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Carole King キャロル・キング

TAPESTRY(つづれおり)

Tapestry  1.  I Feel the Earth Move
 2.  So Far Away
 3.  It's Too Late
 4.  Home Again
 5.  Beautiful
 6.  Way Over Yonder
 7.  You've Got a Friend
 8.  Where You Lead
 9.  Will You Love Me Tomorrow
 10. Smackwater Jack
 11. Tapestry
 12. (You Make Me Feel Like)A Natural Woman

 The Beatlesの「White Album」を名盤と推す人は大勢いる が、このアルバムも名盤中の名盤と言われる内の1つである。キャロル・キングが「Musician's Musician」と言われる所以は、このアルバムの存在が大きい。非常に主観的な意見ではあるが、私にとっては珠玉の名盤であり、最も完成されたアルバムだと断言しても良い。まあ、万人が納得いく内容である事は保障したい。冗談ではなく、私は毎日聞いても飽きない。

 このアルバムで歌われている曲は、近年様々なシチュエーションで使われていることに気づく。言われてみると、「あ、この曲がそうなんだ!」というのがあるのでは。それだけ彼女の曲が、世代を超えて、時代を超えて語り継がれるに相応しいのかもしれない。

 この名盤のうち幾つかについて、稚拙ながら解説を加えたい。

 まず1曲目の「I Feel The Earth Move」は、UAがレゲエ調にアレンジして歌っていたり、小柳ユキが洋楽完全カバーのアルバムで歌っているので知っている人もいるだろう(ちょっと前にはTOYOTA RAV4のCMにも使用されている)。オープニングを飾るこの曲は、ソウルフルに歌い上げられており、力強い彼女のピアノが響き渡る。

 2曲目の「So Far Away」は、以前、スバル・レガシーのCMで女性版と男性版(マイケル・モルガン?)の2つのカバーバージョンが流されていた。特に後者は、メル・ギブソンが昔の彼女と思しき女性の前を、告げることなくレガシーで走り去るという内容で、詞とCMがうまくかみ合って、映画のような良い出来に仕上がっていた(NTTコミュニケーションズのCM曲にも使用されたことがある)。失恋をテーマにした曲なのに、何故かこの曲を聴くと落ち着いてしまう。とても落ち着けるような内容ではないのに・・・。最初は、身内か知り合いが亡くなってしまって、それを悲しんでいる曲かと思ったのだが、訳詞を改めてみると、全然違うものであった。訳詞を掲載し たので、ご覧いただきたい(So Far Away)。共感するか、もしくは真摯に受け止める、このどちらかだと思う・・・。なお、このアルバムのトリビュート版が発売されているが、この曲を歌っているのが、あのロッド・スチュアート。たまにラジオで流れたりするので、こちらがオリジナルと思われている方がいるかもしれない。それくらい、彼のハスキーボイスはピッタリ曲に合っている。

 4曲目の「Home Again」は、これまたNTTのCMで使われ たことがある。NTTはキャロル好きなのか?とてもアットホームな気分にさせてくれる。冬をシチュエーションにした名曲と言えるだろう。

 6曲目の「Way Over Yonder」は、スローテンポなソウルナンバー。何となく、「南部田舎町のとあるバー」という風景が浮かんできそうな、そんな雰囲気の曲である。間奏に入るテナーサックスの響きが非常に良い。「道の彼方に、自分が求めるものが存在する。」そう彼女が元気付けてくれる。行き詰まった時に聞くのもいいかも。

 そして7曲目の「You've Got a Friend」は、言わずもがな、名曲中の名曲。キャロルがジェイムス・テイラーに提供した曲のセルフカヴァー。ジェームスの方は1971年夏にこの曲で全米1位を取っているが、どちらかというと、キャロル版の方がこの曲にはしっくり合うような気がする。ジェームスの方は、フォーク調にスローなボサノバが混ざったような感じで、軽いノリに聞こえてしまうのだが、キャロルの方はピアノ、バイオリンの音色とコンガのリズム、そこにキャロルの切ない声が、勇気付け、元気付け、そして諭すような詞に非常に融合している気がする。心にズシンと響き渡るような音作りを意図的にしたように思われ、結果として、ジェームス版よりも印象深い曲に仕上がっ ている。人生に疲れたとき、人間不信に陥ったとき、誰か人恋しくなったときこの曲を聞けば、少なからず立ち直れる力を与えてもらえるのでは?切ないメロディを奏でるバイオリンの旋律が、病んだ心を癒してくれる。

 8曲目の「Will You Love Me Tomorrow」は、女性から男性へのラブソング。とても詞の内容と同じことを自分は言えないけど、キャロルが歌うと自然な感じに聞こえてしまうからすごい。「明日も、まだ、愛してくれるかしら?」という詞は、数あるラブソングに使われている「I Love You」という言葉を安っぽく感じさせてしまう。女性は誰もが未来進行形の恋愛を望むのかな?と、男としてはついつい女性心理を探ってしまう1曲である。女性哲学と男性哲学の差異が、この辺に現れているのだろうか?ラブソングの最高峰と思ってしまう。

 9曲目のアルバム・タイトルにもなっている「Tapestry」は、数年前に日産サニーのCM曲として使われていた。「私の人生は、豊かで、気高い色のつづれ織り」と歌われた歌詞には、人生とは、「人」という1本の糸どうしが交差して色どられたつづれ織りである、というメッセージを含んでいる。決して自分1人ではここまで来れなかったという感謝の言葉を、今まで自分に関わった人たちに送っているのと同時に、曲を聴いた全ての人に、それに気付いて、日々感謝しなさいということも暗に伝えたいのだと感じた。

 ラストの「(You Make Me Feel Like)A Natural Woman」はキャロルがアレサ・フランクリンに提供した曲である。アレサのように、ソウルフルに女性の力強さを歌うのとは違って、淡々と歌うキャロルの声には、女性が持つ、静かなる力強さがひしひしと伝わってくる。人として、女性として精一杯生きていきたい、そして精一杯生きていこう、という、自己へ、さらに他者へのメッセージが強く感じられる曲であり、このアルバム「Tapestry(つづれおり)」を締めくくるには非常に相応しく思う。