「入江省三の翔べ青春」のイリちゃんと一緒に、檜垣源之助&鉄心(沖さんの二役)&柴田恭兵さん演じる安を中心に語って行きます。未見だからついて行かれないとお嘆きのアナタは、イリちゃん書き下ろしの姿三四郎『パーフェクト・ストーリー』をご参照下さい。

*前回までの「姿三四郎」まつりはこちら
第十二話「男・その死」 1978年12月23日放送

『今日の檜垣』

一番弟子である源之助を無視したシーンが延々と続く前半、村井半助は三四郎を自宅に招待し、食事を共にする。
「姿君、君は強かった。闘ってみて、それが初めてわかった」
源之助が試合前にあれほど説得したのに、闘うまでわからなかったのか。
すっかり体が弱った村井は、自分は長くはないことを察知して、三四郎に乙美の秘密を託す。乙美は南小路子爵が小間使いの女に産ませた子だった。

三四郎は真崎(竜雷太)に頼まれ、刑務所から脱走した政治犯で、旧薩摩藩士の松本(片桐竜次)を鹿児島へ逃がす手助けをする。ここで三四郎も明治という動乱の時代に、政治の犠牲者となった一人であることが強調される。三四郎は薩摩藩に攻撃された会津藩の出でなので、当初は手助けを拒否するのだが、松本を妹に一目会わせたいという真崎の説得に翻意する。
ここで、源之助と三四郎が暗に対比される。島津藩の侵攻で支配下となった琉球で辛酸を舐めた源之助が、柔術をつかって政治の世界へ出て日本を変えようとしたことに対し、三四郎はあくまで武道家として強くなることだけを求めた。そして、村井半助も乙美も、その三四郎を潔しとしたことから、源之助の悲劇が始まる。

意識不明に陥った村井をみて、源之助は乙美に怒りをぶつける。
「だから、だから私が姿と立ち会うと言ったのだ」ここまでは良い。だが、
「あの試合で、姿は体の弱った先生を、容赦なくたたきつけた!まるで、猫が鼠を弄ぶように・・・先生をあんな体にしたのは姿だ」
と言ったのは余計だった。
「三四郎さんは、父の敵ではありません!」そう言い切った乙美にとって、源之助こそが敵に見えていた。
そして、朦朧とした意識の中で、村井は「姿君、頼む、乙美を」と呟く。愕然とする源之助。

源之助は、この回で高子も敵に回すことになる。好奇心の強い高子は、三四郎に同伴して松本の逃亡を助けようとするのだが、自分だけ迎えが来て連れ戻される。そして父に仔細を教えたのが源之助だったことを知り、高子の目にも彼に対する憎悪の目が浮ぶ。源之助にしてみれば南小路家に仕える者としては当然のことだったのだが・・・。

危篤の村井を優しい目で見守っていた源之助だが、ふと目を上げると「遺書」が置かれているのに気づく。急いで中を読むと、そこには「警視庁武術世話係」「姿三四郎」「推挙」という文字があった。
村井の危篤を知って駆けつけた三四郎の声を聞いて急いで遺書を隠す源之助に、さらなる悲劇が目に入る。それは、三四郎が来た途端、背中にしがみついて泣き出した乙美の姿だった。

『今回のツッコミ姿三四郎』 (イ=イリちゃん、マ=マフォン)

マ:観る度に泣いてしまいます、今回と次回は。村井の死ではなく、誰からも愛されない源之助が可哀想で。
彼が心配した通り、闘って村井は命を落とし、柔術は柔道にその座を奪われてしまう。

イ:今回は私控えめにしゃべりますよ(笑)。
マフォンさんが激情するのが目に見えてますから(笑)

マ:一番ひどいのは、流派の違う三四郎を警視庁武術世話係として推挙していたこと。これはひどすぎる。配役が逆だったとしても源之助に同情する(笑)

イ:配役が逆でも同情するというのは冷静ですね。

マ:確かに乙美にはちょっと言い過ぎた気はするけれども、源之助だって師匠が危篤になって感情が昂ぶっていたんだから、この位は許してもらいたいなあ。

イ:ぼくも、逆に、三四郎の背中で泣く乙美を見て三四郎を睨む源之助が、あまりにもカッコよく見えてしまいます。
憎しみの表情ってカッコイイものなんですね。ほんとちょっぴり沖ファンでもあるし(笑)

マ:憎しみの表情がカッコ良くみえるのは、沖さんの演技力と制作側の努力の賜物(笑)
源之助を悪役にしない工夫があちこちに見られます。
毒のある男ですが、悪ではない。自分の信念に従って生きた男だという演出がなされているので、憎しみの表情も小松方正さんのようにはならない(笑)

イ:矢吹やCAPでは見られない顔だからね(笑)
ですから最大の悲劇も見ようによってはお得ということで・・・

マ:沖さんがテレビに出てから、ほとんど初めての敵役だったんじゃないかなあ。恋の敵役というのはあったけど(笑)
ところで、自殺じゃないんだから、「遺書」じゃなくて「遺言状」にすべきだったんじゃない?

イ:よくそういうところ気がつきますよね(笑)。何回も見てるけど、初めて気がつきましたよ(笑)

マ:それはお互いさま(笑)。
イリちゃんこそ時間軸を逆算したり、脇役の人の名前を全部おぼえていたりするのがすごいですよ。サブタイトルの覚えかたまで伝授しているのは、もっとすごい(笑)
今回は高子嫌いのイリちゃんも、ちょっと彼女を見直したんじゃないですか?脱走犯に同情して、お財布丸ごとあげちゃうもんね。

イ:「ただし条件があるの」。このセリフは、ドラマの中でも現代社会でも大嫌いな言葉でして。
馬車を貸したいのならこんなこと言わずに貸せばいい。なぜ圧力をかける?

マ:あ、やっぱり嫌いでしたね(笑)。でも、高子は貸したいんじゃなくて、三四郎と一緒に連れてって欲しかったんですよぉ。圧力をかけないと連れてってくれないでしょ(笑)
当初の計画通りに馬車だけ借りていたら、検問で中を調べられちゃっていたでしょうし。意外と気が利く高子は、案外いい奴だと私は主張させていただきます。

イ:子爵に独断で、力を貸すというのは男らしくて好感です。それほど高子のこと嫌いじゃないんですけど(笑)。

マ:男らしくて(笑)

イ:一緒に行きたいのなら「条件」などと言わず、今度は逆に三四郎にお願いすればいい。そういう言い方ぐらいできるでしょう。

マ:お願いしたくらいじゃ「ダメです」で終りでしょう。三四郎は口数が少ないんですから(笑)

イ:会話の中に取り引きが見えるしたたかな女・・・こういう人に限って、恩に報いない行動をとると激昂する。
しかし、木訥な男から見れば、こういう言い方、言動は、恩というより圧力に他ならない。
期待通り行かないで激昂するのなら、一方的に期待しないでほしい。
あ、いけない。こちらこそ控えめになってなかった(笑)

マ:イリちゃん、なんか最近嫌な目に逢った?(笑)
高子はこういう愛し方しか出来ない女なんですよ。へつらうように育ってないんですから(笑)。
三四郎はそんな高子をわかってくれていると私は思います。しぶしぶながらも一緒に連れて行ったし、松本の逃亡を助けようとした高子の心意気はわかっていた・・・と思いたい。

イ:では控えめなツッコミその1。
村井さん、また食卓のシーンの後一気に目の隈が増えてるけど(笑)

マ:一気に具合が悪くなっていますね〜。その割に乙美は呑気でしたよね。
意識不明に陥って、初めて焦っています。この顔色みればわかっただろうって(笑)

イ:ツッコミその2。東天、外で大声で「逃がしたい」などとしゃべっちゃダメよ(笑)

マ:竜雷太さんの場合、声が大きいキャラというのは、どのドラマでもお約束だったようで・・・。

イ:その3。石山雄大さん、髭似合わない。

マ:ほらほらまた出てる、マニアな脇役の名前(笑)。オープニングでも出演者に役名がついていないから、誰が誰だかわからないですよ、「普通」は(笑)。

イ:最後に、片桐竜次さん。
呂九平や佐伯そっくり、派手な死に方だね(笑)。ご本人が希望出してるのかしら(笑)

マ:これもマニアでない方にはわかりにくいので、準マニアの私から解説させていただきます。
呂九平も佐伯も「大追跡」に片桐さんがゲスト出演した時の役名。
呂九平は『殺し屋に墓はない』の殺し屋、佐伯は『横浜コネクション』でヘロイン中毒になった刑事です。あの頃は痩せていて、超カッコイイです。

イ:でも、「・・・もした」は似合わないね(笑)。勝野さんのほうが似合いそう。

マ:薩摩人というと、骨太な体型を想像してしまうのは、私だけじゃないのね(笑)やっぱり西郷隆盛の銅像のせい?
確かに勝野さんは鹿児島弁が似合いそうな髪型(笑)

イ:松本の死は、そのまま村井の死の象徴なので、松本の長ゼリフを書いて、私も美しくツッコミを終わろう(笑)

『闘いの後はむなしさが残るだけだ・・・私の人生は闘いだった。殺伐とした人生だろうが、自分の理想に賭けた悔いのない人生だった。最後まで悔いのない闘いをしたい』

これじゃKIDの恭兵さんじゃないか。道理で好きなセリフだと思った(笑)

マ:そうなんだ・・・。私も少しKIDを勉強させていただきますね。かなり遅れ馳せながらですが。


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

この時期の片桐竜次さんは、蜂の巣になる役が多かった?!


第十三話「決闘」 1978年12月30日放送

『今日の檜垣』

放送日には沖さんはパリの旅人となっていた、12月30日の放送。

村井半助の葬式に一番弟子として座る源之助だが、矢野と三四郎が弔問に訪れると表情が一変する。
焼香をしようとした三四郎に「やめろ!」と大声を上げ、講道館からの花を花瓶ごと床に叩き付ける。
「私は良移心當流の後継者として、二人の弔問を拒絶しているんだ!」
だが、乙美はそんな源之助を咎める。父は三四郎が来てくれたことを喜んでいる、父を悲しませることだけはやめてくれ。
その乙美の言葉は、源之助が良移心當流の代表として発言することを拒むものだった。
「姿・・・!」憎悪の目で三四郎をみつめ、葬儀の場から立ち去る源之助。

悪いことが悪いタイミングで起った。
家路へ急ぐ源之助の足元に、馬車の跳ね上げた泥水がかかる。彼は怒りに任せて馬車を止め、「書生ごときが」と胸を杖で突かれたために、馬車の中の男を投げ飛ばしてしまう。だが、その男は首相の甥だった。

源之助のために三四郎との試合をセッティングしていた南小路子爵だが、このことで源之助を解雇する。
火鉢の前に座って腕を組み、震えながら涙をこぼす源之助。
こうなるには源之助にも原因があったかも知れないが、あまりに周囲の人が源之助に冷たい。どこか自分に似ている気がして、放送当時も今も涙が止められないシーンだ。
日景氏が一番沖さん自身に似ているキャラクターとして挙げた檜垣源之助。沖さんは源之助と違って沢山の人に愛されてはいたが、源之助と同様、彼を本当に理解してあげられる人はいなかったのかも知れない。

源之助は三四郎に果し状を送りつける。そこには、
「公開の場において試合わざるは、生死を決せんが為なり」とあった。
周囲から理解されて愛されている三四郎だが、その誰にも挨拶をせずに源之助との決闘に赴く。彼は「闘いを挑まれれば、とにかく勝ちたい」とだけ考える男だった。

十二月二日正午、右京ヶ原。柔道着で待つ三四郎に、源之助は羽織を脱ぎ捨てて走り寄った。
山嵐を押え込み、逆さ十文字をかける源之助。
『死ぬのか、俺は・・・』意識が朦朧として目を閉じる三四郎。勝利を確信した源之助だが、とどめを刺そうとして「死ね!」と叫んだ瞬間、その腕が払われ、逆に山嵐がかけられる。
宙を飛んでそのまま倒れる源之助。立ち上がるが、額には血が流れている。さらに組みかかるが、彼には二度目の山嵐に抵抗する力はなかった。もう一度飛ばされて再びよろよろと立ち上がったものの、その場に崩れ落ちる。

津久井に抱き起こされた源之助は三四郎を呼び、
「俺は負けた。お前に負けた。俺にはもう、何も残ってない」
と呟く。
乙美を連れてその場に来ていた真崎が、姿も全てを捨ててこの試合に挑んだのだと源之助に教えるが、源之助は「もう、行ってくれ」と力無く言い、激しく咳き込むだけだった。
乙美はそんな源之助の怪我を心配する様子もなく、そのまま旅に出る三四郎の後ろ姿を見送っていた。

『今回のツッコミ姿三四郎』 (イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

マ:源之助と津久井の稽古の様子はすごいですね。
引いたアングルだからスタントなしで二人がやっているのがわかります。この練習だけでも撮影に時間がかかったんじゃないかな。
中庸次さんは武道の心得があるとは思えないのですが。

イ:二人の手合いシーン、大好きですよ。
カッコイイですよね、良移心當流は、練習風景も。
最終回の二人の練習風景が特に好きなんですけどね。
それに比べて紘道館は・・・もたもたしてるなあ(笑)

マ:柔道着が良移心當流の方がカッコイイということもありますね。
講道館は今の柔道着と同じだから襟元が崩れやすいし、足が短く見えるのよ(笑)
そのカッコよさのせいか、今日の高子は優しいです。源之助が南小路家をクビになった時には驚いて「お父様!」と引き止めようとしてくれますから。
源之助の味方は津久井だけだったので、とりあえず彼女も心配してくれて、嬉しかったです。

イ:源之助も不運でしたね。投げたのが黒田清隆の甥だなんてね。
だけど、源之助が冷静だったら、泥をはねた責任は、客ではなく馬車引きに 文句を言うべきだったと気づいていたでしょうね(笑)

マ:そ、それはそうですが・・・やっぱり杖でこづかれたのが引き金になったのでしょうかね・・・と、さりげなく源之助をかばう(笑)
でも、源之助も優しいところがありますよ。戸塚楊心流が都落ちしようとするのを引き留めようとします。

イ:それにしても、三四郎はナイスタイミング(笑)
ちょうど二人が話しているところに来るんだもん。

マ:そこがドラマのお約束。
まあ、三四郎は見てしまってショックを受ける訳ですから、ナイスというよりバッドタイミングですが、そこもお約束ですね。
決闘した右京ヶ原って東京から近いんでしょうか。乙美が手ぶらで追いかけて来て、試合前に到着しているけど。

イ:右京ヶ原は、都内らしいですよ。しかも下町あたり。
ですから、あの到着は間違っていないですね。風景がガラッと変わるから、考えにくいけど(笑)

マ:へーえ、都内なんだ。見渡す限りの草原なのに。
沖さんが俺天の番宣でワイドショーに出られた時にこのシーンも流れましたが、流れている間に司会者にロケ場所をきかれて「御殿場です」と沖さんが答えていました。
当時は御殿場には手ぶらで駆けつけられないですよね(笑)

イ:ロケ場は御殿場だったんですか。みんなでみそ汁か何かを飲むスナップ写真がありますよね。

マ:え、何それ?持ってないですよ。(突然源之助口調になって)見せなさい!(笑)
そういえば、その番組の司会者に「受け身がとれなかったのか」と聞かれて、
「いえ、受け身をとれない技をかけられたんです」
と沖さんが答えていらっしゃいました。
わーっ!と投げられて飛ぶ源之助に、スタジオのファンが大笑いしていましたが、確かにあれは飛びすぎです。
スーパーマンが飛んでいるみたいだったもんんね(笑)

イ:私も子どもに見せたことがありますが、大笑いしてました(笑)
源之助が一人立って、雲が流れるカットがありますが、あれ、映画意識してますよね。

マ:やっぱり子供にも笑われちゃうんだ〜。
飛びかたが不自然ですから仕方ないですが(笑)
雲が流れるカットはいいですね。三四郎にもサービスカットをあげないと、何だか申し訳ないようなサービスです。

イ:それにしても、こんな目印のない草原で、二人はよく会えたな(笑)

マ:果し状には「場所 右京ヶ原」としか書いてなかったですからね(笑)
決闘の前の構えも、源之助は仮面ライダーみたいでした。手を大きく回してから構える。走り寄る時も、不思議な構えをしたまま走っています。
それに比べると、三四郎は地味だなあ。

イ:鉄心とはまた違うんだよね。津久井も真似してない。
源之助専用の威嚇のポーズですね。

マ:三四郎は構えが地味なのはともかく、草原を向かい合って横に走るシーンがあるでしょ?
あそこで三四郎は時々足元を見る。あれはバツですね。源之助はしっかり三四郎だけをみつめて走ているのに。
確かにあんなに草が生い茂るところを横向きで走ったら足元が危ないですが、そこは勝野さんにも役者根性を見せて欲しかった。あれ、またエコヒイキかな?

イ:あのシーンは有名だけど、確かにそのとおりですね。
あのままもう少し走り続けていたら、向かい合わなくなってしまうでしょう(笑)

マ:源之助が前に進みすぎちゃってね(笑)。
逆さ十文字がうまくかかってあと少しという時に、源之助がニヤリと笑いますよね。私は今でも忘れません。母と本放送を観ていたあの瞬間を。
母は「ここで油断するのがいけない」と言って笑ったんですよ。いくら勝負はわかっているとはいえ、ぐやじ〜

イ:笑わなくてもいいシーンですよね(笑)

マ:何もかも捨てて立ち去る男、その後ろ姿をみつめて涙ぐむ女。こういう構図は今のドラマでは成り立たないでしょうね。
男は泣き、女は「ついて来ないでくれ」と言われても追うでしょう。

イ:試合前の「私死にます」は、2回目ですね。
乙美もけっこうストレートに物を言うようになりました(笑)

マ:高子より直球勝負なところがあります。ここがまた可愛いんですね。
そういえば、桧垣の自宅、ありましたね。床の間なんか綺麗に飾ってある。
あれ、これは宿に泊まっているのかな?

イ:宿でしょうね。例の水車小屋を見つけるまで(笑)

マ:南小路家を出た時、小さいけど鞄を持って出ているから、やっぱりそうか。水車小屋はまだ出て来ないですよ(笑)

イ:「これで私は何もかも失った」
やっぱり源之助は、泣くほど悲しかったのですね・・・

マ:あの泣くシーンを入れたのも、源之助をただの仇役にはしない証拠ですね。
仇どころか源之助が主役になっているようにすら思える時がある(笑)

イ:大丈夫。三四郎は、「誰を中心に見るか」によって、主役は自由(笑)
まあ、安は無理ですが(笑)

マ:安も源之助ばりに着物と羽織が似合うシーンがありますよね・・・あ、あれは「澪つくし」だ(笑)

イ:ぼくも源之助中心ですよ。ただ、鉄心中心に見たことはないけど(笑)
だから、あの夕日のシーン!大好きなんですよ。

マ:夕日をバックに立ち去る源之助を「先生!」と津久井が後を追いますが、すぐに失速します。画面から切れたところで沖さんが止まっていたのかな(笑)
いけないいけない、どうも物の見かたがよじれて来た(笑)

イ:津久井の「先生!」は、恭兵さんの「しのぶちゃん!」に匹敵するんじゃなかろうか(笑)
野太い声で、けっこう目立ちます。
あ、矢野の名ゼリフ
、 「勝負は、柔道というものの大きな流れの中の一つの事件にしかない」
も放っておかないで!

マ:「しのぶちゃん!」って言っても、もうわからない人もいるかも知れないですよ(笑)
この回はいつも源之助と一緒に動揺して観てしまうので、何気なく聞き流していましたが、言われてみれば「姿三四郎」という物語の主旨を簡潔に表現していますね。
三四郎は「闘いを挑まれればとにかく勝ちたい」し、源之助は柔道をステップにした違う流れを求めていた。それを矢野先生が諌めたのでしょう。二人ともなかなか学ばないけど(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

人間をあんなに飛ばせるのなら、砲丸投げの選手にもなれた三四郎。
あれだけ飛べるのなら、体操の選手にもなれた源之助。



第十四話「宿命」 1979年1月6日放送

『今日の檜垣』

水車小屋で寝ている源之助。そこへ肉を買ってきた津久井譲介(中庸次)が入ってくる。
源之助は喜ぶでもなく、「私は君にとって何の価値もないはずだ。なぜ私を見捨てん」そこまで言って咳き込む。
譲介は、「先生はこのまま終わる人ではない。ぼくは待ってます、先生が立ち上がるのを」と優しい。

再び一人寝ている源之助。
そこへ今度は、九州からはるばる鉄心(沖さんの二役)・源三郎(石橋正次)という、二人の弟がやってくる。
いかにも粗末な格好だ。源三郎は小柄で長髪、鉄心はヘアバンド(?)をし、髭を生やしている。
しかし、見舞いに来たのかと思えば、荒々しい声で鉄心は、見舞いに来たのではないと言う。
鉄心の言葉遣いを聞くと、源之助の大人っぽさが改めて分かる。
源三郎のほうは、山育ちでろくに言葉がしゃべれないらしい。
「これが柔術天下一といわれた兄貴の姿か」と鉄心。
どうやら二人は、兄の源之助に、見捨てて島を出て行ったという恨みを持っているみたいだ。
「三四郎・・・殺す」。片言の言葉でそうつぶやくと、源三郎は奇声をあげながら石の置物を割った。

『今回のツッコミ姿三四郎』 (イ=イリちゃん、マ=マフォン)

イ:ついに、今回から、鉄心・源三郎が出てきますね!
どうも沖さんの鉄心はあまり似合ってないと思うのですが、マフォンさんはどう思ってましたか?

マ:沖さんは鉄心を演じるには品が良すぎますね。源三郎と同じ家庭の育ちなのに、どうして鉄心はこんなに山奥の田舎者風なんだろう。源之助が子供の頃までは、琉球が薩摩に支配されていなかったので、空手の師範の息子として上品に育ったとか・・・。原作にない膨らみを持たせる視聴者(笑)。
鉄心だけ「源」の字が入っていないから、養子なのかも知れないと思ったのですが、その割には似すぎている(笑)

イ:それから、東天の計らいで、高子と乙美が田川で出会うことになりますが、ここで、特殊撮影(高子と乙美がテレビ画面の左右に並ぶ)が初めて行われますね。
沖さんより、竹下さんが先でしたね。

マ:先を越されました〜。 あの特殊撮影は画面に二人も沖さんがいて嬉しいのですが、どちらも見逃さないようにすると、目が離れてしまいそうです。

イ:水車小屋なんですが、なんで鉄心と源三郎は、この場所を知っているのでしょう?
ここは源之助の「新居」なのですが(笑)

マ:「新居」というと新婚さんみたいですね。甲斐甲斐しく世話をする津久井を見ていると、そんな気もして来ますが(笑)。
源之助が三四郎に負けたことを知って二人は上京したのだとしたら、情報が早いのにもオドロキ。
テレビもネットもない時代に、しかも沖縄から来て、よく迷子にもならずに源之助の元にたどり着けたなあ。

イ:あの水車小屋は、よく見ると、大きさといい、峰の薬師の山小屋にも似てなくもない(笑)

マ:セットの使いまわし疑惑は、初期の試合会場にも感じられるんですが(笑)

イ:さて、100年の旅に出た三四郎ですが(笑)、すでに今回の冒頭で半年経っていました。

マ:今回はイリちゃんが全体の担当になっているから、話をきちんとまとめようとしている(笑)

イ:三四郎の思い出話をするお吟と安。
それを聞く紘道館の連中はかなり悲しそうなのに、安とお吟は妙に楽しそうです。

マ:いつの時代もラブラブな二人というのは、周囲の空気が読めないものなのね(笑)。
ところで、オープニングに荻野目慶子さんのお名前がありますが、あの荻野目慶子さんでしょうか?どこに出ているかわかります?

イ:たぶん三四郎がいる最初の旅館の娘だと思います。
住み込む先々で絡まれる三四郎。「大野圭太郎」という偽名を使ってもバレてしまうのは、やはりルックスに問題があるのでしょうか(笑)

マ:どういう問題でしょうか(笑)
言い換えれば、それほど三四郎は有名人になっていたということですね。今でいえばボブ・サップとか猪木みたいなものでしょうか。ルックスでばれすぎる喩えではありますが。

イ:2軒目の家で、資金集めのため放浪していたという東天と偶然会いますが、今回は山の中。東天とは、東京においても他の回で出会うことが多し。
私は、昔から、右京ヶ原のあと、「東天尾行説」を唱えているのですが(笑)

マ:どこで唱えているんですか(笑)
ある意味東天にとって、三四郎は金づるです。いつだって三四郎のおかげで飲める環境が出来上がっちゃう。

イ:そのあとの、「姿君、今晩は飲み明かそう」は、東天の名ゼリフというよりも、口癖(笑)

マ:いつも言ってますよね、すごく嬉しそうに。

イ:戸川組のヤクザに銃で撃たれ、三四郎は崖下に転落。良作に助けられるが・・・一言。
峰の薬師や梅の台地に匹敵するほどの高さがあったんですけど!(笑)

マ:天才的に受け身がうまかったのでしょう(笑)。ま、これも「主役は死なない」というお約束ですよね。
それにしても、戸川組は「太陽にほえろ!」でも常連。息の長い組だなあ。明治の創業だったのか(笑)

イ:やっぱり日テレ派閥のファンは「戸川組」に反応するのですね(笑)
「まあ、あなたに話してもわからないだろうが」。三四郎に柔術の話をする良作。
ヤクザさんたちは一発で三四郎を見抜けるというのに、なぜ元戸塚楊心流の良作は三四郎を知らないのでしょう(笑)

マ:ぷぷぷ・・・好きです、そういうツッコミ。

イ:そして3軒目の良作の家も飛び出して、木島太郎と山道で偶然に遭遇。いい加減にして!(笑)

マ:柔術界の「冬のソナタ」状態です。偶然が多すぎる。

イ:その木島から、「強い者が負わないといけない宿命」について問いたださ れる。
「良作に本性を明かさず戦わないのは、良作を侮辱するのと一緒だ。戦ってやってくれ。情をかけるな!・・・私は柔術を捨てたりせん!」
感動だなあ。

マ:戦わないと、逆に礼に反する。そして、戦うなら本気で戦わなくてはいけない。それが強い者の宿命だというのが今回のテーマですね。それは、戦う気力を無くしている源之助のことも暗示しているのかも知れません。


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>


どこに潜んでいても、すぐにみつかる三四郎と源之助。
そして、それに疑問を抱かない二人。



第十五話「出発(たびだち)」 1979年1月13日放送

『今日の檜垣』

一年の放浪後、東京へ帰って来た三四郎。乙美の顔を一目見てからすぐに、 檜垣源之助の住まいを尋ね歩く。
やっと探し当てた水車小屋にいた源之助は顔色も悪く、寝床で津久井の作った食事を食べているところだった。
「あきれたか。貴様に投げられてからずっとこのざまだ。あの時、日本一の柔術家、檜垣源之助は死んだ。ここにいるのは、抜け殻だ」
投げやりな言葉に当惑する三四郎に、源之助はさらに追い討ちをかけるように言い放つ。
「貴様は強い。あれ以来、貴様の強さが俺の両肩にのしかかって離れん。負けるってことは、本当に負けるってことは、そういうことだ」
柔術をやめない限り三四郎の強さの呪縛から逃れられないという源之助に、 津久井は失望して暇を告げる。
「先生はもうだめだ!」
尚も源之助を気遣う三四郎だが、逆に源之助は、自分の弟たちが三四郎の命を狙っていると警告する。

その頃、当の鉄心(沖さんの二役)と源三郎(石橋正次)は、講道館で三四郎を探していた。
いきなり道場へ来て暴れて「ハ〜ッ!」と奇声をあげる鉄心。礼をしろと忠告する門人たちに「檜垣流に礼はない」と言い放つ。
矢野(露口茂)が三四郎は旅に出ていると言うが、鉄心はなおも試合を望む。礼を尽くさない者は武人とは呼ばない、と矢野が諌めるが、鉄心は「何を気取ってるんだ、バカ!」と無礼極まりない。さらに源三郎も奇声をあげて天井やら壁やらを砕いてしまう。さすがの講道館門人も、恐れおののくばかりだ。
矢野も「道を知らず、人間を知らず、死を知らぬ者は怖い」と、彼らを怖れる。

四天王の一人、壇(片岡五郎)にアメリカ公費留学の話が持ち上がるが、壇は門馬の娘・お澄(志穂美悦子)との結婚を望んでおり、道場を閉めたくないお澄は彼に同行することを迷う。
そんな時、 三四郎が門馬道場に行ったことを聞いた鉄心らは、早速出向いて、お澄を説得していた津崎(森大河)を、いとも簡単に倒してしまう。

怖がる道場の子供たちを守ろうとするお澄だが、鉄心は「フン!」とあざ笑うばかりだ。女とは闘わないという鉄心に、お澄が「おだまりなさい!」と言うと、無礼だとばかりに、源三郎がお澄に飛び蹴りをする。
そこへ虎之助から話を聞いた三四郎が駆け込んできた。構える鉄心と、受けようとする三四郎。そこに声がした。
「そこまでだ、鉄心」
安から知らせを聞いた源三郎も道場へ駆けつけたのだ。

「兄貴でも邪魔はさせん。失せろ!」
兄にも無礼な口の利き方をする鉄心。その時、源之助が意外なことを口にする。
「ここの道場主は私だ。どうしてもやるというのなら、私が相手になる」
向き合う二人。左右に沖さんという最高のツーショットだ。
「わかった。今日のところはな」
さすがに組み合って闘う合成は出来ないのか(そういうことじゃない)、弟たちはひとまずその場を去る。
せっかくだから本当に道場を継いでもらいたいという三四郎だが、
「弟を人殺しにしたくない。それだけだ」と言う源之助。
「これ以上私に恥をかかしたいのか。自分のことだけ考えろ。あの弟たち、今度は止められるかどうか、わからんぞ」

乙美は三四郎に頼まれて源之助の元を訪ねる。
「乙美です」
その声を聞いて飛び起きた源之助の顔は、驚きと喜びに満ち溢れた切ない表情だ。
だが、それはすぐに不安と困惑に変り、声に出した時には「何の用です」という素っ気ないものになっていた。
先生は私を嫌っていたという源之助に、乙美は「おぼえていますか。島から出て来た当時、がむしゃらになって父に向かって行ったあの頃のことを」と、初心に帰るよう戸の外から説得を続ける。
「父の遺志は、あなたに良移心當流を継いでもらうことでした。講道館以上のものを創ってもらうことでした」
そう言って「良移心當流柔術指南」の門札を置いて帰る乙美。下駄の去る音を聞いて慌てて外に出た源之助は、静かに門札を手にする。

門馬道場へ行き、窓からお澄にかかって行く子供たちの姿を見る源之助は、自分が村井の元へ入門した当時のことを思い出していた。
「先生、私は強くなりたいんです!島の人たちに夢を与えてやりたいんです!我々だって本土の者に負けないんだと」
若い源之助の声が彼の胸に去来し、子供たちへの言葉が口をついて出る。
「腰だ・・・腰をもっと落とせ!・・・そうじゃない、右へ廻るんだ!」

正式に門馬道場を継ぐことになった源之助は、道場を『生々塾』と名付け、門人となった水車小屋の主人の若者に稽古をつけている。嬉しそうにそれを見守る三四郎と津久井。
津久井は弟子には戻らず、自分なりに三四郎を倒す方法を探すという。三四郎も源之助をみつめ、「負けやせん」と呟くが、その目は決闘をした時とは違う、温かい眼差しだった。

以前の強さのない源之助、乱暴者の鉄心、そして希望に溢れた若き源之助と、沖さんの声の七変化が楽しめる。これだけ声を分けられるとは、さすがだ。若い源之助は声だけなのに、初々しい雰囲気がきちんと出ている。

だが、今回の私のお薦めは、何といっても乙美の声を聞いた瞬間の源之助の表情だ。信じられないという顔から、切ない希望を込めてぱっと開いた目に変り、そして彼女に会うことに対する不安と困惑の表情が現れる。一瞬のうちにそれを表現している沖さんは、私が当時思っていたよりもずっと名優だったようだ。何とも言えない愛おしい表情をした源之助に、ますます肩入れしてしまう。

『今回のツッコミ姿三四郎』 (イ=イリちゃん、マ=マフォン)

マ:冒頭からツッコミ甲斐のある外人が登場しますね。いくら明治時代の外人だからって、モーツァルトみたいなかつらを被ることないのに。

イ:ツッコミ甲斐があるって・・・。ここはすんなり流そうかと思っていたのに・・・(笑)
布引が初登場しますね!

マ:江幡高志さん。何気に沖さんと共演が多いんですよ、この方。英語がペラペラなんていう役は初めてですが(笑)。
また偶然。広い横浜で一年ぶりに高子と再会する三四郎ですが、二人ともそんなに驚いていませんね。

イ:100年の旅ねえ・・・(笑)。それから、三四郎は13話から北上してたはずなんですよ。なんで横浜なんだろ。上野を通ったんじゃないのか(笑)

マ:車屋の仕事をみつけるには、やっぱり都会の方が良いと考えたんじゃないですかね。
安も源之助の住まいを易々とみつけています。みんないい探偵になれる(笑)
「桧垣!」と飛び込んで来て、顔を見た途端に「桧垣さん」になる安。腕を折られた後遺症は大きい(笑)

イ:安のこの言い方も、源之助の変身ぶりを暗示しているのでは思うんです。もう敵には見えないというような。後遺症だなんて(笑)

マ:そうか、あれは親愛の情を示していたんですね。講道館へ行かないで源之助に助けを求めに来たのは、源之助の弟たちが暴れていたということもあるけど、以前の源之助のままなら助けを求めなかったでしょうから。兄弟三人揃って大暴れのキングギドラ状態になっていた(笑)。
源之助に以前の激しさがなかったのでしょうね。
三四郎がいたという虎之助の声に、外に飛び出した門人たち。門のところへ来た時には、安が先頭に立っています。四天王は足があまり速くないのか(笑)。足腰は車屋の方が鍛えてあるのね。

イ:いや。大追跡をやってしまった。ゴメン。

マ:大追跡をやってしまったのなら、いつの間にか源之助も横を走っていそうだ(笑)
「相変わらず人気なんだなあ、三四郎って」という安の台詞に、大きく肯いてしまいました。帰って来たというだけで、乙美もたつみ屋も講道館も、それぞれ豪華ディナーを用意してお待ちですからね〜。
私個人は、鍋よりたつみ屋のお刺身がいいなあ。三四郎もそう思ったのか、結局たつみ屋で食べたみたいですね(笑)。

イ:乙美の「誰のところへ先へ行こうと、そんなことどうだっていいんです」は、私の大好きなセリフ。
偉いねえ、乙美ちゃんは。それを「ひとりよがり」だなんて、ひどいねえ・・・いけない、お仙になっちゃう(笑)

マ:お仙(夏桂子)の言い分もごもっとも。全然話もしないし、ずっと逢ってもいなかったのに、心が繋がっていると確信できる二人は素晴らしい。そんなに相手のことを信じられるなんて。

イ:結局、三四郎がどこに帰ってきたかシーンを作らなかったのは、脚本の技でしょうね。高子も作れよ!

マ:高子は横浜で再会した時に、何かご馳走したんでしょう。我ながらすごい深読み(笑)

イ:語尾の「いいんです」は、すっかり乙美の代名詞になってしまいました。

マ:そうそう、よく言ってますよね。ちょっとすねたような仕草になっているのがキュート♪
たつみ屋でも待っていたのに、なかなか三四郎は帰らなかったですね。お吟(長谷直美)の「食べちゃおうか」という台詞の後、安の台詞を待たずにカットになっていますね。食べたのかどうか気になってしまいます。

イ:食べてます。滝結コンビだから。

マ:やっぱり(笑)。
三四郎と乙美は、今のギャル(死語?)には信じられないでしょうね。
一年ぶりなのに「おかえりなさい」「帰ってきました」「じゃあ」「はい」で別れちゃう。

イ:最高の帰り方だと思っています。
こういう帰り方は、乙美のような女性にはホロッと来るのではないでしょうか。三四郎がねらったとは思えませんが(笑)

マ:ねらっていたら怒ります(笑)
津久井譲介の献身ぶりも素晴らしいというか、いい奥さんになれるというか。
「煮しめ、ちょっと硬かったですか」ですもんね(笑)

イ:「先生!」という声の太さや目つきとは全く似合いません(笑)

マ:すっかり弱ってしまった源之助は、顔も真っ白。わざとドーランを塗らなかったんですね。素肌がきれいですこと(笑)。しかし、弱ってしまった割には食べっぷりが良いです。

イ:「ただし、五体には何の問題もない」。このセリフの後ろ盾でしょう。

マ:単にお腹が空いていただけかも知れませんが(笑)。
ところで、鉄心が「九州から出て来た」という台詞がありますが、沖縄じゃないんですかね。沖縄と言ってもわからないだろうと思って、天気予報みたいに「九州・沖縄地方」ということで一括したんでしょうか。それとも、いったん九州へ出て修業を積んだのかな。

イ:鉄心・源三郎は、源之助から、見捨てられていく代わりに、九州内に道場をあてがってもらっていましたからね。

マ:知らなかった!それで納得。家畜の餌を食べて飢えをしのいでいたわりには、道場なんて持っていたのか〜。九州に出てから、ある程度地盤を固めていたのね。

イ:それより、「(三四郎が)戻ったという噂を聞いて・・・」という鉄心のセリフ。
やっぱり、この男、情報通だな(笑)

マ:ホント、どこで聞いたんでしょうね、その噂。講道館の門弟たちも知らなかったのに。
しかし、今回何といっても驚いたのは、矢野先生の「兄貴?すると」と言って驚く台詞。一目みれば源之助の弟だとわかるでしょうに(笑)。ファッションの趣味が変わった源之助と思っても不思議ではないほど酷似。当り前ですが。

イ:それほどファッション感が違ったんでしょう(笑)、文明開化の東京と九州では。

マ:矢野先生の横分けは文明開化の音がする(笑)
鉄心のあの服は、いかがなものでしょう。毛皮のベストの下はグレーのおじさんズボンにしかみえなくて、なんだかずんぐりしています。極めつけは地下足袋。

イ:原作では、源之助と対照的な力戦型の柔術家だったので、ごわごわさせたのではないでしょうか。
それより源三郎の手。暴れる前は、いつも律儀に両手を帯の前に入れています。

マ:あれは意味があるのかな?
お澄の道場では、虎之助が鉄心にいきなり蹴られて、廊下を滑ってますね。
「お?!」と振り向く津崎が面白いです。笑うシーンじゃないんだけど。

イ:私が笑ったのは、その前の「たいして違わないじゃないか、壇さんと」という虎之助のツッコミ。

マ:女に関しては虎之助の方が上手だったのかも(笑)

イ:そして、固まりすぎてる心明活殺流の子どもたち(笑)

マ:「えーんえんえん」という、昔気質な子役の泣き方を踏襲してくれています。
いつも思うのですが、「講道館四天王」をもっときちんと紹介して欲しかったです。きちんと描かないから、キャラが生きて来ない。今回、やっと壇の結婚話で朴訥な壇と津崎が描かれますが、もっと前に伏線を張って欲しかったですね。

イ:津崎の「お前、前々から世界に柔道を広めたいと言っていたじゃないか」は、突然すぎますよね(笑)。お澄のことも。
それまでに何話かでほのめかすチャンスはあったと思うんですけど。
しかし、繰り返し描かれていたのは、詩吟(笑)。そして今回も披露(笑)

マ:壇の詩吟好きは、披露されている割にはフィーチャーされませんでした(笑)
乙美の「父の遺志はあなたに良移心當流を継いでもらうことでした」という台詞はどうですか?私には、すぐに信じる源之助が、やっぱり惚れた弱味としか思えないです。彼は村井の遺言状を読んだはずなのに。

イ:いえ、私はここはいつも泣いて見てます。ツッコミなしです(笑)。「愛のテーマ」も追い打ちをかけます。

マ:ツッコミというより、源之助の乙美への愛の深さがわかるシーンということで、私は泣いてしまうんです。泣きどころが違いますね(笑)
初めて歩み寄って来た乙美の言葉。それがどんなものでも、源之助には信じたいものだったのですね。

イ:私は、この15話(たびだちと読むのもポイントですね)、大好きで。
辰吉の「人はみんな2番目3番目の幸せで生きていく」など、生き方の指針を、この一話でかなり教わりました。
三四郎や源之助の葛藤など、KIDの芝居に似ているところもあるんです。

マ:この「一番がだめなら二番目、それでもだめなら三番目」という台詞は、この回の源之助の出発を暗示してもいるのでしょう。それでも源之助には一番になって欲しかったですが・・・。
安とお吟の「なまなまじゅく」「バーカ!せいせいじゅくって読むのよ」「出来た女房だこと」は、滝本と結城の大追跡コンビを思い出させます。
源之助にはあんなひどい目に合わされたのに、道場を訪ねている安はいい奴だなあ。

イ:やっぱりこの2人が刑事として横浜に行ってたとしても、三四郎は見つけられな かったんだろうなあ(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>


森鴎外ですら単身留学の時代に、壇はお澄も連れてアメリカへ行くのか?



第十六話「スパアラ」 1979年1月20日放送

『今日の檜垣』

芸者になろうとする乙美のために、三四郎はアメリカのスパアラ(ボクシングの前身)のチャンピオン、ウィリアム・リスター(ジェイソン・テラー)と試合をすることになる。
賭け試合をしたとなれば、講道館を永久に追放される。安や講館四天王は頭を抱えるが、それを知った源之助は試合会場に赴き、自分が姿の代わりに試合をする、と申し出る。
コミッショナーの布引(江幡高志)は、実力ナンバーワンの姿三四郎だからこそ客が呼べるのであり、源之助ではお話にならないと軽くあしらうが、机を勢いよくひっくり返した源之助は、いきなりリスターに突きをお見舞いする。
挑発に乗ったリスターと源之助が向き合って一触即発になった時、三四郎が飛び出て来た。

外に出て三四郎に理由を尋ねる源之助だが、三四郎は「金のためだ」の一点張り。

「姿、講道館に戻れなくてもいいのか。俺がなぜ貴様の厚意を受けて生々塾を開いたのかわかるか。貴様の講道館柔術と俺の柔術を、最後まで競わせたかったからだ。俺は貴様に負けた。しかし俺は、たとえ俺は駄目でも、俺の弟子で、俺の柔術で、いつかは貴様を凌いでみせる。そう思えばこそ!」

頑なに拒む三四郎に何かを感じ取った源之助は、リスターの足に気をつけるようにとだけ助言をして、静かに去る。

今回の源之助の出番はこれだけだが、三四郎に心を開き始めた源之助の変化がよくわかる回。

『今回のツッコミ姿三四郎』 (イ=イリちゃん、マ=マフォン)

マ:まず、高子がいると布引に言われて、のこのこ出向く三四郎はどうですかね。高子と一緒にいると、いつもロクな目に合わないのに。乙美の姉とわかったから、何となく無視出来ないのでしょうか。

イ:そういえばそうですね。そのシーンがないのも、ズルイといえばズルイ(笑)

マ:最初にリスターと試合をする関根という柔術家の付き人は、大追跡でもお馴染みのエキストラさんですね。何度観ても顔を覚えられないというのは、エキストラとしては重要なことかも知れない・・・。あとで真崎と乙美が三四郎と道で出会うシーンでは、往来を何度も行き来してます。おっと、また画面の隅をつつくようなツッコミでした(笑)

イ:関根の付き人・・・覚えてません(笑)
見直したんですけど、大追跡では早速1話に出ていた人のことかな?

マ:それそれ!洗面台を片づけている人(笑)

イ:それより、審判(&司会(笑))の人は、柿沼大介さんですね。11話以来また登場です(笑)

マ:あの方が柿沼大介さんでしたか!「麻雀卓のかきぬま」なら、「大追跡」の再放送でおなじみですが。今回はイリちゃんと内輪ウケネタで楽しみたいと思います(笑)
もうひとつ、重箱の隅をつつくネタですが、安の稽古着に気がつきました?袖が折ってあって現代風です。安のオリジナル柔道着でしょうか。

イ:知りませんでした。私、16話、弱いかも・・・(笑)

マ:というより、つつく重箱の角が違っているみたい(笑)。では、このネタは?
今回も滝本と結城、もとい、安とお吟のコンビは絶好調です。最後に姿が見えなくなっって、安の「お吟ちゃんっ!」の声だけ聞こえますが、その前になんか大きな音がしていますね。お吟に投げ飛ばされたのかな。
三四郎と乙美とは、何という違いだ(笑)

イ:ありましたっけ?そのような音(笑)やばい、私、16話・・・

マ:安ネタなのにおかしいなあ。では、イリちゃんが元々弱い高子ネタ。
「あの姿さんがお金で動かされるなんて」と、自分で挑発しておきながら戸惑う高子は、ああ見えてなかなか純情です。
イリちゃんには不評な高子ですが(笑)、私は高子のこういうところが好きですね。ちゃんと苗字で呼んで、礼儀正しいし(笑)
ただし、自分がリスターに結婚を申し込まれていると言ったから、三四郎は試合をするのだと思い込んでいるところは、大いなる勘違いですが。

イ:今回は、どちらかというと乙美のほうが鈍いですよね。
高子のほうが責任感があるように見えます。ただ、最後の「姿さんは私の物」は、いけません。

マ:腹ちがいの妹と同じ男を好きになるとは・・、と父親から言われるや否や、as soon as、「いやよ!妹だからって、それが何だっていうの!」と怒り出すのは、三四郎が乙美の方に惹かれていることを、何となく察しているからなのでしょう。まだ交際を止められてもいないのに(笑)
その高子が三四郎を探して、たつみ屋に来るシーン。お吟が移動するシーンで、彼女の肘が安の頭にぶつかっていますね。あれは演出には見えないです(笑)

イ:見直さないと分かりませんでした(笑)
ほんとだ。安も、ぶつかったところ手でさすってますね(笑)

マ:アドリブでさすったんでしょうね。笑えるシーンなのに、イリちゃんが気がついていなかったとは。本当に16話は弱いんだ(笑)
でも、三四郎がお金のために試合をするときいた時の乙美の台詞
「三四郎さんの柔道の邪魔をするくらいなら、私・・私・・」の後、また「死にます!」が来ると思わなかった?

イ:当然思いました(笑)
しかし、死ぬとしたら借金を背負ったお仙。乙美が死んでもねえ・・・(笑)

マ:猪木対モハメド・アリの試合は、この三四郎とリスターの試合運びと同じでしたね。最初から猪木は床に寝転がって足で防戦に務めていた。違うのは、猪木には「山嵐」が出来なかったことかな(笑)
そう思って観ていると、山嵐で飛ばされたリスターの足がロープにかかっているので、「ロープ!ロープ!」と叫んでしまいそうになります。

イ:私が思うに、あのロープは、ゆるすぎはしないでしょうか?(笑)
試合前からダラーンと垂れ気味なんですけど(笑)関根の試合の時も。
その関根の試合では、物投げすぎ(笑)

マ:確かに。リハーサルの時に関根の重みで緩んだんでしょうか。
あのシーンで、ロープのゆるみについて語り合う私達って一体・・・?(笑)

イ:三四郎の試合では、戸田(山本紀彦)と津崎(秋野太作)が試合会場まで、姿を心配しに来ていましたが、いつのまにか、二人とも、スパアラ対策の解説をしながら楽しそうに見物していましたね(笑)

マ:結構楽しんでしまったのね。三四郎が破門になるかどうかの瀬戸際だったのに。

イ:そもそも、この16話は、三四郎のキャラクター上、ちょっと無理がある感じだと思っていました。
「柔道を捨てる」に勝る乙美の相談だとは思えないんです。

マ:私のそもそもは、乙美が三四郎にお仙の借金の話をして、自分が芸者になるかも知れない、でも三四郎がだめだと言えばやめると訴えること。これって、三四郎に何とかしてくれってことですよね。
実父の南小路子爵に頼むことは最初から二人の間で除外されていたというのも、おかしな話です。イリちゃんが無理があるとおっしゃるのもうなずけます。
最後に「本当に金のために闘ったのは君だ」と、お金をリスターにあげることで何とか収拾をつけていますが、本当に三四郎らしくない。
銀行に行って、預金も担保もないのに「あとで働いて返しますから」というところは、三四郎らしいけど(笑)

イ:ですから16話は佳作でしょうが、短いながらも登場する源之助の行動が感動的ですね。

マ:破門される恐れのある三四郎の代わりに試合をすると申し出て、今度は武術家としての道を逆に三四郎に教える。そして、三四郎の意志の固さに何かを感じて、試合の助言をして去る。
こんなにいい奴だったのに、三四郎に負ける前は野心ばかりが前面に出て、師匠にも乙美さんにも嫌われてしまったのでしょう。

イ:「俺がなぜ貴様の厚意を受けて生々塾を開いたのかわかるか」のセリフはもちろんですが、まず私は、十字路で源之助が安に声を掛けるシーンが好きです。うれしいですね。

マ:それはとっても個人的な見方で大賛成!二人が並んでいるだけで嬉しくなる(笑)

イ:さすがに二人とも足踏みして会話してませんが(笑)

マ:その後、「あっちだ!」と叫んで、別々の方向に源之助と安が走り出していたら、もう少し視聴率が上がっていたかも知れません(笑)
これって他の人に読んでもらってわかってもらえるネタですよね?時々不安になりながらも、二人で楽しみ続けてる(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

伊藤公に続く謎のキャラ、関根の付き人


第十七話「死闘・峰の薬師」 1979年1月27日放送

『今日の檜垣』

冒頭から源之助と鉄心のツーショット。
「兄貴は姿の家来も同然の男だ!」とくってかかる鉄心に対し、抑えた口調で答える源之助。この二人の語り合いがずっと続いてくれれば良いのに、と思わず願ってしまう。何しろひとつの画面に沖さんが二人だ。ここまで来たら、四天王も沖さんの四役、さらには乙美も沖さんでお願いしたいくらいだ。

三四郎に異常なまでの敵意を抱く鉄心と源三郎は、三四郎をおびき寄せるために、紘道館の門弟たちを次々と襲って怪我をさせる。
紘道館に迷惑をかけることを心配した三四郎が、源之助を訪ねる。源之助は三四郎に東京を離れるよう助言するが、三四郎はなかなか同意しない。
「君は弟たちの怖さを知らないからそんなことが言えるんだ。檜垣流空手の根本にあるものは、人間への憎悪だ。自分たちを邪魔者扱いした人間たち・・・・この私にまで憎悪を抱いている。」
そして、源之助が何を一番に考えていたかが解る言葉が出る。
「乙美さんのことを考えろ!お前にもしものことがあったら、乙美さんはどうなるんだ。わかってくれ、姿」
檜垣流空手の根本にあるのが憎悪なら、源之助は既にその呪縛から解き放され、その対極にあるものの中で生きていた。

三四郎をみつけるために、囮となって鉄心と源三郎の前に現れた安だが、鉄心と源三郎は軽く安を倒し、果し状を起き去る。倒れた安をみつけた三四郎は、もう闘いが避けられないものであると知り、一人峰の薬師へと向かう。

幼少時の病気で脳に障害が残る源三郎は、言葉が不自由だ。野ウサギを可愛がっていたのだが、そのウサギが稽古中に野に走り、猟師に撃たれてしまう。発砲音を聞いて走り出す源三郎。
凶悪な鉄心だが、弟に対する愛情はあった。慌てて後を追い、猟師に怒りの鉄拳を向けたために、逆に撃たれた源三郎を発見する。
決闘には「心配はいらん」と、一人で向かう鉄心。そんな時の鉄心の目には、弟想いの優しいものが宿るのだが、三四郎と向き合った時、その目は再び野獣と化した。

当初は鉄心が優勢であるかに見えた。得意そうに笑う鉄心と、苦しげな表情の三四郎。だが、三四郎は巧みに後ろに廻り、鉄心の首を絞めあげる。必死に目潰しをくわせようとする鉄心だが、手が届かない。歯を食いしばる鉄心。ああ、歯並びが今日もきれいだわ・・・とみとれていると、画面は「太陽にほえろ!」のごとくスローモーションになり、鉄心の手首の革のブレスレットや、三四郎が裸足ではなくわらじを穿いていることなどがよく見える。そして、いきなり三四郎の山嵐が決まる。

よろよろと立ち上がり、再び闘いを挑む鉄心だが、鉄心の拳はもう急所を狙う力がない。わざと外して突いているようにすら見える。きっとそうなのだ。そうに違いない。
そして、不意に足を滑らせて崖から転落する鉄心。思わず声を上げてしまうシーンだが、落ちて行くのはお約束の手足ブラブラ人形。いつも思うのだが、この転落用の人形だけは、テレビドラマの歴史において、21世紀に至っても進化していないような気がする。

気を失っている鉄心からどうやって場所を聞いたのかは不明だが、三四郎は鉄心を肩に抱え上げて、フラフラしながら小屋へ戻る。自分と同じ身長の鉄心を肩に抱え上げたら、さすがに重いだろう。
決闘の結果を知って驚く源三郎。三四郎はそれを無視して、二人の怪我の手当を始める。
三四郎は、源三郎が抱えていたウサギの怪我の様子もみようとする。最初は抵抗する源三郎だが、優しくウサギを抱き上げる三四郎に驚く。彼は鉄心から、三四郎は極悪非道の男と聞かされて、憎しみを培いながら稽古を積んでいたに違いない。だが、初めてそばで見た三四郎は、ウサギを可愛がる穏やかな青年だった。
それでも、夜中に鎌を持ち出して三四郎の寝込みを襲おうとする源三郎。それに気づいて心配そうにみつめる鉄心だが、決闘前のような荒々しく破壊的な表情は、もうそこにはない。
源三郎が鎌を振り上げた瞬間、夢でも見たように三四郎がほんわか微笑む。
殺せない。そんな自分に気づいた源三郎はその場で蒲団をかぶって号泣し、鉄心も黙って目をつぶる。

翌朝、朝食を作って去る三四郎。彼が去った後、鉄心は「まだ負けてはいない。負けてはおらんぞ」と、つぶやくのだった。

『今回のツッコミ姿三四郎』 (イ=イリちゃん、マ=マフォン)

マ:いや〜、今回も恭兵さんが沖さんにコテンパンにやられちゃいますね。何だか申し訳ないわ(笑)。二人のツーショットは嬉しいんですが。

イ:そういえば、このシーンも沖さんと恭兵さんの喧嘩シーンですね。鉄心との絡みなので忘れてましたよ(笑)

マ:鉄心が沖さんであることを忘れそうになる瞬間があります。イリちゃんにとっても、沖さんはあくまで源之助のイメージなのですね。
源三郎は、「三四郎、殺す」とオウムがえしのように繰り返しますが、鉄心にかなり洗脳されていたのでしょうか。

イ:25話では、けっこういろんな言葉しゃべってるんだよなあ(笑)

マ:三四郎をみかけた安が、車を引いたまま走り出すシーン。あの走りかたはなんですか!?(笑)

イ:セリフの言い方からして、車がなければ、完全に滝もっちゃんになってました(笑)

マ:四天王の津崎と鉄心らが出会うシーンも笑えます。
「桧垣兄弟!」「紘道館四天王の一人、津崎公平!」と、相手を紹介し合ってる(笑)
で、安が囮になるシーンでは自己紹介形式ですね(笑)

イ:津崎への鉄心の最初のチョップ。当たっていないのに、「ビシッ」という音がしてる(笑)

マ:当たってなかった?そいつはまずいぞ(笑)
もうひとつ、ツッコミ。鉄心は学があるようには見えないのですが、あの「果し状」は達筆ですね。どことなく、源之助の書いた果し状と筆跡が似ているので、実は源之助が代筆したという噂も・・あるわけがない(笑)

イ:そうですね(笑)。鉄心のイメージから、あの文体と言葉は想像できない。 梅の台地のときの果し状の字体はどうだっただろう。
・・・似てるなあ。あれも源之助が代筆?(笑)

マ:梅の台地の果し状まで確認してくれたの?今回放送分じゃないのに。
山嵐は「足が吸いついて離れないよう」な技だと言われていたのに、わらじを穿いたままかけていたのも、納得行かないなあ。細かいツッコミですが。

イ:今度はそのせいなのかなあ。また、横走りのとき、下を見ながらもたもた走ってる(笑)

マ:源之助との決闘は下駄を脱ぎ捨てて裸足だったんですよね。わらじを履いているのに、もたもたしているのはいけません。履き慣れていないからかも知れないけど(笑)
三四郎が峰の薬師に向かう途中、崖の上から滝の流れる様子を見て立ち止まるシーン。何度目かの視聴で気がついたのですが、あれは三四郎が『ここに追い込もう』と作戦をたてていたのか、それとも決闘の結末を暗示するのか・・・ちょっと気になるシーンです。
全体的に三四郎に表情がないので、私には読めないシーンがかなりあります。イリちゃんはもちろん読めるでしょうが、私にとっては三四郎の方が敵役なもので(笑)

イ:私も死ぬほど17話は見てますが、あの滝を三四郎が作戦にしていた、と一度思いこんでいた時期がありました。
あの横走りでの逃げが、いかにもその証明に思えて。
しかし、今の私の解釈では、結末の暗示にすぎないのではと思っています。
やはり、「滝から落とすしかない」と考えるような男ではないように思えるのです。

マ:横走りで滝のある場所まで誘導していますよね。
鉄心が滝から足を滑らせて落ちた時、三四郎は驚いていますから、滝から突き落とそうという作戦じゃなかったのは確かだと私も思うのですが、足場の危険なところで山嵐をかける作戦は立てていたのかも知れない。
真面目な話を続けようと思ったのですが、もうひとつツッコミ。
いつ、三四郎は怪我の手当の技術を身につけたんでしょう。

イ:塗り薬を塗りまくっただけですよ、きっと。
でも、鉄心は、そういう怪我だったのかしら?(笑)

マ:いーや!「死闘」なんだから、塗り薬なんてどちらも用意していなかったと信じたいです(笑)
手前味噌ですが、今回の源之助には涙が出ます。三四郎と乙美の仲を認め、自分が傷を負っても彼女を傷つけまいとする心配り。乙美を誰より愛していたのは三四郎ではなく源之助かも知れないのに、愛は相互作用するとは限らない残酷なものです。

イ:帰る子どもたちに挨拶をするいい先生ですね。優しい・・・!

マ:道場の外まで出て見送ってくれています。こんな源之助を見たら、乙美だって見直してくれたかも知れないなあ。
そういえば、三四郎は傷ついた安をたつみ屋の前まで運び込みながら、姿をみせずに・・あ、シャレじゃないですよ、立ち去ってしまうシーンもおかしいですね。

イ:姿の姿か、なるほど、アハハハ・・・

マ:あれ、今回は後半の山場なのに、もうひとつ力が入っていないなあ(笑)
峰の薬師は実在の場所で、「姿三四郎決闘の地」という碑が建っているらしいですね。フィクションなのに(笑)

イ:津久井湖のそばだそうで。
原作でも、鉄心単独で戦ったわけですが、源三郎が休んだ理由は、うさぎではなく、脳病の発作が出た、ということでした。
しかし、我が三四郎版は、これがいちばんいい脚色ですね。
源三郎が撃たれて倒れながらも、ウサギを抱えるシーン。愛のテーマと重なって、ジーンと来ます。

マ:私もこの脚色が大好きです。源三郎が動物にしか笑顔を見せないという設定が、寝ている三四郎の笑顔で殺害を諦めるシーンで生きて来るわけですね。
三四郎はよほどウサギに似ていたのでしょう・・・すみません、いつも茶化して(笑)

イ:真面目に続けます(笑)
深夜、斧を片手に三四郎の顔を見る源三郎。源三郎の顔だけに光が当たっていて、とても怖いシーンですが、殺せず男泣きするシーンには、男の友情を感じます。
鉄心がホッとするところもいいですね。

マ:源之助が三四郎に話したように、檜垣流空手は人間への憎悪を基点にしています。それを根本からくつがえす「友情」という感情が、自分の中に生じて来たことによる、葛藤の涙ですね。

イ:このシーンが、あとでとても重要になるわけですから、「友情」というのは、偉大なんですね。

マ:源三郎の心の変化を描くには、この脚色が不可欠です。どうして原作にはないんだ(笑)
鉄心が峰の薬師を決闘の場所に選んだのは、精神の病気にご利益がある場所だからという説もどこかで読みました。九州から上京したばかりなのに、23区外の場所(笑)を指定していることから、この説も説得力があります。鉄心は弟思いですから。


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

峰の薬師の麓の猟師たちの間では、「雪男あらわる」と大評判だった・・・はず


第十八話「敗北」 1979年2月3日放送

『今日の檜垣』

今回は鉄心と源三郎が冒頭に登場するのみ。
笑顔でウサギを撫でている源三郎に、鉄心はいきなりキックをお見舞いする。
だが、修業で鍛えていたのか兄の性格をよく知っていたのか、源三郎は間一髪でそれをかわす。技をかけあう二人。
「これだけ身体が動けば大丈夫だ。九州へ帰って技を鍛え直す。俺たちはあの男に情をかけられたんだ。許せん、絶対に。今度こそ必ずあの男を殺す!」
そう宣言する鉄心を、何故か少し悲しげな表情でみつめる源三郎だが、決心したようにウサギを抱き上げて頬ずりする。「行け!」と決然とした表情に戻ってウサギを野に放す源三郎は、再び三四郎と決闘する日が迫っていることを覚悟したようだった。

『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、マ=マフォン)

マ:今回は安が大活躍です。東京に戻った三四郎を紘道館のパイプ役をつとめる優しい兄貴。初めて兄貴らしく見えます。相変わらず軽々と持ち上げられていますが(笑)白いシャツが似合うなあ。

イ:「そう!じゃないかなって、ぼく思うんですよね・・・」
矢野にバラしたも同然のあのしゃべり方は、もうそろそろDARTSへの変化のきざし・・・

マ:そうそう、限りなくダーツっぽいですよね。
さて、どうして檜垣兄弟に勝ったことが巷で評判になったのでしょう。
鉄心が自ら言うはずもないし、三四郎だって口外しなかったはずなのに。
こっそり湿布薬を買いに行ってバレたとか(笑)

イ:そういえばそうだな(笑)
本人たちはあり得ない。ということは、目撃者がいたのか?
峰の薬師に第三者はいたっけ?
あ、いたいた、ウサギの猟師たち!(笑)

マ:でも、彼らは襲いかかった源三郎に怖れをなして逃げ出したのでは?あ、あとから様子を見に来たら、決闘していたのか!なるほどね。
高子と乙美の女のバトルは悲しいです。父親の身勝手で傷ついた二人の女性は、それぞれ自分の母親を庇っていますね。

イ:それが高子の「愛の形」というのは、なるほど理解できます。悲しいがそういう人もいるでしょう。
ただ、言い方がイヤ。「私には知る権利がある」とか。乙美がんばれ!

マ:「悲しい時に悲しい顔をする人ばかりじゃないのよ!」byマミー刑事。 高子もがんばれ!
南小路の家を出て涙ぐむ乙美。さんざん乙美に意地悪をした後で、そんな自分が嫌になって薔薇の花をむしる高子。姉妹だけに余計悲しいのでしょうね。黄色い薔薇の花言葉は「嫉妬」。それもあるんだろうなあ、もちろん。

イ:じゃあ言わなきゃいいのになあ、と思うんですが、まあ、高子もここではかなり三四郎にゾッコンなんですね。
でも、乙美がんばれ!

マ:言わずにはいられないのが、高子の可哀想なところ。
戸塚楊心流の木島の娘が意地を張るのもよくわかります。
いきなり現われて、借金を肩代わりするからいかがわしい店を辞めろと言われても、警戒するだけですよね。依怙地になっている娘を見捨てずに、うんと言ってくれるまで車で走る三四郎はいいなあ。
「君も新しい生き方をみつけて欲しい」なんて言われたら、私なら勘違いして好きになってしまうかも(笑)

イ:三四郎のおかげで、誰からも優しくしてもらっていなかったと泣きながら白状したお咲。
彼女も自分を弱い者(敗北者)と言っていました。このセリフもよかったです。
ただ、三四郎は、お澄を落としたときと同じやり方なんだよなあ(笑)。あのときは投げられ続けて。
不器用だけど、マニュアルは100点の口説き方だね。参考になる・・・

マ:「お澄を落としたとき」って何ですか?!(笑)
あ、「泣かした」「心を開いた」という意味では落とした訳ですね。
すみません、勘ぐりすぎました(笑)
乙美の「いいんです」がまた出ましたが、お吟ちゃんの「アラ!」も定着しました。
それから、例の「彼」は、今日はお店で弓を撃ってましたね。今までで最高のアップかも知れない(笑)

イ:あ、いけない、覚えてない(笑)。といって今すぐ見直そうとしていない私・・・

マ:さて、三四郎の初の「敗北」の相手。何と中国人の忍者・張(福本清三)でしたね。アクションが素晴らしい。見ごたえがあります。
しかし、源之助も鉄心も破れなかった山嵐を、あっさり破ってしまうのがヒジョーにサビシー!

イ:やっぱり、どう考えても銀行強盗よりも、こっちのほうが似合ってるよ。
だって、大追跡の古田役、あの目つきで無口じゃ、現代で生きられないもん(笑)。明治が似合う男。

マ:福本さんも最近フィーチャーされているらしいですね。「ラスト・サムライ」の出演で、ずいぶん有名になられました。めでたしめでたし。

イ:あ、そうなんですか。あ、やっぱり時代劇なんですね(笑)
ファミリーで、フレンドリーな役、見てみたいな(笑)

マ:それは絶対観てみたい(笑)
今日はやっぱり矢野先生の「姿が何処にいようと、この矢野の弟子であることに変わりはない」の一言でしょうか。
何だか七曲署のボスの台詞みたいですが、ここまで言ってくれる先生に巡り合えた三四郎は幸せものです。

イ:そうですね。この名セリフは落とせない。ただ、今度は自分が熊本の高校の校長に赴任してしまいますね(笑)
近づこうという気持ちないんでしょうか、この二人(笑)

マ:笑わせないで下さい(笑)
野々宮、和尚、壇、と次々にレギュラーがいなくなるのは何故?リストラ?

イ:最後に、三四郎に「口聞いてやろうか」などと言う紘道館の子どもたち。 わらべ唄歌いながら逃げ出すくせに、なぜ大先輩を知らないんだ!

マ:明治の有名人は面が割れていなかったんですね。携帯で写真撮られる心配がないのはラッキーだけど、「あんちゃん」呼ばわりされていた三四郎はちょっと気の毒でした。


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

真崎の賭博。あそこまで丁半が逆に出るのも珍しい


第十九話「慕情」 1979年2月10日放送

『今日の檜垣』

張都司に勝つため稽古をする三四郎。 そこへいくつもの石が投げられる。驚いて木に身をかわす三四郎。
投げたのは源之助だった。
「逃げてばかりでは勝てん」
会ってなくても三四郎の意思が分かっている源之助。これこそ男の友情だ。

今度は道場で三四郎に筆を投げる源之助。
連続で来る筆は避けきれず、その証拠に墨がいくつか三四郎の身体に付く。
「5連続の手裏剣を避ける技は、檜垣流空手にはない」
俺天11話の冒頭のシーンを思い出す(?)微笑ましい練習風景。
しかし檜垣は、「立ち向かうのは無謀と言うしかないぞ」という結論を出す。

『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

イ:「三四郎が死んじゃったよ!」。安が泣きながら戸田に告げるシーン。張だけ死んで三四郎が助かるというオチはファンにはお見通しなのでいいのですが、骨折の一つもしてないというのは、いくらなんでもまずいんじゃないでしょうか。

マ:それもここまで観てきたファンならお見通しだぜ(笑)三四郎は何があっても不死身です。

イ:その回向院の屋根での三四郎と張の試合。(「回向院の屋根の闘い」とでも名前付けちゃっていいかしら(笑))
ものすごい急角度。三四郎の足が、またもたもたしていますね(笑)
でも今回は許してあげないといけないかな(笑)

マ:こう何回ももたもたすると、さすがに許せません。屋根の勾配が急だから仕方ないか。張の方はどうだったかな?

イ:実は曲芸団の軽業師で、娘に向かってナイフを投げる張。俺天13話の伊佐山と同じ技ですが、ナイフの量が違いますね(笑)
伊佐山はCAPに4、5本しか投げなかった。張は10本以上投げて人の形を作った。
張に軍配(笑)

マ:やっぱり張の方が一枚上手・・・って、そういうことじゃないってば(笑)
さすがイリちゃん、俺天のシーンが参考に出て来ますね。私なんぞまだまだシロウトですわ。 「ナイフを投げて人の形を作る」というのは、「愛と誠」の影の大番長を思い出してしまう(笑)

イ:そのあとナイフを投げ次々とおまわりさんを殺す張。
鉄心が真似するからやめてね(笑)

マ:不覚にも大爆笑してしまいました。確かに、檜垣流空手が武器を使わない流派で助かった人は多かった。琉球空手は両手で鎌を振り回す流派がありますから、そんな流派だったら、登場人物は皆殺しだったことでしょう(笑)

イ:瀕死の重傷を負った三四郎を、南小路家で寝ずの看病をする高子。一夜明けてもきれいなお顔(笑)

マ:三四郎が目覚めた時のために、五分毎にお化粧直しをしていたのさ、きっと(笑)

イ:三四郎も、生死の境をさまよっているにしては、顔色がいい(笑)

マ:こっちはせめて目の下に隈ぐらい描いてもらいたかったなあ。源之助だって試合後はドーランを落として顔色を悪く見せているんだから。

イ:泣きながら南小路家の玄関で「三四郎に会いたい」とお願いする乙美。しかし高子は絶対に許さない。
安も泣きながら乙美に同情する感動のシーンだ。
しかし結局乙美が言った言葉は、「いいんです」。
さすがの安も、「何がいいんだ!」とツッコミましたね(笑)

マ:やっと注意してくれる人が出て良かった(笑)
いつも大事なところでこの台詞を言うのがじれったいんだから、乙美ちゃんは。

イ:意識が朦朧としている三四郎の「ありがとう」を聞いて、伊藤公の縁談話を断り三四郎との結婚を決める高子。
しかし、高子の手を握りながら2回目に言った「ありがとう、乙美さん」を聞いて、ショックで愕然となり、ロンドンに渡る高子。
さすがにこのシーンは高子に共感するけど、こんな単純な行動でいいのかしら?(笑)

マ:意識が朦朧としていたら、私でも間違えたことでしょう。乙美とうりふたつですからね(笑)
いつもの高子だったら、そうやって自分を納得させて諦めないはずなのですが、そう言った三四郎の顔をみて、彼がどんなに乙美を愛しているかを悟ったんでしょうねえ。可哀想に。
確かに、ロンドンに発つのは素早かったですね(笑)

イ:よく考えたら、高子と一緒に看病してた東天は、なんでいつまでも南小路家から追い出されなかったんだろう?(笑)

マ:あ〜、そうだ、南小路と真崎は政敵でもあるんですよね?しかも、高子にとっては乙美側の人間。どうしてなんでしょう??
真崎は朝食を待っていたのかも(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

今回出番がなかった鉄心。張都司のナイフ投げを客席で見ていた
・・・としたら危なすぎる



第二十話「友情」 1979年2月17日放送

『今日の檜垣』

横浜で労働者の暴動を抑える仕事についた三四郎。そのころ東京では、柔道の普及を妬んだ剣道界が紘道館を陥れるために策を弄し、果し状を送り付けていた。折しも矢野はその剣道界の謀略のために、熊本に赴任中。

矢野の不在中に紘道館が危機にあることを知った源之助は紘道館を訪ね、自分が決闘に臨むと申し出る。驚く紘道館門弟たちに、彼の生々塾は紘道館を越えることを目標にしているので、紘道館という目標をなくしたら、柔術界はガタガタに崩れてしまう、と説く。自分が行けば紘道館を潰さずに済むといって、頭を下げてまで頼む源之助。

自らの道場で精神統一後、決闘に赴くために源之助が立ち上がろうとしたその時、三四郎の声がする。
三四郎は横浜で外国人に不当な労働を強いられている人々のために、金の工面で上京したのだったが、源之助は三四郎に決闘のことを知られるのを避けるため、まだ破門の身であるから軽々しく紘道館へなど立ち寄るべきではない、と厳しく諌める。

源之助が三四郎を連れて行ったのは、乙美が働く牛鍋屋だった。
「ここまで来て乙美さんの気持ちを無視するのは、俺が許さん。乙美さんにとってはお前だけが生きがいなんだ」
三四郎の背中を押し、その姿を寂しそうにみつめる源之助。

再会を喜ぶ乙美だが、彼女は何も知らずに決闘のことを三四郎に話してしまう。驚いた三四郎は紘道館に駆け込む。

源之助が果し合いの場に現れたことに腹をたてる北山道場の面々だが、源之助は
「私を倒すことが出来なければ、紘道館を倒すことはできん!」と前に立ちはだかる。
道場主の脇田(林邦史朗)が刀を抜く。真剣だ。かなりずるい。
頭に振り下ろされた刀を両手で挟む源之助。手から血が流れるが、刀は手から抜けない。ついに脇田の手から刀が離れ、その隙をついた源之助が脇田を投げ飛ばす。
立ち上がれずにいる脇田に、「こんな争いはこれで終りにしましょう」と、静かに告げる。
羽織を肩にかけて寺の階段を降りる源之助の背後で、お寺の鐘がごぉんと鳴る。かっちょえ〜!

戸田らと一緒に果し合いの場に駆けつけた三四郎は、自分は破門の身だから決闘しても構わなかったのだと源之助に言うのだが、それをきいた戸田は三四郎を張り倒す。
「馬鹿野郎!お前だけでいい気なことを言うな!檜垣さんはな、紘道館を守るために、我々に頭を下げてやらせてくれと頼んだんだ。お前の敵だった檜垣さんが。あれほどお前を憎んでいた檜垣さんが、だ!」
そこまで言わなくて良いから、という表情の源之助は、三四郎に
「俺が受けなければ、お前に知らせずに、この戸田さんが受けていた」と諭す。
何故、皆そこまで・・・と困惑する三四郎に、戸田と津崎は三四郎に紘道館に戻って来て欲しいと願っているからだと言う。
皆がここまで自分のことを考えてくれていたことに感動する三四郎に源之助は、
「姿、早く気持ちを整理して、紘道館へ戻ってくれ。生々塾との闘いはそれからだ」とだけ告げて悠々と立ち去る。これまたかっちょえ〜!

『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

マ:今回の外人は三人とも背広がはちきれそうですね〜。日本人用のを無理矢理着たのでしょうか。
それほど体格の良い人を集めたのに、動きがモタモタしていますね。ポスコは受け身が出来ないので、三四郎が投げにくそう。

イ:最後は山嵐じゃありませんでした。あの体重は山嵐できないという考察でしょうが、
現実的な脚本を選んでくれて、ちょっとうれしい(笑)

マ:この程度の相手に山嵐なしでは勝てないのでは、姿三四郎の名が泣きますからね。
剣道家が虎之助たちに因縁をつける場所。これは安が源之助に腕を折られた場所ですね。
なぜかいつも喧嘩は川のほとりで起こる。
そういえば、あの場所で同心姿の沖さんも・・・同じ国際放映だから仕方ないか(笑)

イ:不吉な場所ですね(笑)。
矢野-門馬、三四郎-錦灘戦も同じほとりと考えていいんでしょうか。

マ:どうもそんな雰囲気ですね。これまで、どれだけの悪役があの池に落とされたことか。
それはそうと、今回は安が欠席ですね。これまで無遅刻・・・かどうかは知らないけど、無欠勤だったのに。

イ:そうなんです!20話は安が出てこない話。姿三四郎は、18話から23話まで佳作が続きますが、この20話は特別、好きなんです。
もちろん、源之助の友情が分かる戸田のセリフのシーンです。
思わず三四郎を殴って言ったセリフは、感動でジーンと来ます。

マ:そうそう、戸田の最大の見せ場!戸田がここまで源之助に理解を示してくれたのにも感動しました。
「この果し合い、檜垣源之助に受けさせていただきたい」と頭を下げる源之助もカッコイイですねえ。三四郎との闘いに破れてから、話し方も物腰もずっとソフトになりましたが、決めどころは決めてくれる。

イ:カッコイイですねえ。後半源之助のよさが見える話はたくさんあるけど、今回も秀逸ですね。

マ:三四郎が袴の端を持って歩いたり走ったりするのは、どうしてなんでしょうね。何となく気になります。
相変わらず三四郎にばかり厳しい私(笑)

イ:袴の端を持つと、もたもたしないんです(笑)

マ:決闘の時は持たないから、もたもたしていたのでしょうか。あ、いけない、また厳しい私(笑)

イ:源之助の方は、復帰後初立ち合い。久しぶりに見る本気の構えですね。

マ:公正を期すために、今回は源之助にもちょっとだけ。柔術家が決闘に向かうのに、肩を揺らして歩くのはいけません。あれじゃ抗争に向かうやくざ。
わざと話題を変えるわけじゃないけど(笑)、真剣を乙美が味付けした牛丼、おいしそうでしたね。ああ、牛丼が食べたい(笑)

イ:いくつかの牛丼屋さんで牛丼が復活したと、さっきニュースで言っていましたよ。

マ:まあ、何とタイムリーな(笑)
久々の再会に嬉しそうに食卓を飾る乙美をみていると、あんなお嫁さんが欲しくなります。
さすがは息子のお嫁さんにしたい女性ナンバー1。

イ:乙美、男性はみんな好きになりますよ。古風で控え目で・・・素敵!

マ:今は気の強い女性が主役の番組が多いですから、現代なら高子がモテモテかも知れませんね。
生まれる時代を間違えたかも。

イ:さて、擬斗の林さんが直々ゲストとして登場しましたね!
大追跡でも直々登場が1話にありましたが、あのときは拳法。今回は剣道。
さすが、何でもありですね(笑)

マ:あ、そうか。あの拳法の達人の謎の外国人ね。
三四郎や源之助に技を教えている人が画面ではこてんぱんにやられて、腕を抱えられて階段を降りるとは、皮肉なものです。人間が出来ていないと出来ないことです(笑)
クレジットにも、ちゃんと「擬斗 林邦史朗」って出ていますね。

イ:もはや悪役といっていい布引ですが(笑)(今回が最後になりますっけ?)、ポスコたちに向かって、
「やめろ!プリーズ!」って言うのは、おかしいような・・・

マ:いいんです・・・あ、乙美じゃないですよ(笑)。布引はどうせ怪しげな通訳だから。
大体、江幡高志さんが通訳という設定がおかしい(笑)

イ:「剣道びいきの政治家が矢野を熊本に追いやった」って、また後で発覚するパターンだな。

マ:そうそう、それを観て視聴者は「あ、それで矢野さんは熊本へ行ったんだ」と納得するわけで。事後説明が多いのが、この姿三四郎の特徴。

イ:これはまあいいとして、矢野さん、熊本では直接指導が多いよ(笑)

マ:紘道館では直接指導はほとんどないのにね。熊本の弟子たちは幸せ者だぁ(笑)

イ:東天の説得で一旦東京に帰る三四郎。
しかしあの政治がらみの説得で稲村たちから離れるのは、三四郎の性格からしてありえないはず。

マ:そうそう、物語の進行上、上京しなければならなかったのでしょうが(笑)、いつもの三四郎なら「いやだ!僕はここに残る」と言い張ります。危機にある仲間を置いて行くような男ではないはず。

イ:殺された稲村。しかし、よく聞くと、働く人たちは稲川と言っていますね。
稲村が正解なので三四郎が合っているのですが、本来なら、付き合いの長い働く人たちの言っている稲川に合わすべきですよね(笑)

マ:一緒に働いていた人たちが名前を間違えてどうする(笑)
きっと本名が稲村で、あだ名が稲川・・・ちがうって。

イ:ラストシーンのポスコのセリフ。顔が映ってなかったので、きっと他の人が言ってあげたのでしょう。
いずれにせよ、あのときだけ(文法の正しい)日本語を話していました。気持ち悪いなあ。

マ:冒頭の台詞は顔が映っていましたが、やはり口パクでしょ?
「キイハンター」みたいだなあ、と思って観ていました。
きっと台詞覚えが悪い人だったのね(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

今回も出番がなかった鉄心。兄の決闘を見ていたら、刀の導入を考えはじめそうだ


第二十一話「明暗」 1979年2月24日放送

『今日の檜垣』

ロシアの皇太子が来日するにあたり、ミハエル・サハロフ(団次郎)が日本へ視察にやって来た。
三四郎が悪漢を退治するのを目にしたサハロフは、通りがかった生々塾で源之助に試合を申し出る。
サハロフは日系人でありながら、ロシアの武術・サンボが強いために、近衛隊長の地位を手にした男だ。

前転・側転で技をかわす源之助の素早さ。オリンピックの柔道が地味〜にみえてしまう。
源之助に投げられたサハロフは、姿三四郎も同じ技をつかうのかと訊ねたので、またまた三四郎がトラブルに巻き込まれそうだと察知した源之助は、彼を訪ねて助言をする。

挑発に乗るなといいながら、柔術とラスラ(レスリング)を合わせたような武術であること、寝技を得意とし、関節を逆にねじりあげることなど、実際の試合について細かく教える源之助。
更には羽織を脱ぎ捨て、関節のねじられる方向とその外しかたなどを、実際に組み合って教える。どうみても、三四郎が弟子のようだ。

『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

マ:「明暗」というと、源之助と三四郎が主役の回かと思ってしまいがちですが、実は今回の主役は安!
パンパカパーン!おめでとうございます!

イ:ありがとうございます。主役話って感じはしないのですが(笑)、情に負けて八百長ができない、という感動パターンは、のちのKIDのお芝居にもありまして・・・
裏切ることができない苦悩と人の良さが感動を呼ぶ。恭兵ファン感動の基本形です!

マ:三四郎が負けたらいい仕事を用意すると外務省の古賀に言われたのに、結局三四郎を応援してしまう。
安はいいやつだ!

イ:「明暗」は、「横浜チンピラ・ブギ」の三四郎版と言ったら分かってもらえるでしょうか。

マ:仲間の友情。これこそがKIDのお芝居の根幹なのですね。よくわかりました。
ところで、恭兵さんは一週休んだら、髪の毛が伸びましたね。いよいよ入江省三になる準備なのかな。

イ:うーん、どうしてだろう。まじめに考えると、3月から始まる「クイズ!ヒントでピント」のためかな。素顔だし。

マ:みんなそういう仕事を経てビッグになるのね。沖さんの「あの人この人どんな人」を思い出すなあ。
「このままでいいのかね、オレ」と、舌足らずに言うあたりが、もう入江省三ですね!
人力車を置いて歩き出す時のフランケンな動きとか。こういう動きを見るにつれ、何故か親しみが倍増(笑)

イ:「フランケンな」動きは、喜平次の柔道練習にも見られます(笑)。
この男も試合をしたら、もたもたしそうな予感(笑)

マ:喜平次のフランケンはわざとじゃなくて、本当にもたもたしているんだってば(笑)
安が「俺にぴったりでさ、これだったら誰にも負けないって商売ないかな」というのは、実によくわかります。誰もが一度は考えることですもんね。
ここで、大方の人は、安に自分の人生を重ねるわけです。

イ:そうなんですよね。重ねます重ねます(笑)。夢がある名セリフです。
このセリフは、俺天での主役話「次期社長」での名セリフ「俺はもう一人で生きていくんだから」とシンクロします。
たつみ屋から飛び出そうという行為と麻生探偵事務所から飛び出そうという行為。

マ:こういう考察をしているの、日本で二名だけでしょうね、今のところ(笑)
早く再放送かDVD発売してもらって、皆で考えたいですなあ。

イ:今回で矢野さん、お帰りなさーい。ずいぶん早いお帰りで(笑)

マ:数年経っているという設定なんでしょうが、このドラマ、年代が一度も出て来ないのはどうしてなんだろう。
藤岡琢也さんも久々の登場です。やっぱり辰吉親方が出ると、番組が引き締まるなあ。
緊張して右手と右足を同時に出して歩き出すとか、傷めていない方の足を「イタタタ・・・あ、こっちか」とやったりする古典的ギャグも、辰吉親方ならでは。

イ:久しぶりだったのか、まるで気にしていなかった(笑)。留(福崎さん)の登場も久しぶりですね。

マ:今、日本中で福崎さんを語っているのも約二名でしょうね(笑)
俺天でいつも秋野太作さんに殴られているADということで、読んでいる皆さんにお顔だけでもわかってもらいましょう(笑)
しかし、団次郎さんのサハロフはいいですねえ。
試合で本当に三四郎を殺しそうになるのは、いかがなものかと思いますが(笑)

イ:団次郎さんも正義の味方ですから(笑)
当時は、いや、今見ても郷秀樹のイメージが強すぎて・・・違和感がいまだ取れないんですけど(笑)

マ:帰ってきたウルトラマンって郷秀樹っていう名前だったの?!それじゃ、ミドル・ネームは五郎なんでしょうね(笑)
怪人二十面相のイメージも拭えないなあ。

イ:サハロフから三四郎への挑戦状。サハロフが書いたのかどうかは敢えてツッコまないが、あの字、例の「果し状」の字と・・・

マ:生々塾に立ち寄った時、源之助に代筆してもらったのかな(笑)
意外とサハロフはタフ。源之助も鉄心も二回山嵐で投げられて体を壊したのに、サハロフはすぐ立ち上がって話とかしちゃってる(笑)

イ:そして日本語が確実にうまい。ポスコよりうまい。

マ:無理に訛ってますよね(笑)
試合では、またまた最初は苦戦する三四郎。あれなら源之助の方があっさりサハロフを倒せたような気がする(笑)

イ:生々塾でのサハロフの登場は怖かった(笑)。ただ、おかげで、源之助と三四郎の組み手練習が見られましたね!
これって、意外と貴重なシーンなのではないか?最初で最後じゃない?

マ:二人で練習するまでになったというのが感動的です。しかも、源之助が三四郎に教えている。
原作にはない、粋な計らいですね。

イ:サブシーンだけど1話から見続けている視聴者には間違いなく感動的に映ったはず。
序盤は人形だったんだから、人形、人形よ!・・・しつこいけど・・・

マ:そうだ、序盤の紘道館は人形で練習していたんだった。ぼろぼろになるまで動かして(笑)
ところで、大きな疑問。サハロフは「柔道の作法に従います」と言ったのに、一本勝ちじゃなくてデス・マッチですよね。誰がそう決めたんでしょう(笑)

イ:そういえばそうだ(笑)。殺し合う必要はない。初めからお互い殺意は全くないし(笑)
これって、警視庁の試合ですよね、津崎が検証してるし。村井のときよりずいぶん狭くなったような・・・道場。

マ:第二体育館だったんでしょう。我ながらすごい想像力(笑)

イ:重要なツッコミも。
外務省の古賀はなんで安が車を辞めたいと思っていることを知っていたんだろう?
古賀に「私が知っているのはそれだけじゃない」と言われたら、視聴者は納得する他ないのだが(笑)

マ:スパイでも忍ばせたんでしょうか。
安に根回しして三四郎に負けてくれるよう画策するなんて、安と三四郎の力関係を、わかっているんだかいないんだか(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

借金で東京から逃げた男が、どうして皇太子の車引きになれたんだ?
東京では外務省からたつみ屋にお達しがあったほどの公務だったのに。



第二十二話「ふたり三四郎」 1979年3月3日放送

『今日の檜垣』

九州から鉄心や源三郎とも親しくしているという活殺流の男二人(八名信夫・山本昌平)が上京し、紘道館打倒に源之助も手を貸すよう説得する。
今や、文部省も軍部も柔道を正式教科として取り入れようとしていることに、焦りを感じての行動だった。
だが、源之助は「協力するつもりはない」と答え、山門甚九郎(八名)が投げつけた湯呑みをパシリと手で受ける。逆上した山門が襲いかかると彼を投げ飛ばし、
「はっきり言っておこう。闇討ちなどで狙う気なら、私は紘道館の味方につく!」と言い切る。
彼らが去った後に心配して駆け寄る弟子たちに、源之助は新聞の記事を見せる。それは津久井(中庸次)がスペインに行き、闘牛を素手で倒した記事だった。自分の柔術を見出そうとしている者が海外にもいることを弟子に教える目が優しい。

山門の罠で留置場に入った三四郎を、毎日外で待つ乙美。その頭に無情の雨が降り始めるが、彼女はいつしか差し出された傘の下に入っていた。源之助がそっと傘を差し出したのだ。乙美に傘を持たせた手を、上からそっと握り締める源之助。一瞬みつめ合う二人。
その乙美の目に満足したように、源之助は一人肯いて、静かに去っていくのだった。
後ろ姿にそっと頭を下げる乙美。

それに比べて、三四郎が留置場にいるときいた鉄心は、さも嬉しそうに笑う。
「姿がブタ箱暮らしとは面白い」
まだ三四郎を殺すことを諦めていない鉄心は、源之助に稽古を告げる。だが、構えようとしない源三郎。
「心配いらん。腕の傷は稽古をしているうちに治ってしまう」
飛びかかる鉄心をかわす源三郎。だが、何度か源三郎が技をかわすうち、鉄心は木に腕を打ちつけ、激痛に叫びをあげてしゃがみこむ。
それでも稽古を続けようとする鉄心を見て、源三郎は
「兄者の傷 治るまで 三四郎 だれにも 手を 出させない」
と言って走り去る。
彼は釈放された三四郎の元に現われ、山門が三四郎をおとしいれた犯人であることを教える。
「殺されるな、姿。貴様を殺すのは兄貴だ!」

ストーリーとは全く関係ないが、沖さんの手の美しさが際立つ。湯呑みをつかむ手、羽織の紐を素早く引く手、そして、乙美の手をそっと覆う手・・・。←悩殺シーン!
ごつごつしている訳ではないが、男らしさのある、色気のある手だ。

『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

マ:冒頭のうさぎとび、すごいですね。神社の階段を何段も・・・。今では骨の成長の妨げになると言われて、全くみかけなくなったうさぎとびですが、勝野さんは十分背が伸びました(笑)
60〜70年代のスポ根ドラマではおなじみの光景です。
急階段なので、下りは転がり落ちそう。落ちて回転して地獄車が出来たら、「柔道一直線」になる(笑)

イ:野津一平(南条弘二)とここで出会いますが、羽織袴が三四郎のものと全く同じなのが憎い演出。ただ、この目つきは、津崎風(笑)

マ:確かに顔や表情は津崎の方が似てる(笑)
三四郎に連れられて入門した一平に、安が「腕をみてあげよう」と偉そうに言うシーン、好きなんです。
津崎がその安を頼もしそうに見て微笑んでいるから。

イ:やばい、安がだんだんと軽薄になっていく・・・。DARTSはもう目の前・・・

マ:あとひと月で「俺たちは天使だ!」の始まりです。ああ、楽しみだ(笑)
この回は紘道館が世間的に認められ、ちょっと小金も出来て来たことを現すシーンが多いです。
昔は毎日の食事にも困っていたのに、そば屋に行って皆でもりそばを食べているし、証拠となった三四郎の下駄も、日本橋の下駄屋さんにしかない特注だし。単に大きいサイズが欲しければ、両国に行けばいいわけで(笑)
警察署の人(柳生博)も「姿先生」って呼んでいるし。

イ:四天王の頃は、入門料を払わず飯は食ってましたからね(笑)

マ:パーで襲いかかった山門と、それをグーで受けた矢野。
グーとパーだけの試合、初めて見ました(笑)。そのまま押し合っているだけ。

イ:ジャンケンだったら、山門が勝ってたのにね(笑)

マ:お腹が痛い〜(爆笑)
矢野がさっと手を引いた時、山門が前にのめって倒れないのが不思議。それじゃ、ドリフのギャグになっちゃいそうだけど(笑)

イ:足の位置が腕の長さより近づいていなければ、物理的に前のめりにならないよ。

マ:ということは、たいして強い力で押し合っている訳じゃないのね。山門の苦しそうな顔はおかしいですな。

イ:お互いつまらないツッコミはやめよう(笑)

マ:山嵐で襲われた警察官が、三四郎との違いを知るためにもう一度山嵐をかけられるシーンは最高です。ちゃんと投げられる場所が決められていて、そこに蒲団が重ねてある!

イ:三四郎に今まで敗れた相手は、山嵐対策としてこの練習方法しなかったのかな?(笑)

マ:源三郎は三四郎に真犯人を知らせに来たはずなのに、いきなり襲いかかっていますね。

イ:殺したら教えられないんだけどね(笑)

マ:かなり激しく襲いかかられているのに、
「久しぶりだな。兄さんは元気か」と笑う三四郎も三四郎ですが、かすかに二人の間に友情が芽生えているのが読み取れるシーンです。
殺人を兄に譲る兄弟愛には勝てないけど(笑)

イ:それにしても源三郎は、長い日本語、よくがんばった(笑)

マ:よく考えると鉄心よりしっかりしてる(笑)
山門は、みなしごだった一平を拾って育ててくれたばかりでなく、柔術も矢野が認めるほどの腕前に仕込んでくれたのだから、いい人なところもありますね。
でも、紘道館を倒そうとしている割には、弱くない?

イ:一平を育てたり、「にせ山嵐」を扱えるのは職人技。この人、試合より研究タイプかも。顔に似合わず(笑)

マ:顔はあくまで青汁を飲んだ顔ですよね(笑)
そういえば、「にせ山嵐」はどこで会得したんだろう。確かに努力もしている人だったのね。
しかし、弟子の一平に投げられると、いきなり石でおでこをガン!ですから。こりゃ、ないよ(笑)

イ:石は、とんでもないね(笑)。門馬以下だね。

マ:柔術にはちゃんとした人はいないんかいな?とツッコミたくなります。

イ:乙美は、もう源之助の優しさが分かっていますね。源之助のほうも、他意なく乙美の手を握っている。

マ:とうとう二人の間で心が行き交いました!
手を上から握るシーン、いいですねえ。上からしっかりと傘を握らせることで、三四郎をしっかり守れという意思表示もしているし、源之助のかすかな未練と、後ろから見守るという気持ちも表わして。
そして、自分を納得させるようにうなずく源之助の表情。気持ちに応えられなくすまないという乙美の表情。乙美は、やっと源之助の優しさをわかってくれたのね。

イ:いい人間関係ですよね。だからこのドラマ好きなの!
「ふたり三四郎」は、俺天で言うと「殺人犯」でしょう。
疑われても弁明しない三四郎。
ただ、感動性があるのは、三四郎が一平をかばうところ!これが青春ドラマのよさ。
DARTSがかばっていたのは、浮気中の定岡ですからね(笑)

マ:いけない、定岡の顔が浮んでしまった・・・(笑)

イ:最後に。
ブタ箱情報。相変わらず情報早いわ、鉄心・・・

マ:私もそれは思いました!あのシーンだと、源三郎から情報をきいたようにみえますよね。源三郎の言語能力は、九州に戻った間に大分回復したようです(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

小石川警察署のドアに張ってある札「扉をあけてお入り下さい」
あけないで入れるのか?



第二十三話「妹」 1979年3月10日放送

『今日の檜垣』

新しい道場ではりきって練習している三四郎の元に、源之助が訪ねて来る。
出稽古に行った先で、三四郎の妹らしき人の噂をきいたというのだ。
二人は、いつの間にか三四郎が妹を探しているということまで話すほどの仲になっていた。

三四郎が妹と再会出来たかを心配した乙美が、源之助を訪ねる。
「ふーん、そういうことか」
首を傾げる乙美に源之助は背を向けたまま話す。
「乙美さんが訪ねて来てくれたんで何かと思ったんですが・・・」
源之助の気持ちを察して、すまなさそうにうつむく乙美。
「幸せな奴だな、姿は。みんながそうやって心配してくれる」
源之助の言葉の意味を知ってか知らずか、乙美は少し甘えた口調で言う。
「直接三四郎さんに聞けばいいんでしょうけど、聞きづらくって・・・」
自分で知らせたものの、人違いでなければ良いと案じる源之助。やさし〜

戊辰戦争で生き別れになった三四郎と妹の再会がメインの話。
幼い時に別れた兄と妹だが、肉親の情は絶えることがないという、心温まるエピソードだ。

沖さんは姉についてはあまり語らなかったが、妹とは一緒にアイドル雑誌の取材を受けたりしているし、パリに一緒に行った写真も公開していた。
妹さんは173cmの長身で、つりあう相手がいないから、上京した時は沖さんと腕を組んで歩きたがったという。
沖さんもとても可愛がっていたと事務所のお姉さんが話してくれたが、沖さんは妹さんの結婚に強硬に反対し、一時は絶縁状態になってしまったという話もその時にきいた。それも愛情あってのことだろう。
沖さんのお葬式では赤ちゃんを抱いた妹さんの姿をみかけたが、むずがる赤ちゃんに笑顔をみせた時、ふと沖さんの面影を感じた。

『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

マ:今回は三四郎と妹の五月(鈴鹿景子)の兄妹愛が中心に描かれますが、ずっと離れて暮らしていても、きょうだいの心は通じるものなのですね。

イ:三四郎の妹思いは周知の事実ですが、結局家に残ろうとする五月も立派ですよね。感動です。

マ:今まで一緒に暮らした家族は捨てられない。三四郎も無理に連れ出したりは決してしない。二人とも至極まともで、それが爽やかです。

イ:おばあちゃんのムラの決断も涙を誘います。

マ:五月が三四郎の元へ行くことを怖れて、彼の妹である事実を隠そうとする。
こんなに貧乏な暮らしだと、有名人と血がつながっていることをネタにして、お金の無心とかする人がいるよね(笑)

イ:迷子札を五月に見せたときの悲しみと勇気は、計り知れないものがあると思います。

マ:何も知らず埋蔵金探しに夢中になって、家から金を持ち出すような兄(平泉征)でも、五月には大事な兄だったんでしょうね。生みの兄より育ての兄。いや、生んでないし育ててないか(笑)

イ:ラストシーンまで兄・秀次郎に、兄妹であることを名乗らない三四郎と五月。
素晴らしい脚本です。さすが柏原さん。

マ:三四郎の後ろ姿を見送りながら「兄さん」と小さく呼ぶ五月。それに対して「ん?何だ?呼んだか?」ですからね。拍子抜けするほど能天気な笑顔で、兄と妹の日常を表現しているんですから、脚本家の技ってすごいです。

イ:姿三四郎の名前を聞いて、知らねえなとつぶやく秀次郎。
千住って、当時、すごい田舎だったのね(笑)

マ:見渡す限り野原と畑だった(笑)

イ:埋蔵金は今でも埋まっている。三四郎ファンは千住にレッツゴー!

マ:北千住かな、南千住かな(笑)

イ:花岡組との闘いの場面では、三四郎と秀次郎はアイコンタクトでタッグを組みましたね。遊撃捜査班のアイコンタクトよりスムーズ(笑)

マ:知り合って間もないのに、気が合ってましたね〜

イ:そのあと三四郎に投げられて宝探しを辞める決意をする秀次郎。
家族愛だけじゃなく、男の友情も問われる話だと思うんですね。

マ:秀次郎は三四郎が五月に気があると信じているわけですが、それでも二人の間に何か通じるものがあった。三四郎の笑顔も生き生きしています。

イ:征さんって、こんな役ばかりですよね(笑)。小悪党というか。
悪役が多いんだけど、真の悪役じゃない、みたいな。

マ:平泉さんがわからない沖ファンには「太陽にほえろ!」の『エーデルワイス』で記憶喪失に陥った夫といえばわかるかな?
今回は源之助の友情も光ります。
三四郎が矢野先生に妹の一件を相談しようとした時、矢野先生が「檜垣君にきいた」と言った時には驚きました。
源之助がそこまで紘道館と親しくなっていたとは。

イ:源之助は、わざわざ矢野にまで連絡していたんですね。
ほんと、カッコイイ男です。こういう男こそカッコイイ男!
アクションドラマでない役こそ見応えがありますね。
恭兵さんも数年後、こういうホームドラマ的なカッコイイ男をたくさんやってくれました。

マ:沖さんは単なるアクションスターではなく、「アクションも出来る俳優」と呼ばれたいとおっしゃっていましたから、これほどの誉め言葉はないでしょう。
恭兵さんはこのあと「俺たちは天使だ!」ではじけて、数年後には「アクションも出来る俳優」として、素晴らしい作品に沢山出演されていますよね。

イ:恭兵さんのそういう作品は、見直すたびに感動します。尊敬します。今でも財産です。
そう。恭兵さんも、沖さんと同様、アクションスターではないのです!

マ:乙美は源之助には甘えますね。「送りましょう」と言われて素直に肯いています。
「いいんです」とは言わない(笑)

イ:乙美が源之助の本意を分かるのは、次回24話のお手玉のシーンだと私は考えています。

マ:次回については、まだノーコメントにしておきます(笑)
乙美にとって源之助はまだ安全パイな男です。うーん、信じられん、乙美の感覚(笑)

イ:まだ源之助の優しさの真髄まで乙美は分かってないのではないでしょうか。
次回の2人は、感動のるつぼですからね。

マ:私は、高子が可哀想で涙が・・・あ、いかんいかん次回についてはノーコメントですってば(笑)

イ:高子の夫、病死するなよ(笑)
まあ、そのおかげで次回感動するわけだけど・・・
さあ、ついにクライマックスに入りますね!

マ:どんなにお金持ちで美人でも、たった一人心から愛した人には振り向いてもらえない高子。
まるで私のようだわ(笑)
あ、いかんいかん、また挑発に乗ってしまった。次回の話は次回に!(笑)

イ:三四郎全26話からダイジェストで見る(見せる)とき、 私は、11,13,15,17,24,25話を必須にしています。
余裕があれば、ここに1話と最終回を加える。
・・・と、今回はツッコミが難しいので、話をはみ出してみました(笑)

マ:ダイジェストで観られるようになるまでに、まず最低3回は通して観ないと(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

12万5千両探すのに、穴を2つしか掘ってない。やる気あんのか?秀次郎!


第二十四話「愛」 1979年3月17日放送

『今日の檜垣』

夫を亡くしてロンドンから帰国した高子。その高子に挨拶に行った乙美と、乙美を訪ねた帰り道の源之助が、乙美の父・村井半助の家の前でばったり顔を合わせる。
お手玉をして遊ぶ子供を見た源之助は、乙美が昔、源之助の家に忘れて行ったお手玉を、ずっと持っていたと告白する。
だが、そんな気持ちを変えるように源之助は言った。
「乙美さん、私はあなたと姿との結婚を心から願っています」
そして、あれほど自分を嫌っていた師匠・村井の命日に二人の結婚の報告が出来れば、村井も心から喜ぶであろうとまで言う。弟子である自分を差し置いて、三四郎を警視庁の要職の跡目に指名した村井なのに、その師の願いを果そうとしているのだ。
さりげなく門柱に何かを置いて、無言で立ち去る源之助。
乙美が見ると、そこにはお手玉が置いてあった。そっと両手でお手玉を包む乙美。

高子に求婚した津久井(中庸次)は、三四郎と試合をすることになるかも知れないと彼女に告げる。
だが、高子は三四郎の強さを強調するばかり。
二人のやりとりを目撃してしまった源之助は、高子のいまだ消えぬ三四郎への想いを知る。
「高子さん、もうこのへんで二人を気持ち良く一緒にさせてやったらどうですか。二人の幸せの前に立ちふさがるようなことをしても、自分が惨めになるだけです」
だが、その言葉はかえって高子を傷つけてしまった。
「あなたに何がわかるの?!人を愛するってことが・・・好きで好きでたまらない人を諦めるっていうことがどういうことなのか、あなたになんか・・・」
「わかります!」
源之助の声が大きくなった。「私にはわかるんです」
ほどなく高子が病の床につく。診断は「気の病」だった。

源之助が生々塾を出たところで、乙美が待っていた。
三四郎と乙美を残して自分だけ伊豆に療養に行かされることに承服出来ない高子は、乙美も一緒なら行くと、見舞いに来た乙美に意地悪をしたのだ。
高子の想いを知り、姉を見捨てられない乙美は、一緒に伊豆に行くことを決心する。だが、それを三四郎には言えず、源之助に伝言を頼みに来る。

二人の仲が裂かれることを案じた源之助は、「折をみて三四郎さんに話して」と言われたにもかかわらず、すぐに三四郎に知らせる。
迷う三四郎に源之助は忠告する。それは、源之助でなければ出来ない忠告だった。
「姿、愛情というものは、ひとつ立場を変えれば常に残酷なものだ。誰一人傷つけずに二人が結びつくなんてことはありえない。なあ姿、ありえないんだ」
最愛の人のために自分の想いを殺し、その人の幸せのために奔走する源之助。
狂おしいほど愛する人の愛を得られないことに苦しみ、結局は自分が傷つく高子も、最後は二人の仲を認めるのだった。


愛情というものは時に残酷なものだという源之助の言葉が心に沁みる。
帰国した高子の元へ二人でお見舞いに行く三四郎と乙美はそれだけでも罪つくりなのに、病にある高子の目の前でプロポーズをすることになる。
高子と乙美が乗った馬車を全力疾走で追いながら、「乙美さん、僕と結婚して下さい!」と叫び続ける三四郎。
制作側の意図に反して、見る度に高子に涙してしまうのは私だけなのだろうか。


『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

マ:今回は冬ソナも真っ青な愛の物語。激しく一途な人々の、それぞれの愛のかたちが描かれています。

イ:子どもに見せると、子どもも泣くんですよ。
感動シーンは2回ありますね。前半の源之助と乙美のシーンと、後半のプロポーズのシーン。

マ:何度見ても泣いてしまいます。高子が可哀想です。イリちゃんは同意出来ないでしょうが、やっぱり私は高子の味方です。

イ:誰が何回見ても泣きますね。ほんとに、感動しますね。
やはり、ファンとしての基本は、見ること・感動すること、だなあ。
清々しいドラマを見て清々しい気持ちになる。これこそ自分の人生で、ファンをやってよかったと思う瞬間だ。

マ:イリちゃんも今回は高子を責めてはいけないってわかってくれたのね。良かった〜

イ:お咲と戸田のエピソードは、とってつけたようですけどね(笑)
18話あたりで伏線を敷いていればいいものを(笑)

マ:なんで四天王は、いつも三四郎が関わった事件から交際相手をみつけるのでしょうね。(笑)
三四郎が馬車を追いながらプロポーズをするシーン。あれはダスティン・ホフマンの「卒業」のような感動のクライマックスなのでしょうが、高子にとってはこれほど残酷なことはないです。
そんなことをする位だったら、乙美は最初から伊豆行きを断れば良かったし、三四郎も求婚するなら早くするか、伊豆に着いた後にすれば良かった。かえって高子を傷つける結果になってしまったじゃないですか。
まあ、伊豆に乙美を連れて行くと言い張った高子が悪いといえば悪いんだけど(笑)

イ:やはり私も三四郎と同じ、女心の分からない朴念仁なんでしょうか(笑)
あえて高子が自分で自分をみじめにしているように見えます。
源之助と同じセリフが私も頭に浮かびます。姉として、妹の幸せを望まないのだろうか、とか。
しかし、このシーンはさすがに泣いてしまいます。あまりにも可哀想なシチュエーションになっちゃった。

マ:高子は結局つらい決断を、自らの手でしなくてはならなくなってしまいましたからね。

イ:だから、高子の決断「いいのよ、乙美。行きなさい!私のそばから出て行って!」という叫びには、拍手を送りたいぐらい同情します。

マ:何度も言うけど、イリちゃんも高子に同情してくれて良かった(笑)
いよいよ武徳殿の試合の話が出て来ました。柔術と柔道の天下分け目の決戦。最終回が近づいていますね。

イ:津久井が九州に道場を作ったという話は、あまりにも唐突だと思いません?
あれは、津久井を無理矢理西側代表候補にするための強引な設定なんですね。
だって津久井は都会っ子だもん(笑)

マ:確か子爵の家の生まれでしたもんね。だからこそ海外留学も出来たし、源之助がなかなか持てなかった自分の道場をあっさり手に入れられたとも言えます。
三四郎と対決したいがために、わざわざ九州に道場を作ったのかな。やっぱりちょっと強引な設定だ(笑)
強引といえば、柔術側の候補に漏れて紘道館に乗り込んで来た人たちは、最初から矢野を狙って来れば良かったのにね。三四郎を倒しても紘道館は潰れないですから(笑)

イ:こういうとき必ず玄関にいるのは虎之助だよね(笑)。果し状を渡されたり、蹴散らされたり(笑)

マ:虎之助はいつまでたっても強くならない(笑)
やはり矢野先生は、カッコ良かったですねえ。バッタバッタと相手をなぎ倒し、一糸乱れぬ髪型も素敵(笑)
倒れてくれる人たちがうまかったとも言えますが。

イ:露口さんの長めのアクションは1話以来かしら(笑)

マ:三四郎より強くなければいけないわけだし・・・。確かにそう見える。露口さんが柔道の経験があるかどうか知らないけれども、これが役者の技なんでしょうねえ。すごい。

イ:ここでは、ただ強いだけではなく、矢野のオーラが見えないといけないから、露口さんも大変だったはず。

マ:最初に求婚しに来た三四郎ったら、なんざましょう。
「ボクはその・・・乙美さん・・・さようなら!」
これで走り去っちゃうんですから、まるで別れを言いに来たみたいじゃないですか(笑)
それでも、三四郎の気持ちをわかっている乙美。あ〜あ、やっぱりこの二人はベスト・カップルだ(笑)

イ:あそこは、乙美は三四郎の言いたかったこと(プロポーズ)に感づいていた、と読解していいのでしょうか?

マ:三四郎が口ごもっている時に、「はい、はい」と言いながら待っている表情ですから、三四郎が何故来たか、乙美はわかっていたと読むべきではないでしょうか?

イ:まあ、いずれにせよ、あそこで三四郎が告白していたら、感動シーンがなくなっていたので(笑)

マ:津崎が津久井のことを「姿打倒を目指して火の出るような稽古を繰り返している」というのはおかしくない?火花が散るような稽古?燃えるような情熱?ま、細かいツッコミですが(笑)

イ:え、今回、細かいツッコミ、あり?(笑)
感動で胸がいっぱいで、果し状の字も気にならない・・・

マ:あ、私こそ今回、そこはツッコまないつもりでしたよ(笑)「果し状代筆協会」にでも頼んだのか、いつも筆跡が・・・。
そんなことより、矢野先生の言葉が感動的です・・・と、話題を変えてみる(笑)
「お前が乙美さんと離れて、それで高子さんが幸せになれるのか。逆だ。高子さんを苦しめるだけだ」

イ:さすが先生。いいこと言いますね。
源之助の名ゼリフ「誰一人傷つけずに二人が結びつくなんてことはありえない」とセットで覚えましょう。

マ:おぼえなきゃいけないんだ。「試験に出る名台詞」。(笑)
今回は竹下景子さんの名演も光ります。お嬢様風から少し翳のある未亡人風になっていますし、彼女の演技のおかげで、高子はただの意地悪女ではなくなっています。
馬車に一人残って涙を流すシーンも、泣きながらもほっとしたような表情を見せる。さすがです。

イ:なるほど。そう受け止められますね。
このドラマを見て竹下さんを好きになった男性ファンは多いと聞きますが、大部分は乙美に感情移入していると思います(笑)

マ:高子じゃないのね(笑)。女性は高子の方が感情移入しやすいだろうなあ。乙美はいい子すぎるから。

イ:乙美も、伊豆行きの話を源之助に相談していた。完全に源之助を信頼している証拠。これは、偉いですよ!

マ:源之助には甘えられる。乙美にとって源之助は兄のような存在なのでしょうね。

イ:もう一度言いますが、この高子の決断は、(私を含め)男性ファンから同情の嵐でしょう。
高子のような女性だからこそ、「よく言えた!」と私も高子の涙に感動してしまうのかも。

マ:おお、高子が男性ファンから同情してもらえるとは!
しかし、三四郎はいくらなんでも無神経。高子の家に乙美と一緒に行き、紅茶なんかこぼすな!(笑)

イ:恐い顔でした、高子。私なら、睨んだりせず、さっさと身を引くんだけどなあ。源之助の言うとおり。
ああ、こう考えるたびに、男心が源之助と全く同意見なので、すごくうれしい。 源之助様、大好き!

マ:「さっさと」だなんて・・・・。源之助がああいう心境に達するまでには、もんどりうって苦しむ日々があったはず。だからこそ、高子への助言にも重みがあります。
三四郎は、津久井から果し状を受け取った時「津久井君は高子さんの愛を得ようと苦しんでいる」と、かなり情報通。どこで聞いたんだ?
そこまで人の気持ちが分かるのなら、高子の気持ちも察して傷つけないようにしてもらいたかったです。 ああ、今回は私も感情的だ(笑)

イ:まあ、序盤で、2人仲がいいことは三四郎も知っていましたが。
マフォンさん、高子に自分を投影して見ていますね?

マ:竹下さんがうますぎるんですよ。
原作通り意地悪な女性なら別ですが、この竹下高子は同性からみて魅力的な女性なんです。このお祭りが始まってから、掲示板には高子同情票が何票か入っていますし。
乙美は古き良き日本女性で、高子は現代のヒロインというところかな。

イ:ドラマは(お芝居もそうですが)、自分の人生を投影して見ると、感動は倍増しますからね。
それより、果し状の字・・・

マ:またそこをツッコむか(笑)
このドラマで誰に自分を投影するかといえば、私はやっぱり源之助様です♪
ところで、丘の上で片足を曲げて待つ津久井のポーズは、まるでメンズ・ノンノのモデルですな。

イ:あるいは「メンズクラブ」とかね。中さんのアイビールックは、当時の雑誌にはなかったのかなあ?

マ:え、1979年ってアイビールックの時代だったっけ?そういうえばジュンちゃんとかはそうだね(笑)
このシーン、カッコイイんだけど、いやに台詞が棒読みじゃない?

イ:津久井はいつでも棒読み・・・キャー、中さんにツッコミは入れないでー!

マ:隠れ中庸次さんファンひとりみ〜っけ!(笑)
またまた首を絞められると弱い三四郎。いつも首を絞められ、いつも崖に助けられる三四郎(笑)

イ:たしかに崖には強いね(笑)。でも峰の薬師にしたって梅の台地にしたって勝浦浜にしたって、すべて場所を指定したのは相手のほうだけど(笑)

マ:あ、そういえばそうだ〜(笑)
戸田たちが様子を見に来てくれて良かったね。来てくれなかったら二人とも落ちていたかも。

イ:ロッキーだったら、自分で切って落ちちゃうんだけどね(笑)そういう感動は必要ないか(笑)

マ:スニーカーだったら一緒に転がり落ちそうだね。そういうツッコミも要らないか(笑)
またまた細かいツッコミですが、あそこで子供たちがお手玉をしていなかったら、源之助はどうやって話を切り出したんだろう?

イ:まさにそのとおりで笑っちゃいましたが、この場面、ツッコむ?(笑)

マ:だってぇ〜(笑) お手玉を返しに来たら、子供がその場でお手玉をしていたなんて、偶然すぎます。源之助が雇ったエキストラかも・・・って、そこまでツッコむか(笑)

イ:私は、男心的に、まずこのシーンでいつも泣きます。源之助が立派すぎます!
というか、この例の音楽!
10話同様、私を泣かせるには、これがいちばんです(笑)

マ:車を運転する時は、この曲はかけないようにね(笑)
ちょっとだけ未練がましくも見えるシーンではありますが、どこかでケジメをつけたかったのでしょうね。それだけ乙美を愛していたわけで。

イ:淋しそうな源之助の後ろ姿。
お手玉をさりげなく乙美に返してしまう、この男の決断。痛いほど源之助に共感します。

マ:後ろ姿で演技が出来る役者さんは少ないと思います。お手玉をする子供たちを一瞥しただけで、、あとはいつもの威風堂々とした様子もない後ろ姿。
家で裁縫の手を休めてお手玉を眺める乙美は、そんな源之助を思い出してくれているのかな?

イ:男は黙って身を引くものなのだと、昔からの教訓なんです。
それも友人の三四郎と乙美の幸せのために。
最高のシーンです。ツッコむのはやめましょう。
それにしても、あの子どもたち、わらべ唄のうるさい奴らじゃなくてよかった・・・

マ:自分でツッコんでるじゃないですか(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

崖に落ちかけて津久井の手を握ってこらえる三四郎。
どうしても「ファイト〜!」「イッパ〜ツ!」と言いたくなる。



第二十五話「捨て身」 1979年3月24日放送

『今日の檜垣』

武徳殿での試合は、西側代表に津久井譲介(中庸次)が選ばれた。
三四郎と決闘した時の傷が癒えない鉄心は選考に漏れたことに腹を立てるが、確かに腕の調子は良くない。そこで彼は腕の代りに手斧を持ち出した。
「姿はな・・・こうして殺す!」投げた斧が壁に突き刺さる。
その兄の姿を見て、食べていた肉を放り出して外に出る源三郎。
彼が薪の炎の中に見たのは、三四郎の優しい寝顔だった。

療養中の高子を見舞った譲介だが、彼はいつしか酒に溺れる日々を送っていた。
そんな譲介を源之助が探し出して訪ねて来た。
とっくに師弟の縁を切ったはずだと源之助を拒否する譲介。そんな譲介を源之助は殴り飛ばす。
「目を覚ませ、譲介!」
組み合う二人。投げられても投げられてもかかってくる譲介。そして・・・。
「参りました、先生」譲介が正座をした。
振り返り、それはそれは爽やかに笑う源之助。「いい気合だった」
武徳殿の試合に自分が選ばれたことを知り、譲介は再度三四郎に挑戦する闘志を取り戻すが、 源之助はその譲介に釘を刺す。
「個人的な恨みの感情で姿に挑むんじゃない。わかるな、譲介」
言うまでもなく、それは高子がいまだに三四郎を忘れられないことを指していた。

揃って村井半助の墓参りをした三四郎と乙美の前に、鉄心と源三郎が立ちはだかる。
鉄心の腕の傷を心配する三四郎には、彼らと闘う意志がない。
そんな三四郎に「試合ではないわ。きさまが死ぬまでの闘いだ!」と構える檜垣兄弟。
だが、一触即発となった三人の間に乙美が割って入る。
「どうしても殺し合いがしたいのなら、私を殺しなさい!さあ、殺しなさい!」
さすがの檜垣兄弟も、乙美の気迫に押されて立ち去る。

生々塾で猛練習を積む源之助と譲介の前にも、鉄心と源三郎は現れる。
「ウハハハ…少しは元気が出たか、兄貴」何故かいつも最初に笑う鉄心。
譲介に武徳殿の試合を譲るように詰め寄る鉄心を、源之助がいさめる。大好きな「左右沖さんツーショット」だ。
だが、鉄心の耳に兄の忠告が入る余地はなかった。もはや理由も手段も選ばない鉄心の狂気に、源之助は驚く。
「お前が死ぬことより、姿が傷つくことのほうが惜しい」
その言葉に怒ったのか、鉄心は腰に差していた二本の手斧を持ち出す。
「何をする、鉄心!」目を丸くする源之助を無視して、鉄心は譲介の顔の左右に手斧を投げる。
「素手を相手に斧を投げる。それでもお前は武道家か?!」
その言葉をきく源三郎の顔に悲しげな影が走った。
一方、鉄心には正義も良心もなかった。
「俺は勝てばいいんだ、勝てば」

三四郎の身を心配した源之助は三四郎を訪ねる。人の心配で忙しい源之助だ。
弟たちの誘いに決して乗らないよう三四郎に忠告するのだが、事件は彼の手の届かないところで起った。

源三郎から果し状を受け取った虎之助が、三四郎に知らせずに自ら決闘の場に赴き、鉄心の斧に倒れたのだ。
「くたばった」
たった一言で片づけようとする鉄心に、初めて源三郎が反抗した。
「斧、嫌だ」

紘道館に戻った虎之助の死体にすがる安。
「こいつ、自分はもう強くならなくていいって。寂しかったんだよ、こいつ。もう、寂しくて寂しくてしょうがなかったんだよ。柔道を続けたかったって・・・」
とむらい合戦だと息巻く門弟たちの前に、源之助がやって来る。
「よくもおめおめと顔を出せたな!」
口々に源之助をののしる門弟を三四郎が止め、源之助は虎之助のそばに座る。
そっと白布をめくって死に顔を見た後、何も言わずに手をついてうなだれる源之助。表情は見えないが、頭が小刻みに震えている。
その源之助の姿を見た三四郎は、檜垣兄弟と闘う決心をした。

房州小湊勝浦の浜。
鉄心に指定された決闘の場に、三四郎はまたも一人で向かった。
「好漢、正に惜しむべし。一人でやって来る勇気、たまらなくいいぜ」
琉球の山奥で育った割には小粋な台詞で三四郎を迎えた鉄心だが、ほとんど闘いもしないうちに斧を持ち出す。
その斧の前に、なんと源三郎が立ちはだかった。
「邪魔はさせん!」もはや正気ではない鉄心は、源三郎の胸に斧を投げる。だが、同時に自分はバランスを崩して崖から落ちて行くのだった。
源三郎を抱きかかえて、自分を守った理由をたずねる三四郎。源三郎は、
「お前、好き。お前、強くやさしい」と言って三四郎の顔をなぜる。
「うさぎ、生きているかな…」
きっと元気でだという三四郎をみてニッコリ笑った源三郎は、急に身を翻して起き上がり、
「兄者、呼んでる。兄者、そばへ行く」
と言ったかと思うと、叫ぶ三四郎の目の前で海に飛び降りるのだった。


知性と強さを備えた源之助と、次第に正気を失う鉄心。
沖さんは、この二人の兄弟をうまく演じ分けている。あえていえば、鉄心がきれいすぎるかも知れないが、これは持って生まれた沖さんの清潔感と品の良さが邪魔をするのだろう。ああ、罪な男だ。

最後まで白い柔道着を着ることはない源之助だが、黒い柔道着に黒い袴がよく似合う。すり足も本物の柔術家のようだ。
前回は三四郎と乙美の愛のために奔走し、今回は譲介の復帰と弟の不始末のために忙しい源之助。人のために生きる人の姿は、いつでも美しい。

余談だが、決闘のシーンで構えた時、沖さんの手のひらがアップになる。
手相で三十歳までしかないと言われた沖さんの手の生命線は、確実に薄くなっていた。あと四年。

『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

マ:またもや涙腺が壊れそうなほど泣く回ですが、ツッコミはやめません(笑)。
まず、今回の回想シーンで気がついたのですが、峰の薬師の闘いで滝に落ちた鉄心は、なぜ岸に倒れていたんでしょう。しかも、全身乾いていますね(笑)

イ:過去の話をツッコむか!(笑)
たしかに私も、横になるのに楽な位置で寝ているなとは思っていましたが(笑)

マ:譲介を伊豆に訪ねて来た源之助ですが、話している間に波が来て、足がびしょぬれ。
引き潮の時に撮影出来なかったのでしょうか(笑)

イ:そうですね。だけど、そんなところは見ていられない(笑)
大好きなシーンなんです。師弟関係の復活。そして、久しぶりの良移心当流の稽古。やはり二人ともカッコイイ。
高子の「勝手になさい」のつぶやきもいいですね。

マ:決闘の方を先に撮影しちゃったんですかね。源之助の顔、洗顔したてみたいだもん(笑)

イ:そうなんですか。これは知りませんでした。

マ:いえ、勝手に想像しただけです(笑)
源之助は三四郎との決闘以後は、ずっとノーメークですね。
病み上がりの感じを出すためなんでしょうか。ドーランも塗ってない。
高子の療養先は伊豆で、決闘は千葉のはずですが、どうも同じ場所くさいですね。
協力も「今井浜東○ホテル」としか出ていなくて、「ホテル三日月」はないもん(笑)

イ:同じロケ場所だと考えると、感動が薄れるなあ(笑)

マ:あ、またイリちゃんの夢を壊しちゃったかな。

イ:高子の療養先は、「龍雲閣」という看板が出てましたね。
今でもあったら、明治以来の老舗ということになりますが・・・
その前に、これは南小路の別荘だったか。

マ:旅館にしてはプライベート・ビーチが狭いぞ(笑)
泥酔していた譲介は、意外にも体がよく動きますね。あんなに酔ったまま源之助と闘えるとは。

イ:源之助も手を抜いていたでしょう。それにしても、いいなあ、このシーン・・・

マ:そうか、あえて手加減していたのか。さすが源之助。
しかし、生々塾での稽古は厳しいです。
「ちょっと休憩するか」と言ったのに、汗を拭きながら一言二言話しただけで、すぐ「もう一本行くか!」となる。
休憩というより、台詞を言うために立ち止まったとしか思えない(笑)

イ:あ、そうですね、なるほど。
このあと鉄心が来て津久井に手斧を投げますが、これまた見事にはずすように投げてます。
しかし、コントロールの良さは投げた量に比例するとすれば、1位:張、2位:伊佐山、3位:鉄心の順だな。何の話だ(笑)

マ:あれは鉄心が挑発するために、わざと外したのだと思っていました。
だから一位:鉄心、二位・・・もうやめときましょう(笑)

イ:手斧を源之助に諫められた鉄心。
「綺麗事を言っていると時代に取り残されるぞ」と言い返しますが、鉄心の思い描く未来の時代って一体・・・・
どうなの?マフォンさん(笑)

マ:私にそれをふらないで(笑)
以前は檜垣流空手を日本一にすることと本土への復讐が目標でしたが、「勝ちゃあいいんだ、勝ちゃあ」と既にコントロール不能。
現実にはいそうもない人物像のようにみえて、実は現代に置き換えたら凶悪なテロリストかも。
今回は虎之助の三四郎に対する気持ちが十分に描かれています。
「姿さんって最高だもの。あの人の稽古台なら、それで一生終わったっていい」
そこまで男に惚れさせるほど、三四郎ってカリスマ的魅力を持った人だったんですね。

イ:夜の練習のシーンあたりから泣けますね。
佐山さんも、思い詰めたような虎之助を見事に演技しています。

マ:虎之助を馬鹿にして笑う鉄心と源三郎ですが、源三郎の笑顔が爽やかすぎます。
そういえば石橋正次さん、紅白で司会者に「えー、石橋・・・?」と名前を忘れられた時も、この笑顔で「正次です」と答えていらっしゃいました。いい方なんですね。

イ:「夜明けの停車場」のとき?

マ:その一回しか出ていないですよ(笑)

イ:その源三郎ですが、今回は別人のようにしゃべります(笑)

マ:やはり高尾参りをして、病気が良くなったんでしょうか。霊験あらたか?

イ:これで死んでいなかったら、次回から源三郎をどうするつもりでいたんでしょう(笑)
それにしても、17話で使えなかった斧を自分が浴びて死んでしまうなんて、源三郎は立派だねえ。

マ:やっぱり鉄心だけ養子かも知れない。長男と顔が似すぎてるけど(笑)
ところで、今回一番泣けるのは、安の台詞。三四郎のために命をなげうった虎之助を「寂しかったんだよ、こいつ」と理解する。
寂しかったから命を賭けた。こんなに深遠な意志をわかる人だったのですね、安は。

イ:完全にKIDの恭兵さんです(笑)。とくにこういうつらくて涙する芝居は多かったですし。
さすがの安も、こういう場面になると、KIDとなります(笑)

マ:「さすがの安」というのは、ほめているのか微妙(笑)
そうですね、安はおっちょこちょいで単純だけど気のいい男という、いままでの流れに反していますよね。
そう、いつもの安なら「あいつ、三四郎の身代わりになったんだよ」などと、現実的なことを言うはずです。
脚本家がKIDのお芝居を観て変えたのかなあ。
いつものことですが、三四郎ったら、どうやって鉄心たちの小屋をみつけたんでしょう。あれは、峰の薬師の小屋じゃないですよね?

イ:あれは峰の薬師ですよ。
ですから、今回の果し合いは、14話にも匹敵する長旅のはずなんですけど(笑)

マ:まず、峰の薬師に行き、それから勝浦に行ったわけですか。疲れさせる作戦なのか(笑)
勝浦を指定する鉄心も鉄心です。よく千葉の海まで知っていた。崖マニアなのかな(笑)

イ:崖マニア(笑)。自分が死にそうになった場所に、逆に興味を持ってしまったんでしょうか(笑)

マ:峰の薬師の決闘で崖には懲りたはずなのにね。

イ:鉄心は情報通だから、きっと、その頃はやりのタウン情報誌でも読んで決めたんじゃないでしょうか。
「今月のおすすめスポット」。

マ:壊れてきましたね(笑)
だいたい、「檜垣流空手術」と果し状にも書いてあるのに、どうして柔道と柔術の試合の候補になったんでしょうね、檜垣兄弟は。

イ:当時空手も柔術の一つと考えるしか解釈のしようがないですね。
それよりも、正式な場で1対2というのが、いちばんよろしくない理由なんじゃないかと(笑)

マ:それで候補から落選したと考えるのが筋ですが、誰もそのことに思い及ばない(笑)
しかし、さすがの私も虎之助が可哀想で、今日はツッコミが鈍ります。

イ:そうですね、私も。でもこれだけは言わせて。
源三郎、動物を焼いて食べないで!

マ:食べてた食べてた。うさぎの肉だったら最悪だね(笑)


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

果し状の文字が今日も同じ筆跡だ・・・



第二十六(最終)話「嵐の中で」 1979年3月31日放送

『今日の檜垣』

源之助は、高子に会えば心が乱れるので会わないと言う譲介に
「そういう苦しみに打ち克つ方法はただひとつ。逃げずに苦しみと共に暮らすことだ。 私は姿への憎しみを、そうすることでようやく越えた」
「試合は死闘ではない。自分にも勝てぬ奴が相手に勝てるはずはない」と諭す。

だが、三四郎が試合の延期を申し出て却下されたため、譲介は不戦勝となる。それを聞いた源之助は、武術というものは競い合う力があってこそ初めて成長するものだと言い、譲介に試合の延期を申し出させる。渋る委員たちに源之助は言った。
「これは武術の試合であって、殺し合いではないからです」
一見唐突にみえる台詞だが、その言葉には時代背景があった。日本は清国との戦争に向かって走りはじめていたのだ。そして武道も戦争に利用されようとしていた。
源之助の言葉に、はっと振り向く矢野庄五郎。彼もまた、柔道が戦争に利用されることを怖れていた一人だった。

源之助は三四郎が試合を放棄しようとしているのなら、彼は柔術を辞める覚悟に違いないと説き、
「あの姿三四郎を永遠に柔術界から失ってしまう、それを惜しむ人はいないんですか!」と叫ぶ。
彼の説得が功を招じ、試合は延期となる。だが、源之助は何故三四郎が試合を放棄しようとしたのかを知らなかった。矢野先生もその場にいたのだから、教えてくれても良さそうなものだが、教えた形跡はない。
乙美が肺炎をこじらせて危篤に陥っていたのだった。

三四郎のために試合の延期をさせた譲介を裏切り者と感じた九州の柔術家たちは、彼を呼び出す。
「姿三四郎と本当に互角に試合出来るのは先生です」と書き置きを残して彼らとの決闘に臨む譲介。だが、彼は刀で刺されて非業の死を遂げる。
高子は再びロンドンに旅立ち、乙美は「私は本当に幸せでした」という最期の言葉を三四郎に残して逝く。

武徳殿での試合。
なぜか検証が矢野という不公平な状況ではあるが、どうやらその矢野を挟んで三四郎と源之助という、サービス・ショットを最後に用意してくれたようだ。
肩をつかみ合う二人に何故か急にあたりは暗くなり、ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン!という音楽。そしていきなり「終」の文字という旧式な終わりかたに不満は残るが、試合の結果まで見せずに源之助にも華を持たせたラストには、沖さん側への配慮が感じられる。
見事に「主役を食った」檜垣源之助だった。

『今回のツッコミ姿三四郎』 ( イ=イリちゃん、 マ=マフォン)

マ:ツッコミどころは沢山あるんですが、感動のラストなのであまり茶化したくないんですよね〜。
でも、これだけは言わせて!どうして乙美が倒れた時点で誰かが源之助にも知らせてくれないの?あとから安が生々塾に駆けつけますが、源之助たちは京都に発った後だった・・・。

イ:相変わらず、病態の変化だけは、このドラマ早すぎるんですよね(笑)
布団に横になると顔色がもうダメ(笑)。半助のときもそう。

マ:そういえば、乙美の場合は、前々回あたりから立ちくらみを起こすシーンが何度かありましたから、その時点で顔色が悪くなりはじめても良かったのにね。
横になったらいきなり顔色がメチャメチャ悪いです(笑)
そういえば田川の女将。反戦運動の疑いで留置場に入れられた真崎(竜雷太)が危篤の乙美に会いに来られないことを嘆く安とお吟に
「これでよかったと思うのよ。こんな時ぐらい二人っきりにさせてあげたいじゃない」
というのは真崎に気の毒。彼がいたら無粋に邪魔すると信じての発言です(笑)

イ:なるほど。そうとると東天がかわいそうですね(笑)
でも、このセリフはたぶん、右京ヶ原のあとから離れてばかりだった二人が、武徳殿とぶつかったにもかかわらず一緒にいようとしている、という意味かなあと思います。
お仙は昔から二人がそばにいないことを気にしていましたしね。

マ:ま、そうなんですけど、真崎が留置場に入れられたことに驚く安とお吟のリアクションの後に「これでよかった」ですから、タイミングが悪い(笑)
タイミングといえば、「先生、勝ちました!不戦勝です!」と言って喜んで入って来る譲介はいただけないですよね。冒頭での源之助の説得は何だったんだ(笑)

イ:おぼっちゃま育ちですから(笑)

マ:いいことは素直に受け取ってしまうのね(笑)

イ:譲介も最後までかっこよくてよかったですね。
武徳殿を源之助に譲り、白とっぽ組の連中と立ち会う。あの置手紙が譲介らしくて、ここも最大級の感動ですね。
武徳殿を「譲」るくらいだから、「譲」介というんだな。

マ:最後はカッコ良く決めてくれました。
でも、皆が欲しがっていた武徳殿での代表権が、彼個人の意志だけで源之助に譲れるのかという疑問は残りますが、まあここは最終回に免じて許すことにしよう。源之助に花道を譲ってくれたわけですし。

イ:それにしても、この源之助の名ゼリフ。
「苦しみに打ち克つ方法はただひとつ。逃げずに苦しみと共に暮らすことだ。
私は姿への憎しみを、そうすることでようやく越えた」
素晴らしいの一言。大好きです。

マ:恐縮です(笑)
この台詞を最終回に源之助が言ってくれたことで、ドラマの質がぐっと上がった気がします。

イ:これぞ人の生き方ですね。私も、青少年期に見て、どれだけ影響を受けた言葉か。
嫌いになると逃げたり憎み続けたりする今の若い人たちに、ほんと言って聞かせてほしい。
ヤブ滝コンビのドラマを見て、自分を見つめよう!生き方を考えよう!そして沖ファン恭兵ファンになろう!

マ:最終回なのでテンション上がってますね(笑)嬉しいなあ。
当時は沖さんが主役以上に活躍してくれたことに満足しちゃっていましたが、今観てみると自分をみつめ直すきっかけになる、素敵な台詞がばらまかれています。
人生がうまく行かない時に観ると、さらに落ち込む時もありますが(笑)、そんな時には南小路子爵が高子に「お前は日本に帰って来て、楽しいことは何ひとつなかったんじゃないのか」という台詞なんかは辛いです。
でも、子爵はやはり高子の父親ですね。それはそれで良かった気がします。一人ぐらい高子の味方がいないと(笑)

イ:ロンドンでも亭主と死別したんですけどね(笑)。高子の今回のロンドン行きは、どう考えても、乙美の死に際に居させないためのタイミングとしか思えません。

マ:そうか、高子にこれ以上悲しい思いをさせないための配慮だったのですね。最終回では以前のように意気軒昂なところがありませんから、乙美の死をチャンスと思ったりはしない・・・と信じたい(笑)。
何より乙美の臨終が最終回のハイライトですから。今まで何もしてあげられなかったけれども、これからはずっと一緒だという三四郎に
「いいえ、今までだってずーっと一緒でした」と微笑む顔の美しいこと。物理的には離れている期間の方が長かった二人ですが、愛する人とずっと心をひとつにして来た女性の自信に満ち溢れた顔がありました。、短かかったけれども、とても幸せな一生でしたね。

イ:でも、新居でゆっくり生活させてあげたかった。やっぱりかわいそう。
「家が見たい」と言ったとき、もうすでに乙美は自分の死期を感じていたんでしょうね。

マ:安とお吟がそのことを案じていましたよね。普段はそんなわがままを言わない人だったから、最後の願いだったのでしょう。
でもね、「三四郎さんが私にどんなに優しかったか、私だけは知っています」にツッコンでもいい?他の人は知らないんでしょうか?(笑)

イ:そうねえ(笑)。でも、みんな、死ぬ寸前に三四郎の優しさを指摘しているからなあ。

マ:村井半助、虎之助、源三郎・・・。

イ:勝浦浜で源三郎がこの言い方しなくてよかった(笑)

マ:源三郎がその言い方をするのを想像しちゃったじゃないですか(笑)
問題は乙女を診た医者。臨終ならせめて脈をみてから告げて欲しい。
正確には頭を下げただけですよね。首がガックリなんていう感じでもないのに、安もお吟もよく乙美が死んだってわかりましたね。あ、ここ、ツッコンじゃいけない?

イ:これは、そうですよね。あのあと乙美が続きをしゃべり出したら大変!(笑)

マ:さらにツッコミ倒してくれるイリちゃんが好きです(笑)

イ:お決まりの首ガックリはなくてよかったと思うけど、このシーンはすべて医者が悪いことにしよう(笑)

マ:そうしようそうしよう(笑)
私の祖父は日清戦争に出ているんですよね。それもそれほど若くない年齢で。おじいちゃんは三四郎より年上だったのか・・・日清戦争のことが出て来て、私にとっては一気に時代が縮まりました。

イ:私の祖父祖母も日清日露は体験していたようです。子どもの頃、寝る前、日露の数え歌、よく聞かされました。
三四郎や源之助は、このあと日露戦争も経験するのでしょうね。

マ:矢野先生の「私はいかなる戦争にも反対するつもりだ」というきっぱりとした態度は、とてもタイムリーですよね。どこかの大統領にも「姿三四郎」を観てもらいたいものです。

イ:そうですね。そしてその感想を私のHPに投稿してもらいたいものです。

マ:ラスト・シーンの終わりかたはどうですか?なんだかいきなり旧式な感じがするのですが。

イ:終わり方と言いますか、あの最後の最後の音楽!ジャジャジャジャーン!
あれで完になってしまっては、時代劇と間違えられる!(笑)

マ:さて、今回で「姿三四郎まつり」も終りです。

イ:ツッコむことによって、ドラマに、より親近感が湧く。そんな感想を持ちました。

マ:意見が食い違うこともありました。特に高子の評価について(笑)。
でも、一生懸命生きた明治の若者たちの青春群像として描かれた、従来とは違う「姿三四郎」に拍手を贈りたい気持ちは一緒ですよね?

イ:高子の評価というよりも、私が「姿三四郎」から得ていた感動は「質素さ」だったということです。
その質素さを表現していたのが高子よりも乙美だったというわけで、私の感動の投影も乙美や源之助だったわけです。
自分の欲を禁じて仲良く人付き合いしていく・・・この言動が大人っぽく見えて、感動してしまうんです。
そういう意味では、乙美や三四郎も質素でしたけれども、源之助がいちばん質素。
結局行き着くところ最初から同じ結論。
「姿三四郎」は、檜垣源之助の大人っぽさが中心のドラマなんです!

マ:うわー、嬉しいなあ。勝野さんファンには殴られそうですが、やはり源之助の方が魅力的な人物として描かれていますよね。
「質素」という言葉とつながると思いますが、私には栄光の陰にある挫折と、それを乗り越える人の潔さと美しさを体現したのが源之助だと思うんですよね。
私は光の中にだけいる人にには魅力を感じないんです。

なにはともあれ、イリちゃん、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

イ:こちらこそ、長い期間、どうもありがとうございました。

マ:今度は「俺天まつり」を楽しみにしています!


<<今日のベスト・オブ・ツボ>>

武徳殿の試合。試合の前は正座するべきじゃないのか?椅子に座っている二人・・・・



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