自分にとって本作は、ある意味ターニングポイントになった作品である。
当時あまりのつまらなさに、レンタルしてきたにも関わらず○ピーせずに返却した初めてのJMV出演映画になったのだ。

それから12年経った今観直したら果たしてどうか?
こんな夢のような恐いものみたさのような企画が図らずも実現してしまった。

まず判明したことは、当時はくだらないと感じていた演出が、実はすべて計算されたネタだったということ。
昔のMatt's dogにはそこまで見抜く力がなかった。この作品は実に良く出来た、マニア受けするコメディだったのだ。

JMVが登場するのは冒頭と終わり近くの刑務惑星(宇宙船)内のシーン。主演とクレジットされながらあまり登場しないのはJMV作品にはよくあることなのでファンには慣れっこだ。
否今回はよく働いてるほうだといえよう。事実この年は仕事が多かったためか、ちょっとやつれた感のあるJMVである。


で、この冒頭の宇宙船内を見たときに今回感じられたのは「これは60年代のSFを意識している。」ということ。
間違いなく
そのテイストは古き良きSF映画、というかSFテレビ映画!セット美術(あの自動ドア。その丸窓)、照明(あの色。そして人物ベタ明かり)、衣裳、音響効果など各部署が一丸となって60年代を再現している。

とりわけ音楽が最高だ。
JMVが死刑
囚コルをむやみに何度も殴りつけるところに、恥ずかしいくらいタッチをつけた効果音楽はこの推測が正しいことを決定付ける。

演出家は考えた。こんな低予算で普通に撮ってもただチープなだけになってしまう。それならいっちょ変わったことをやってやろうと。

それが見事成功している。JMVに迫られる美人女性クルーの胸空きコスチュームはその後出てくるハンターよりはるかに笑える。
やはり12年前とは観た印象が違
う。


その後もセリフや役者の所作で見事に笑わせてくれるフレッド・オーリン・レイはやはり奇才だ。

効果音がまた大袈裟でイイ。スタッフみんな真面目に貧乏を楽しんでいて素敵だ。
山小屋でドンパチやってる時の

「惑星間戦争の最前線だよ!」

というセリフがハリウッドの大作へのアンチテーゼともとれるくらいの名セリフ。

特筆すべきはこの作品、勧善懲悪ではない。
JMV演ずる主人公はセクハラもする
し、脱走した囚人を抹殺しにきたハンターは罪もない人間を殺す。
一方囚人の父親は
息子を助けるため危険を顧みず敵対するJMV側のアジトに潜入する。

この作品には正義が描かれていない。「敵には敵の事情があり、親子愛までも感じさせる」

そんな本作はハリウッドお得意の戦争大作より遥かにリアリティーがあり、訴えてくるものがある。アメリカ人の大好きな「正義」に頼らないSFアクション映画なんてこっこいいよね。

そして笑いの中にもキラリと光るブラックユーモア。やはり12年経って見直してみるとずいぶんと印象が変わるものだ。

さて本作におけるJMVは宇宙刑務所長役。

ビデオパッケージのように機械化された顔でもなんでもない。宇宙でも相変わらず襟は立てている。
ほんの一瞬だが
ライト○ーバーで戦うシーンはファン必見。

あとJMVはセリフを喋ったあとに鼻から息を抜くクセがあるが、カットバックなどの編集でこの鼻息がスパスパ切れるのが笑える。



どうしてこんなチープなセットにJMVが、と嘆くのではなく、往年の60年代のSFモノのTVシリーズにJMVが出たと思ってみて欲しい。実現不可能なことが実現したような悦びに浸れるはず。

え?なんでTVシリーズかって?
それは画質がい
かにも16ミリっぽいから。でもマイクシャドーが思いっきり入ってたりするのは。テレビフレームで観ているからかいな?だとしたらモトはビスタサイズなのか。もしやスーパー16?

とにかく笑える(ファミリータイズみたいに笑い声の効果音入れるとポイントが判りやすいんですけどねぇ)良い作品だ。

またオーリンレイ監督とJMVは次作「ドリームセメタリー・悪夢の情事」でもご一緒している。


余談になるがこのビデオの一番の見どころは、冒頭の「ハングファイヤー」予告編
JMV出演作品だが、「エイリアンネーター2」が始まってもいないのにそっちを観たくなってしまうほど面白そうな予告になっている。
あれを見る限り「ハングファイ
ヤー」はかなりの(劇場公開は当たり前!ってくらい)アクション映画に違いないと思わせてしまう。予告編の力ってすごい。