エド・カウチャーは、実はエド・カーチャーであり、エド・カーティアである。
しかし何故か、キネマ旬報社刊「世界怪物怪獣大全集」にはエド・カウチャーとして
紹介されている。多分間違いだろうと思うが、面白いので、ここではカウチャーで
通してしまおう。ちなみに綴りは、Edd Cartierである。やっぱりカウチャーではおかしい。
カウチャーは1940年代から60年代にかけて、米国のパルプSF誌に多くの挿し絵を
寄せ、数多SF小説の表紙を手掛けた。
日本で例えるなら、小松崎茂あたりのポジションと考えるのが妥当だろうか。

カウチャーが、古典的画集「宇宙生物園」(The Interstellar Zoo )で発表した数々の
宇宙人想像図は、やがて日本の科学図鑑や児童向け不思議系ムックなどで、その出自を明らかに
されないまま紹介され、まだ月の裏側に何か怪しいものが潜んでいると考えられていた古き良き
時代に、奇妙な夢の素材を提供した。
古き良き時代などとは、今だから言える詭弁なのであって、むしろ一人のSF画家が描いた
自由奔放なイメージ画を真に受けた人々が勝手に踊ってしまった、妄想の時代というのが適当
かもしれない。
カウチャーの宇宙人イラストは、様々な著述者によって、さも実在するかのように無責任に語られ、
それ本来が持っている意味を大きく超えて、活躍した。
ここでは、カーチャーをカウチャーと読み、独自のものらしきイカガワシイ説明を加えた日本SF
シーンのパイオニア・大伴昌司氏の解説をもとに、幾つかの宇宙人画を紹介したい。

告白すると、今偉そうにこれを書いている私こと管理人は、正しいカウチャーの読み解き方を知ら
ない。つまりはかつて踊らされた妄想少年の一人である。だから、やはりカーチャーよりはカウチャー
のファンということになる。
しかし、それもなんとなく、正しいカーチャーの理解の仕方ではないかと思うのだ。









●水星人






「宇宙生物園」から紹介されたものとしては、かなり有名な1体。
ウルトラマンやウルトラQの怪獣デザイナーとして知られる成田享が、
影響を受けることを恐れて、カウチャーの画集を見なかったというが、それも
頷ける気がする1枚である。
昆虫なのか水棲動物なのか、いずれにせよ何かモチーフはあるのだろうが、
アレンジとしては、まさに「怪獣的」なのである。





●金星人1






食中植物のイメージだろうか。
下腹部の触手に包まれた膨らみが、心なしか老人の顔のようにもみえる。
だまし絵的な趣きもあり、頭部を定めない斬新なデザインでもある。
もちろん、本当にこういう生き物がいたら、どんなに貴重な生物であっても
きっとレーザー光線銃とかをぶっ放してしまうであろう(笑)





●金星人2






これもかなり有名な1枚。
金星って、どんなところなんだ(笑)。
モチーフは、絶対に尻だと思うのだが、大伴昌司の解説によると知的生物らしい
ので、頭部が肥大化したイメージなのかも知れない。
では、その割れ目は何なんだ!(笑)
身長15メートルで、活発に動き回るとされているが、その生活状況をイメージ
すると気が狂いそうになる。





●火星人






またまた有名な1枚。本当に有名なんだろうか。
そんな気になっているだけだったりして(笑)
身長3メートルで、血液冷却剤を飲みながら地球を訪れた、らしい。
衣やパンツを纏っていることから、羞恥心は地球人のそれに近いようだ。
足が獣脚になっているあたり、現代のモンスターデザインに何らかの影響を
及ぼしているのかも知れない。
金星人よりもはるかにコミニュケーションが可能に思える。
腰に当てた手が、サラリーマンが駅で牛乳を飲むポーズを彷佛させるが、
カウチャーの意識にそれがあったかというと、絶対にない(笑)。





●木星人






昆虫のイメージか。
ずんぐりとした胴体を支える前足が、巨大な生き物を思わせる。
性質は大人しそうにみえるが、うっかり近づくと思いがけないところから
針みたいなのが飛び出してきて、脳みそをちゅーっと吸われそうである。
スターシップトゥルーパーズの観過ぎだな、こりゃ。はい。





●土星人






またまた昆虫のイメージか。
コイツも脳みそをちゅーっと…吸うよ、絶対!(笑)
一見機敏そうに見えるが、足が1本で、全く動作の想像がつかない。
ぴょんと跳ねるのか、じーっと地面に生えているのか、どちらにせよ、
握手するにはこっちから近づくしかなさそうである。
絶対近寄らないけど(笑)。





●白鳥座61番星人






アンモニアの大気の中で、じっとして動かない知性人。
牛や豚などのほ乳類がモチーフのようである。
頭部というか、胴体部のステンドグラス調の意匠が美しい。
鼻息は荒そうだが、意外と宇宙の秘密なんかを気さくに教えてくれそうだ。
2本の触覚が脳みそをちゅーっと吸うためのものでないことを祈りたい(笑)





●リュイテン789−6星人






地球の数百倍の重力に耐える外銀河系宇宙の生物。
鈍重でがんばり屋さんなのであろう。きっとイイ奴に違いない。
カウチャーの宇宙人画の中では、もっとも怪獣色の強いデザインといえる。
2本足だけで体躯を支えるバランス感がユニーク。
モチーフは象やサイなどの野生動物か。





●タウケチ星人






思わずタケウチ星人と読んでしまったあなた。私と同類です(笑)
28種類のセックスを持つ知的生物で、これは男性なんだそうである。
この場合のセックスが、性種別を指すのか、行為そのもののバリエーションを
指すのかよくわからないが、もし後者なら減退気味の管理人などは、タウケチ
星人を見習わねばなるまい。
男性と言われると、確かに、じーっと見ているとそんなカタチにも見えてくる
が、女性だとどんなデザインになるのだろう(笑)
個人的には「負けた」感強し(笑)





●カリスト衛星人






木星の衛星カリストに住むプレイボーイ(!)。
タウケチ星人といい、この宇宙人といい、宇宙は意外と奔放なようである(笑)。
昨今の不倫に悩むカップルに是非紹介してあげたい宇宙人だ。
カウチャーにしては、数少ない人型のデザインであり、胸部には何やら装置の
ようなものもくっついている。それなりに文明の進んだ星の生物なのであろう。
無版権怪獣ブロマイドなどで使用され、特定年代の怪獣好きには正体不明のパチ
モン怪獣として知られる。





●銀河系X星人






これも知的な宇宙人らしいが、昆虫とほ乳類を合体させたらしいデザインが
正気の沙汰とは思えない気持ち悪さである(笑)
この足が、うぞうぞと動きまわる様を想像すると、ちょっと気が遠くなる。
手が足と一体化し、一見して具体的なカタチが把握できないあたり、まさに
異生物ならではの奇妙な意匠といえる。










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