楽しい表現

「国語表現」がとうとう必修選択になります。
力のある生徒ならいざしらず、国語自体が苦手な生徒たちに、
どのように表現させてすくのか?
楽しく表現できたらいいなぁ、という願いも込めて、このタイトルにしました。

A. 悪魔の辞典  センスが問われる表現活動。風刺。
B. 父よ母よ  一行詩。
C. 愛の手紙  三行詩。
D. 伝言ゲーム  ディベート前段階T。コミュニケーション。
E. 一分間スピーチ  結構、何にでも応用が効く。
F. 立ち話ゲーム  ディベート前段階V。
G. 敬語の使い方  電話のかけ方。
H. 面接練習  面接練習で話し方の練習。
I.  話し合おう  ディベート前段階U。

A. 悪魔の辞典

これは教育実習に行ったときに、そこの国語の先生が授業でされていたものです。
どうやら、滋賀県の彦根工業高校でも同じ取り組みをされていたようです。
ちょっとアレンジも加えつつ・・・紹介します。

@悪魔の辞典とは??
         アメリカのジャーナリストである、アンブローズ・ビアスの著書です。
         ビアスが生きた十九世紀末のアメリカは、政治の腐敗、汚職、不正事件の続出した時代でした。
         そうした政界を、鋭い風刺で糾弾したのがビアスの『悪魔の辞典』なのです。

A例えば・・・・
         「幸福」という語を普通の辞書で引くと・・・ 

「幸福」・・・望んでいることが十分にかなって幸せであるさま。心の満ち足りたさま。←→不幸 
                                        「旺文社 国語辞典」より

        では、「幸福」という語をビアスの『悪魔の辞典』で引くと・・・

「幸福」・・・他人の不幸を眺めることから生ずる気持ちの良い感覚。                    

        つまり、風刺の効いた言葉が書かれているわけです。
        
しかし辞書に載っていない「真実」というものもありますよね。

B実際の取り組み

        生徒たちに、ビアスの『悪魔の辞典』の話、「風刺」の話などをしながら、
       これから、みんなの『悪魔の辞典』を作るのだということを説明します。
        この時点で、まだ、どういう風に作ればよいのか、ピンときていない生徒もいます。
       しかし、その後、今までの生徒たちの作品を見せると、生徒たちの目が輝き始めます。
       あちらこちらで、クスクスと笑い声がしたり、歓声があがったりします。

では、生徒の作品をいくつか・・・

  「学校」・・・・・・・・・本来は勉強をしにいく所。実際は友人とおしゃべりをしにいく所。
  「カブト虫」・・・・・・・夏に子供につれさられる虫。
  「食い逃げ」・・・・・・失敗すると皿洗いをさせられる犯罪。
  「くつしたの穴」・・・・百年の恋もこれ一つで冷めてしまうというしろもの。
  「てるてる坊主」・・・晴れるわけじゃないのに、ティッシュの無駄を推進する環境破壊の悪者。
  「パチンコ」・・・・・・・大金持ちから貧乏になるゲーム。
  「パンダ」・・・・・・・・白と黒しかないのに、ボーッとしているだけで動物園が儲かるずうずうしい動物。
  「陸上選手」・・・・・・速く走るために靴が走りやすく軽く作られているにもかかわらず、金のネックレスをしている不思議な人たち。

出来た作品はプリントにしてみんなで鑑賞しています。
私も思わず笑ってしまう作品もあって、生徒たちの観察眼とユーモアのセンスには驚かされてしまいます。
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B.父よ母よ
「父よ母よ」は三重県津市の津東高校でされた取り組みです。
 高校生たちが「父よ母よ」と呼びかけています。

詳しくは、「一行詩 往信 「父よ母よ」」吉村英夫 学陽書房                
                  「一行詩 返信 「息子よ娘よ」吉村英夫 学陽書房 が出版されているので、見てみてください。

取り組みとしては簡単です。
@「父よ母よ」の抜粋を見せる。
A最初を呼びかけの形にして、誰かへのメッセージを詩にして書きなさいという指示をする。

本になっているものほどには面白いのは出てきませんでしたが、生徒たちの日常が伺われて楽しい取り組みでした。

どんなものがあがったかというと・・・

・母よ。私の部屋をかってにそうじしないで下さい。けっこう恥ずかしいです。
・父よ! 「女の子なんやから手伝いしろ!」となんでもかんでも言わないで!男だったらゴロゴロしていていいんですか?
 だったら男になりたかった。
・母よ。 一人じゃなにもできない子なんて言わないで。これでもけっこうがんばってるんだから。
・両親よ! 「よそはよそ」と言いながら、よその子と比べるのはやめてくれ!
・母よ! 手伝いは僕にまかせてゆっくり休め!
・弟よ! 自分の好き勝手するのいいけど、お母さんに心配かけたらあかんで。あんたは悪いことばかりするんやから。
・犬よ! メシの時だけ尾をふるな!

みんなの作品をプリントにして、鑑賞しました。
楽しく表現をするという前段階での取り組みに良いと思います。
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F.立ち話ゲーム

某実践書に載っていたのを、アレンジしたものです。
ディベートの前段階に良いかもしれません。

   @まずディベート風のテーマを示します。
    例えばここでは、「相手に気持ちを伝えるには、電話の方が良いか手紙の方が良いか」
    というテーマにします。

   A電話派と手紙派にグループ分けします。
    生徒の意見でグループ分けしてもよいですし、こちらが強制的に分けてもいいでしょう。
    生徒達は自分の支持する方に行きたがります。その方が意見も言いやすいですしね。
    ただ、グループの人数が偏るとやりにくいので、その点は注意です。

   Bグループが一目で分かるように、目印を渡します。
    私はビニール紐を切ったものを使いました。(ゴミを出すときに使う紐です(笑))
    二色のビニール紐を20cmぐらいに切って生徒に渡し、手首に巻くよう支持します。
   
   Cプリントに自分の意見を書かせます。
    生徒たちに、自分の支持している方について、どうしてそう言えるのかを書かせます。
    後で、反対派の人を説得できるように、たくさんの意見を書かせます。

   Dプリントをもとに立ち話をします。
    時間を区切って、自分と違う色(グループ)の人を相手に「電話がいいか手紙がいいか」
    というテーマで立ち話をします。実際は、もっと細かいテーマに分けて話をさせました。
    例えば、「好きな人に気持ちを伝える時はどうか」など

   E自分たちで判定、どういう話し合いであったかを記録します。
    どちらの意見が良かったか、自分たちで判定をしてプリントに書かせます。 
    どういう話をしたのか、要点をプリントに書かせます。

   F三人を相手に立ち話。
    Dと同様に、今度は違う相手(もちろん違うグループの人)をみつけて、立ち話をします。
    時間が来るまで話をします。この時も小テーマを設けて、合計三人を相手に同様のことを
    行います。

   ここからまた別の取り組みでもあるのですが・・・
   G一分間スピーチの原稿を書かせます。
    これまでの話し合いをもとにして、自分は「手紙」がいいと思うのか、「電話」がいいと思うのか、
    一分間スピーチの原稿を書かせます。
    始めの自分の意見をくつがえしても構いません。
   H一分間スピーチをする。
    順番に一分間スピーチをしていきます。時間を計ってやり、出来るだけ一分以上話すように促します。
   I感想を書く。
    全体の取り組みを通しての感想を書かせます。

実際にやってみて・・・
わりにこれも喜んでやっていたように思います。ただし、クラスの中の友達関係により、
相手を見つけられずにもじもししている子もいるので、
その辺りは私が組み合わせを作ったり、私自身が入ったりしていました。
こっちから組み合わせを決めてやるのも良いです。その方がスムーズには進みます。

立ち話ゲームの後に一分間スピーチを組み合わせたのは、
話し合いをして自分の考えの反論を聞くことによって、
始めに自分が思っていた考えが深まっていると思ったからです。
案の定、スピーチをさせると、ただ自分の考えを述べていたときより、
良いスピーチがたくさん出てきました。
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