DS magazine 2002年2月号

今月、フランソワ・オゾン監督作品のキャスト:ダリュー、ドヌーブ、アルダン、ベアール・・・たちの隣でヴィルジニー・ルドワイヤンは輝いている。見た目ほど頭は良くない「殺人者」のグループの最年少は、今日エネルギーと幸福に満ちた女性だ、最近、母親になったばかりである。

 "Toi, mon amour, mon ami, quand je reve c'est de toi. Mon amour, mon ami, quand je chante c'est pour toi…"  とマリー・ラフォレの歌を優しく雰囲気たっぷりの声で、踊り、歌うヴィルジニー・ルドワイヤンは、フランソワ・オゾン監督の最新作 『8人の女たち』で、思わず嬉しくなってしまう驚きの一つだ。推理劇とミュージカルを思わせる密室劇、8人の女性が惨たらしい殺人の犯人は誰なのかと互いに責めあう。

ピンク色のバービードレスにウェストのくびれた体を包み込み、ディオールのペッパー帽をかぶり、オードリー・ヘップバーン風の前髪で、ヴィルジニーは少女モデルのようでもある・・・見た目には。とても告白できない秘密を持って、彼女が演じるぶりっ子の役は見た目よりも純粋ではないのかも知れない。

現実のヴィルジニーはスクリーンの役とはかなり違うのだ。素敵な男の子を振り向かせたシングル・ガールは、ビーチでレオナルド・ディカプリオを誘惑し、パリの郊外の薄暗いシテで愛を探すためにエキゾチックなタイの蒸し暑さを後にして、今では毎日、人生で最高に素晴らしい役を務めている:三ヶ月になるリラちゃんの母親だ。そこでクリスマスと新年を控えたある土曜日に、Closerie des Lilas で朝のコーヒーを飲みながらインタヴューすることにした。ジーンズにスニーカー、化粧気も全くないヴィルジニーはランドにある自分の自宅で家族ぐるみで、休暇の準備に余念がない。

ヴィルジニーが語る。「クリスマス・ツリーの回りに家族が集るのって素敵でしょ。子供時代のクリスマスの素晴らしい思い出があるのね。暖炉にあるオモチャを弟と一緒に見つけるのが待ち遠しくて。夜の12時にプレゼントを開けていい事になっているんだけど、私達が朝から何度も「サンタは、まだ来ないの?」って聞くから11時半には両親も折れてくれていたの。大人になってからもプレゼントを開ける時の興奮は同じだもの、クリスマスは子供にもどれる、子供の夢が見れる時なの。」

-本題に入りましょう。この映画では家族の雰囲気が凄く残酷です・・・激怒した8人の女たちが互いに噛み付きあっています!

フランソワ・オゾン監督はジワジワ効いてくる監督ね。彼の作品は厳しくて残酷だけど、愛をテーマにもしているもの。あのお互いに噛みつきあっている女性たちも凄く幸福に愛し合っているのよ!

-女性は時にとても暴力的になれるのですね・・・

感情のギリギリのとこまで行くからでしょうね。この点では男性よりも女性の方が骨太なのよ。

-8人の女優さんの雰囲気はどうだったのですか?

現場では、気まぐれやヒステリーを起こす人はいなかったわ。反対にお互いに自分自身を発見することが出来て本当に良かったわ。それがこの映画に賭けられていることでもあったから。

-世代や背景も様々な女優さんと接して何を感じました?

この映画の撮影は、キャスト全員がトコトンまで演技することに没頭して、互いに切磋琢磨してどのシーンにも体当たりでしたから素晴らしかったです。皆取り組み方が違うのが興味深かったですね。ダニエル・ダリューは凄く活発で、はじけるような感じでいつも機嫌がいいんです。エマニュエル・ベアールは集中して、自分の世界にいるために一人でいることが多かったですね。リディヴィーヌ・サニエは何にでも挑戦して、時速100キロなんです、ファニー・アルダンは凄く自分のリズムがあって、他の女優さんとは合わないこともありました。イザベル・ユペールはテイクの前にそのシーンが他の共演者も含めてどんな仕上がりになるのかを予感するのが好きなのです。フィルミール・リシャールは感動的で、時々釣られて一緒に笑ってしまうような凄い笑い方をします。カトリーヌ・ドヌーブは細部に凝るタイプですね、各シーンに現実味が増すように厳密な動きをするのです。

-クレジット・タイトルで、オゾン監督は各女優さんのために一本一本違う花を選んでいました。カトリーヌ・ドヌーブには蘭を、ファニー・ アルダンには赤いバラを、あなたにはバラの蕾を・・・

バラの蕾は私が演じたスゾンに良く合っていると思います。花咲く乙女が開花するって感じでね。最初はスゾンは良家の学生のような一面を持っていて、頭が良くて、控えめで、完璧さが鼻持ちならないの。フランソワ・オゾン監督の才能ですね。監督が描く人物は単純そうに見えるのですが、うわべが剥れて来ると、いろいろ複雑な、反抗的な気持ちや感情を示すんです。監督にはキューカーの"Women" を見るようにと言われました。また若々しい優雅さや明るさはオードリー・ヘップバーンを連想させると思います。

-オードリー・ヘップバーンは、女優ではボランティア活動に専念した最初の、数少ない女優さんの一人だったと思います。あなたも同じく政治参加されていますね?

自分の名前が知られていると言うことが役に立つのなら、匿名でも、公でも行動します。でもボランティアの仕事をするのに自分の時間全てを使うことは出来ません。私は聖人ではありませんから。チベット難民を救う会の資金集めや、インドにいるチベット人難民のコミュニティーへ薬を送るのに定期的に参加しています。エイズ撲滅運動にも参加しています。私はこの病気がとても怖いから。情報不足で、コンドームを使わない若者がまだいたり、誤って治療で治ると信じて人もいます。この病気がまた最近ぶり返しているのは怖いことだと思います。

-この映画で、妹が"男の子とはどう寝るの?"とあなたに聞くシーンがありますが、思春期の頃、こんな話題も両親とは自由に話せました?

ええ、徐々に自然に話せていたと思うわ。学校でも女友達とそういう話もしたわ、でも大人の答えが欲しい時は両親に聞けばいいと思っていたから。でも家でセックスを日常茶飯事のごとく、話題にしていた訳じゃないわ。そんなの居心地悪いもの。でも男の子でも女の子でも初恋とか性の芽生えは、とても大事なものでしょ!

-お母さんが18歳の時、あなたが生まれたそうですね。ではおかあさんとの関係はとても楽だったのではないですか?

とても親密ですけど、母はきちんと自分の役割を果たして来ています。友達とか思ったことはありませんね。母の服を私が着ることはないですし、一緒にクラブへ出かけたりもしませんから。そんな関係だったら、私は嫌だもの。

-あなたのお父さんは市場で販売の仕事をしていて、義理の父は露天商、祖母がアパートの管理人をされているそうですね。あなたの家族が、早いうちから現実を意識させたのでしょうか?

若いうちから映画界で仕事をしていると、いつも大人と一緒にいます。面白い人たちにも会って、勉強にもなるし、刺激を受け、視野が広がります。でも映画に夢中にならないように、両親には「あなたはマリリン(モンロー)じゃないんだから、テーブルを片付けてから寝なさい。」って言われていましたね。ある程度は自慢に思ってくれたのかも知れませんが、私には同年代の女の子と同じように生活して欲しかったんだと思いますね。

-あなたはかなり早くから自立されています。なぜ早くから自立する必要があったのですか?

15歳半の時から一人暮らしを始めたのですが、それは両親が煩わしく思えたからじゃなくて、私は自分が何をしたいのか知っていたからです。当時は恋人がいたし、経済的にも自分でどうにかなると思えたから、小さなアパート借りたんですね。この仕事をするのが夢だったからです-長くは出来ない仕事かも知れないですけど、本当にやってみたかったんです。おそらく自分で責任を負えると背伸びするくらいは大人びていたんだと思います。でも16歳で"私は女優よ!"なんて自分で思っていたのですから、無意識の成せる技だったとも思います。女優をやるってことは、他人の欲望におんぶするようなものですから。

-母親になって、人生が変わりましたか?

別人になったとは思わないし、もちろんそれは一大事だと思うけど、リラが生まれて、単純に凄くしあわせですよ!

-あなたが両親から得た価値観は、自分の娘にも伝えたいと思われますか?

もちろん、私が娘に伝えたい価値観は、これはどの子供でも同じでしょうけど、心を開いて、精神的に自立するってことですね。きれいで完璧なシャボンのような世界に娘を閉じ込めたいとは思わないし、他人を怖がるようになって欲しくありません。今の世の中でやっていくには、他人を尊重できなくてはいけないと思います。

-2002年のあなたのスローガンは何でしょう?

理解することね。他人は難しいって言うことじゃなくて、多分、自分自身ってことね。「私は全て分っているけど、あなたは知らないでしょ」ってことじゃなく、迎合することでもなく、意見を持たないってことでもないの、自問することかな:「どうして彼の考え方とは違うのか?」ってね。★



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