「幕間にお茶でも」ー舞台の仕事ー
舞台監督の仕事 現在の芝居上演における舞台監督の位置関係はというと非常に日本の場合存在が薄いのが現実。しかし本来の舞台監督の仕事は存在感のある仕事のはず。稽古初日からすべての事に関与しすべての進行を把握して、スタッフを掌握しスタッフ間のパイプとなり進行していく。稽古場においては、演出家と密な関係を作り演出意図に添った舞台づくりへの展開をしていく。

劇場仕込からは公演舞台責任者として、演出家をフォローする。公演初日から千秋楽までは演出家からバトンタッチして全責任を持つ。特に地方公演等劇場条件が変る場合、他のスタッフと打合せの上、美術照明の変更や演技面の変更など適
切な処理を要求される。したがって舞台照明、音響、美術から演技面まですべてのことに精通する必要がある。豊富な経験が要求されるポジション。
狂言方⇒歌舞伎、日本舞踊の場合の舞台監督は狂言方と呼びます。舞台監督の元祖ですね。
歌舞伎、日舞の舞台進行は「
」が大切な役割をもっています。その柝を打つのが狂言方です。さらにもう一つ大切な仕事「後見」があります。
舞台照明の仕事
第一段階*照明デザイナー(プランナー)は演出プランと作品を読んだ上で具体的なイメージづくりをしていく。但、具体的に進行していくのは美術家と同時進行で舞台空間をどう処理するか、演出プランや劇場条件等を加味しながらラフなデザインを作る。

第二段階*稽古が立ち稽古にはいり具体的な動きや、美術、衣装等の決定を待って立体的なデザインづくりに入る。しかし照明の場合稽古においては具体的な色彩や光源を見ることは出来ないので、演出家や美術家と密な打合せが必要不可欠。

第三段階*デザイナーとともに舞台照明においては実際に操作するオペレーターの存在がおおきい。どんなに良いデザインがあってもそれを芝居の世界に融合させるためにはオペレーターの腕が重要だ。F.I(フェードイン)F.O(フェードアウト)一つをとっても芝居が変ってきてしまう。フォロースポットを担当するオペレーターも舞台上で重要な役割を果たしているわけで、そこでの怠慢は演劇全体をぶち壊してしまう。そこでオペレーターは立ち稽古後半には稽古場に出向き稽古に立ちあい、芝居を理解し俳優の動きやきっかけを覚える。照明部全員が稽古に立ちあう必要がある。芝居にかかわるスタッフはまず舞台を理解し、上演作品に取り組みシーンによっては俳優と同じ心理状態を作りだすぐらいの気持ちが必要。ぞくに気持ちでFOすると言われます。

「舞台装置に照明がほどこされてないのは虎を描いて目玉を入れないようなものだ。虎も上手に描かなければいけないが目玉もうまく入れてもらわなければいけない。虎の姿勢と目玉の方向が一致して虎のすごみも出てくるのだ。やぶにらみの虎は有難くない。」と照明と美術の関係を偉大な美術家故伊藤熹朔師は語っている。
日本の演劇界の照明家としては故人ですが穴沢喜美男師、篠木佐夫師をあげることが出来る。
舞台美術の仕事
芝居を上演するうえではどのポジションも欠かすことは出来ない。
美術(装置)に関してもその比重は大きいが舞台美術は芝居の一部分であるという認識をもつことが重要だ。美術デザインを作るうえでの考え方や方法論はやまのようにある。
たとえば「夏の夜の夢」(シェークスピアという作品一つにしても、リアリティーのある装置から何もない空舞台での上演がある用に同作品において演出によってその上演形態が変ってくる。デザイナーはたとえ同じ作品に10本関わったとしても1本1本新たな発想で取り組む必要がある。

照明と同様に「演出家」の意図を十分把握して「美術デザイン」を考えなければならない。劇場条件も重要なポイントになる。小劇場での公演と大劇場の公演ではおのずからその手法も変ってくるし空間処理という点でも根本的に変えないといけない。脚本の内容の把握は勿論だが、演出プランと自分のイメージとの融合点を考えつつ、立ち稽古までにはラフな絵柄が出来なくてはいけない。俳優の動線をしっかりつかんで修正作業を行い。最終的には立体図形を製作すると他のスタッフや俳優に実際の絵柄を掴んでもらえる。平面図だけではどうしても難しい事も出てくる。
稽古場においては立ち稽古に入るときに出来るかぎり稽古用大道具を製作して稽古を助ける。たとえば階段や屋台がある場合はそれなりに段差を作るとよい。

照明デザイナーとの連携がここから始まる。写実的舞台装置の場合たとえばどの窓から朝日が差し込むのか、つまりどちらが東の方角かと言うことまで決めて取り掛かる必要がある。反対に空舞台でたとえば立ち木が一本の装置をプランニングすれば、その立ち木の見せ方一つにも照明との連携が無いと舞台が完成しない。

道具帳の作成。「舞台平面図」から一つ一つの道具(張り物等)を、具体的な寸法や色具合など道具製作に必要な図面(道具帳)を大道具方に発注する。予算の関係で劇団での製作の場合もある。
個人的に贔屓の装置家や作品は故伊藤熹朔師の「夜明け前」(島崎藤村作・宇野重吉演出・滝沢修主演・劇団民芸公演)は緞帳が開いたときのインパクトはいまだに忘れられない「木曾の馬籠の本陣」が目の前にあった。
文学座の石井強司氏は今いち押しの装置家だ。
舞台効果の仕事
芝居における効果も他のジャンルと同様に重要な位置をしめる。何度も書くがどのポジションがかけても芝居のクオリティーは落ちてしまう。同じ方向を向いて全員が集中する必要がある。
効果においても演出プランと作品を理解することから始まり。プランニングする。その種類としては「SE(サウンドエフェクト)」と呼ばれるいわゆる効果音。たとえば「鳥の鳴き声」「雨」「雷」「扉の開けたての音」等々生活音から自然音まで数は限りない。
その音を芝居の状況や設定に合わせて作りだす。芝居の流れや演技面に深く入り込まなくては、その状況にあった音がだせない。照明の部でも書いたが、「芝居の気持ちを大事に音だしをする!」。

立ち稽古に入ると効果音の必要性が出てくる。俳優にとっても効果音が重要な「間」として稽古には欠かせない場合がある。稽古に立ちあいそこで演技や芝居の流れをしっかり掴み、舞台稽古初日へ突入する。効果音とともに芝居によっては音楽を使用する場合がある。音楽使用は「選曲(既存の曲を使用vと新たに作曲してもらいう場合がある。
音だしにはテープレコーダー(オープンリール・6mmのテープを使用)が主流でしたが、最近はMDの使用が増加している。キッカケできっちり音を出すにはカセットなど音の頭が解らないものは不適格だ。
故深川定次氏の仕事は最近の演劇界では大きな存在でした。
舞台小道具の仕事
小道具には「持道具」「出道具」「きえもの」等の種類がある。
持道具は俳優が身に付けて使用するもの。眼鏡、時計、財布等。
出道具は大道具と一体になって存在するものが多い。灰皿、テーブル、椅子等。
きえものは実際に舞台上で食べたり飲んだりするものをいう。
小道具の仕事はとても細々として大変な仕事だ。時代考証や舞台設定によって全然変ってきます。たとえば「新聞」にしてもその時代にあわせて、場合によっては製作しなくてはならい。
稽古場においては出来るだけ早い時間に、稽古用小道具をそろえる必要がある。俳優が小道具に馴れなくてはならないからだ。
小道具の場合も附帳(小道具帳)を作り、点数等を確認しておく。外部の小道具屋さんに発注する場合は附帳が発注表になる。
稽古場の最後の通し稽古に入ったら本番用の小道具を使用した稽古が望ましい。
舞台衣装の仕事
作品の要求に応じた時代や国、風俗、年齢等を考えて登場人物の役柄を表現するためのものをプランニングする。同じ作品においても演出プランによっては全く違う考えかたの衣装プランもある。よく上演されているシェークスピアの作品などは上演ごとに全く違う衣装での公演がある。小道具と同じで稽古の段階から本番衣装に近いものでの稽古が望ましい。たとえば着物等の場合は普段からの立ち振る舞いが難しいので特に必要。
その他
(かつら)時代設定や作品によってはかつらの必要性が出てくる。

(はきもの)登場人物役柄や設定に合わせたものを選択し、立ち稽古からはできる限り本番使用のもので稽古するとよい。

(舞監助手)(演出助手)この仕事がまた大変な仕事、独立して書いても仕事の多さは照明や美術の負けない。時にはそれぞれの代稽古をやったり、雑用まで何でもこなす。演出助手は稽古に全面的に立ちあう。演出家の意向を演技者に伝えたり、ダメだしをしたり。その他スタッフに演出家の意向を伝えたりもする場合もある。舞監助手は舞台上での仕事が主な仕事になる。舞台監督のフォローを行い、舞台転換等の運用を行う。

制作部
公演全体の運営進行を受け持つ。作品宣伝、チケットの販売、経営。現在の制作部の実態はとにかく売り込みと云う重要な仕事が待っている。いかにして公演を成功させるか=チケットを数多く売る。勿論芝居はそれだけでは無いことは解っているが、劇団維持するためには東京公演は勿論のこと、地方公演での成功が大きな鍵になる。現在では劇団単独公演という形と、プロデューサーがしきる公演。劇場プロデュース公演、大手スポンサーがついた公演とか形式は多様化してきてはいるが、仕事は変らない。

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