INTERVIEW 紙 August 1999
 

イタリアのコメディ映画に出演してから12年、フランスの女優ヴィルジニー・ルドワイヤンは、18本の映画に出た。オリヴィエ・アサイヤスとブノワ・ジャコの作品に二本づつ、クロード・シャブロル、エドワード・ヤン、ジェームズ・アイボリーとダニー・ボイル(2月公開予定の「ビーチ」ではレオナルド・ディキャプリオの相手役にキャスティングされた)の作品に一本づつと巨匠マルセル・カルネの未完の遺作にも出演した。つまり彼女はフランス映画、台湾映画、アングロ・サクソン映画の2つの流派における3世代をつなぐ一種の配管の役目を果たしている。近いうちにアドモドバルの作品(彼女の祖父母はスペイン人である)やメイクなしで、デンマークのドグマ・スペシャルに出演する日も近いのではないだろうか?
22才で驚くべき才能に恵まれたルドワイヤンは、素晴らしいキャリアを歩んでいる。出演した映画ではいろいろと、すねてみせたり、悲しくなったり、陽気になったり、セクシーになったりもする。そして意志が固く、独立しているが不安も抱えている女性を演じさせたら天下一品である。何より、彼女はスクリーンを感動で満たしてくれる。故意に断片的になっているが、最新作アサイヤス監督の「8月の終わり、9月の始め」でのアン役での彼女の演技は、愛する男(マチュー・アマリックが凄い)の優柔不断さがもたらす恋愛のフラストレーションの素晴らしく充実し、ニュアンスに富んだ見本となっている。−そして結局、見るものにはショッキングな激昂へと傾いていく。

グラハム・フラー:「8月の終わり、9月の始め」に関して、オリヴィエ・アサイヤスは詳しく話をしてくれたのですか、それともあなたが演じた役:
アンについてだけでしたか?

ヴィルジニー:彼とは「冷たい水」を一緒にやって、仲良くなりました。だからシナリオをもらった時にはこの映画について議論する必要はなかったんです。多分それは間違っていたかもしれませんが、私に何をして欲しいのか理解していたと思っていたので、すぐ撮影に行きました。「シングル・ガール」(ブノワ・ジャコ監督)で演じたように、ホテルで働いている子の役をするのであれば、感じを掴むためにホテルに働きに行きますけど、それは細かいことだから。でもより心理状態が問題になる役柄なら、すぐ演技するほうが私は好きです。アンは情緒不安定な人物だったので、彼女についてあまり多くのことを知りたくなかったんです。

グラハム:彼女はどうして情緒不安定なんですか?

ヴィルジニー: オリヴィエのアイデアだと、彼女は私より少し年上なんです−25、6ってところで、とても感情の起伏が激しいんです。何をするにも痛みが伴う人なんですね。大人になりたくなくて、でも年を取ることは受け入れなくてはならない、これは誰にとっても大切なことです、特に彼女にはね(笑)それで、ある決心をしなければならない時期に差し掛かっているのです。

グラハム: つまりガブリエル(アメリック演じる)についていくかどうか?

ヴィルジニー:そう。映画の終わりの彼女は始めの彼女とは違うのです。

グラハム:自立した女性を演じるのはこれは初めてではありませんよね?

ヴィルジニー:自立心は、女性だけに限らずとても大切なことだと思います。女優としてだけではなく観客としても、それが最善ではないにせよ、不安定でも時には意地悪だとしても、自分自身のあり方や生き方を持った役柄にいつも興味があります。そのほうが私にはよりリアルなんです。ナチュラルな映画と言う意味じゃなくて、役に感動するためには、真実味がなくてはならないと言う意味合いでですけど。

グラハム: 自立したタイプに惹かれる訳ですか?

ヴィルジニー:ええ、(笑)いつもそういう役じゃなければイヤっていうことではないですけど、カワイコちゃんを演じるだけではつまらないですから

グラハム:あなたが演じた役のいくつかは、怒っていて、唐突というか…

ヴィルジニー:暴力的?

グラハム:ガブリエルに癇癪を起した時のアンは確かにそうですね。それで、思ったのは…

ヴィルジニー:私もそうかって?8割が役で、2割が自分かな。自分の性格もすこし役に出ますね。でもあなたが怒りって言うものは私は命と言いたいわ。欠陥のある人間を演じるのが好き。完璧な人なんかいないけどね。いたとしたら私はそんなの理解できないわ。フランス語に"degager"(開放する)って言う単語があるのね、知ってる?演じていて、何かが自分から出てきて、その役柄とうまく合うの、でも自分では特に意識はしてないのね。

グラハム:「8月の終わり、9月の始め」ではアンがタクシーの中で泣いているところがありますね…

ヴィルジニー:激しいと感受性もなくて、傷つきやすくないってことにはならないでしょ。

グラハム:「ジャンヌと素敵な男の子」では、とても自由奔放な役を演じましたね。

ヴィルジニー:これまで演じた役で、一番生き生きしたキャラクターだと思います。ジャンヌは完全に自由な考え方の持ち主で、誰とでも寝てしまうけど、だからって彼女が色情狂ってことにはならないでしょう。彼女を演じるのは本当に楽しかったですよ、もちろん私は彼女ほど自由な考えではないけど。(笑)

グラハム:ジェンヌは何を求めていたんでしょう?

ヴィルジニー:人生よ。生きたいのよ。

グラハム:自分には女優の才能があるっていつ気付きましたか?

ヴィルジニー:全然ないわ。でも「冷たい水」をオリヴィエとリハーサルしていた時、彼がどうして欲しいのかが分かったと思ったの。私が凄いとか私がすることを気に入ってもらえるとかじゃなくて、自分の演技がうまくいくって事ね。私が映画に出てこれたのは、きっと悪くはないからだと思うの、でも自分は一日の終わりにラッシュを見る人ではないから。

グラハム:演じていて何が楽しいですか?人物になりきって、役から気持ちがにじんで来る時?

ヴィルジニー: その通りよ。

グラハム:「ザ・ビーチ」についていくつか質問があるのですが。

ヴィルジニー:うわっ。(笑)はい?

グラハム:(タイ)のピピリ島の環境をこの映画が破壊したという主張に腹が立ちましたか?

ヴィルジニー:ええ、全く事実無根なのに島を破壊したなんて言われてとても腹立たしかったわ。

グラハム:レオナルドとは、うまく相性を合わせることは出来ましたか?

ヴィルジニー:いつ?

グラハム:撮影中です。

ヴィルジニー:そう思うけど。彼は良い俳優ですよ、寛大で、とても存在感もあるし。本編ではどう写っているか分からないけど、うまく共演できたと思っていますよ。

グラハム:アメリカ同様、フランスでもスターはゴシップの対象だと思うのですが。あの…

ヴィルジニー:彼が、ボーイフレンドかって? それが質問ですか?

グラハム:えー、それを聞くつもりはなかったんですけど。

ヴィルジニー:ありがとう。でも、あなたが言った通り、いろいろゴシップがあったから。

グラハム:とにかく、彼氏ではないと言うことですね?

ヴィルジニー:そう。

グラハム:彼がどこへ行ってもあれだけの注目を集めることをどう思うか尋ねたかったのですけど。

ヴィルジニー:私は考えたことはありませんね。私は大スターではありませんから−レオはそうだけど。今の状態が私にはちょうどいいです。私は仕事で尊敬をされたいですね、俳優になったら、有名になりたいですけど。でも自分の家の外でファンが座っているようなプレッシャーは私にはありません。

グラハム:普通、人が望むものは欲しいですよね?

ヴィルジニー:ええ、子供も欲しいわね。(笑)

グラハム: 女優で忙しい生活をしてて、私生活にまったくプレッシャーはないですか?

ヴィルジニー:ないですね。自分の仕事と、演じる役と自分の生活と切り離すことが出来ると思います。自分自身の生活をすることでその違いが出るよう、助けてくれます。同じ男性と一生付き添うとか、そう言う話ではなくて、自分が安定していれば、それで、さらに仕事がうまくいくようになります。私には素晴らしい家族、友人、私生活がありますから(笑)だからあなたが言うように、私は幸福な人なのでしょうね。★

>index