お薦め度 ★★★★★


用心棒 1961年  製作=東宝=黒澤プロダクション  110分
(スタッフ)
製作 田中友幸 菊島隆三
監督 黒澤明
監督助手 森谷司郎 出目昌伸
吉松安弘 和田嘉訓
脚本 黒澤明 菊島隆三
撮影 宮川一夫
音楽 佐藤勝
美術 村木与四郎

(キャスト)
配役 俳優
桑畑三十郎 三船敏郎
新田の卯之助 仲代達矢
小平の女房ぬい 司葉子
清兵衛の女房おりん 山田五十鈴
新田の亥之吉 加東大介
馬目の清兵衛 河津清三郎
造酒屋徳右衛門 志村喬
清兵衛の倅与一郎 太刀川寛
百姓の小倅 夏木陽介
居酒屋の親爺 東野英治郎
名主多左衛門 藤原釜足
番屋の半助 沢村いき雄
棺桶屋 渡辺篤
用心棒本間先生 藤田進
新田の丑寅 山茶花究
無宿者の熊 西村晃
無宿者の瘤八 加藤武
斬られる凶状持A 中谷一郎
斬られる凶状持B 大橋史典 
八州周りの足軽A 堺左千夫
八州周りの足軽B 千葉一郎
丑寅の子分亀 谷晃
丑寅の用心棒かんぬき 羅生門綱五郎
百姓小平 土屋嘉男
清兵衛の子分孫太郎 清水元
丑寅の子分賽の目の六 ジェリー藤尾
清兵衛の子分孫吉 佐田豊
馬の雲助 大友伸
清兵衛の子分弥八 天本英世
清兵衛の子分助十 大木正司 
百姓の親爺 寄山弘
八州周りの小者 大村千吉
百姓の古女房 本間文子
広瀬正一 西条竜介 草川直也
桐野洋雄 津田光男 高木新平
大友純 草間璋夫 小川安三
高木弘 向井淳一郎 熊谷二良
坂本晴哉 緒方燐作 小串文夫
照井洋子 峯丘ひろみ 河美智子

(あらすじ)
 空っ風吹く馬目の宿は墓場のように静まり返っている。そこへ現れた垢染みた素浪人。彼は傍の居酒屋に入り、亭主の権爺から馬目宿の現況を聞かされた。名主は多左衛門、絹問屋の主人で、宿の賑わいも絹市あってのこそだが、意気地がない。多左衛門が肩入れしている女郎屋の清兵衛は、このあたりの親分だが、息子の与一郎になわばりを譲ろうとしたから大変。一の子分の新田の丑寅は清兵衛に盃を叩き返した。丑寅を尻押しするのは次の名主を狙う造酒屋の徳右兵衛。清兵衛も丑寅も目の色を変えて用心棒を集め、宿は人殺しばかりが横行している。無一文の素浪人は「酒をくれ。少し暴れてこの借りは返すから」と店を出た。浪人は丑寅方の無宿者を斬り、桑畑三十郎と名乗って50両で売り込んだ。一方、丑寅は三十郎を60両で買いに来るが、彼は取り合わない。その頃、丑寅の弟の卯之助が最新の短銃を手に帰ってきた。清兵衛の息子与一郎を捕らえ、清兵衛に捕らえられた町役人殺しの下手人と交換を申し出るが、これは失敗。しかし、清兵衛は徳右衛門の囲い者ぬいを捕らえており、交渉が成立した。一方、三十郎は丑寅の用心棒になり、前金30両を受け取った。だがぬいを逃がしたことに卯之助に見破られ、半殺しの目にあってしまう。彼は宿場はずれの念仏堂にひとまず身を隠した。その間にも卯寅方は清兵衛一家に殴り込み、皆殺しにしてしまう。数日後、念仏堂へ棺桶屋が飛び込んできた。権爺が卯之助に捕まったらしい。風が吹きすさぶ馬目宿。短銃を構えた卯之助とほところ手の三十郎の一騎打ち。ダーンという音がし、瞬間、卯之助の右腕に出刃包丁が突き刺さり、全てが終わった。宿場に背を向け、三十郎は去っていく。

(感想・見所)
 黒澤は「僕はかねてから映画の面白さを十二分に出した作品をこしらえてみたい、という夢を持っていた。その夢を実現させたのがこれだ」と言葉のとおり本作品はとことんまで娯楽映画の技巧を追求している。1961年のゴールデンウィークに公開され大ヒットを記録した。黒澤作品としては単純な作品かもしれないが本作品では黒澤は「映画とは映像を見て楽しむのが本当」という考えに依ったもの。「観客と三船敏郎演じる主人公と一緒に行動し、考える風に撮ってみたんです」--もちろん、それには菊島・黒澤という骨太な脚本がなければあそこまで面白くならなかったであろう。--刀で人間を斬る音を入れたのは本作が初めてである。舞台設定にも凝っている”空っ風吹く馬目の宿”は西部劇風だがその印象通り立ち回りシーンでは土埃がが舞い、周囲に殺気がみなぎる。また建物の汚れなどは、美術監督・村木与四郎が実際に”空っ風”で有名な上洲に旅して調べた。また劇中の樽は迫力を出そうと巨大な樽を幾つも作らせたほど。撮影監督の宮川一夫はこの広大なセットを活かそうと、殺陣で同時に3台のカメラをとおりに対して垂直あるいは水平にのみ構え様式美を追求した。また黒澤独特の、同じ場面を標準レンズと望遠レンズのカメラで編集する技法も効果的に用いられている。

 


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