『ハラドなあのシーン』

 ペレンノ―ル野はその全域のほぼ北半分を朝と共に現われたローハンからの援軍により席捲されていた。  
およそ6000もの屈強な騎馬兵を前に、おそれを成したオークの後方部隊は敵に背を向けてオスギリアスへと敗走する。  
勢いに乗るセオデン王、エオメル以下ローハンの騎士達。そしてデルンヘルムもといエオウィンとメリー。
「大河に追い込め!!!!!」
「「「おおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」」  
センゲルの子セオデンは、目前の敵を撃破すべく高々と呼びかけ、また騎士達もそれに答える。
 オーク達は突如として現われた強敵になす術も無く、何割かは訳も解らずに大河アンドゥインへと駆け込み、そこで溺れ死んでいく。もはやローハン軍がペレンノ―ルや全域を席捲するのは時間の問題。

そう思われたその時だった。

グオオーーォォ・・・ゴオオオオーォ
 「「「リンボーッデエレリッ!!リンボーッデエッゥ!!」」」
グオオーーォォ・・・ゴオオオオーォ!!

 それまでに聞いた事も無い程荒々しい獣の雄叫び。そしてそれに掻き消されつつも、遠くからかすかに、しかしはっきりと聞こえてくる異国の掛け声。獣の雄叫びと同じくらい荒々しい事が遠く離れていても判る。
 セオデンの耳はそれらを聞き、目はそれらを発するものから離せずにいる。
 ロヒリアム達の眼差しは、その全てが憑かれた様にして、遠くに塔の如くそびえる巨大な灰色の影に向けられている。そしてその間にも獣とそれを駆る者達の雄叫びは続く。

グオオーーォォ・・・ゴオオオオーォ!!
「「「・・・ッデエッゥ!!」」」
「リンボー!!」「「「マンボー!!」」」
「イチバーンッ!!」「「「ヨッホ!!」」」

 掛け声はどうやら少数の指揮をとる者とそれに続く多数の者とで役割が分けられているのだろう。耳あたりの違う二種類の掛け声が、今や獣の雄叫びを圧するほどの大きさとなって響いていた。
 巨大な灰色の獣『ムマキル』、ローハンの人間にとっては彼等がかつて作りあげた最大の建造物に届くであろうかと思うほどの巨大な灰色の獣が、20数体、横一列に並んでこちらへ迫ってくる。
 と、その時辺りに角笛と思しき音が轟く。まるで霧の海に突如として現われた幽霊船を想起させる、軋んだ不協和音にも似た音だ。吹いたのはムマキルの背に乗る一人の男。黒い肌には紅い戦化粧のような物が施されている。

「ハァ!リンボーエレリル!ゴンドォォルゥ!!」

 今正に南方の紅い風。ハラドリム達がペレンノ―ル野にその姿を現した。
 ムマキルの背には、その巨大な身に相応しいやぐらが乗せられ、そこには夥しい数の覆面をしたハラドの戦士たちがいる。  

「ミナス!」「「ゴンドォォール!」」
「イチバーン!!」「「「マンボー!!」」」

 ローハン軍の間に次第に困惑と恐怖が広がり始める。その巨大さだけでも充分恐ろしいムマキルであったが、さらにその全身に施された紅い戦化粧は威圧的な雰囲気を醸し出していた。こと、目の周りの化粧は、まるでムマキルが怒りにその眼を吊り上げているかのような印象をロヒアリムに与える。
「フリハ!ヨッホ!!!イッホッセ!!」
 耳をつんざくばかりに大きくなった掛け声にその体を揺らして進むムマキル。特徴的なその長い鼻に描かれた紅い蛇が寸前に迫る衝突にその身を震わせていた・・・・・・・・


干支さんのコメント

ハラドリム登場シーンを書いてみました。
 あくまで主観オンリーなので、実際彼等がこういう風に言っている訳では有りませんが、こんな風に聞こえました。
 ともかく何かって言うと、この掛け声に干支はメロメロの骨抜きにされたって事です。



いただいたイラスト勝手に加工してすいません…

うおー小説です!大興奮!!
『ハラドなあのシーン』というタイトルだったので一瞬卑猥な小説を想像してしまいました。(もちろん大募集です)
ハラドリムの大きい掛け声が大迫力ですね!!素晴らしい!
だんだん大きくなるところなんて特に!
映画のあのシーンがまざまざとよみがえってくるようです…!
私もあの勇ましい歌声が何と言っているのかすごく気になっていました。(南方語…?)
とにかく私もメロメロです!

干支さんどうもありがとうございました!!
これからもどしどし投稿くださいね!ハラドのために!


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