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索引

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 於春々大哉春と云々 (ああはるはるおほいなるかなはるとうんぬん) 112

 青くてもあるべきものを唐辛子 (あおくてもあるべきものをたうがらし)771

 青ざしや草餅の穂に出でつらん (あおざしやくさもちのほにいでつらん)168

 青柳の泥にしだるる潮干かな (あおやぎのどろにしだるるしほいかな)851

 あかあかと日は難面くも秋の風 (あかあかとひはつれなくもあきのかぜ)546

 秋を経て蝶もなめるや菊の露 (あきをへててふもなめるやきくのつゆ)442

 秋風に折れて悲しき桑の杖 (あきかぜにおれてかなしきくはのつゑ)812

 秋風の吹けども青し栗の毬 (あきかぜのふけどもあおしくりのいが)709

 秋風の鑓戸の口やとがり声 (あきかぜのやりどのくちやとがりごえ)13

 秋風や桐に動きて蔦の霜 (あきかぜやきりにうごきてつたのしも)730

 秋風や薮も畠も不破の関 (あきかぜややぶもはたけもふはのせき)210

 秋来にけり耳を訪ねて枕の風 (あききにけりみみをたづねてまくらのかぜ)79

 秋来ぬと妻恋ふ星や鹿の革 (あききぬとつまこふほしやしかのかわ)98

 秋涼し手毎にむけや瓜茄子 (あきすずしてごとにむけやうりなすび)547

 秋近き心の寄るや四畳半 (あきちかきこころのよるやよじょうはん)883

 秋十年却つて江戸を指す故郷 (あきととせかへつてえどをさすこきょう)191

 秋に添うて行かばや末は小松川 (あきにそうていかばやすゑはこまつがわ)773

 秋の色糠味噌壷もなかりけり (あきのいろぬかみそつぼもなかいけり)712

 秋の風伊勢の墓原なほ凄し (あきのかぜいせのはかはらなほすごし)590

 秋の夜を打ち崩したる咄かな (あきのよをうちくずしたるはなしかな)914

 秋深き隣は何をする人ぞ (あきふかきとなりはなにをするひとぞ)921

 秋もはやばらつく雨に月の形 (あきもはやばらつくあめにつきのなり)913

 明けぼのや白魚白きこと一寸 (あけぼのやしらうおしろきこといっすん)217

 曙はまだ紫にほととぎす (あけぼのはまだむらさきにほととぎす)627

 明けゆくや二十七夜も三日の月 (あけゆくやにじふしちやもみかのつき)275

 あこくその心も知らず梅の花 (あこくそのこころもしらずうめのはな)359

 朝顔に我は飯食ふ男哉 (あさがほにわれはめしくふおとこかな)156

 蕣や是も又我が友ならず (あさがほやこれもまたわがともならず)808

 朝顔や昼は鎖おろす門の垣 (あさがほやひるはじやうおろすもんのかき)807

 朝顔は酒盛知らぬ盛り哉 (あさがほはさかもりしらぬさかりかな)447

 朝顔は下手の書くさへあはれなり (あさがほはへたのかくさへあはれなり)309

 朝茶飲む僧静かなり菊の花 (あさちゃのむそうしずかなりきくのはな)656

 朝露によごれて涼し瓜の土 (あさつゆによごれてすずしうりのつち)877

 朝な朝な手習ひすすむきりぎりす (あさなあさなてならひすすむきりぎりす)967

 あさむつや月見の旅の明け離れ (あさむつやつきみのたびのあけばなれ)562

 朝夜さを誰まつしまぞ片心 (あさよさをたがまつしまぞかたごころ)476

 足洗うてつひ明けやすき丸寝かな (あしあろうてつひあけやすきまるねかな)412

 紫陽草や帷子時の薄浅黄 (あぢさゐやかたびらどきのうすあさぎ)947

 紫陽草や薮を小庭の別座敷 (あぢさゐややぶをこにわのべつざしき)856

 明日の月雨占なはん比那が嶽 (あすのつきあめうらなはんひながたけ)564

 明日は粽難波の枯葉夢なれや (あすはちまきなにはのかれはゆめなれや)75

 遊び来ぬ鰒釣りかねて七里まで (あそびきぬふくつりかねてしちりまで)218

 あち東風や面々さばき柳髪 (あちこちやめんめんさばきやなぎがみ)26

 暑き日を海に入れたり最上川 (あつきひをうみにいれたりもがみがわ)533

 温海山や吹浦かけて夕涼み (あつみやまやふくうらかけてゆうすずみ)537

 あの雲は稲妻を待つたより哉 (あのくもはいまづまをまつたよりかな)436

 あの中に蒔絵書きたし宿の月 (あのなかにまきえかきたしやどのつき)449

 海士の顔まづ見らるるや芥子の花 (あまのかほまづみらるるやけしのはな)406

 海士の屋は小海老にまじるいとどかな (あまのやはこえびにまじるいとどかな)655

 雨折々思ふ事なき早苗かな (あめをりをりおもふことなきさなえかな)968

 雨の日や世間の秋を堺町 (あめのひやせけんのあきをさかいちょう)99

 あやめ生ひけり軒の鰯のされかうべ (あやめおひけりのきのいわしのされかうべ)96

 あやめ草足に結ばん草鞋の緒 (あやめぐさあしにむすばんわらじのを)513

 鮎の子の白魚送る別れ哉 (あゆのこのしらうをおくるわかれかな)484

 荒海や佐渡に横たふ天の河 (あらうみやさどによこたふあまのがは)540

 嵐山藪の茂りや風の筋  (あらしやまやぶのしげりやかぜのすぢ)695

 あらたふと青葉若葉の日の光 (あらたふとあおばわかばのひのひかり)490

 あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁 (あらなにともなやきのふはすぎてふくとじる)90

 霰聞くやこの身はもとの古柏 (あられきくやこのみはもとのふるがしは)170

 霰せば網代の氷魚を煮て出さん (あられせばあじろのひををにてださん)606

 霰まじる帷子雪は小紋かな (あられまじるかたびらゆきはこもんかな)22

 有明も三十日に近し餅の音 (ありあけもみそかにちかしもちのおと)837

 有難き姿拝まんかきつばた (ありがたきすがたおがまんかきつばた)413

 有難や雪を薫らす南谷 (ありがたやゆきをかをらすみなみだに)526

 粟稗にとぼしくもあらず草の庵 (あはひえにとぼしくもあらずくさのいお)441

 家はみな杖に白髪の墓参り (いへはみなつえにしらがのはかまゐり)892

 烏賊売の声まぎらはし杜宇 (いかうりのこえまぎらはしほととぎす)950

 いかめしき音や霰の檜木笠 (いかめしきおとやあられのひのきがさ)214

 生きながら一つに氷る海鼠哉 (いきながらひとつにこほるなまこかな)835

 幾霜に心ばせをの松飾り (いくしもにこころばせをのまつかざり)261

 いざ子供走りありかん玉霰 (いざこどもはしりありかんたまあられ)600

 いざさらば雪見にころぶ所まで (いざさらばゆきみにころぶところまで)339

 いざともに穂麦喰はん草枕 (いざともにほむぎくらはんくさまくら)250

 いざよひのいずれか今朝に残る菊 (いざよひのいずれかけさにのこるきく)458

 いざよひもまだ更科の郡哉 (いざよひもまださらしなのこほりかな)453

 十六夜や海老煎るほどの宵の闇 (いざよひやえびにるほどのよひのやみ)718

 十六夜はわづかに闇の初め哉 (いざよひはわづかにやみのはじめかな)811

 漁り火に鰍や浪の下むせび (いさりびにかじかやなみのしたむせび)554

 石枯れて水しぼめるや冬もなし (いしかれてみづしぼめるやふゆもなし)128

 石の香や夏草赤く露暑し (いしのかやなつくさあかくつゆあつし)502

 石山の石にたばしる霰哉 (いしやまのいしにたばしるあられかな)672

 石山の石より白し秋の風 (いしやまのいしよりしろしあきのかぜ)558

 いづく時雨傘を手に提げて帰る僧 (いづくしぐれかさをてにさげてかへるそう)122

 市人よこの笠売らう雪の傘 (いちびとよこのかさうらうゆきのかさ)225

 五つ六つ茶の子にならぶ囲炉裏哉 (いつつむつちゃのこにならぶいろりかな)466

 凍て解けて筆に汲み干す清水哉 (いてとけてふでにくみほすしみづかな)391

 いでや我よき布着たり蝉衣 (いでやわれよきぬのきたりせみごろも)304

 糸桜こや帰るさの足もつれ (いとざくらこやかへるさのあしもつれ)32

 糸遊に結びつきたる煙哉 (いとゆふにむすびつきたるけむりかな)486

 稲雀茶の木畠や逃げ処 (いなすずめちゃのきばたけやにげどころ)721

 稲妻を手にとる闇の紙燭かな (いなづまをてにとるやみのしそくかな)308

 稲妻に悟らぬ人の貴さよ (いなづまにさとらぬひとのたつとさよ)652

 稲妻や顔のところが薄の穂 (いなづまやかほのところがすすきのほ)888

 稲妻や闇の方行く五位の声 (いなづまややみのかたいくごゐのこへ)894

 稲こきの姥もめでたし菊の花 (いなこきのうばもめでたしきくのはな)731

 早稲の香や分け入る右は有磯海 (わせのかやわけいるみぎはありそうみ)544

 猪の床にも入るやきりぎりす (いのししのとこにもいるやきりぎりす)911

 猪もともに吹かるる野分かな (いのししもともにふかるるのわきかな)646

 命こそ芋種よまた今日の月 (いのちこそいもだねよまたけふのつき)46

 命なりわづかの笠の下涼み (いのちなりわづかのかさのしたすずみ)63

 命二つの中に生きたる桜かな (いのちふたつのなかにいきたるさくらかな)243

 芋洗う女西行ならば歌よまん (いもあらうおんなさいぎょうならばうたよまん)198

 芋植ゑて門は葎の若葉かな (いもうゑてかどはむぐらのわかばかな)369

 種芋や花の盛りに売り歩く (たねいもやはなのさかりにうりありく)613

 芋の葉や月待つ里の焼畑 (いものはやつきまつさとのやきばたけ)313

 いらご崎似るものもなし鷹の声 (いらござきにるものもなしたかのこへ)329

 入逢の鐘もきこえず春の暮 (いりあひのかねもきこえずはるのくれ)489

 入りかかる日も糸遊の名残りかな (いりかかるひもいとゆふのなごりかな)487

 入る月の跡は机の四隅哉 (いるつきのあとはつくえのよすみかな)814

 色付くや豆腐に落ちて薄紅葉 (いろづくやとうふにおちてうすもみじ)84

 岩躑躅染むる涙やほととぎ朱 (いはつつじそむるなみだやほととぎしゅ)11

植うる事子のごとくせよ児桜 (ううることこのごとくせよちござくら)49

 魚鳥の心は知らず年忘れ (うをとりのこころはしらずとしわすれ)751

 うかれける人や初瀬の山桜 (うかれけるひとやはつせのやまざくら)31

 憂き人の旅にも習へ木曾の蠅 (うきひとのたびにもならへきそのはえ)800

 憂き節や竹の子となる人の果 (うきふしやたけのことなるひとのはて)694

 憂きわれを寂しがらせよ秋の寺 (うきわれをさびしがらせよあきのてら)587

 憂き我をさびしがらせよ閑古鳥 (うきわれをさびしがらせよかんこどり)698

 鴬を魂にねむるか嬌柳 (うぐひすをたまにねむるかたをやなぎ)163

 鴬の笠落したる椿かな (うぐひすのかさおとしたるつばきかな)610

 鴬や竹の子薮に老を鳴く (うぐひすやたけのこやぶにおいをなく)860

 鴬や餅に糞する縁の先 (うぐひすやもちにふんするえんのさき)754

 鴬や柳のうしろ薮の前 (うぐひすややなぎのうしろやぶのまえ)843

 牛部屋に蚊の声暗き残暑かな (うしべやにかのこゑくらきざんしょかな)711

 埋火も消ゆや涙の烹ゆる音 (うづみびもきゆやなみだのにゆるおと)469

 埋火や壁には客の影法師 (うづみびやかべにはきゃくのかげぼうし)782

 うたがふな潮の花も浦の春 (うたがふなうしほのはなもうらのはる)479

 うち山や外様しらずの花盛り (うちやまやとざましらずのはなざかり)36

 打ち寄りて花入探れ梅椿 (うちよりてはないれさぐれうめつばき)784

 団扇もてあふがん人のうしろむき (うちはもてあふがんひとのうしろむき)248

 美しきその姫瓜や后ざね (うつくしきそのひめうりやきさきざね)43

 卯の花も母なき宿ぞ冷じき (うのはなもははなきやどぞすさまじき)299

 卯の花や暗き柳の及び腰 (うのはなやくらきやなぎのおよびごし)855

 姥桜咲くや老後の思ひ出 (うばざくらさくやろうごのおもひいで)3

 馬をさへ眺むる雪の朝哉 (うまをさへながむるゆきのあしたかな)220

 馬方は知らじ時雨の大井川 (うまかたはしらじしぐれのおほゐがわ)745

 馬に寝て残夢月遠し茶の煙 (うまにねてざんむつきとほしちゃのけぶり)196

 馬ぼくぼくわれを絵に見る夏の哉 (うまぼくぼくわれをえにみるなつのかな)169

 海暮れて鴨の声ほのかに白し (うみくれてかものこゑほのかにしろし)227

 海は晴れて比叡振り残す五月哉 (うみははれてひえふりのこすさつきかな)420

 梅が香に追ひもどさるる寒さかな (うめがかにおひもどさるるさむさかな)964

 梅が香にのつと日の出る山路哉 (うめがかにのつとひのでるやまじかな)841

 梅が香に昔の一字あはれなり (うめがかにむかしのいちじあはれなり)844

 梅が香やしらら落窪京太郎 (うめがかやしららおちくぼきやうたろう)682

 梅が香や見ぬ世の人に御意を得る (うめがかやみぬよのひとにぎょいをうる)980

 梅恋ひて卯の花拝む涙哉 (うめこひてうのはなおがむなみだかな)251

 梅白し昨日や鶴を盗まれし (うめしろしきのうやつるをぬすまれし)236

 梅椿早咲き褒めん保美の里 (うめつばきはやさきほめんほびのさと)333

 梅の木になほ宿り木や梅の花 (うめのきになほやどりぎやうめのはな)367

 梅柳さぞ若衆かな女かな (うめやなぎさぞわかしゅかなおんなかな)152

 梅若菜丸子の宿のとろろ汁 (うめわかなまるこのしゅくのとろろじる)681

 うらやまし浮世の北の山桜 (うらやましうきよのきたのやまざくら)753

 瓜作る君があれなと夕涼み (うりつくるきみがあれなとゆふすずみ)306

 瓜の皮剥いたところや蓮台野 (うりのかわむいたところやれんだいの)878

 瓜の花雫いかなる忘れ草 (うりのはなしづくいかなるわすれぐさ)353

 叡慮にて賑ふ民の庭竃 (えいりょにてにぎはふたみのにはかまど)462

 枝ぶりの日ごとに変る芙蓉かな (えだぶりのひごとにかはるふようかな)593

 枝もろし緋唐紙破る秋の風 (えだもろしひたうしやぶるあきのかぜ)83

 榎の実散る椋の羽音や朝嵐 (えのみちるむくのはおとやあさあらし)933

 恵比寿講酢売に袴着せにけり (ゑびすこうすうりにはかまきせにけり)832

 艶ナル奴今様花に弄斎す (えんなるやつこいまやうはなにろうさいす)154

 老の名のありとも知らで四十雀 (おいのなのありともしらでしじふから)816

 笈も太刀も五月に飾れ紙幟 (おひもたちもさつきにかざれかみのぼり)510

 扇にて酒くむ陰や散る桜 (あふぎにてさけくむかげやちるさくら)385

 祖父親孫の栄えや柿蜜柑 (おほじおやまごのさかえかきみかん)719

 大津絵の筆のはじめは何仏 (おほつえのふでのはじめはなにぼとけ)679

 大比叡やしの字を引いて一霞 (おほひえやしのじをひいてひとかすみ)70

 近江蚊帳汗やさざ波夜の床 (あふみがやあせやさざなみよるのとこ)77

 起きあがる菊ほのかなり水のあと (おきあがるきくほのかなりみづのあと)318

 荻の声こや秋風の口うつし (をぎのこゑこやあきかぜのくちうつし)17

 荻の穂や頭をつかむ羅生門 (をぎのほやかしらをつかむらしょうもん)710

 起きよ起きよ我が友にせん寝る胡蝶 (おきよおきよわがともにせんねるこてふ)172

 送られつ別れつ果ては木曾の秋 (おくられつわかれつはてはきそのあき)445

 御子良子の一本ゆかし梅の花 (おこらごのひともとゆかしうめのはな)365

 幼名や知らぬ翁の丸頭巾 (おさななやしらぬおきなのまるづきん)970

 落ち来るや高久の宿の郭公 (おちくるやたかくしゅくのほととぎす)500

 衰ひや歯に喰ひ当てし海苔の砂 (おとろひやはにくひあてしのりのすな)690

 己が火を木々の蛍や花の宿 (おのがひをきぎのほたるやはなのやど)637

 小野炭や手習ふ人の灰ぜせり (をのずみやてならふひとのはいぜせり)125

 御命講や油のやうな酒五升 (おめいこやあぶらのやうなさけごしょう)779

 思ひ立つ木曾や四月の桜狩り (おもひたつきそやしぐわつのさくらがり)263

 俤や姨ひとり泣く月の友 (おもかげやをばひとりなくつきのとも)452

 おもしろうてやがて悲しき鵜船哉 (おもしろうてやがてかなしきうぶねかな)431

 おもしろき秋の朝寝や亭主ぶり (おもしろきあきのあさねやていしゅぶり)915

 面白し雪にやならん冬の雨 (おもしろしゆきにやならんふゆのあめ)335

 おもしろや今年の春も旅の空 (おもしろやことしのはるもたびのそら)475

 阿蘭陀も花に来にけり馬に鞍 (おらんだもはなにきにけりうまにくら)105

 折々に伊吹を見ては冬籠り (をりをりにいぶきをみてはふゆごもり)736

 折々は酢になる菊の肴かな (をりをりはすになるきくのさかなかな)724

 香を探る梅に蔵見る軒端哉 (かをさぐるうめにくらみるのきばかな)342

 顔に似ぬ発句も出でよ初桜 (かをににぬほつくもいでよはつざくら)902

 香を残す蘭帳蘭のやどり哉 (かをのこすらんちやうらんのやどりかな)976

 杜若語るも旅のひとつ哉 (かきつばたかたるもたびのひとつかな)403

 杜若似たりや似たり水の影 (かきつばたにたりやにたりみずのかげ)9

 杜若われに発句の思ひあり (かきつばたわれにほつくのおもひあり)246

 牡蠣よりは海苔をば老の売りもせで (かきよりはのりをばおいのうりもせで)287

 隠さぬぞ宿は菜汁に唐辛子 (かくさぬぞやどはなじるにたうがらし)443

 隠れ家や月と菊とに田三反 (かくれがやつきときくとにたさんたん)584

 かくれけり師走の海のかいつぶり (かくれけりしわすのうみのかいつぶり)677

 景清も花見の座には七兵衛 (かげきよもはなみのざにはしちびやうゑ)923

 桟や命をからむ蔦葛 (かけはしやいのちをからむつたかずら)450

 桟やまづ思ひ出づ馬迎へ (かけはしやまづおもひいづうまむかへ)451

 影待や菊の香のする豆腐串 (かげまちやきくのかのするとうふぐし)817

 かげろふの我が肩に立つ紙子かな (かげろふのわがかたにたつかみこかな)477

 陽炎や柴胡の糸の薄曇り (かげろふやさいこのいとのうすぐもり)618

 影は天の下照る姫か月の顔 (かげはあめのしたてるひめかつきのかを)16

 風色やしどろに植ゑし庭の秋 (かざいろやしどろにうゑしにわのあき)895

 笠島はいづこ五月のぬかり道 (かさしまはいづこさつきのぬかりみち)512

 笠寺や漏らぬ岩屋も春の雨 (かさでらやもらぬいわやもはるのあめ)297

 笠もなきわれを時雨るるかこは何と (かさもなきわれをしぐるるかこはなんと)222

 樫の木の花にかまはぬ姿かな (かしのきのはなにかまはぬすがたかな)237

 被き伏す蒲団や寒き夜やすごき (かづきふすふとんやさむきよやすごき)468

 数ならぬ身とな思ひそ玉祭 (かずならぬみとなおもひそたままつり)893

 風薫る羽織は襟もつくろはず (かぜかをるはおりはえりもつくろはず)705

 風の香も南に近し最上川 (かぜのかもみなみにちかしもがみがわ)525

 風吹けば尾細うなるや犬桜 (かぜふけばおぼそうなるやいぬざくら)33

 数え来ぬ屋敷屋敷の梅柳 (かぞえきぬやしきやしきのうめやなぎ)757

 かたつぶり角振り分けよ須磨明石 (かたつぶりつのふりわけよすまあかし)411

 語られぬ湯殿にぬらす袂かな (かたられぬゆどのにぬらすたもとかな)529

 歩行ならば杖突坂を落馬哉 (かちならばつゑつきざかをらくばかな)345

 鰹売りいかなる人を酔はすらん (かつをうりいかなるひとをよはすらん)303

 桂男すまずなりけり雨の月 (かつらおとこすまずなりけりあめのつき)35

 門松やおもへば一夜三十年 (かどまつやおもへばいちやさんじふねん)69

 悲しまんや墨子芹焼を見ても猶 (かなしまんやぼくしせりやきをみてもなほ)113

 香に匂へうに掘る岡の梅の花 (かににほへうにほるおかのうめのはな)360

 鐘消えて花の香は撞く夕哉 (かねきえてはなのかはつくゆふべかな)349

 鐘撞かぬ里は何をか春の暮 (かねつかぬさとはなにをかはるのくれ)488

 甲比丹もつくばはせけり君が春 (かびたんもつくばはせけりきみがはる)92

 鎌倉を生きて出でけん初鰹 (かまくらをいきていでけんはつがつを)762

 神垣や思ひもかけず涅槃像 (かみがきやおもひもかけずねはんざう)373

 紙衣の濡るとも折らん雨の花 (かみぎぬのぬるともおらんあめのはな)372

 髪生えて容顔青し五月雨 (かみはえてようがんあおしさつきあめ)301

 瓶割るる夜の氷の寝覚め哉 (かめわるるよるのこほりのねざめかな)278

 傘に押し分けみたる柳かな (からかさにおしわけみたるやなぎかな)846

 辛崎の松は花より朧にて (からさきのまつははなよりおぼろにて)240

 乾鮭も空也の痩も寒の中 (からざけもくうやのやせもかんのうち)670

 唐破風の入日や薄き夕涼み (からはふのいりひやうすきゆうすずみ)764

 刈り跡や早稲かたかたの鴫の声 (かりあとやわせかたかたのしぎのこへ)435

 刈りかけし田面の鶴や里の秋 (かりかけしたづらのつるやさとのあき)311

 雁聞きに京の秋に赴かん (かりききにみやこのあきにおもむかん)658

 鴈さわぐ鳥羽の田面の寒の雨 (かりさわぐとばのたづらのかんのあめ)750

 借りて寝ん案山子の袖や夜半の霜 (かりてねんかかしのそでやよわのしも)963

 枯朶に烏のとまりけり秋の暮 (かれえだにからすのとまりけりあきのくれ)121

 枯芝やややかげろふの一二寸 (かれしばやややかげろふのいちにすん)362

 獺の祭見て来よ瀬田の奥 (かわうそのまつりみてこよせたのおく)609

 川風や薄柿着たる夕涼み (かわかぜやうすがききたるゆうすずみ)639

 川上とこの川下や月の友 (かはかみとこのかはしもやつきのとも)772

 寒菊や粉糠のかかる臼の端 (かんぎくやこぬかのかかるうすのはた)824

 寒菊や醴造る窓の前 (かんぎくやあまざけつくるまどのさき)825

 元日や思へばさびし秋の暮 (がんじつやおもへばさびしあきのくれ)162

 元日は田毎の日こそ恋しけれ (がんじつはたごとのひこそこひしけれ)474

 観音のいらか見やりつ花の雲 (かんのんのいらかみやりつはなのくも)266

 灌仏の日に生れあふ鹿の子哉 (くわんぶつのひにうまれあふかのこかな)397

 木を切りて本口見るや今日の月 (きをきりてもとくちみるやけふのつき)82

 菊鶏頭切り尽しけり御命講 (きくけいとうきりつくしけりおめいこう)464

 菊に出て奈良と難波は宵月夜 (きくにでてならとなにははよひづきよ)910

 菊の香にくらがり登る節句かな (きくのかにくらがりのぼるせつくかな)909

 菊の香や奈良には古き仏達 (きくのかやならにはふるきほとけたち)907

 菊の香や奈良は幾代の男ぶり (きくのかやならはいくよのおとこぶり)908

 菊の香や庭に切れたる履の底 (きくのかやにはにきれたるくつのそこ)823

 菊の露落ちて拾へば零余子かな (きくのつゆおちてひろへばぬかごかな)942

 菊の後大根の外更になし (きくののちだいこんのほかさらになし)948

 菊の花咲くや石屋の石の間 (きくのはなさくやいしやのいしのあひ)818

 象潟や雨に西施が合歓の花 (きさがたやあめにせいしがねぶのはな)534

 木曾の情雪や生えぬく春の草 (きそのじやうゆきやはえぬくはるのくさ)630

 木曾の橡浮世の人の土産哉 (きそのとちうきよのひとのみやげかな)455

 木曾の痩もまだなほらぬに後の月 (きそのやせもまだなほらぬにのちのつき)459

 木啄も庵は破らず夏木立 (きつつきもいほはやぶらずなつこだち)495

 きてもみよ甚兵が羽織花衣 (きてもみよじんべがはおりはなごろも)39

 碪打ちて我に聞かせよ坊が妻 (きぬたうちてわれにきかせよぼうがつま)205

 木のもとに汁もなますも桜かな (きのもとにしるもなますもさくらかな)615

 君火を焚けよきもの見せん雪まるげ (きみひをたけよきものみせんゆきまるげ)282

 君や蝶我や荘子が夢心 (きみやてふわれやさうじがゆめごころ)630

 狂句木枯の身は竹斎に似たる哉 (きやうくこがらしのみはちくさいににたるかな)223

 京に飽きてこの木枯や冬住ひ (きやうにあきてこのこがらしやふゆずまひ)740

 京にても京なつかしやほととぎす (きやうにてもきやうなつかしやほととぎす)638

 けふの今宵寝る時もなき月見哉 (けふのこよひねるときもなきつきみかな)52

 今日ばかり人も年寄れ初時雨 (けふばかりひともとしよれはつしぐれ)776

 京まではまだ半空や雪の雲 (きやうまではまだなかぞらやゆきのくも)322

 今日よりや書付消さん笠の露 (けふよりやかきつけけさんかさのつゆ)557

  京は九万九千くんじゆの花見哉 (きようはくまんくせんくんじゆのはなみかな)5

 清く聞かん耳に香焼いて郭公 (きよくきかんみみにかうたいてほととぎす)166

 清滝の水汲ませてやところてん (きよたきのみずくませてやところてん)873

 清滝や波に散り込む青葉松 (きよたきやなみにちりこむあおばまつ)875

 きりぎりす忘れ音に啼く火燵哉 (きりぎりすわすれねになくこたつかな)660

 霧雨の空を芙蓉の天気哉 (きりさめのそらをふようのてんきかな)770

 霧時雨富士を見ぬ日ぞ面白き (きりしぐれふじをみぬひぞおもしろき)192

 桐の木に鶉鳴くなる塀の内 (きりのきにうずらなくなるへいのうち)651

 金屏の松の古さよ冬籠り (きんびやうのまつのふるさよふゆごもり)821

 愚案ずるに冥途もかくや秋の暮 (ぐあんずるにめいどもかくやあきのくれ)120

 水鶏啼くと人のいへばや佐屋泊り (くひななくとひとのいへばやさやどまり)868

 草いろいろおのおの花の手柄かな (くさいろいろおのおのはなのたがらかな)446

 草の戸を知れや穂蓼に唐辛子 (くさのとをしれやほたでにたうがらし)653

 草の戸も住み替る代ぞ雛の家 (くさのともすみかはるよぞひなのいへ)483

 草の戸や日暮れてくれし菊の酒 (くさのとやひぐれてくれしきくのさけ)725

 草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな (くさのはをおつるよりとぶほたるかな)418

 草枕犬も時雨るるか夜の声 (くさまくらいぬもしぐるるかよるのこゑ)224

 草枕まことの華見しても来よ (くさまくらまことのはなみしてもこよ)622

 葛の葉の面見せけり今朝の秋 (くずのはのおもてみせけりけさのあき)749

 薬飲むさらでも霜の枕かな (くすりのむさらでもしものまくらかな)336

 草臥れて宿借るころや藤の花 (くたびれてやどかるころやふじのはな)400

 口切に堺の庭ぞなつかしき (くちきりにさかいのにはぞなつかしき)778

 国々の八景さらに気比の月 (くにぐにのはつけいさらにけひのつき)568

 愚に暗く茨を掴む蛍かな (ぐにくらくいばらをつかむほたるかな)144

 熊坂がゆかりやいつの玉祭 (くまさかがゆかりやいつのたままつり)545

 雲を根に富士は杉形の茂りかな (くもをねにふじはすぎなりのしげりかな)61

 雲をりをり人をやすめる月見かな (くもをりをりひとをやすめるつきみかな)258

 雲霧の暫時百景を尽しけり (くもきりのざんじひやつけいをつくしけり)193

 雲とへだつ友かや雁の生き別れ (くもとへだつともかやかりのいきわかれ)41

 蜘何と音をなにと鳴く秋の風 (くもなにとねをなにとなくあきのかぜ)116

 雲の峰幾つ崩れて月の山 (くものみねいくつくづれてつきのやま)528

 鞍壺に小坊主乗るや大根引 (くらつぼにこぼうずのるやだいこひき)828

 暮れ暮れて餅を木魂の侘寝哉 (くれくれてもちをこだまのわびねかな)151

 黒森をなにといふとも今朝の雪 (くろもりをなにといふともけさのゆき)181

 椹や花なき蝶の世捨酒 (くはのみやはななきてふのよすてざけ)167

 鶏頭や鴈の来る時なほあかし (けいとうやかりのくるときなほあかし)901

 けごろもにつつみて温し鴨の足 (けごろもにつつみてぬくしかものあし)827

 今朝の雪根深を園の枝折哉 (けさのゆきねぶかをそののしおりかな)111

 消炭に薪割る音かをのの奥 (けしずみにまきわるおとかをののおく)124

 実にや月間口千金の通り町 (げにやつきまぐちせんきんのとおりちやう)100

 声澄みて北斗にひびく砧かな (こゑすみてほくとにひびくきぬたかな)352

 声よくば謡はうものを桜散る (こゑよくばうたはうものをさくらちる)386

 ごを焚いて手拭あぶる寒さ哉 (ごをたいててぬぐひあぶるさむさかな)325

 鸛の巣に嵐の外の桜哉 (こふのすにあらしのほかのさくらかな)293

 鸛の巣も見らるる花の葉越し哉 (こふのすもみらるるはなのはごしかな)292

 紅梅や見ぬ恋作る玉簾 (こうばいやみぬこひつくるたますだれ)478

 蝙蝠も出でよ浮世の華に鳥 (かうもりもいでようきよのはなにとり)959

 氷苦く偃鼠が咽をうるほせり (こほりにがくえんそがのどをうるほせり)150

 木隠れて茶摘みも聞くやほととぎす (こがくれてちゃつみもきくやほととぎす)854

 木枯しに岩吹きとがる杉間かな (こがらしにいわふきとがるすぎまかな)742

 凩に匂ひやつけし返り花 (こがらしににほひやつけしかへりばな)737

 木枯や竹に隠れてしづまりぬ (こがらしやたけにかくれてしづまりぬ)946

 こがらしや頬腫痛む人の顔 (こがらしやほほばれいたむひとのかほ)662

 苔埋む蔦のうつつの念仏哉 (こけうづむつたのうつつのねぶつかな)211

 九たび起きても月の七ツ哉 (ここのたびおきてもつきのななつかな)727

 梢よりあだに落ちけり蝉の殻 (こずえよりあだにおちけりせみのから)78

 小鯛挿す柳涼しや海士が家 (こだいさすやなぎすずしやあまがいえ)542

 胡蝶にもならで秋経る菜虫哉 (こてふにもならであきふるなむしかな)578

 こちら向け我もさびしき秋の暮 (こちらむけわれもさびしきあきのくれ)647

 琴箱や古物店の背戸の菊 (ことばこやふるものだなのせどのきく)819

 子供等よ昼顔咲きぬ瓜剥かん (こどもらよひるがほさきぬうりむかん)802

 子に飽くと申す人には花もなし (こにあくともうすひとにははなもなし)971

 この秋は何で年寄る雲に鳥 (このあきはなんでとしよるくもにとり)918

 このあたり目に見ゆるものは皆涼し (このあたりめにみゆるものはみなすずし)432

 この海に草鞋捨てん笠時雨 (このうみにわらんじすてんかさしぐれ)219

 この梅に牛も初音と鳴きつべし (このうめにうしもはつねとなきつべし)59

 この心推せよ花に五器一具 (このこころすいせよはなにごきいちぐ)755

 この種と思ひこなさじ唐辛子 (このたねとおもひこなさじたうがらし)612

 この槌のむかし椿か梅の木か (このつちのむかしつばきかうめのきか)978

 この寺は庭一盃のばせを哉 (このてらはにはいつぱいのばせをかな)957

 木の葉散る桜は軽し檜木笠 (このはちるさくらはかろしひのきがさ)208

 この蛍田毎の月にくらべみん (このほたるたごとのつきにくらべみん)416

 このほどを花に礼いふ別れ哉 (このほどをはなにれいいふわかれかな)378

 この松の実生えせし代や神の秋 (このまつのみばえせしよやかみのあき)316

 この道や行く人なしに秋の暮 (このみちやゆくひとなしにあきのくれ)916

 この宿は水鶏も知らぬ扉かな (このやどはくひなもしらぬとぼそかな)934

 この山の悲しき告げよ野老掘り (このやまのかなしきつげよところほり)370

 小萩散れますほの小貝小盃 (こはぎちれますほのこがいこさかずき)576

 御廟年経て忍ぶは何を忍草 (ごべうとしへてしのぶはなにをしのぶぐさ)207

 古法眼出どころあはれ年の暮 (こほふげんでどころあはれとしのくれ)977

 米買ひに雪の袋や投頭巾 (こめかひにゆきのふくろやなげずきん)471

 薦を着て誰人います花の春 (こもをきてたれびといますはなのはる)608

 籠り居て木の実草の実拾はばや (こもりいてこのみくさのみひろはばや)581

 今宵誰吉野の月も十六里 (こよひたれよしののつきもじゅうろくり)900

 今宵の月磨ぎ出せ人見出雲守 (こよひのつきとぎだせひとみいづものかみ)81

 これや世の煤に染まらぬ古合子 (これやよのすすにそまらぬふるがふし)605

 衣着て小貝拾はん種の月 (ころもきてこがひひろはんいろのつき)577

 蒟蒻に今日は売り勝つ若菜哉 (こんにやくにけふはうりかつわかなかな)789

 蒟蒻の刺身もすこし梅の花 (こんにやくのさしみもすこしうめのはな)792

 西行の庵もあらん花の庭 (さいぎやうのいほりのあらんはなのには)952

 西行の草鞋もかかれ松の露 (さいぎやうのわらぢもかかれまつのつゆ)585

 盃に泥な落しそ群燕 (さかづきにどろなおとしそむらつばめ)371

 盃にみつの名を飲む今宵かな (さかづきにみつのなをのむこよひかな)259

 盃の下ゆく菊や朽木盆 (さかづきのしたゆくきくやくつきぼん)57

 盃や山路の菊と是を干す (さかづきややまぢのきくとこれをほす)108

 盛りぢや花に坐浮法師ぬめり妻 (さかぢやはなにそぞろうきぼふしぬめりづま)138

 盛りなる梅にす手引く風もがな (さかりなるうめにすでひくかぜもがな)25

 咲き乱す桃の中より初桜 (さきみだすもものなかよりはつざくら)929

 桜狩り奇特や日々に五里六里 (さくらがりきどくやひびにごりろくり)388

 桜より松は二木を三月越し (さくらよりまつはふたきをみつきごし)511

 酒飲みに語らんかかる滝の花 (さけのみにかたらんかかるたきのはな)383

 酒飲めばいとど寝られぬ夜の雪 (さけのめばいとどねられぬよるのゆき)281

 さざ波や風の薫りの相拍子 (さざなみやかぜのかほりのあひびやうし)884

 篠の露袴に掛けし茂り哉 (ささのつゆはかまにかけししげりかな)796

 さざれ蟹足這ひのぼる清水哉 (さざれがにあしはひのぼるしみずかな)307

 さし籠る葎の友か冬菜売り (さしこもるむぐらのともかふゆなうり)472

 さぞな星ひじき物には鹿の革 (さぞなほしひじきものにはしかのかは)131

 五月の雨岩檜葉の緑いつまでぞ (さつきのあめいはひばのみどりいつまでぞ)115

 座頭かと人に見られて月見哉 (ざとうかとひとにみられてつきみかな)273

 里の子よ梅折り残せ牛の鞭 (さとのこようめをりのこせうしのむち)288

 里人は稻に歌詠む都かな (さとびとはいねにうたよむみやこかな)401

 里古りて柿の木持たぬ家もなし (さとふりてかきのきもたぬいえもなし)896

 早苗とる手もとや昔しのぶ摺 (さなえとるてもとやむかししのぶずり)509

 淋しさや釘に掛けたるきりぎりす (さびしさやくぎにかけたるきりぎりす)713

 寂しさや須磨に勝ちたる浜の秋 (さびしさやすまにかちたるはまのあき)574

 さまざまの事思ひ出す桜かな (さまざまのことおもひだすさくらかな)376 

 五月雨をあつめて早し最上川 (さみだれをあつめてはやしもがみがわ)523

 五月雨に御物遠や月の顏 (さみだれにおんものどほやつきのかほ)7

 五月雨に隠れぬものや瀬田の橋 (さみだれにかくれぬものやせたのはし)415

 五月雨に鶴の足短くなれり (さみだれにつるのあしみじかくなれり)143

 五月雨に鳰の浮巣を見にゆかん (さみだれににほのうきすをみにゆかん)302

 五月雨の空吹き落せ大井川 (さみだれのそらふきおとせおおいがわ)864

 五月雨の降り残してや光堂 (さみだれのふりのこしてやひかりだう)516

 五月雨も瀬踏み尋ねぬ見馴河 (さみだれもせぶみたずねぬみなれがは)37

 五月雨や桶の輪切るる夜の声 (さみだれやをけのわきるるよるのこゑ)300

 五月雨や蚕煩ふ桑の畑 (さみだれやかひこわづらふくわのはた)861

 五月雨や色紙へぎたる壁の跡 (さみだれやしきしへぎたるかべのあと)703

 五月雨や龍燈あぐる番太郎 (さみだれやりゆうとうあぐるばんたろう)76

 五月雨は滝降り埋むみかさ哉 (さみだれはたきふりうづむみかさかな)508

 寒からぬ露や牡丹の花の蜜 (さむからぬつゆやぼたんのはなのみつ)853

 寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき (さむけれどふたりぬるよぞたのもしき)324

 皿鉢もほのかに闇の宵涼み (さらばちもほのかにやみのよひすずみ)882

 猿を聞く人捨子に秋の風いかに (さるをきくひとすてごにあきのかぜいかに)194

 猿引は猿の小袖を砧哉 (さるひきはさるのこそでをきぬたかな)953

 さればこそ荒れたきままの霜の宿 (さればこそあれたきままのしものやど)331

 三尺の山も嵐の木の葉かな (さんじやくのやまもあらしのこのはかな)674

 汐越や鶴脛ぬれて海涼し (しほごしやつるはぎぬれてうみすずし)536

 塩鯛の歯ぐきも寒し魚の店 (しほだひのはぐきもさむしうをのたな)780

 塩にしてもいざ言伝てん都鳥 (しほにしてもいざことづてんみやこどり)101

 しをらしき名や小松吹く萩薄 (しをらしきなやこまつふくはぎすすき)549

 萎れ伏すや世はさかさまの雪の竹 (しをれふすやよはさかさまのゆきのたけ)21

 鹿の角まづ一節の別れかな (しかのつのまづひとふしのわかれかな)399

 しぐるるや田の新株の黒むほど (しぐるるやたのあらかぶのくろむほど)659

 時雨をやもどかしがりて松の雪 (しぐれをやもどかしがりてまつのゆき)20

 閑かさや岩にしみ入る蝉の声 (しづかさやいはにしみいるせみのこゑ)522

 賎の子や稲摺りかけて月を見る (しづのこやいねすりかけてつきをみる)312

 死にもせぬ旅寝の果てよ秋の暮 (しにもせぬたびねのはてよあきのくれ)212

 忍さへ枯れて餅買ふ宿り哉 (しのぶさへかれてもちかふやどりかな)221

 しばし間も待つやほととぎす千年 (しばしまもまつやほととぎすせんねん)12

 柴付けし馬のもどりや田植樽 (しばつけしうまのもどりやたうゑだる)870

 柴の戸に茶を木の葉掻く嵐哉 (しばのとにちやをこのはかくあらしかな)123

 柴の戸の月やそのまま阿弥陀坊 (しばのとのつきやそのままあみだばう)926

 暫時は滝に籠るや夏の初め (しばらくはたきにこもるやげのはじめ)491

 しばらくは花の上なる月夜かな (しばらくははなのうへなるつきよかな)689

 四方より花吹き入れて鳰の波 (しほうよりはなふきいれてにほのなみ)623

 島々や千々に砕きて夏の海 (しまじまやちぢにくだきてなつのうみ)514

 霜を着て風を敷き寝の捨子哉 (しもをきてかぜをしきねのすてごかな)87

 霜を踏んでちんば引くまで送りけり (しもをふんでちんばひくまでおくりけり)110

 霜枯に咲くは辛気の花野哉 (しもがれにさくはしんきのはなのかな)23

 霜の後撫子咲ける火桶哉 (しもののちなでしこさけるひおけかな)661

 秋海棠西瓜の色に咲きにけり (しうかいどうすいくわのいろにさきにけり)708

 鎖明けて月さしい入れよ浮御堂 (じやうあけてつきさしいれようきみだう)716

 少将の尼の咄や志賀の雪 (しやうじやうのあまのはなしやしがのゆき)604

 丈六にかげろふ高し石の上 (ぢやうろくにかげろふたかしいしのうへ)363

 初春まづ酒に梅売る匂ひかな (しよしゆんまづさけにうめうるにほひかな)234

 白魚や黒き目を明く法の網 (しらうをやくろきめをあくのりのあみ)791

 白髪抜く枕の下やきりぎりす (しらがぬくまくらのしたやきりぎりす)648

 白菊の目に立てて見る塵もなし (しらぎくのめにたててみるちりもなし)919

 白菊よ白菊よ恥長髪よ長髪よ (しらぎくよしらぎくよはじながかみよながかみよ)177

 白芥子に羽もぐ蝶の形見哉 (しらげしにはねもぐてふのかたみかな)252

 白芥子や時雨の花の咲きつらん (しらげしやしぐれのはなのさきつらん)182

 白露もこぼさぬ萩のうねり哉 (しらつゆもこぼさぬはぎのうねりかな)805

 城跡や古井の清水まづ訪はん (しろあとやふるいのしみづまづとはん)429

 白炭やかの浦島が老の箱 (しらずみやかのうらしまがおひのはこ)89

 新藁の出初めて早き時雨哉 (しんわらのでそめてはやきしぐれかな)903

 水学も乗物貸さん天の川 (すいがくものりものかさんあまのがわ)97

 水仙や白き障子のとも移り (すいせんやしろきしやうじのともうつり)738

 涼しさを絵にうつしけり嵯峨の竹 (すずしさをゑにうつしけりさがのたけ)872

 涼しさを飛騨の工が指図かな (すずしさをひだのたくみがさしづかな)867

 涼しさを我が宿にしてねまるなり (すずしさをわがやどにしてねまるなり)519

 涼しさやほの三日月の羽黒山 (すずしさやほのみかづきのはぐろやま)527

 煤掃は己が棚つる大工かな (すすはきはおのがたなつるだいくかな)836

 煤掃は杉の木の間の嵐哉 (すすはきはすぎのこのまのあらしかな)668

 雀子と声鳴きかはす鼠の巣 (すずめことこゑなきかはすねずみのす)949

 硯かと拾ふやくぼき石の露 (すずりかとひろふやくぼきいしのつゆ)591

 須磨寺や吹かぬ笛聞く木下闇 (すまでらやふかぬふえきくこしたやみ)408

 須磨の海士の矢先に鳴くか郭公 (すまのあまのやさきになくかほととぎす)407

 須磨の浦の年取り物や柴一把 (すまのうらのとしとりものやしばいちは)956

 住みつかぬ旅の心や置火燵 (すみつかぬたびのこころやおきごたつ)667

 駿河路や花橘も茶の匂ひ (するがじやはなたちばなもちやのにほひ)862

せそ

 節季候を雀の笑ふ出立かな (せきぞろをすずめのわらふでたちかな)786

 節季候の来れば風雅も師走哉 (せきぞろのくればふうがもしはすかな)665

 関守の宿を水鶏に問はうもの (せきもりのやどをくひなにとはうもの)507

 せつかれて年忘れする機嫌かな (せつかれてとしわすれするきげんかな)945

 芹焼きや裾輪の田井の初氷 (せりやきやすそわのたゐのはつごほり)833

 僧朝顔幾死に返る法の松 (そうあさがおいくしにかへるのりのまつ)203

 蒼海の浪酒臭し今日の月 (さうかいのなみさけくさしけふのつき)107

 雑水に琵琶聴く軒の霰かな (ざふすいにびわきくのきのあられかな)930

 草履の尻折りて帰らん山桜 (ぞうりのしりをりてかへらんやまざくら)106

 袖の色よごれて寒し濃鼠 (そでのいろよごれてさむしこいねずみ)975

 袖よごすらん田螺の海士の隙を無み (そでよごすらんたにしのあまのひまをなみ)153

 その形見ばや枯木の杖の長 (そのかたちみばやかれきのつゑのたけ)467

 その玉や羽黒にかへす法の月 (そのたまやはぐろにかへすのりのつき)530

 その匂ひ桃より白し水仙花 (そのにほひももしろしすいせんくわ)739

 そのままよ月もたのまじ伊吹山 (そのままよつきもたのまじいぶきやま)580

 蕎麦も見てけなりがらせよ野良の萩 (そばもみてけなりがらせよのらのはぎ)723

 蕎麦はまだ花でもてなす山路かな (そばはまだはなでもてなすやまじかな)904

 田一枚植ゑて立ち去る柳かな (たいちまいうゑてたちさるやなぎかな)503

 内裏雛人形天皇の御宇とかや (だいりびなにんぎやうてんのうのぎようとかや)93

 鷹の目も今や暮れぬと鳴く鶉 (たかのめもいまやくれぬとなくうづら)722

 鷹ひとつ見付けてうれしいらご崎 (たかひとつみつけてうれしいらござき)328

 高水に星も旅寝や岩の上 (たかみずにほしもたびねやいはのうえ)804

 誰が聟ぞ歯朶に餅負ふうしの年 (たがむこぞしだにもちおふうしのとし)229

 茸狩やあぶなきことに夕時雨 (たけがりやあぶなきことにゆふしぐれ)596

 竹の子や稚き時の絵のすさび (たけのこやをさなきときのゑのすさび)700

 たかうなや雫もよよの篠の露 (たかうなやしづくもよよのささのつゆ)50

 蛸壺やはかなき夢を夏の月 (たこつぼやはかなきゆめをなつのつき)410

 橘やいつの野中の郭公 (たちばなやいつののなかのはととぎす)635

 七夕の逢はぬ心や雨中天 (たなばたのあはぬこころやうちゆうてん)14

 七夕や秋を定むる夜のはじめ (たなばたやあきをさだむるよのはじめ)891

 種芋や花の盛りに売り歩く (たねいもやはなのさかりにうりあるく)613

 楽しさや青田に涼む水の音 (たのしさやあおたにすずむみずのおと)402

 旅烏古巣は梅になりにけり (たびがらすふるすはうめになりにけり)231

 旅に飽きてけふ幾日やら秋の風 (たびにあきてけふいくかやらあきのかぜ)439

 旅に病んで夢は枯野をかけ廻る (たびにやんでゆめはかれのをかけめぐる)922

 旅寝して見しや浮世の煤ひ (たびねしてみしやうきよのすすはらひ)344

 旅寝して我が句を知れや秋の風 (たびねしてわがくをしれやあきのかぜ)348

 旅寝よし宿は師走の夕月夜 (たびねよしやどはしはすのゆふづきよ)341

 旅人と我が名呼ばれん初時雨 (たびびととわがなよばれんはつしぐれ)320

 旅人の心にも似よ椎の花 (たびびとのこころにもによしひのはな)799

 玉祭り今日も焼場の煙哉 (たままつりけふもやきばのけむりかな)644

 手向けけり芋は蓮に似たるとて (たむけけりいもははちすににたるとて)185

 矯めつけて雪見にまかる紙子哉 (ためつけてゆきみにまかるかみこかな)338

 田や麦や中にも夏のほととぎす (たやむぎやなかにもなつのほととぎす)496

 誰やらがかたちに似たり今朝の春 (たれやらがかたちににたりけさのはる)286

 たわみては雪待つ竹の景色かな (たわみてはゆきまつたけのけしきかな)865

 たんだすめ住めば都ぞ今日の月 (たんだすめすめばみやこぞけふのつき)15

 苣はまだ青葉ながらに茄子汁 (ちさはまだあおばながらになすびじる)863

 父母のしきりに恋し雉の声 (ちちははのしきりにこひしきじのこゑ)394

 千鳥立ち更け行く初夜の日枝颪 (ちどりたちふけゆくしよやのひえおろし)666

 地に倒れ根に寄り花の別れかな (ちにたおれねによりはなのわかれかな)269

 粽結ふ片手にはさむ額髪 (ちまきゆふかたてにはさむひたひがみ)704

 長嘯の墓もめぐるか鉢叩き (ちやうせうのはかもめぐるかはちたたき)603

 蝶鳥の浮つき立つや花の雲 (てふとりのうはつきたつやはなのくも)969

 蝶の飛ぶばかり野中の日影哉 (てふのとぶばかりのなかのひかげかな)245

 蝶の羽のいくたび越ゆる塀の屋根 (てふのはのいくたびこゆるへいのやね)619

 蝶も来て酢を吸ふ菊の膾哉 (てふもきてすをすふきくのなますかな)657

 蝶よ蝶よ唐土の俳諧問はん (てふよてふよもろこしのはいかいとはん)173

 散る花や鳥も驚く琴の塵 (ちるはなやとりもおどろくことのちり)924

 塚も動け我が泣く声は秋の風 (つかもうごけわがなくこゑはあきのかぜ)548

 月いづく鐘は沈める海の底 (つきいづくかねはしずめるうみのそこ)571

 月影や四門四宗もただ一つ (つきかげやしもんししゅうもただひとつ)456

 撞鐘もひびくやうなり蝉の声 (つきがねもひびくやうなりせみのこゑ)428

 月か花か問へど四睡の鼾哉 (つきかはなかとへどしすいのいびきかな)531

 月清し遊行の持てる砂の上 (つききよしゆぎやうのもてるすなのうへ)569

 月さびよ明智が妻の咄せん (つきさびよあけちがつまのはなしせん)588

 月十四日今宵三十九の童部 (つきじふよつかこよひさんじうくのわらべ)158

 月白き師走は子路が寝覚め哉 (つきしろきしはすはしろがねざめかな)283

 月代や膝に手を置く宵の宿 (つきしろやひざにてをおくよひのやど)650

 月澄むや狐こはがる児の供 (つきすむやきつねこはがるちごのとも)920

 月ぞしるべこなたへ入らせ旅の宿 (つきぞしるべこなたへいらせたびのやど)2

 月に名を包みかねてや痘瘡の神 (つきになをつつみかねてやいものかみ)565

 月の鏡小春に見るや目正月 (つきのかがみこはるにみるやめしやうがつ)19

 月のみか雨に相撲もなかりけり (つきのみかあめにすまふもなかりけり)572

 月花の愚に針立てん寒の入り (つきはなのぐにはりたてんかんのいり)783

 月華の是やまことのあるじ達 (つきはなのこれやまことのあるじたち)249

 月花もなくて酒のむ独りかな (つきはなもなくてさけのむひとりかな)482

 月はやし梢は雨を持ちながら (つきはやしこづゑはあめをもちながら)314

 月待ちや梅かたげ行く小山伏 (つきまちやうめかたげゆくこやまぶし)684

 月見する座に美しき顔もなし (つきみするざにうつくしきかほもなし)649

 月見せよ玉江の芦を刈らぬ先 (つきみせよたまえのあしをからぬさき)563

 月見ても物足らはずや須磨の夏 (つきみてもものたらはずやすまのなつ)405

 月やその鉢木の日のした面 (つきやそのはちのきのひのしたおもて)815

 月雪とのさばりけらし年の暮 (つきゆきとのさばりけらしとしのくれ)285

 月はあれど留守のやうなり須磨の夏 (つきはあれどるすのやうなりすまのなつ)404

 作りなす庭をいさむる時雨かな (つくりなすにわをいさむるしぐれかな)734

 蔦植ゑて竹四五本の嵐哉 (つたゑてたけしごほんのあらしかな)200

 蔦の葉は昔めきたる紅葉哉 (つたのははむかしめきたるもみじかな)460

 躑躅生けてその陰に干鱈割く女 (つつじいけてそのかげにひだらさくをんな)241

 摘みけんや茶を凩の秋とも知らで (つみけんやちゃをこがらしのあきともしらで)140

 露凍てて筆に汲み干す清水かな (つゆいててふでにくみほすしみづかな)343

 露とくとく試みに浮世すすがばや (つゆとくとくこころみにうきよすすがばや)206

 鶴鳴くやその声に芭蕉破れぬべし (つるなくやそのこゑにばしようやれぬべし)498

 鶴の毛の黒き衣や花の雲 (つるのけのくろきころもやはなのくも)795

 庭訓の往来誰が文庫より今朝の春 (ていきんのわうらいたがぶんこよりけさのはる)91

 手を打てば木魂に明くる夏の月 (てをうてばこだまにあくるなつのつき)699

 手に取らば消えん涙ぞ熱き秋の霜 (てにとらばきえんなみだぞあつきあきのしも)201

 手鼻かむ音さへ梅の盛り哉 (てばなかむおとさへうめのさかりかな)361

 寺に寝てまこと顔なる月見哉 (てらにねてまことがほなるつきみかな)315

 天秤や京江戸かけて千代の春 (てんびんやきやうえどかけてちよのはる)58

 この種と思ひこなさじ唐辛子 (このたねとおもひこなさじたうがらし)612

 冬瓜やたがひに変る顔の形 (とうがんやたがひにかはるかほのなり)897

 唐黍や軒端の荻の取りしがへ (たうきびやのきばのをぎのとりちがへ)80

 当帰よりあはれは塚の菫草 (たうきよりあはれはつかのすみれぐさ)793

 尊がる涙や染めて散る紅葉 (たふとがるなみだやそめてちるもみじ)733

 尊さに皆おしあひぬ御遷宮 (たふとさにみなおしあひぬごせんぐう)589

 たふとさや雪降らぬ日も蓑と笠 (たふとさやゆきふらぬひもみのとかさ)676

 磨ぎなほす鏡も清し雪の花 (とぎなほすかがみもきよしゆきのはな)337

 年暮れぬ笠着て草鞋はきながら (としくれぬかさきてわらじはきながら)228

 年々や桜を肥やす花の塵 (としどしやさくらをこやすはなのちり)687

 年々や猿に着せたる猿の面 (としどしやさるにきせたるさるのめん)788

 年の市線香買ひに出でばやな (としのいちせんこうかひにいでばやな)284

 年は人にとらせていつも若夷 (としはひとにとらせていつもわかえびす)4

 土手の松花や木深き殿造り (どてのまつはなやこぶかきとのづくり)614

 戸の口に宿札名乗れほととぎす (とのくちにやどふだなのれほととぎす)179

 ともかくもならでや雪の枯尾花 (ともかくもならでやゆきのかれをばな)747

 鳥刺も竿や捨てけんほととぎす (とりさしもさおやすてけんほととぎす)247

 蜻蜒や取りつきかねし草の上 (とんぼうやとりつきかねしくさのうへ)645

 どんみりと樗や雨の花曇り (どんみりとあふちやあめのはなぐもり)859

 なほ見たし花に明け行く神の顔 (なほみたしはなにあけゆくかみのかほ)393

 永き日も囀り足らぬひばり哉 (ながきひもさへづりたらぬひばりかな)295

 なかなかに心をかしき臘月哉 (なかなかにこころをかしきしはすかな)785

 詠むるや江戸には稀な山の月 (ながむるやえどにはまれなやまのつき)67

 中山や越路も月はまた命 (なかやまやこしぢもつきはまたいのち)567

 無き人の小袖も今や土用干 (なきひとのこそでもいまやどようぼし)424

 夏かけて名月暑き涼み哉 (なつかけてめいげつあつきすずみかな)810

 夏来てもただひとつ葉の一葉かな (なつきてもただひとつはのひとはかな)433

 夏草に富貴を飾れ蛇の衣 (なつくさにふうきをかざれへびのきぬ)631

 夏草や兵どもが夢の跡 (なつくさやつはものどもがゆめのあと)515

 夏草や我先達ちて蛇狩らん (なつくさやわれさきだちてへびからん)632

 夏木立佩くや深山の腰ふさげ (なつこだちはくやみやまのこしふさげ)42

 夏衣いまだ虱を取りつくさず (なつごろもいまだしらみをとりつくさず)257

 夏近しその口たばへ花の風 (なつちかしそのくちたばへはなのかぜ)30

 納豆切る音しばし待て鉢叩き (なつときるおとしばしまてはちたたき)671

 夏の月御油より出でて赤坂や (なつのつきごゆよりいでてあかさかや)64

 夏の夜や崩れて明けし冷し物 (なつのよやくづれてあけしひやしもの)880

 夏山に足駄を拝む首途哉 (なつやまにあしだをおがむかどでかな)497

 撫子にかかる涙や楠の露 (なでしこにかかるなみだやくすのつゆ)939

 撫子の暑さ忘るる野菊かな (なでしこのあつさわするるのぎくかな)766

 七株の萩の千本や星の秋 (ななかぶのはぎのちもとやほしのあき)765

 なに喰うて小家は秋の柳かな (なにくうてこいへはあきのやなぎかな)965

 何事の見立てにも似ず三日のつき (なにごとのみたてにもにずみかのつき)434

 何ごとも招き果てたる薄哉 (なにごともまねきはてたるすすきかな)355

 何にこの師走の市にゆく烏 (なににこのしはすのいちにゆくからす)607

 何の木の花とは知らず匂ひ哉 (なにのきのはなとはしらずにほひかな)364

 難波津や田螺の蓋も冬ごもり (なにはづやたにしのふたもふゆごもり)822

 菜畠に花見顔なる雀哉 (なばたけにはなみがほなるすずめかな)242

 なまぐさし小菜葱が上の鮠の腸 (なまぐさしこなぎがうへのはえのわた)809

 波の花と雪もや水の返り花 (なみのはなとゆきもやみずのかへりばな)34

 浪の間や小貝にまじる萩の塵 (なみのまやこがひにまじるはぎのちり)575

 南無ほとけ草の台も涼しけれ (なむほとけくさのうてなもすずしけれ)188

 奈良七重七堂伽藍八重ざくら (ならななへしちだうがらんやへざくら)951

 なりにけりなりにけりまで年の暮 (なりにけりなりにけりまでとしのくれ)68

にぬねの

 似合はしや豆の粉飯に桜狩り (にあはしやまめのこめしにさくらがり)616

 西か東かまづ早苗にも風の音 (にしかひがしかまづさなへにもかぜのおと)504

 煮麺の下焚きたつる夜寒哉 (にうめんのしたたきたつるよさむかな)729

 庭掃いて出でばや寺に散る柳 (にははいていでばやてらにちるやなぎ)559

 庭掃きて雪を忘るる箒哉 (にははきてゆきをわするるははきかな)781

 盗人に逢うた夜もあり年の暮 (ぬすびとにあうたよもありとしのくれ)838

 濡れて行くや人もをかしき雨の萩 (ぬれていくやひともをかしきあめのはぎ)550

 猫の恋やむとき閨の朧月 (ねこのこひやむときねやのおぼろづき)756

 猫の妻竈の崩れより通ひけり (ねこのつまへつひのくづれよりかよひけり)71

 寝たる萩や容顔無礼花の顔 (ねたるはぎやようがんぶれいはなのかほ)18

 子の日しに都へ行かん友もがな (ねのひしにみやこへいかんとももがな)230

 涅槃会や皺手合する数珠の音 (ねはんゑやしわであはするじゆずのおと)845

 葱白く洗ひあげたる寒さかな (ねぶかしろくあらひあげたるさむさかな)735

 合歓の木の葉越しも厭へ星の影 (ねぶのきのはごしもいとへほしのかげ)643

 能なしの眠たし我を行々子 (のうなしのねむたしわれをぎやうぎやうし)702

 野を横に馬牽きむけよほととぎす (のをよこにうまひきむけよほととぎす)499

 暖簾の奥ものふかし北の梅 (のうれんのおくものふかしきたのうめ)366

 野ざらしを心に風のしむ身哉 (のざらしをこころにかぜのしむみかな)190

 呑み明けて花生けにせん二升樽 (のみあけてはないけにせんにしようだる)688

 蚤虱馬の尿する枕もと (のみしらみうまのしとするまくらもと)518

 海苔汁の手際見せけり浅黄椀 (のりじるのてぎはみせけりあさぎわん)187

 這ひ出でよ飼屋が下の蟇の声 (はひいでよかひやがしたのひきのこゑ)520

 萩原や一夜は宿せ山の犬 (はぎはらやひとよはやどせやまのいぬ)310

 箱根越す人もあるらし今朝の雪 (はこねこすひともあるらしけさのゆき)340

 橋桁の忍は月の名残り哉 (はしげたのしのぶはつきのなごりかな)726

 ばせを植ゑてまづ憎む荻の二葉哉 (ばせをうゑてまづにくむをぎのふたばかな)141

 芭蕉野分して盥に雨を聞く夜哉 (ばせうのわきしてたらひにあめをきくよかな)148

 芭蕉葉を柱に懸けん庵の月 (ばせうはをはしらにかけんいほのつき)768

 蓮池や折らでそのまま玉祭 (はすいけやをらでそのままたままつり)440

 蓮の香を目にかよはすや面の鼻 (はすのかをめにかよはすやめんのはな)887

 裸にはまだ衣更着の嵐哉 (はだかにはまだきさらぎのあらしかな)374

 畑打つ音やあらしの桜麻 (はたけうつおとやあらしのさくらあさ)617

 初秋や海も青田の一みどり (はつあきやうみもあおたのひとみどり)438

 初秋や畳みながらの蚊屋の夜着 (はつあきやたたみながらのかやのよぎ)707

 初午に狐の剃りし頭哉 (はつうまにきつねのそりしあたまかな)794

 八九間空で雨降る柳かな (はつくけんそらであめふるやなぎかな)847

 初桜折しも今日はよき日なり (はつざくらをりしもけふはよきひなり)375

 初時雨猿も小蓑を欲しげなり (はつしぐれさるもこみのをほしげなり)594

 初時雨初の字を我が時雨哉 (はつしぐれはつのぢをわがしぐれかな)972

 初霜や菊冷え初むる腰の綿 (はつしもやきくひえそむるこしのわた)775

 初茸やまだ日数経ぬ秋の露 (はつたけやまだひかずへぬあきのつゆ)806

 初花に命七十五年ほど (はつはなにいのちななじゆうごねんほど)94

 初真桑四つにや断たん輪に切らん (はつまくわよつにやたたんわにきらん)538

 初雪に兎の皮の髭作れ (はつゆきにうさぎのかはのひげつくれ)599

 初雪やいつ大仏の柱立て (はつゆきやいつだいぶつのはしらだて)601

 初雪や懸けかかりたる橋の上 (はつゆきゃかけかかりたるはしのうへ)829

 初雪や幸ひ庵にまかりある (はつゆきやさいわひあんにまかりある)279

 初雪や水仙の葉のたわむまで (はつゆきやすいせんのはのたわむまで)280

 初雪や聖小僧の笈の色 (はつゆきやひじりこぞうのおひのいろ)663

 鳩の声身に入みわたる岩戸哉 (はとのこゑみにしみわたるいわとかな)579

 花あやめ一夜に枯れし求馬哉 (はなあやめいちやにかれしもとめかな)414

 花を宿に始め終りや二十日ほど (はなをやどにはじめをはりやはつかほど)377

 花盛り山は日ごろの朝ぼらけ (はなざかりやまはひごろのあさぼらけ)392

 花咲きて七日鶴見る麓哉 (はなさきてなのかつるみるふもとかな)267

 花と実と一度に瓜の盛りかな (はなとみといちどにうりのさかりかな)931

 花にあかぬ嘆きやこちの歌袋 (はなにあかぬなげきやこちのうたぶくろ)28

 花に遊ぶ虻な喰ひそ友雀 (はなにあそぶあぶなくらひそともすずめ)291

 花にいやよ世間口より風の口 (はなにいやよせけんぐちよりかぜのくち)44

 花にうき世我が酒白く飯黒し (はなにうきよわがさけしろしめしくろし)164

 花に酔へり羽織着て刀さす女 (はなにゑへりはおりきてかたなさすおんな)135

 花に寝ぬこれも類か鼠の巣 (はなにねぬこれもたぐひかねずみのす)758

 花にやどり瓢箪斎と自らいへり (はなにやどりへうたんさいとみづからいへり)114

 花の顔に晴れうてしてや朧月 (はなのかほにはれうてしてやおぼろづき)24

 花の陰謡に似たる旅寝哉 (はなのかげうたひににたるたびねかな)384

 花の雲鐘は上野か浅草か (はなのくもかねはうへのかあさくさか)294

 花みな枯れてあはれをこぼす草の種 (はなみなかれてあはれをのこすくさのたね)276

 花見にと指す船遅し柳原 (はなみにとさすふねおそしやなぎはら)850

 花木槿裸童のかざし哉 (はなむくげはだかわらはのかざしかな)118

 花は賎の目にも見えけり鬼薊 (はなはしづのめにもみえけりおにあざみ)6

 葉にそむく椿の花やよそ心 (はにそむくつばきのはなやよそごころ)961

 蛤の生けるかひあれ年の暮 (はまぐりのいけるかひあれとしのくれ)787

 蛤のふたみに別れ行く秋ぞ (はまぐりのふたみにわかれゆくあきぞ)586

 早く咲け九日も近し菊の花 (はやくさけくにちもちかしきくのはな)582

 原中やものにもつかず啼く雲雀 (はらなかやものにもつかずなくひばり)296

 針立や肩に槌打つから衣 (はりたてやかたにつちうつからころも)55

 張抜きの猫も知るなり今朝の秋 (はりぬきのねこもしるなりけさのあき)130

 春風に吹き出し笑ふ花もがな (はるかぜにふきだしわらふはなもがな)29

 春雨の木下につたふ清水哉 (はるさめのこしたにつたふしみずかな)390

 春雨や蜂の巣つたふ屋根の漏り (はるさめやはちのすつたふやねのもり)848

 春雨や二葉に萌ゆる茄子種 (はるさめやふたばにもゆるなすびだね)611

 春雨や蓑吹きかへす川柳 (はるさめやみのふきかへすかはやなぎ)962

 春雨や蓬をのばす艸の道 (はるさめやよもぎをのばすくさのみち)852

 春立ちてまだ九日の野山哉 (はるたちてまだここのかののやまかな)358

 春立つとわらはも知るや飾り繩 (はるたつとわらはもしるやかざりなわ)38

 春立つや新年ふるき米五升 (はるたつやしんねんふるきこめごしやう)186

 春なれや名もなき山の薄霞 (はるなれやなもなきやまのうすがすみ)232

 春の夜や籠り人ゆかし堂の隅 (はるのよやこもりどゆかしだうのすみ)380

 春の夜は桜に明けてしまひけり (はるのよはさくらにあけてしまひけり)937

 春もやや気色ととのふ月と梅 (はるもややけしきととのふつきとうめ)790

 春や来し年や行きけん小晦日 (はるやこしとしやゆきけんこつごもり)1

 腫物に触る柳の撓哉 (はれものにさはるやなぎのしなへかな)842

 半日は神を友にや年忘れ (はんじつはかみをともにやとしわすれ)669

 ぴいと啼く尻声悲し夜の鹿 (ぴいとなくしりごゑかなしよるのしか)906

 東西あはれさひとつ秋の風 (ひがしにしあはれさひとつあきのかぜ)271

 髭風ヲ吹いて暮秋嘆ズルハ誰ガ子ゾ (ひげかぜをふいてぼしうたんずるはたがこぞ)159

 ひごろ憎き烏も雪の朝哉 (ひごろにくきからすもゆきのあしたかな)673

 一尾根はしぐるる雲か富士の雪 (ひとをねはしぐるるくもかふじのゆき)321

 人ごとの口にあるなりしたもみじ (ひとごとのくちにあるなりしたもみじ)48

 一里はみな花守の子孫かや (ひとさとはみなはなもりのしそんかや)620

 一時雨礫や降つて小石川 (ひとしぐれつぶてやふつてこいしかわ)86

 一つ脱いで後に負ひぬ衣更 (ひとつぬいでうしろにおひぬころもがへ)396

 一家に遊女も寝たり萩と月 (ひとつやにゆふじょもねたりはぎとつき)543

 一露もこぼさぬ菊の氷かな (ひとつゆもこぼさぬきくのこほりかな)826

 一とせに一度摘まるる薺かな (ひととせにいちどつまるるなづなかな)840

 人に家を買はせて我は年忘れ (ひとにいゑをかはせてわれはとしわすれ)678

 人々をしぐれよ宿は寒くとも (ひとびとをしぐれよやどはさむくとも)595

 一日一日麦あからみて啼く雲雀 (ひとひひとひむぎあからみてなくひばり)701

 人も見ぬ春や鏡の裏の梅 (ひともみぬはるやかがみのうらのうめ)752

 独り尼藁屋すげなし白躑躅 (ひとりあまわらやすげなししろつつじ)626

 日にかかる雲やしばしの渡り鳥 (ひにかかるくもやしばしのわたりどり)966

 日の道や葵傾く五月雨 (ひのみちやあふひかたぶくさつきあめ)634

 雲雀鳴く中の拍子や雉子の声 (ひばりなくなかのひやうしやきじのこゑ)481

 雲雀より空にやすらふ峠哉 (ひばりよりそらにやすらふたうげかな)381

 百里来たりほどは雲井の下涼み (ひやくりきたりほどはくもゐのしたすずみ)66

 ひやひやと壁をふまへて昼寝哉 (ひやひやとかべをふまへてひるねかな)889

 病雁の夜寒に落ちて旅寝哉 (びやうがんのよさむにおちてたびねかな)654

 屏風には山を画書いて冬籠り (びやうぶにはやまをゑがいてふゆごもり)598

 ひよろひよろとなほ露けしや女郎花 (ひよろひよろとなほつゆけしやをみなへし)448

 ひらひらと挙ぐる扇や雲の峰 (ひらひらとあぐるあふぎやくものみね)886

 比良三上雪さしわたせ鷺の橋 (ひらみかみゆきさしわたせさぎのはし)675

 昼顔に米搗き涼むあはれなり (ひるがほにこめつきすずむあはれなり)176

 昼顔に昼寝せうもの床の山 (ひるがほにひるねせうものとこのやま)423

 鼓子花の短夜眠る昼間哉 (ひるがほのみじかよねぶるひるまかな)422

 ひれ振りてめじかも寄るや男鹿島 (ひれふりてめじかもよるやをがのしま)180

 琵琶行の夜や三味線の音あられ (びはかうのよやしやみせんのおとあられ)213

 日は花に暮れてさびしやあすならう (ひははなにくれてさびしやあすならう)389

 貧山の釜霜に鳴く声寒し (ひんざんのかましもになくこゑさむし)149

 風月の財も離れよ深見艸 (ふうげつのざいもはなれよふかみぐさ)798

 風流の初めや奥の田植歌 (ふうりゆうのはじめやおくのたうえうた)505

 吹き飛ばす石は浅間の野分哉 (ふきとばすいしはあさまののわきかな)457

 吹く風の中を魚飛ぶ御祓かな (ふくかぜのなかをうをとぶみそぎかな)347

 富士の風や扇にのせて江戸土産 (ふじのかぜやあふぎにのせてえどみやげ)65

 藤の実は俳諧にせん花の跡 (ふじのみははいかいにせんはなのあと)583

 富士の山蚤が茶臼の覆かな (ふじのやまのみがちやうすのおほひかな)62

 富士の雪廬生が夢を築かせたり (ふじのゆきろせいがゆめをつかせたり)88

 不精さや掻き起されし春の雨 (ぶしやうさやかきおこされしはるのあめ)685

 二人見し雪は今年も降りけるか (ふたりみしゆきはことしもふりけるか)470

 二日酔ひものかは花のあるあひだ (ふつかゑひものかははなのあるあひだ)129

 二日にもぬかりはせじな花の春 (ふつかにもぬかりはせじなはなのはる)357

 船足も休む時あり浜の桃 (ふなあしもやすむときありはまのもも)244

 文月や六日も常の夜には似ず (ふみつきやむいかもつねのよにはにず)539

 文ならぬいろはもかきて火中哉 (ふみならぬいろはもかきてくわちゆうかな)47

 冬籠りまた寄りそはんこの柱 (ふゆごもりまたよりそはんこのはしら)465

 冬知らぬ宿や籾摺る音霰 (ふゆしらぬやどやもみするおとあられ)204

 冬庭や月もいとなる虫の吟 (ふゆにはやつきもいとなるむしのぎん)597

 冬の日や馬上に氷る影法師 (ふゆのひやばしやうにこほるかげぼうし)326

 冬牡丹千鳥よ雪のほととぎす (ふゆぼたんちどりよゆきのほととぎす)216

 降らずとも竹植うる日は蓑と笠 (ふらずともたけううるひはみのとかさ)925

 振売の鴈あはれなり恵比須講 (ふりうりのがんあはれなりゑびすこう)831

 古池や蛙飛びこむ水の音 (ふるいけやかはずとびこむみずのおと)270

 降る音や耳も酢うな梅の雨 (ふるおとやみみのすうなるうめのあめ)8

 古川にこびて目を張る柳かな (ふるかわにこびてめをはるやなぎかな)932

 古き名の角鹿や恋し秋の月 (ふるきなのつぬがやこひしあきのつき)573

 旧里や臍の緒に泣く年の暮 (ふるさとやへそのをになくとしのくれ)346

 古巣ただあはれなるべき隣かな (ふるすただあはれなるべきとなりかな)268

 古畑やなづな摘みゆく男ども (ふるはたやなづなつみゆくおとこども)262

 分別の底たたきけり年の暮 (ふんべつのそこたたきけりとしのくれ)938

へほ

 蛇食ふと聞けばおそろし雉子の声 (へびくふときけばおそろしきじのこゑ)621

 鬼灯は実も葉も殻も紅葉かな (ほほづきはみのはもからももみじかな)941

 蓬莱に聞かばや伊勢の初便り (ほうらいにきかばやいせのはつたより)839

 星崎の闇を見よとや啼く千鳥 (ほしざきのやみをみよとやなくちどり)323

 蛍火の昼は消えつつ柱かな (ほたるびのひるはきえつつはしらかな)517

 蛍見や船頭酔うておぼつかな (ほたるみやせんどうようておぼつかな)636

 牡丹蘂深く分け出づる蜂の名残り哉 (ぼたんしべふかくわけいづるはちのなごりかな)254

 発句なり松尾桃青宿の春 (ほつくなりまつおとうせいやどのはる)103

 ほととぎす今は俳諧師なき世哉 (ほととぎすいまははいかいしなきよかな)183

 ほととぎす裏見の滝の裏表 (ほととぎすうらみのたきのうらおもて)492

 ほととぎす大竹薮を漏る月夜 (ほととぎすおおたけやぶをもるつきよ)697

 時鳥鰹を染めにけりけらし (ほととぎすかつををそめにけりけらし)171

 ほととぎす消え行く方や島一つ (ほととぎすきえゆくかたやしまひとつ)409

 郭公声横たふや水の上 (ほととぎすこゑよこたふやみずのうえ)797

 ほととぎす鳴く鳴く飛ぶぞ忙はし (ほととぎすなくなくとぶぞいそがはし)298

 杜鵑鳴く音や古き硯箱 (ほととぎすなくねやふるきすずりばこ)760

 ほととぎす鳴くや五尺の菖草 (ほととぎすなくやごしやくのあやめぐさ)761

 郭公招くか麦のむら尾花 (ほととぎすまねくかむぎのむらをばな)142

 時鳥正月は梅の花咲けり (ほととぎすむつきはうめのはなさけり)165

 ほろほろと山吹散るか滝の音 (ほろほろとやまぶきちるかたきのおと)387

 前髪もまだ若艸の匂ひかな (まへがみもまだわかくさのにほひかな)936

 秣負ふ人を枝折の夏野哉 (まぐさおふひとをしをりのなつのかな)493

 まづ祝へ梅を心の冬籠り (まづいはへうめをこころのふゆごもり)334

 升買うて分別替る月見哉 (ますかうてふんべつかはるつきみかな)912

 まづ知るや宜竹が竹に花の雪 (まづしるやぎちくがたけにはなのゆき)73

 まづ頼む椎の木もあり夏木立 (まづたのむしひのきもありなつこだち)629

 待たぬのに菜売りに来たか時鳥 (またぬのになうりにきたかほととぎす)74

 又やたぐひ長良の川の鮎膾 (またやたぐひながらのかはのあゆなます)430

 町医師や屋敷方より駒迎へ (まちいしややしきがたよりこまむかへ)54

 松風の落葉か水の音涼し (まつかぜのおちばかみずのをとすずし)974

 松風や軒をめぐって秋暮れぬ (まつかぜやのきをめぐつてあきくれぬ)917

 松杉をほめてや風のかをる音 (まつすぎをほめてやかぜのかをるをと)879

 松茸やかぶれたほどは松の形 (まつだけやかぶれたほどはまつのなり)958

 松茸や知らぬ木の葉のへばり付く (まつだけやしらぬこのはのへばりつく)728

 松なれや霧えいさらえいと引くほどに (まつなれやきりえいさらえいとひくほどに)134

 待つ花や藤三郎が吉野山 (まつはなやとうざぶらうがよしのやま)104

 またうどな犬ふみつけて猫の恋 (またうどないぬふみつけてねこのこひ)954

 窓形に昼寝の台や簟 (まどなりにひるねのだいやたかむしろ)803

 真福田が袴よそふかつくづくし (まふくだがはかまよそふかつくづくし)264

 眉掃きを俤にして紅粉の花 (まゆはきをおもかげにしてべにのはな)521

 三井寺の門敲かばや今日の月 (みゐでらのもんたたかばやけふのつき)715

 見送りのうしろや寂し秋の風 (みおくりのうしろやさびしあきのかぜ)444

 三日月に地は朧なり蕎麦の花 (みかづきにちはおぼろなりそばのはな)767

 三ヶ月や朝顔の夕べ蕾むらん (みかづきやあさがほのゆふべつぼむらん)157

 見しやその七日は墓の三日の月 (みしやそのなぬかははかのみかのつき)813

 湖や暑さを惜しむ雲の峰 (みずうみやあつさををしむくものみね)885

 水寒く寝入りかねたる鴎かな (みずさむくねむりかねたるかもめかな)277

 水取りや氷の僧の沓の音 (みずとりやこほりのそうのくつのおと)233

 水の奥氷室尋ねる柳哉 (みずのおくひむりたづねるやなぎかな)524

 水向けて跡訪ひたまへ道明寺 (みずむけてあととひたまへだうみやうじ)95

 晦日月なし千歳の杉を抱く嵐 (みそかつきなしちとせのすぎをだくあらし)197

 道の辺の木槿は馬に喰はれけり (みちのべのむくげはうまにくはれけり)195

 道ほそし相撲取り草の花の露 (みちほそしすもとりぐさのはなのつゆ)890

 見所のあれや野分の後の菊 (みどころのあれやのわきののちのきく)927

 皆出でて橋を戴く霜路哉 (みないでてはしをいただくしもじかな)834

 皆拝め二見の七五三を年の暮 (みなおがめふたみのしめをとしのくれ)473

 水無月や鯛はあれども塩鯨 (みなづきやたひはあれどもしほくぢら)763

 水無月は腹病やみの暑さかな (みなづきはふくびやうやみのあつさかな)706

 身にしみて大根からし秋の風 (みにしみてだいこんからしあきのくれ)454

 蓑虫の音を聞きに来よ草の庵 (みのむしのねをききにこよくさのいほ)317

 都出でて神も旅寝の日数哉 (みやこいでてかみのたびねのひかずかな)746

 宮守よわが名を散らせ木葉川 (みやもりよわがなをちらせこのはがは)215

 見る影やまだ片なりも宵月夜 (みるかげやまだかたなりもよひづきよ)53

 見るに我も折れるばかりぞ女郎花 (みるにがもをれるばかりぞをみなへし)51

 見渡せば詠むれば見れば須磨の秋 (みわたせばながむればみればすまのあき)109

 昔聞け秩父殿さへすまふとり (むかしきけちちぶどのさへすまふとり)940

 麦の穂を力につかむ別れ哉 (むぎのほをちからにつかむわかれかな)857

 麦生えてよき隠れ家や畑村 (むぎはえてよきかくれがやはたけむら)332

 麦飯にやつるる恋か猫の妻 (むぎめしにやつるるこひかねこのつま)686

 葎さへ若葉はやさし破れ家 (むぐらさへわかばはやさしやぶれいへ)480

 武蔵野の月の若生えや松島種 (むさしののつきのわかばえやまつしまだね)133

 武蔵野や一寸ほどな鹿の声 (むさしのやいつすんほどなしかのこゑ)56

 武蔵野やさはるものなき君が笠 (むさしのやさはるものなききみがかさ)979

 むざんやな甲の下のきりぎりす (むざんやなかぶとのしたのきりぎりす)551

 結ぶより早歯にひびく泉かな (むすぶよりはやはにひびくいづみかな)352

 名月に麓の霧や田の曇り (めいげつにふもとのきりやたのくもり)898

 名月の出づるや五十一ヶ条 (めいげつのいづるやごじゆういちかじよう)463

 名月の花かと見えて綿畠 (めいげつのはなかとみえてわたばたけ)899

 名月の見所問はん旅寝せん (めいげつのみどころとはんたびねせん)561

 名月や池をめぐりて夜もすがら (めいげつやいけをめぐりてよもすがら)272

 名月や北国日和定めなき (めいげつやほくこくびよりさだめなき)570

 名月や門に指しくる潮頭 (めいげつやもんにさしくるしほがしら)769

 名月はふたつ過ぎても瀬田の月 (めいげつはふたつすぎてもせたのつき)720

 女夫鹿や毛に毛が揃うて毛むつかし (めをとじかやけにけがそろうてけむつかし)40

 飯あふぐ嚊が馳走や夕涼み (めしあふぐかかがちそうやゆうすずみ)881

 めづらしや山を出羽の初茄子 (めづらしややまをいではのはつなすび)532

 目出度き人の数にも入らん老の暮 (めでたきひとのかずにもいらんおひのくれ)260

 目にかかる時やことさら五月富士 (めにかかるときやことさらさつきふじ)858

 目に残る吉野を瀬田の螢哉 (めにのこるよしのをせたのほたるかな)417

 目の星や花を願ひの糸桜 (めのほしやはなをねがひのいとざくら)45

 餅を夢に折り結ぶ歯朶の草枕 (もちをゆめにをりむすぶしだのくさまくら)136

 餅花やかざしに挿せる嫁が君 (もちばなやかざしにさせるよめがきみ)132

 餅雪を白糸となす柳哉 (もちゆきをしらいととなすやなぎかな)27

 藻にすだく白魚やとらば消えぬべき (もにすだくしらうをやとらばきえぬべき)137

 物いへば唇寒し秋の風 (ものいへばくちびるさむしあきのかぜ)944

 物書いて扇引き裂く余波哉 (ものかいてあふぎひきさくなごりかな)560

 物好きや匂はぬ草にとまる蝶 (ものずきやにをはぬくさにとまるてふ)360

 物の名をまづ問ふ芦の若葉哉  (もののなをまづとふあしのわかばかな)368

 もののふの大根苦き話哉 (もののふのだいこんにがきはなしかな)830

 ものひとつ我が世は軽き瓢哉 (ものひとつわがよはかろきひさごかな)274

 物ほしや袋のうちの月と花 (ものほしやふくろのうちのつきとはな)960

 百歳の気色を庭の落葉哉 (ももとせのけしきをにはのおちばかな)732

 桃の木のその葉散らすな秋の風 (もものきのそのはちらすなあきのかぜ)553

 もろき人にたとへん花も夏野哉 (もろきひとにたとへんはなもなつのかな)427

 門に入れば蘇鉄に蘭のにほひ哉 (もんにいればそてつにらんのにほひかな)592

 やがて死ぬけしきは見えず蝉の声 (やがてしぬけしきはみえずせみのこゑ)642

 薬欄にいづれの花を草枕 (やくらんにいづれのはなをくさまくら)541

 安々と出でていざよふ月の雲 (やすやすといでていざよふつきのくも)717

 痩せながりわりなき菊のつぼみ哉 (やせながらわりなききくのつぼみかな)319

 宿借りて名を名乗らする時雨かな (やどかりてなをなのらするしぐれかな)744

 宿りせん藜の杖になる日まで (やどりせんあかざのつゑになるひまで)425

 柳行李片荷は涼し初真桑 (やなぎごりかたにはすずしはつまくは)871

 山陰や身を養はん瓜畑 (やまかげやみをやしなはんうりばたけ)426

 山賎のおとがひ閉づる葎かな (やまがつのおとがひとづるむぐらかな)256

 山桜瓦葺くものまづ二つ (やまざくらかはらふくものまづふたつ)624

 山里は万歳遅し梅の花 (やまざとはまんざいおそしうめのはな)683

 山路来て何やらゆかし菫草 (やまぢきてなにやらゆかしすみれぐさ)239

 山城へ井出の駕籠借る時雨哉 (やましろへゐでのかごかるしぐれかな)602

 山中や菊は手折らぬ湯の匂ひ (やまなかやきくはたをらぬゆのにほひ)552

 山吹の露菜の花のかこち顔なるや (やまぶきのつゆなのはなのかこちがをなるや)139

 山吹や宇治の焙炉の匂ふ時 (やまぶきやうじのほいろのにほふとき)692

 山吹や笠に挿すべき枝の形 (やまぶきやかさにさすべきえだのなり)691

 山も庭に動き入るるや夏座敷 (やまもにはにうごきいるるやなつざしき)494

 山は猫ねぶりて行くや雪の隙 (やまはねこねぶりていくやゆきのひま)178

 闇夜(ヤミノヨトスゴク)狐下這ふ玉真桑 (やみのよとすごくきつねしたばふたままくは)145

 闇の夜や巣をまどはして鳴く鵆 (やみのよやすをまどはしてなくちどり)693

 夕顔に干瓢むいて遊びけり (ゆふがほにかんぺうむいてあそびけり)876

 夕顔に見とるるや身もうかりひよん (ゆふがほにみとるるやみもうかりひよん)10

 夕顔に酔うて顔出す窓の穴 (ゆふがほにようてかほだすまどのあな)801

 夕顔の白後架に紙燭とりて (ゆふがほのしろくよのこうかにしそくとりて)146

 夕顔や秋はいろいろの瓢哉 (ゆふがほやあきはいろいろのふくべかな)421

 夕顔や酔うて顔出す窓の穴 (ゆふがほやようてかほだすまどのあな)801

 夕晴や桜に涼む波の華 (ゆふばれやさくらにすずむなみのはな)535

 夕にも朝にもつかず瓜の花 (ゆふべにもあさにもつかずなみのはな)633

 湯をむすぶ誓ひも同じ石清水 (ゆをむすぶちかひもおなじいはしみず)501

 雪を待つ上戸の顔や稲光 (ゆきをまつじようごのかほやいなびかり)741

 雪散るや穂屋の薄の刈り残し (ゆきちるやほやのすすきのかりのこし)664

 雪と雪今宵師走の名月か (ゆきとゆきこよひしはすのめいげつか)226

 雪の朝独リ干鮭を噛み得タリ (ゆきのあしたひとりからざけをかみえたり)127

 雪の中は昼顔枯れぬ日影哉 (ゆきのなかはひるがほかれぬひかげかな)175

 雪のフグ左勝水無月の鯉 (ゆきのふぐひだりかちみなづきのこひ)155

 雪間より薄紫の芽独活哉 (ゆきまよりうすむらさきのめうどかな)935

 雪や砂馬より落ちよ酒の酔 (ゆきやすなうまよりおちよさけのよひ)327

 行く秋の芥子に迫りて隠れけり (ゆくあきのけしにせまりてかくれけり)820

 行く秋のなほ頼もしや青蜜柑 (ゆくあきのなほたのもしやあおみかん)774

 行く秋や手をひろげたる栗の毬 (ゆくあきやてをひろげたるくりのいが)905

 行く秋や身に引きまとふ三布蒲団 (ゆくあきやみにひきまとふみのぶとん)461

 行く雲や犬の駈け尿村時雨 (ゆくくもやいぬのかけばりむらしぐれ)85

 行く駒の麦に慰む宿り哉 (ゆくこまのむぎになぐさむやどりかな)255

 行く春を近江の人と惜しみける (ゆくはるをあふみのひととをしみける)625

 行く春に和歌の浦にて追ひ付きたり (ゆくはるにわかのうらにておひつきたり)395

 行く春や鳥啼き魚の目は涙 (ゆくはるやとりなきうをのめはなみだ)485

 湯の名残り幾度見るや霧のもと (ゆのなごりいくたびみるやきりのもと)556

 湯の名残り今宵は肌の寒からん (ゆのなごりこよひははだのさむからん)555

 柚の花や昔忍ばん料理の間 (ゆのはなやむかししのばんれうりのま)696

 夢よりも現の鷹ぞ頼もしき (ゆめよりもうつつのたかぞたのもしき)330

 世を旅に代掻く小田の行き戻り (よをたびにしろかくをだのゆきもどり)866

 酔うて寝ん撫子咲ける石の上 (ようてねんなでしこさけるいしのうへ)305

 よき家や雀よろこぶ背戸の粟 (よきいへやすずめよろこぶせどのあは)437

 夜着ひとつ祈り出して旅寝かな (よぎひとついのりいだしてたびねかな)743

 夜着は重し呉天に雪を見るあらん (よぎはおもしごてんにゆきをみるあらん)161

 よく見れば薺花咲く垣根かな (よくみればなづなはなさくかきねかな)263

 義朝の心に似たり秋の風 (よしとものこころににたりあきのかぜ)209

 義仲の寝覚めの山か月悲し (よしなかのねざめのやまかつきかなし)566

 吉野にて桜見せうぞ檜木笠 (よしのにてさくらみせうぞひのきがさ)379

 夜すがらや竹氷さする今朝の霜 (よすがらやたけこほらするけさのしも)928

 四つ五器のそろはぬ花見心哉 (よつごきのそろはぬはなみごころかな)849

 世に盛る花にも念仏申しけり (よにさかるはなにもねぶつもうしけり)973

 世に匂へ梅花一枝のみそさざい (よににほへばいくわいつしのみそさざい)235

 世にふるも更に宗祇の宿り哉 (よにふるもさらにそうぎのやどりかな)160

 米くるる友を今宵の月の客 (よねくるるともをこよひのつきのきやく)714

 世の中は稲刈るころか草の庵 (よのなかはいねかるころかくさのいほ)356

 世の夏や湖水に浮む浪の上 (よのなつやこすいにうかむなみのうへ)419

 世の人の見付けぬ花や軒の栗 (よのひとのみつけぬはなやのきのくり)506

 四方に打つ薺もしどろもどろ哉 (よもにうつなずなもしどろもどろかな)354

 夜ル竊ニ虫は月下の栗を穿ツ (よるひそかにむしはげっかのくりをうがつ)119

 よるべをいつ一葉に虫の旅寝して (よるべをいつひとはにむしのたびねして)117

らりるろ

 蘭の香や蝶の翅に薫物す (らんのかやてふのつばさにたきものす)199

 龍宮も今日の潮路や土用干 (りゆうぐうもけふのしほぢやどようぼし)72

 龍門の花や上戸の土産にせん (りゆうもんのはなやじやうごのつとにせん)382

 両の手に桃と桜や草の餅 (りやうのてにももとさくらやくさのもち)759

 留守に来て梅さへよその垣穂かな (るすにきてうめさへよそのかきほかな)289

 留守のまに荒れたる神の落葉哉 (るすのまにあれたるかみのおちばかな)748

 六月や峰に雲置く嵐山 (ろくがつやみねにくもおくあらしやま)874

 櫓の声波ヲ打つて腸凍ル夜や涙 (ろのこゑなみをうつてはらわたこおるよやなみだ)126

 炉開きや左官老い行く鬢の霜 (ろびらきやさくわんおいゆくびんのしも)777

 わが衣に伏見の桃の雫せよ (わがきぬにふしみのもものしずくせよ)238

 我がためか鶴食み残す芹の飯 (わがためかつるはみのこすせりのめし)184

 若葉して御目の雫ぬぐはばや (わかばしておんめのしづくぬぐはばや)398

 わが宿は蚊の小さきを馳走かな (わがやどはかのちひさきをちそうかな)641

 わが宿は四角な影を窓の月 (わがやどはしかくなかげをまどのつき)943

 別れ端や笠手に提げて夏羽織 (わかればやかさてにさげてなつはおり)965

 煩へば餅をも喰はず桃の花 (わづらへばもちをもくはずもものはな)265

 忘るなよ薮の中なる梅の花 (わするなよやぶのなかなるうめのはな)290

 忘れ草菜飯に摘まん年の暮 (わすれぐさなめしにつまんとしのくれ)102

 忘れずば佐夜の中山にて涼め (わすれずばさよのなかやまにてすずめ)189

 早稲の香や分け入る右は有磯海 (わせのかやわけいるみぎはありそうみ)544

 綿弓や琵琶になぐさむ竹の奥 (わたゆみやびはになぐさむたけのおく)202

 侘びてすめ月侘斎が奈良茶歌 (わびてすめつきわびさいがならちやうた)147

 笑ふべし泣くべしわが朝顔の凋む時 (わらふべしなくべしわがあさがほのしぼむとき)174

 我に似るなふたつに割れし真桑瓜 (われににるなふたつにわれしまくはうり)640

 我も神のひさうや仰ぐ梅の花 (われもかみのひさうやあふぐうめのはな)60