振付:セバスティアン・シャルル/SEBASTIEN CHARLES

準備
ダンス・シーンは長い時間をかけて練り上げられたものです。本編に溶け込ませる訳ですから、とても重要なものでした。まず最初に50年代のアレンジをした歌を再録音した際に、調査をしたのです。フランソワには何本かミュージカルを見せてもらいました、リタ・ヘイワースの『ギルダ』でのダンス・シーンなどです。個人的にインスピレーションを得たのは、マリリン・モンローとジェーン・ラッセルの『紳士は金髪がお好き』でのダンス・シーンからでした。スターたちの振り付けをやる訳ですから、ハリウッドの伝説を参考にしようと思ったのです!”女装”での踊りを私自身は経験したことはありませんでしたが、今回の仕事の女性らしさを全面に出すと言うことは、大きな挑戦でした。

異なる難しさのレベル
イザベル・ユペールの振り付けは難しいものでした。彼女の役柄は全編を通して攻撃的なのですが、歌は中でも一番悲しい歌なのです。ボブ・ウィルソンの演出で彼女が演じた『オルランド』の舞台での演技を参考したらどうかとフランソワに提言されて、手と顔の表情を使って、振付を考えて行ったのです。イザベルは私たちの期待以上にアイデアを出してくれて、文字通り振付を自分自身で引き継いでくれた感じです。ファニー・アルダンの場合は、当初間違った方向へ行ってしまったようでした、彼女の歌があれぼどジャズの色合いがあるとは知らなかったので、最初に考えた振り付けは全く不適切なものだったのです-彼女が面白がっていましたけれど。そこでもう一度、彼女の役柄の世俗的なセクシーな面に集中して考え直したのです。一番最初のダンス・シーンはルディヴィーヌ・サニエがフランスのポップ・シンガー:シーラの歌に合わせて踊るものですが、これが一番簡単だったと思います。シーラの歌詞は凄く単純なものでしたし、そのリズムも振付をしやすいものでした。映画『ヘアスプレー』からインスピレーションを得て、このナンバーが『シュープリームズ』を彷彿させるように、カトリーヌ・ドヌーブとヴィルジニー・ルドワイヤンが踊って歌うバック・コーラスをやってもらったのです!

カトリーヌ・ドヌーブ
カトリーヌ・ドヌーブには安心してもらうことが必要でした。何度となくリハーサルをしたので彼女とは親しくなれたと思います。彼女のダンス・シーンでは崇高な感じが欲しかったのです:グラマラスさの頂点を極めたいと思っていました。セットの使い方(カーテン)も確かにこの効果を出すのに役に立っています。カトリーヌはこう言った実験に凄く熱心で、完全に没頭してやってくれました。素晴らしい時を彼女と共有できたし、一緒に仕事をして、振り付けの役割を最も鮮明に感じましたね。

                      
                                                                      *ダンス・シーンをリハーサル中のセバスティアン・シャルルとドヌーブ、サニエ、そしてヴィルジニー

エマニュエル・ベアールの場合
エマニュエル・ベアールは自分のダンス・シーンがどうあるべきか明確な考えを持っていたので、自分のアイデアを彼女のものに適合させることにしたのです。彼女は自分のナンバーに僕が到底想像しえなかった動物的な印象を出そうとしたかったのです!また彼女は踊りが一番うまくて、もの凄いエネルギーの持ち主なのです。何度もダンス・シーンの撮影を進めて行くうちに、彼女はさらに自分を曝け出して行くのです。彼女のダンサーとしてのスタミナに皆一様に驚きました!あのメイドは二重性を持った役で、彼女が踊るシーンは映画の最後の方に出てくる物の一つです。そこでエマニュエルとフランソワは、彼女の正体が明らかになるのを、スペクタクルのように激しいものにしたかったのですね、彼女のワイルドな乱れ髪がそれを増幅させているのです。

スゾン
スゾンのダンス・シーンは一番難しいものでした。この役が理解出来なかったので、インスピレーションが湧いて来ませんでした。でもヴィルジニー・ルドワイヤンに会って、失った情熱が戻って来たのです:彼女の役は若い女性が持っている優しさ、純粋な動きが必要でした。彼女の衣装の様に、軽くて無垢な感じがいいと思いました。そこで彼女のシーンには「機械仕掛けの人形」のような感じが出ていると思います。この作品の中で他の作品からの影響を一番受けていない、最も個人的な振り付けになっています。

様々な音楽に合わせてのダンス
振付を考え始める前に、歌の新しいアレンジを聞きたいと思っていました。新しいヴァージョンを聴く以前から、どの歌にも自動的に連想していたある動きが既にあったのです。各歌のスローな調子がとても女性的でグラマラスな動きを考える助けになりました。キッチュな感じは避けたいと思いましたし、本当の美しさに対してあまりに女性を強調させ、馬鹿馬鹿しいものにはしたくなかったのです。過去もそうだったように、フランソワはどの踊りも皆が家で出来るくらいシンプルなものにしたいとリクエストしました。監督自身、踊りのルーティンをリプレイ出来るのであれば、8人の女優さんも問題ないだろうし、観客たちも気に入ってくれるだろうと思ったのです。

フィナーレ
最後のシーンは「皇帝の舞踏会」と名づけました。二列になったダンサーたちが互いにクロスして、パートナーを替えるのです。実際に撮影する日の朝まで、リハーサルはやりませんでした!このシーンでは「前面」を強調した振り付けで、女優たちが歌の歌詞により集中できるようになっていて、これが特に重要だったのです。『8人の女たち』では、踊りはミュージック・ホールのナンバーで、各役柄を豊かに特徴づける意味がありました。性格がジェスチャーで強調され、その素顔が振付で明らかになるのです。



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