HYSTERICEND       ラブレス         9/16夜

石田数希 大友英雄 コオロギ 小林エレキ 中山佐登流 福山千尋 野々村征規 イシハラノリアキ etc..

 もう観初めて何回目になるだろうか。何度も足を運ぶ内、役者さんの個性も癖もわかってきたし、知り合いも多く出演していた気がします。前回公演の「センチメンタル」から少し路線が変わったのかな?と思いきや、またまたその名の通りの「ヒステリック・エンド」な舞台でした。しかし知り合い多すぎで感想書きにくーい(笑) あたたかく多少の表現は無視して下さると有り難いです(笑)

 さてさて。時は2000年。人生に行き詰まった4人の幼なじみの話があげられました。それぞれが今の自分の人生に不満を抱き、やり直したいと切に願っておりました。そこへ現れたのがこれまたうさんくささ120%の神父様(演:弦巻啓太氏)(笑)。10年前に戻って人生をやり直してきなさいと4人に告げます。ただし過去の自分に会ってはならない。誰か他の人間に託しなさいと神父様は言われました。実際その掟を破った人はいませんでしたが、もし過去の自分に会ってしまったらどうなったのでしょう?他人に自分の人生を託したという設定は面白いと思いました。

 われらがこんちき小林エレキくんは、前々からそうでしたが、実にリアリティのある演技を堂々とやっておいででした(笑)。エレキ氏のすごいとこはやはり、「実生活でも、こういう人なんじゃないか」と、観ている人に納得させてしまうところではないかと思います。今回は今までになく(少なくともあたしはね)、ひよわでいじめられッ子。かっこいいとこはひとつもない情けな〜い性格の持ち主の役でした。このコオロギにどうしてアレ程豪徳寺真理絵(演:山岸桂子さん)が執着されていたのかは全く持って知る由もありません。結婚を迫られて、気づいたら婚約してて、あれよあれよという間に町長になり・・。とんとん拍子にうまくいっていた様な人生でしたが、似合わず欲を持ってしまったが為に最悪の結末を迎えることになってしまいました。いじめられた復讐。人を陥れたいが為に、目の前の小さな幸せを見のがしてしまう結果となった。コオロギという1人の人間の人生を、目の前ですんなりと見る事ができました。役を演じるではなく、役になりきれるというこれこそが役者魂。ガラスの仮面でいえば北島マヤに通ずるものがあると思います。是非是非これからも舞台を続けていって欲しいと思いました。また吉牛かしら?(<私信(笑)

 そして1週間前に急遽参加が決定したというイシハラノリアキさん。「ほんとにたった1週間?!」と、端々で思ってしまう程征規になりきっておいででした。っていうか白衣似合うし(笑)。すごい人と芝居つくってたんだなぁと身を持って実感させていただきました。手術で失敗し、失ってしまった恋人の悠理(演;久保いずみさん)を取り戻すべく過去を修正したはずなのに、現実に戻ってみれば生きてるはずの悠理がいない。自分だけの悠理がいない。2人で幸せに暮らしているはずなのに、生き延びた悠理は自分ではない別の男の元に行ってしまっていた。悠理の最期のシーンは、冒頭と結末に2回繰り返されますが、冒頭では「(自分の力が足りなかった為に助けてやれなくて)ごめんね」だったのに対し、2度目の過去を修正した結果「(避けられない事故ではなかったのにわざと助けてやらなくて)ごめんね」という風に、意味が違っていたのが実に印象的で(<これは友人Sの感想を引用しております)、征規の心の痛みの変化が興味深いところでした。その「ごめんね」の重さの違いがああした結末に変わっていったのでしょうけども、メスを光らせたまま去っていったのは少々物足りなかったのかなあ?と。演出的にはあれがベストなかたちでしたけどね。ノリさんらしい、感情の起伏がまた面白い、征規でした。勉強頑張って下さい(<私信(笑)

 さて。自転車屋を頑として売らずに奥さんの歩(演:福地美乃ちゃん)に逃げられてしまったという、結果的にしたたかな役を演じた福山千尋くん。あの特徴ある声と特徴ある演技。ラリった様も実に見事でした(笑)奥さんと別れるシーンは2回繰り返されましたが、淡々としゃべり続ける人生に疲れ切った顔を見せる妻に、名前でいじめられる子供のペダル(もしくはトリュフ)(演:大野洋亮氏)。離婚して変わるのは名前ではなく苗字だけだと知って怒り出した大野さんは、まるでそのシーンごとに本気で怒ってるかのように、顔は赤くなるわ首に筋はできるわもう何度観ても興味深いシーンでした。過去を修正して人生が180度変わったことにより、生活自体は裕福になったけれどその分、より失ったものも大きかったのが彼の役でした。「ひまつぶしのために」生きてきた人生。やりたいことも見つけられず、結局は奥さんに見放されてしまいました。頭がいいはずなのにそれをどうしていい方向に使えなかったのか。激動の人生を垣間見た役でした。そう。コオロギとの最期の一戦はすごく良かった。特に振り向くタイミングが絶妙でした。自然に演じ、かつ癖のある演技が魅力なんだと思います。綺麗なストレートヘアでした(<意味無(笑))

 本筋で中心的な存在の役を演じた大友英雄氏は、これまで一度も観たことがない役者さんでございました。何が良かったって、そのよく通る声!特に叫ぶシーンはお見事でした。立ち姿にちょっと特徴あったりとかね(笑)。人間臭さが一番出てたんじゃないかと思います。好きなバンドを10年続けてきたけれど、一向にメンバーの2人(演:大野洋亮氏&岩崎浄美さん)は全く頑張りを見せようとしない。過去を修正してバンドではなく就職の道をとるが、仕事も過去が変わったためにぱっとしない。「もしもあの時夢を捨てていたら〜」一番身近な選択肢の結末は、白いシャツに飛び散った真っ赤な血・・。あれ、ごめんなさい、ちょっとわかりにくかったのですが、やはりお荷物だった「おふくろ」の血だったのでしょうか。4人の中で結果的に生き残ったのは彼のみでしたけど、過去を修正しても修正しなくてもどちらにせよ、満足のいく「いい」人生にはならなかった様です。しかし「いい」人生ってなんだろう?舞台が終わって、小屋の外を走り抜けていく姿を見た時は驚きましたが(笑)、また1人次も観たいと思う役者さんが増えた様です。

 後編に続く(笑)→ 後編

※キャスト紹介欄の敬称は略させて頂きます。