名作長唄「藤娘」を題材に進めてみたいと思います。


長唄「藤娘」(照明/sadao"dd"K.=管理人)
大道具/藤のからんだ松の大木、藤の吊り枝2本。奥かすみ付き

進行
解説
仕込
劇場に入りまず舞台全体の構想を責任者(舞台監督等)が決定します。
次に藤の花や松の木の処理を考えます。二つとも吊り物として処理をします。そこでベストな場所のバトンを選択します。道具方は指定されたバトンに大道具を吊り込み照明担当の仕込を待ちます。
同時進行していた照明の仕込(照明デザイナーが制作した仕込図をもとに作業する)。この場合図面上と実際の劇場条件の違いが出てくる場合が在るので、舞台監督、大道具方、照明と確認しあいながら作業する。
照明のサスバトンへの仕込が終了した段階で、道具方は舞台上に「所作台」を敷き詰める。この順序は入れ替わる場合もある。照明との確認をしながら大道具の仕込を完成させる。上部にある舞台写真を参照して下さい。完成図です。

照明=あたり合せを行う。

音響=音合わせ。
長唄が地方(じかた)でない場合。テープ(MD,CD)で踊る場合。音量や音質等のチェックを行う。


舞台稽古
スタッフ側の仕込が全部終了すると。舞台における稽古に入る。
場当たり*いきなり舞台にでて稽古といってもそれは不可能で、まずは舞台の寸法を知る必要がある。狭い稽古場ではなかなか会得できない。稽古場では10歩でセンターまで行けたのにといったような問題が起きる。大道具や小道具のチェックを必要。

舞台稽古開始 衣装小道具を本番どうりに着けて行う。特に「藤娘」に関しては途中衣装の着替えがあるので、その稽古も大事な舞台稽古。「地方」が生演奏する場合は稽古テープとはテンポや間が違うので戸惑うことが多い。稽古から本番まで演者をサポートしてくれるのが後見さん。後見さんがいないと踊りの場合は進行出来ない程重要な役割。


開場
舞台の準備が全て終了した段階で緞帳を降ろし客入れの準備をする。

これは「定式幕」です。清元以外の踊りの場合、普通緞帳を使うことが多い。


開演
定刻になりいよいよ開演。「水音」で幕開き舞台客席「暗転」で緞帳が上がる。(ただしいろいろな演出・振付けがある。花道から出の場合、花道スッポンから登場の場合など。)
暗転の中「若紫に十返りの 花を現す松の藤浪」まで暗転でここで照明が「S.I(スイッチイン)」舞台が明るく照らし出される。演者はセンターに板付きでいる。
いよいよ踊りの始まりここからはうまく流れてもらうのを願うだけ。
演者と後見と地方さんの絡み合いで進行していく。
途中、衣装替えなどあり「衣装さん」「小道具さん」が活躍する。
踊りの最後「空も霞の夕照に名残を惜しむ帰る雁がね」で緞帳が下りて終演。
日本舞踊の場合この作品一本で公演することはまず無いので数本の作品をまとめて上演することが多い。


実践編日本舞踊「藤娘」のさわりです。まだまだ用語も数多くあります。特に古典になるととても難しく難儀ですが、まずは雰囲気になれましょう。食わず嫌いにならずに舞台をのぞいてみると以外と楽しいものです。舞台スタッフを志す方は少しでも多くの舞台と接触するのが一番だと思います。
次の実践編は演劇の進行を書きます。質問や疑問、相談、感想などどしどしかきこんでください。

舞台監督(狂言方)
*舞台における総責任者、公演統括を行う。演出家の意向を舞台で具体化する。

あたり合せ(照明)
*サスペンションやフロントサイドその他灯体をフォーカス、照射位置等を調整する作業。

地方(じかた)
*舞踊において、地の音楽を担当する人の総称。踊手が立方と呼ばれそれに対して、地は土台とか基本(下地)をさす。

後見(こうけん)
*芝居や舞踊の舞台で、演者の影にいて介添えする役。衣装の着替え、小道具・合引類の受け渡し、差し金の操作、等がある。
歌舞伎では黒衣(黒木綿の着物と頭巾をつける)を着る。舞踊退場合は素顔で黒紋付・袴を着てつとめる。

定式幕(じょうしきまく)*萌、柿、黒色の3色で出来ている引き幕。


「柝(き)と鳴物(なりもの)」の解説
歌舞伎、日舞では舞台進行を柝で行う。

着到(ちゃくとう)
*演者が楽屋に入り支度にかかることを言う。通常30分前になると
「着到」という鳴物が演奏され、演奏が終了すると柝を2回打つこれを「着到止め」という。

二丁(にちょう)」*開演15分前に楽屋に聞こえるように2つ打つ。

回り」*開演5分前に楽屋を回りながら打つ。

柝を直す」(二丁)*幕を開けられる状態になると下座の前で2つ打つ。この合図で音楽が入り幕が開いたりする(演出によっていろいろ手法があるが、基本である)

きざみ」*幕が開くとき音楽に合わせて細かくきざむように打つ。

止め柝」*幕が開くときざみを止めて、音楽が終って一拍でチョーンと一つ打つ。無事幕が開くという意味。

幕切れの柝」*科白や踊りの決まったところで演者の呼吸に合わせて一つ打つ。

「砂切り(しゃぎり)」*幕が下り、止め柝の後にかかる音楽。

砂切り止め」*鳴物の砂切りが終ると大きく間をあけて2つ打つ。

「打ち出し(うちだし)」*最後の幕が降りてかかる音楽。大太鼓などを鳴らす。打ち出し柝は打ち出しの演奏に合わせて小刻みに打つ。演奏が終ると一つ打つと「下ろし」という演奏に変わる。そして一日の公演の終了。      ↑page top

写真で見る舞踊大道具(照明/sadao"dd"K.=管理人)
常磐津『千代の友鶴』
金屏風で踊る
長唄『汐汲み』
磯なれ松のある海岸。
長唄『初時雨』
障子屏風(口開き)秋草、灯籠
常磐津『東都獅子』
ボタンの襖。上下につまがついています。
長唄『君が代松竹梅』
朱の柱、朱のコウランに松。
清元『幻お七』
雪町や、八百久、用水、櫓。
長唄『菖蒲浴衣』
あやめ、柳、八つ橋
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