徒然草

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2005年9月


9月14日(水) 「悪いヤツはひとりだけなのか?」
 お台場局のインチキ事件で驚いた事がひとつある。それが問題のコーナーでディレクターが作ったとされるネタの制作本数だ。
 新聞記事によると、「このディレクターは、2002年からこれまでに同コーナーを100本近く担当しているため…」とある。
2002年〜5年までを単純に計算すると、1年50週として4年分で200週。そのディレクターが、問題のコーナーを週1本担当していたとすると、なんと2年分を1人で作っていた事になる。4年で100本を担当していたと言うことは、隔週で年25本を担当。それを4年間で100本と考えるのが妥当だろう。
 朝の番組のディレクターと言うのは、とてもとてもバラエティ畑の人間では太刀打ちできない瞬発力を持っている。当たり前のように放送前日に、ネタを決め、構成を立て、下手をすれば地方まで行ってロケをして、帰ってきたら徹夜で編集して、次の日の朝にはネタを出すという過酷な番組を作りをしているのが、朝番組のディレクターだ。朝番組担当の連中に聞くと、隔週ネタ出し担当なんて良い方だそうで、大抵の場合、毎週1本は何らかのネタを作っているそうだ。
 問題のコーナーをご覧になった方ならご存知だと思うが、あのコーナーを作ろうとすると、そこそこの手間ひまがかかる企画枠だ。そんな企画枠を2週に1本つくるというのだから、同業として考えてみても、かなり大変なんだろうという事は想像がつく。
 何を言いたいのかと言えば、番組はディレクターにきついシフトを科しながら、にもかかわらず、短期間でとても作れないようなネタを作らせていた。つまり、番組がディレクターを追い込むような事をしていたんじゃないか…って事だ。
 ディレクターが作ったインチキネタの一つに、「花見ウォッチングの企画で、公園でひとり花見をしている若い女性が、1年前にふられた元彼に電話する」というのがある。
ここで想像がつくのは、番組的にはありふれたお花見ウォッチングじゃダメと言われたんだろうという事だ。「普通のウォッチングは他の番組でもやっているからさ、ウチは一風変わったお花見客を紹介したいね〜」なんて、会議で言われていそうだ。
 そりゃ、日本全国のお花見を回れば、一風変わった面白いお花見客がいるだろう。しかし、現実的には、そんな時間も予算もない。たぶん、東京近辺のお花見スポットを数日間回る程度の時間と予算しかないというとこじゃないだろうか。しかも、実際、ロケへ行ってもなかなか面白いお客は撮れない。焦ったディレクターは人を仕込んで…ドボン。もしくは、簡単に面白い客なんて撮れないと考え最初から仕込んでいた。
 まともなディレクターなら、普通に数回ロケへ言って、メチャメチャ面白い客を次から次へと撮れるなんて事は不可能だと思うだろうし、面白い客を1人か2人撮る為には、もう少し取材期間とロケ日数をよこさなければ無理だと判断するに違いない。
 問題のディレクターが、前述のように隔週交代でネタを担当していたとするなら、とてもじゃないが、そんな余裕はないと思われる。故に、彼に残された方法は、確実に面白いネタを撮る。つまり、インチキって事だ。
 先日も言ったが、誰が何と言おうと悪いのはディレクター本人だ。どんな言い訳も通用しない。しかし、それを良い事に、番組はディレクターをトカゲの尻尾切りのように、全ての責任を押し付けて終わりにしようとはしてないだろうか。そもそも、番組の性格上、短い期間の中でネタを作らなければならないのに、番組が求めていたものは、長期的なリサーチと取材が必要とするネタだった。今回のお台場局のインチキ問題は、番組がディレクターに無理を強いるネタを多く求めていたような気がしてならない。
 だいたい、選挙直前にインチキの発表をしたのも気に入らない。間違いなく世間やマスコミの関心が選挙に行く。しかも、選挙が終わってもしばらくは、マスコミも選挙モードだ。間違ってもこの問題がクローズアップされる心配はない。連中の狙いは見え見えだ。
 結局の所、ディレクターだけが悪者にされて幕が降ろされる。なんとも後味が悪い。
9月4日(日) 「使えなくなった楽曲」
 「冬のソナタ」といえば、あのテーマソングもかなりブームとなった。一時期、何かと言えばあの曲が流れたもんだ。自分も番組で随分、使わせて頂いた。
 それに関係する話で、大阪で活躍するディレクターが言っていた話が面白かった。
 今、大阪では「冬ソナ」のテーマソングの使用が基本的に禁止になっていると言うのだ。
 何故か?在阪局では「冬ソナ」のテーマソングを使うと、使用料金を払わなくてはならないので、よほどの事がない限り使用してはならないというお達しが出ているからだそうだ。
 ここまで聞くと、「金がかかるから使うのを控えているのか…」と思うだけで、別におかしいことはないのだが、実は、通常のテレビ局の音楽に関する著作権使用料の支払いシステムからすると非常におかしなことなのだ。
 テレビ局が年間に番組で使用する音楽の量は莫大だ。そこで、テレビ局と音楽著作権使用料を管理するジャスラックの間では、使った曲の全ての使用料を払うのでなく、年数回の楽曲の使用状況の調査で、使用料金を出し、それを参考に年間の著作使用料をはじき出す。そして、その金額をテレビ局はジャスラックに支払うシステムになっている。つまり、テレビ局がある楽曲を使ったからといって、その曲を使うたびに使用料を払うという訳ではない。
 もうお気づきだろう。つまり、「冬ソナ」のテーマソングを使ったからといって、使用する度に使用料金を払わなくてはならないというのは、本来ありえない話なのだ。
 全使用楽曲を申請するという事は、申請する側もされる側も、実に人手も手間のかかる作業となる。そこで、お互い煩雑な作業が省けるように現在のシステムを採用している訳だ。このシステム、一見、合理的に思えるのだが、実は、問題がない訳ではない。
 それは、何度も言うが、使用するたびに使用料が支払われるわけではない為、ある曲が、非常に沢山使われた場合、実際の使用料よりも支払われる料金が低くなる事が、現在のシステム上ありうる訳だ。
 実はこの「冬ソナ」の問題は、システム上起こる誤差に対し、ある「冬ソナ」の関係者からクレームがついたそうだ。あれだけテレビ番組で流れていたのに、やけに著作権料が低いじゃないかという事らしい。
 在阪テレビ局としては、別に、インチキしているわけでもなく、システム上やむない事で、文句を付けられても困るわけだが、侃々諤々の末、結果的に「冬ソナ」のテーマソングを使用したら、使用料を1回ごとに支払う事にしたらしい。
 ただ、これはある意味、大問題だ。「冬ソナ」のように使用した分きっちり著作権料をもらえる人と、これまで通り、沢山使用されているにもかかわらず、低い金額しか受け取れない人が出てくるという事だ。これは不公平極まりない。その点を在阪テレビ局は、ジャスラックとの間でどう決着付けたのだろう。非常に、興味あるところだ。
 そんな騒動が起こって以来、在阪テレビ局では「冬ソナ」のテーマソングの使用は、よほどの事がない限り禁止となったそうだ。
 ま、目先の利益にとらわれて、そんなクレームを付けたのかもしれないが、こんなものは使われてナンボな訳で、使われなくなったら意味がない。露出が少なくなれば忘れられるのも早いのは世の常だ。結局、長い目で見れば、クレームを付けた側が自分で自分の首を絞めたとしか思えない。
9月1日(木) 「ブームの終焉」
 新聞に小さく出ていたが、お台場局と汐留局が韓国ドラマの放送を終了するそうだ。「冬のソナタ」で始まった韓流ドラマブームは、一息ついたと言う所だろうか。
 ドラマ終了の理由は「放送するのに見合うソフトが出尽くしたこと」だそうだ。この言い方だと、ちょっと意地悪な見方をすると、もう韓国ドラマは、日本の放送に耐えられる質の作品がないと言っているように聞こえるのは自分だけだろうか?実際は、そんな事はない。いくら日本で数多くの韓国ドラマが流れているとは言え、そこそこの出来のドラマが、そう簡単にネタ切れする訳がない。今回の発言は、あくまでも表向きの事であり、実は、あのコメントには裏読みが必要なのだ。あのコメントに、いくつかの言葉を追加すると、何故、韓国ドラマが終了するのかが見えてくる。
「(地上波の朝や夕方の枠で)放送するのに見合う(低価格な放映権料の)ソフトが出尽くした」
 たぶん、これが真相だと思う。
 最近の韓流に、知り合いの海外ドラマなどを買い付けるバイヤーは頭を抱えていた。「韓流ブームで、韓国ドラマの値段がうなぎ上りでさ。アメリカの海外ドラマよりも値段が高いんだよ。それ自体、ありえないのに、さらに、問題なのは、最近の韓流に便乗しようっていう一攫千金狙いの連中が、作品の質も見極めずに相場よりも高い値段でドンドン買い付けるもんだから、韓国の連中も強気でね…酷いのになると、日本のゴールデンで放送するくらいじゃないと元が取れないような値段を吹っ掛けてくるんだぜ…とても買えないよ。たぶん、韓流ブームも長くはないなぁ〜」
 そんな話を聞いたのが1年程前だったと思う。確かに、その頃は「冬ソナ」ブーム真っ盛りだ。韓流と騒がれもしていたが、冷静に考えてみると、「冬ソナ」以降、様々な韓国ドラマが紹介されてきたが、「冬ソナ」級のヒットを飛ばしたドラマはまったくない。となれば、投機的な値段で韓国ドラマを買った連中は、ほとんどの場合、損をしていると見るのが普通だろうと思う。
 まず、韓国ドラマが日本の放送業界で、どういう位置づけにあるのか。それは「冬のソナタ」の放送された経緯を理解すれば、すべて理解できる。
 そもそもNHKのBSは、地上波よりも安い制作費で24時間番組を供給し続けなくてはならない。つまり、衛星放送はなるべく金をかけずに番組を作ることが至上命題とされている。よって、スタジオを開いてタレントを呼んで、番組を作るなんて事はなるべく避けたいわけだ。そんな衛星放送のご希望を叶えてくれるのが映画だ。スタジオもタレントも必要がない。放映権料を払って電波に乗せるだけ。衛星放送で映画の放送が多いのはその為だ。
 しかし、そんな美味しい環境も、CSやら民放のBSデジタルのスタートにより変わってしまう。つまり、新規参入してきた放送事業者も、安上がりで済む「映画」というソフトを手に入れようしたわけだ。となれば、需要と供給のバランスが微妙に変わってくる。当然、映画ソフトの価格がジリジリと値上がりを始める。これは衛星放送にとって非常に困った事だ。
 そこで、NHKはさらに安い値段で手に入るソフト探しを始め…もう皆さんもお分かりだろう。それが韓国ドラマって事だ。こういった事情で日本で「冬ソナ」が放送される訳だ。つまり、韓国ドラマは値段が安いソフトだった。ここに尽きる。
 たぶん、「冬ソナ」ブームに、一番驚いたのはNHK関係者であり、ブームによる韓国ドラマの価格高騰に苦虫を噛んでいるのも彼らだろう。NHK衛星放送の思惑からするとあってはならない事なのだから。
 もちろん、高い金額を払っても、値段相応の視聴率を取ってくれれば問題はない。しかし、実際は費用対効果に見合った数字を残せていないというのが現状だ。となれば、韓流という熱病から冷めた人たちが、冷静に判断する結果は見えている。
 「放送するのに見合うソフトが出尽くした」という言葉には、「早く適正な値段にしなさいよ。このままだと我々は韓国ドラマは流しませんよ。このまま韓流ブーム終わってもいいんですか?」という、メッセージが隠されているんだろう。

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