハンデをやろう」

修斗「何ッ!?」

マグナム7「俺はこの試合で『走らない』」

修斗「!?」


  一人思い悩む修斗。

修斗「どういうことだ?走るしか能がない陸上部のくせに走らないだと?

    何か罠があるのか?」


修斗「タイム!」

  マウンドに集まるジャク商ナイン。


修斗「おい、橋本。一体どういうことだと思う?」

橋本「なんだろう。1点リードしてる余裕なのか、

    僕らが素人だと思って舐めているのか」

修斗「そうか。いずれにせよ、おそるるに足らずということだな」

  全員がうなずく。

修斗「よし!散れ!」

  各々のポジションへと散っていく。


マグナム7「会議は終わったか?」

修斗「あぁ。舐めやがって」

マグナム7「ん?そんなつもりはないんだがな」

修斗「うるせぇ!行くぜっ!ストレート!」


  バヒューーン


  マグナム7がバントの構えに変わる。

修斗「またバントか?いくら陸上部でも

    走らない奴にセーフになられてたまるかよ!」


  一方そのとき、ライトエリアでは中田が思考を巡らせていた。

中田「なぜあいつはハンデを…?『走らない』…?

    『駆けない』『ダッシュらない』という言葉でも良かったはずだ。

    それなのに『走らない』という言葉を選んだ。その意味は?

    走らない……はしらない……柱無い……!?」

  慌てて全員に向けて叫ぶ。

中田「柱!柱だー!」



  コツン。

  バントされたボールを修斗が拾う。


修斗「柱?まぁいい。これで3アウトチェンジ…何ッ!?」

  ボールを1塁へと投げようとした修斗だったが

  既にマグナム7が猛スピードで駆け抜けて…否!歩き抜けていた。


修斗「あ、あれは…?」

賢沢「おそらく…競歩でプリンス」


中田「違った!」

つづく


現れたのは競歩能力者!果たして倒せるのか!?


作者コメント:記念の30話目は、書くのが久しぶりすぎて型を忘れていました。





<前回までのあらすじ>

マグナム7は競歩能力者だった!


INNING.31 『購買名物コケモモジャムパン』


  競歩――

  スピードを競い合う陸上競技の中で唯一、走ることが禁じられている競技。

  水泳におけるバタフライと同様に

  日常生活においては全く必要性の無い能力を身に付ける。

  だったら走ればいい。


修斗「競歩だと!その前にさっき言ってた柱って何だ?」

中田「言ってない」

マグナム7「そう。察しの通り俺は競歩能力者だ。

       走る能力を捨て、その分の速さも競歩に回したことで

       常人には及びもつかない程の速さで歩くことができる」

賢沢「それで、『走らない』というわけでプリンスか」

マグナム7「そういうことだな」

修斗「くそっ!」


  次に打席に来たのはビースト。バットをブンブン振り回している。

修斗「ビーストさんよぉ、なかなか陸上部もやるじゃねぇか!」

ビースト「そうだろう。ガーハハハ!」


修斗「さて、無駄話はこれくらいにして。行くぜっ!ストレート!」


  バヒューーン


中田「走った!…いや、歩いた!」

修斗「あいつはさっきから何を言ってるんだ?」

  そう言いながら中田の方を向くと、

  1塁ランナーもといウォーカーのマグナム7が

  2塁へ向けてスタートを切っていた。

修斗「何!?歩いたままで盗塁もするってのか!?」


  スポッ。ボールをキャッチした賢沢が

賢沢「そこまでナメられてたまるかでプリンス!」

  慌てて2塁へとボールを投げる。


  しかし、セーフ!盗塁成功!


マグナム7「俺の徒歩はそこら辺の連中の全力疾走の何倍も速いんだ」

修斗「くそっ!」

  またも急激なピンチに見舞われる。

ビースト「どうだ?陸上部の力は野球でも結構通用するだろ?」

  そう言っていたビーストだったが、

  砲丸投げをバッティングで活かすことはできず簡単に三振に終わった。

  チェンジ。


―2回裏―

  投球練習でバンバン豪速球を投げるビースト「ガーハハー!」

  それを見ながら腕組みで考えを巡らす修斗。

修斗「何とかあの豪速球を攻略しないことには勝ち目がない」


  一方、修斗の横では金地が七星にカバンの中を見せながら話している。

金地「ぶちょー。後で食べようと買った購買名物コケモモジャムパンに

    アリがたかって、はらってもはらってもキリがないんです」

七星「…そういうのは元を断たないとダメよ」

  購買名物コケモモジャムパンを取り、ポイッとゴミ箱へ投げ捨てる。

金地「あぁ!」


修斗「元を断つ…はっ!その手があったか」

  何かに気づき目を輝かせる修斗。


修斗「橋本!来い!」

橋本「何?」

修斗「ヒソヒソヒソヒソヒソ」

  耳打つ修斗。

橋本「なるほど!元を断つわけだね!」

修斗「あぁ。頼むぜ」

つづく


行け!元を断て修斗!


作者コメント:最近、長風呂にハマっています。野の球もそこで考えたり。

  汗をダラダラかきながら考えてるので野球部員たちと同じ気持ちになれます。





<前回までのあらすじ>

金地が食べようとしたパンを七星が捨てた!


INNING.32 『引キ継ガレシ機械』


  自らのノートPCを開くと、ものすごい速さでマウスをクリックしまくる橋本。

  幾重にもなったセキュリティの網を橋本の愛機「舞姫」が突破していく。

  画面内を変な鳥が飛び回ると、次々と「クリアー」の文字が表示される。


修斗「そう!これが橋本の特殊能力

    牋き継がれし機械瓠礇侫.供璽此Ε灰鵐團紂璽拭次筺

    磨き上げたハッキングの技術で各国の中枢機関の情報を盗み続け

    いまや伝説のウィザード級ハッカー「剛力ちゃん大大大好き」として

    知られることとなった橋本だが、その正体を知るのは本人と家族、

    そして俺のみ。

    今はまだ他のメンバーには言えないが、この力、

    真・野球部のために活かしてもらうぜ!」


  カチリ、とトドメのクリックをする橋本。

橋本「…コンプリート!あとは仕上げをごろうじろ。

    ホワイトハウスのレンジをチンすることだって可能だよ」

修斗「それじゃあ頼む」

  そう言われると橋本はマウスをダブルクリックする。


  ピーンポーンパーンポーン♪

放送「3年1組の…獣ヶ崎(けものがさき)……

    マンドラゴラ…と…トカゲのしっぽ…を持って…職員室に…来い」


ビースト「何じゃ?校長の呼び出しか?まいったのう。勝負はお預けじゃ!」

猫黒「……」

  ビーストはマウンドを降り、職員室へと走って行った。


修斗「砲丸バカがまんまと騙されたな。あれは一体どうやったんだ?」

橋本「これまでのデータから校長の声を抽出、それから学校の

   マザーコンピューターに侵入して放送を操ったのさ。ちょろいもんだよ」

修斗「やるな!…そう。相手ピッチャーの豪速球が打てないのなら、

    そのピッチャーにいなくなってもらえばいいという「元を断つ」作戦!

    …で、次に出てきたピッチャーは何の競技の奴なんだ?」

  2番手のピッチャーがマウンド上で肩を鳴らし始めている。


橋本「あぁ。あれはノヴァ先輩だね。

    あの人は特に何の競技もしてないけど部活に来てる人だよ。

    本名は野田だよ」

修斗「それなら何とかなるかもしれないな」


  カキーン!


  ノヴァの投げた初球を、猫黒が適当に振ったバットが捕らえた。

  ホームラン!

  真・野球部がついに同点に追いついた!


つづく


振り出しに戻ったvs陸上部戦!果たして勝負の行方は!?


作者コメント:野の球を みんな読んだら ストライク! 【野の球川柳No.01】











登場人物まとめ
ジャクソン商業高校野球部
武田修斗(たけだ しゅうと)
1年3組20番。壁当てで鍛えた豪腕。
廃部に負けない情熱で真・野球部を作り上げた。
中田(なかた) 
1年。校長に何らかの恨みがあり野球部作りに協力。五中出身。
賢沢(かしこざわ) 
1年。メガネ。図書室にいたら修斗に勧誘された。「〜でプリンス」
青竜の白目<ブルードラゴンズ・ホワイトアイ>
盗塁された時に発動。見ただけでアウトにできるか判断できる。
橋本(はしもと)
元陸上部員。RN(陸上ネーム)=オイヌキIIメン。泥棒。一中出身。

引キ継ガレシ機械<ファザーズ・コンピューター>
愛機「舞姫」(ノートPC)を使ったハッキング。その腕前は伝説のウィザード級。
「剛力ちゃん大大大好き」の名でその筋では有名だが、正体を知るのは家族と修斗のみ。
キャプテン
罰ゲームで前・野球部のキャプテンをやらされていた。どんな顔か不明。
七星(ななほし)
1年。元・占い部部長。タロットで未来を占う。それに従い入部。黒髪ロング。
金地マリ(かねじ まり)
1年。元・占い部マネージャー。全員分のユニフォームを作った。栗毛ショート。
林(兄)(はやし あに)
1年4組。弟と一緒にいるとジャングルになる。長男。橋本が何かして入部した。
林(弟)(はやし おとうと)
1年4組。兄と一緒にいるとジャングルになる。四男。      〃        。チョコが好き。
猫黒キャット飛丸(ねこぐろ きゃっと とびまる)
猫。修斗の情熱が起こした奇跡で益荒男になった。怪力の持ち主。
メ ンバー表
打順 NAME ポジション 背番号
1番 橋本 センター 2
2番 林(弟) セカンド 884
3番 林(兄) ショート 884
4番 猫黒 サード o(^・x・^)o
5番 七星 ファースト 7
6番 キャプテン レフト 10
7番 中田 ライト 51
8番 賢沢 捕手 0
9番 修斗 投手 1
マネ 金地 マネージャー マネ
漢闘学館
山田(やまだ) 
1年。修斗の幼馴染でライバル。4番でキャプテン。「バットはマブダチ」
野球部員 
キャプテン山田に忠実。
マネージャー 
ヒソヒソと話す。
ジャク商陸上部
ビースト  ※以下、陸上部は全員RN (陸上ネーム)で名乗っている
3年1組。部長の大男(ないしは巨男)。砲丸投げの高校記録保持者。本名は「獣ヶ崎(けものがさき)」
カッティング・スティールボード 
マネージャー。その名が示す通りの風貌。
フレイム 
走り高跳び選手。足が速い。バント・盗塁をする。背面跳びの使い手。
コング 
ハンマー投げ選手。ハンマーを模した特殊バットを使うその様はあたかもヘリコプター。
ロンドン 
円盤投げ選手。
ゼウス 
マラソン選手。
デス・キラー、M、パンドラ 
ヤリ投げ選手。
マグナム7 
競歩選手。走る能力を捨てた分、歩きを速くしたので、普通の人の全力疾走の何倍もの速さで歩く。
ノヴァ 
特に何の競技もしてないけど部活に来てる人。本名は「野田」
ブレイブ、他6名 
陸上部員。それぞれの能力は未だヴェールに包まれている。
ジャク商その他
三中(みつなか)
1年。入学式で修斗の隣に座った。三中出身。
校長
この春に赴任。野球部を廃部に追い込む。現在投獄中。
高木・平・宗田・鈴木・篠塚・佐々木・小島・黒田・木村・北岡・小野村・
宇野・伊藤・伊藤・伊藤・伊藤・伊東・伊藤・伊藤

1年3組。修斗のクラスメイト。クラスで修斗はイジメられている。
看守
地下監獄の看守。
前・野球部部員 
廃部のショックでキャプテン以外は心臓麻痺を起こし死亡。
浅木(アサギ) 
麻雀部。天性のギャンブラー。
天城(アマギ) 
麻雀部。天性のギャンブラー。
受付のオヤジ
麻雀部受付。ずっとテレビを見てるが客が入ってくると素早く反応する。
安岡
浅木・天城の知り合い。立ち会うのが好き。八中出身。
大男 麻雀部の暴力担当。
余談だが「大男」と打つにはキーボードの“O”を5回も押す必要がある。
ザ・消毒
ジャク商の保健室の先生。消毒が好き。
その他
酢豚
うまい中華料理。
古田(ふるた) 
プロ野球界の伝説の捕手。メガネをかけている。
店員
喫茶店店員。
FAX
ファクシミリ。色々送れる。
今川・北条・武田信玄・上杉謙信
歴史上の人物。
歴史博士
歴史に詳しいおじさん。
ケーキ職人
ケーキを作る。中田と何らかの関係があるのかもしれない。
契約書
人と人との間の約束事が書かれてる紙。守らなきゃいけない。
泥棒
盗みを働く人。犯罪である。
パソコン
インターネットにつながる機械。今の時代コレさえあれば何でもできる。
円盤投げ選手
円盤を投げる。中田と何らかの関係があるのかもしれない。
タロット
占いに用いられるカード。
バレーボール
6人で大会に出られるスポーツ。その名称から球技であることが推測される。
はぐれメタル
なかなか作者の仲間にならないモンスター。速くて硬い。
ノートPC
持ち運べるパソコン。今の時代コレさえあれば何でもできる。
小枝(こえだ)
チョコ菓子。うまい。
ペサパッロ
フィンランドの国技。
マニラ
フィリピンにある都市。いつか行きたい。
お酢
すっぱい調味料。金属を溶かす。もちろん酢豚にも使われている。
声優
声だけで芝居をこなす役者。全員ブログをやっている。
受付
高校野球登録所の受付。ジャク商ナインにまんまと騙される。
リッツ
パーティーで食べる物。上に色々乗せても大丈夫。
シャンパン
パーティーで飲む物。アルコール入りと無しがある。入りを未成年が飲むと法に触れる。
ローストビーフ
うまい牛肉料理。
ものもらい
もらうと目が腫れる。
ポップコーン
飛び散るお菓子。
担当
原稿を運ぶ仕事をしている。普段は〆切の日になると現れる。
東京都・ののたん さん
『野の球』のタイトルが気になった。
静岡県・修斗大好き さん
作者の好きなキャラが気になった。
諏訪市・おにムカデ さん
「僕も修斗みたいになりたいのに、校長が野球部を廃部にしてくれません」
ランニングシャツ&ランニングパンツ
陸上部のユニフォーム。太もも丸出し・肩丸出しと露出度がかなり高い。
ドブネズミ
ネズミ目ドブ科の生物。
花粉症
目のかゆみ・鼻水・くしゃみ等の症状がある。
謎の陶芸家
未だ謎に包まれている。見た目は高校生くらい。
謎のフランクフルト屋
未だ謎に包まれている。見た目は高校生くらい。
ヌンチャク
中世ヨーロッパのヌンチャク伯爵が発明した武具。ブルース・リーがよく振り回している。
KARA
お尻を振ってる韓国人。
バタフライ
バタバタ泳ぐ泳ぎ方。
競歩
速く歩く競技。「だったら走ればいい」と作者に苦言を呈される。
購買名物コケモモジャムパン
ジャク商の購買で人気の商品。こだわりの自家製コケモモジャムがたっぷり塗られていてうまい。
ホワイトハウス
アメリカの大統領の家。驚くほど白いことからそう呼ばれている。金閣寺と同じ考え。
レンジ
正式名称「電子レンジ」。物を温める機械。チンという音がしイヤラしい。
マンドラゴラ
合成素材。
トカゲのしっぽ
合成素材。
作者
毎話ごと(毎球ごと)にコメントを残していく。野球大好き!