CineLive 2004

彼女は遅刻したことを何度となく詫びて、携帯を大急ぎで切ると、すぐに密室ファンタジーである『サンタンジュ』の意見を聞いてきた。ストレスですか?ヴィルジニー・ルドワイヤン?少しくらいは当然ですよね?作家主義の作品のミューズにうっかり収まることなく、ジャンル映画にも初めて挑戦する。心配ご無用、この作品でも輝いていますから。

シネライブ:2004年に『サンタンジュ』、2003年には『ボン・ボヤージュ』、2002年には『8人の女たち』、ここしばらく、あなたは一年に1本の作品にしか出演していませんね。これには何か理由があるのですか?
ヴィルジニー・ルドワイヤン:女優の仕事は大好きですけど、仕事中毒じゃありませんから。他にも私にとっては大切な生活がありますし、それが私の仕事の栄養源にもなっているんです。女優の苦しみをあれこれ分って欲しいとは言いませんけど、自分が出る作品には完全に打ち込んでいるんです。撮影ってしんどいですし、2,3ヶ月の間はシャボンの中に閉じ込められたような気分ですから。そこから出るのが大好きなんですね、また本当にそこへ戻って行きたいって思いながらね。

でももし明日アルモドバルや、レネやウディ・アレンといった監督たちから素晴らしい役のオファーが一度に来たら、どうします?
そうね、うまく調整するわ。(笑)でも映画に出るためだけに出演するなら興味ないわ。幸運にも、必ずしも悪くないけど100%は自分で信じられない企画へ出演することは滅多にはないんです。でも何本かやりました、スタッフたちへは敬意を払いたかったから。でも自分の枠内では正しいとか間違っているとか感じていた訳じゃないんですね。でも朝、撮影へ行くときの足が重く感じたんです。今では最初からこれだって思わないとだめですね、(シナリオを)読んで、気に入って、考えすぎ内瞬時に出演を決めるんです。なんだが急き立てられたような気分にならないとだめなんですね。

『サンタンジュ』ではまさにそうした気分になれたのですか?
そうね。ストーリーにわしづかみにされた感じだったわ。とても写実的な面と不安を掻き立てるような雰囲気や台詞を少なくしているとことか、登場人物とも言えるあの孤児院とかね:すべてにハッタリをかまされたのね。これまでこんな作品のオファーをもらった事がなかったし。

自分のイメージをひっくり返すことにもなったのではないですか?
おかしいかも知れないけど、ミスキャストっていう観点からは考えなかったのね。ラプノーやアサイヤス監督と仕事する時も同じなんですけど、まず自分の役はあらゆる感情を持ったすてき役だと思ったの。この作品で私は初めて学生でもない、恋人がいる、その気にさせる女の子でもないんです。目新しさは映画のジャンルでもないし役柄でもないと思います。アンナは女性で、妊娠していて、むしろ・・・

望まない妊娠をし子供はいらないと思っている女性を演じるのは、自身若い母親である、あなたが演じるのは動揺しませんか?
実際動揺以上の感覚がありましたね。アンナをどうこう思ったということではなくて、自分の役の善悪を判断しようと私はしないのですけど、常におなかが大きく見えるようにある器具を装着してたんです。それで自分のお産を思い出したわけじゃないんですが、でもその器具を無害なアクセサリーのように思うことが自分にはできなかったんですね。あれって重いんです。また暑くて、いつもそこにあるって感じるんですね。アンナは妊娠を重りのように思っていたのでしょうね、そう考えると演じやすくなりましたね。

パスカル・ロジエ監督は、恐怖を装うのを助けようとなにか工夫をしてくれたのですか?
撮影が始まる前にルー(ドワイヨン)と私にCDをくれたんですね、ダリオ・アルジェントの作品の音楽を手がけたクラウディオ・シモネッティの音楽が入っているんですが、本当に特別な感じで怖くなってくるんです、”ママアアアアアア・・・ママアアアアアアアア”とか声が入っているやつで。撮影の合間もあの音楽が頭の中で鳴っていましたね。それに木の床が私の足元でキーッと音を立てているんです。

あなたの出演シーンにはほとんど台詞がありませんでしたね、それで余計に大変ということはありませんでしたか?
(スターという身振りで)大女優に問題なんかないわよ。(爆笑)あまりに大げさな演技にならないように注意したわね。私が考えていたのはアンナに色々見えるのは完全に頭がおかしくなっているのか、それとも本当に霊界があるのか観客には判断できないように演じようってことだったの。

観客として見て怖かったという作品は何でしたか?
海で泳ぐ時必ず思い出すのが、ジョー・ダンテ監督の『ピラニア』ね。淡水魚だと知っているけどね。血がドバドバみたいな奴はさほど好きじゃないわ。でも『エクソシスト』とか『ポルターガイスト』『仄暗い水の底から』は大好きね。どの映画にも自己投影が可能だから。映画で怖がるのは笑うのと同じで気持がいいわけ。本能に働きかけてくるからよ。純粋に有機的なのね。見えるものに合理性をあまり求めないでしょ。わたしが13,14歳のころ、父がビデオクラブをやっていて、私はこの手の映画も浴びるように見たわ。

14歳と言えば、あなたがデビューした年ですね。あの時代以降、あなたにとって最も変化があったのは何ですか?
馬鹿げているって思えることもあまり疑わなくなったみたい。以前は少しでも変わったことを要求されると、パニックを起こしていたの。自分は役立たずと思われるのが不安だったのね。でも今では他人を視線で凍りつくことはもうないわ、自分が間違っている時は、監督がよい方向へ向けてくれるって分っているからね。

ジョルジュ・ウィルソンは舞台の上でも撮影現場でも電気代の請求書を考えることが出来る俳優は、トップクラスと発言しました。
そう思われますか?
私には、自分がやっていることを考えなくなるまで夢中になれたら成功だと思う。技術とか仕事に過ぎないって意識を持たずに、台詞を言ったり、床に書かれた立ち位置まで動けるようになるの。『サンタンジュ』では全てが様式化されていて、様々な制約を忘れて、役の本質まで行けたと思うの。そういう瞬間にはとてもいい気分になれるのね。


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