題名:シバジ
原題:
分類:恋愛、人間
監督:イム・グォンテク(林権澤)
出演:カン・スヨン / イ・グスン / パン・ヒ / ハン・ウンジン / ユン・ヤンハ / キム・ヒョンジャ
スタッフ:企画・製作−チョン・ドファン/脚本−ソン・ギルハン/撮影−ク・ジュンモ
   音楽−シン・ビョンハ
年国:1986/韓国(大韓民国)
時間:93
製作:新韓文芸
媒体:VTR(ヘラルド)
備考:87年ヴェネチア映画祭主演女優賞(カン・スヨン)他

李朝時代。跡継ぎができないある地方の名家では代理母として若い村娘
オンニョを雇った。正妻の了承の下で娘は主人サンギュの子供を宿すが
やがて彼との間に愛情が芽生えてしまう。そして子供が生まれると…。

国際的な映画祭で賞を獲得するなど、韓国映画の存在を海外に大きく知
らしめた作品である。正統性を重んずる李朝の社会では跡を継ぐ男児が
生まれないのは一大事。両班(ヤンバン)の階級では血眼になって跡継
ぎづくりの方法を模索することになる。そこに生まれる悲劇は韓国映画
が好んで描いてきた題材だが、青春スターとして活躍していたカン・ス
ヨンのはじけるような存在感と、「韓国の溝口健二」の異名をとる(本
人は必ずしもこの呼ばれ方には納得していないらしい)名匠イム・グォ
ンテク監督の映像美学によって、新鮮な魅力をたたえた作品となった。
同監督の『炎の女』(83年)で幻想の美女を演じたパン・ヒがサンギュ
の正妻役を好演しアジア太平洋映画祭助演女優賞を獲得したほか、脇に
まわった演技陣が作品全体の格調を高めている点も見逃せない。同じく
アジア太平洋映画祭で作品・監督賞、大鐘賞では撮影、照明賞も獲得。
原題である『シバジ』とは「種受け」つまり代理母の意。

冒頭の「男児を授かるおまじないの灸」のシーンから、見る者を一気に
引き込んでいく映像の力強さと美しさ。因習に閉じ込められまいと抵抗
する生命力を体現するカン・スヨンはすばらしい。この作品でその魅力
を大きく花開かせ、トップ・スターの地位を獲得した。

                   MAY.1993