この作品について書くとなるとやたら前置きが長くなる。

ほとんど各地域で単館上映での公開ながら、アクション映画でスクリーンに帰ってきてくれたことは若輩者のファンにとって嬉しい限りだった。その数年前「エイリアンウォーズ」が単館公開されたときは見逃してしまったので何を隠そうこの「ネイビーフォース・テロリスト壊滅作戦」(以下ネビ作)こそ、私にとって初のJMV‘新作’劇場鑑賞だったのだ。当時大学生だった私は同期の女の子(M代さん)とその友人(A子さん)の3人で、新宿歌舞伎町のとある映画館に乗り込んだ。‘両手に花’状態で観るならもっと他にふさわしい映画もありそうなものだが、実はA子さんがJMVファンということで観にいったのである。その頃すでに周りではJMVファンの存在はめずらしかったが、とても綺麗な女性で、話してみるとこちらが圧倒されるほどディープなファンだった。当然恋人がいるかどうかなんて訊いちゃったりした訳だが、外国人専科ということですぐに諦めた(何を)。なんでも少し前まで付き合っていた彼氏はドイツ人だったそうで、JMVがドイツで人気あるというのもなんとなくうなずける。その後彼女とは二度と会うことは無かったが、できることならもう一度会ってみたい。


早くも脱線気味だ。しかし映画の思い出はその日のすべての出来事をひっくるめてのもの、だからこそ映画は映画館で、と思うのである。

その日の歌舞伎町の夜は少し小雨がパラついた。小さい映画館に入るとこじんまりしたコナーに「プログラムは御座いません」の張り紙が。残念無念。客は私達3人のほかにあと2〜3人くらい(それくらい数えろよ)。とにかく全部で7人もいなかったと思う。まあそれくらいのことは驚かないが、後ろを振り返って驚いたのは映写機からあるはずの投影が見えないこと。スクリーンの後方投影型なのか!?自分の見間違いなのか今もって謎である。ひょっとしてA子さんに夢中で少々おかしくなっていたのだろうか。


さてこの「ネビ作」原題を「DEADLY HEROES」という。断然原題のほうがかっこええと思うのは私だけだろうか。
実はこの作品、ある映画から派生してできたものなのだ。その作品の邦題は「シールズ・栄光の戦士たち」。チャーリーシーン主演の「ネイビーシールズ」とは無関係。


経緯を説明しよう。まずメナハム・ゴーラン製作、シモンドータン監督、そしてロブ・ロー、JMV、ゲール・ハンセンらの出演による映画がイスラエルでクランクインした。仮タイトルは「LION OF THE SEA」(海のライオン)。なんと魅力的なタイトル!ペルシャ湾沿岸を舞台にした海洋アクションだという。少ししてタイトルは「TEAM6」(チーム6)に改題され、その後「DESERT SHIELD」(砂漠の盾)に改題、毎月のように改題の情報がスクリーン誌に掲載された。しかしなんと撮影から暫くしたところであの湾岸戦争が始まってしまった。イスラエルにはスカッドミサイルが飛んできたりして撮影どころではない。湾岸危機を扱った題材はクランクアップより先に現実化してしまい、B級アクション映画では太刀打ちできないような迫力ある本物の空爆映像がお茶の間に毎日流れた。その後撮影中断に追い込まれた映画がどうなったか、情報を得ることはできなかったが、「シールズ・栄光の戦士たち」(以下シル戦)という映画が新作公開映画として挙がり、Mゴーラン製作、Sドタン監督、主演ロブロー、Gハンセンという布陣だったので、「おおっ!ついに完成したのか。しかしJMVのクレジットがないのはどうしてだろう?」と期待と共に一抹の不安。その不安は的中した。残念ながら「シル戦」には出演していなかったのである。そのあとすぐ「ネビ作」というマイケルパレ主演映画がやってきてピンときた。こちらはメナハムゴーランが監督だったことから推測は確信に変わる。


案の定「ネビ作」は「シル戦」のフィルムを使い回した姉妹作?だった。ミニサブ(小型潜航艇)の水中シーンやクライマックスの爆破シーンなど肝心なところは全部使いまわしだ。まあどっちもどっちというかちょいと「シル戦」のほうが先に公開されただけで「ネビ作」があり合わせで作ったというわけでもないけれど、どちらかといえば「シル戦」のほうが「トップガン」的なエリート学校の訓練ドラマなんかもあって良質な作品に仕上がっている。ロブローとGハンセンが罰として二人で頬を叩き合いさせられているシーンはなかなかの画だし、ロブローが助からないっつーラストもドラマティックだ。

もしも湾岸戦争が始まらず、脚本も書きかえられず、予定通りに「海のライオン」が完成していたら、JMVはロブローとどのように絡み、どんな映画になっていたのだろう。言いかえれば「ストリートオブファイヤー」か「セントエルモスファイヤー」か、っていう選択だね(違うってば)。