Elle N°2989, 14 avril 2003
 

26歳でオーベルヴィエリ出身のこの女性は、これまで人生の半分以上を照明に照らされて過ごしてしまった。駆け出しの女優たちが嫉妬で顔色が変わってしまうほどをフィルモグラフィーが彼女にはある。彼女はロレアルの宣伝をやっているタレントの中でも最も美しい一人である。またカンヌ映画祭のセレモニーの司会を二度務めるという特権を得た唯一の女優だ。(訳注:これは間違いで、二度務めたのはヴィルジニーを含め、ジャンヌ・モロー、イザベル・ユペールの3人)でもヴィルジニー・ルドワイヤンが写真撮影のために時間きっかりにカール・ラガーフェルドのスタジオにやった来た時、女子大生かと見間違えてしまうほどだ。紫色の綿のズボンと模様織りのベストの下に白いシャツ、肩にかけたカバンに髪は風になびいている。ハイヒールも履いていないし、サングラスもしてもいないが、彼女はスターをオーラを放っている。ジャン-ポール・ラプノー監督の最新作"Bon Voyage"(2003年4月16日公開)では、まさにその女子大生を演じているはずだ。息を切らせて占領下直後の日々へ飛び込む:6人の登場人物の運命が絶え間なく交差する名人芸とも言える2時間。台詞パトリック・モディアノ、音楽ガブリエル・ヤール、撮影ティエリー・アボガスト・・・そして楽しんで演技している俳優陣が作り出す濃厚なカクテル。恋する大臣に扮するドパルデューは、気まぐれ屋のスター演じるイザベル・アジャーニとコミカルなデュオを組んでいるし、ピーター・コヨーテ、イヴァン・アタル、グレゴリー・デランジェときらめくヴィルジニーたちはまるで学生のように楽しんているようだ。彼女は言う:「撮影中の雰囲気は凄かったの、全員がキャラクターの強い役を演じていたから。いつも笑っていたわ。でもどの瞬間でも馬鹿げてると思わず、全てを全力で演じる必要があったわ。ジャン-ポール・ラプノー監督はリズムと流れに本当にセンスを持っているの。監督には、映画ってエクスクラメーション・マークや疑問符やコンマで程よく編集された長いフレーズみたいな感じなのね。私達を休ませてくれなかったわ。監督が映画を撮る時は、映画と寝て、映画と食事して・・・って風ね。監督は私の熱意に感動してくれたと思う」情熱的、これは彼女が演じた若いカミーユと言う女性に最適な形容詞だろう。「彼女は頑固だけどあけすけな所が気に入ったの。さまざま出来事が彼女を変えていくのよ。陰日なたがない誠実で、善悪を区別ができる子よ」カミーユは忘れて、ヴィルジニー本人の話に戻ろう。彼女は優雅に写真撮影のための衣装合わせに取り掛かる。あれもこれも気に入ったようだ、彼女には全てが似合ってしまう。自分を取り巻く専門家集団にも興味を示し賛辞を贈っている。

彼女の目下の関心事は、1歳半になる娘リラちゃんだ。保育園に入ったばかり。若い母親の喜びと心配は尽きない。「リラが初めて"ママ"って言った時、私は嬉しくて発狂しそうだったの・・・たぶん馬鹿みたいな事かも知れないけど、でも子供って何が大事な物なのかを分らせてくれるのね、子供がいたら自分を見失うことは少なくなるわ。娘には毎日驚かされるの。ほとんど手のかからない子なのね。1ヶ月半の時、朝まで寝てくれたし、時々撮影現場にも連れて行くの。"Bon Voyage"ではエキストラ出演したのよ。現場にいる娘を見るのは、素晴らしい経験だったけど、同時に落ち着けなくて。私が何をしていたのか娘には理解できないし、私がしたい事は一つしかなかったの、自分で抱いていたいって思っていただけ」女優と母親をやるのは簡単ではない。ヴィルジニーはなんとかやっている、彼女の人生の伴侶ルイに助けられて、7年前に始まった2人の恋愛は、今も彼女を満たしている。「私は自分の夫婦関係を信じているの。両親は私が10歳の時、離婚したのね。全く離れ離れにはならなかったけれど、子供にもたらす離別の代償も私は知っているわ。毎日がバラ色のはずないし、譲歩しなければいけない事もあるから。でも私たちは愛し合ってお互いを尊重しているから、それが肝心だと思うの」そしてヴィルジニーは誇らしげに娘リラちゃんの写真を私たちに見せてくれた:笑みを浮かべた黒髪の、人形のように可愛らしい赤ちゃん。激しさと悩ましいその視線は美しい母親譲りのものだろう。そのリラちゃんのために、彼女は14歳の時から吸っていた一日2箱のタバコを止めた。「ある晩、台所の窓のところで一服しようって、娘をデッキチェアーに座らせて一人きりにした自分に驚いたわ。自分がクロテスクに思えてね。タバコは翌朝止めたの」彼女は母親であることを十二分に理解しているから、きっと頑張れるだろう。パリ郊外のモンルージュ、ルクセンブルグの近くに、アパートから一軒家へと移ったばかりだ。「ほとんど郊外だけど、完全に郊外じゃないの。綺麗な庭があって友人が来ても広いから平気。私は家にいるのが好きな方だから、今はキャンプみたいな感じね、内装を最初からやらなくてはならないから、2ヶ月前に注文した台所が来るのを今も待っているの・・・」ヴィルジニーはこちらを安心させてくれる女性だ。私たちと同じと言ってもいい。ほとんど同じ。出産から2ヶ月も経たない内に素晴らしいボディラインを見せてくれるアメリカのスターたちに彼女も魅せられている:「私は、昔の体型にもどったばかりね。ありとあらゆる脂肪燃焼クリームとかも使ったけど、だめね!」と面白がりながら告白してくれた。

女優としての魅力は、カメラに向けて、旅行の雰囲気を醸し出そうとパリ18区の駅のプラットフォーム近くの空き地へと彼女を連れて来たカール・ラガーフェルドのレンズへも発揮された。とても寒い中、撮影は延々と続く。彼女は鳥肌を立てている。でも決して何も言わない。写真家の巨匠は、モデルに感心する「彼女素晴らしいねえ」とカールは魅了されてスタッフたちに告げる。ヴィルジニーが独創的に光を掴むからだ。視線が自分に向けられると彼女は卓越した力量を見せる。それが彼女を稀有で同時に親しみやすくしているのだ。撮影の合間に自分の運転手にスペイン語で質問して、自分が初めて"ELLE"の表紙を飾った時の事を話してくれた。「5年前のカンヌの特集号だったの。日曜の夜、嬉しくてキオスクを見るのにパリを一周しちゃった・・・その次の朝、少なくても10冊は買ったんじゃないかしら」もう6時になるところだ。最後のショットのためにスタジオに戻って来る。もう一度微笑んで、撮影は終了。謙虚にヴィルジニーは私たちの意見を聞いている。これから2ヶ月後に彼女の出演作23本目の映画の撮影のためにルーマニアへと出発する。ほとんど無名と言えるパスカル・ロジエ監督の処女作で、60年代の孤児院が舞台、彼女が演じるのはメイドさんの役。「アメナバール監督の『アザーズ』のようなファンタジー映画なの、共演者はルー・ドワイヨン。彼女は素晴らしいわ、共演できて凄くうれしいの。彼女ののびのびとしていて、少し放浪者のようなスタイルも大好きなのよ。それに彼女の息子のマーロ君とリラの面倒を見てくれるベビーシッターを雇うことにしたのね、絶対リラも連れて行くつもり。保育園の先生に怒られてしまうかも知れないわね!」次回作の役は今回の役とはかなりかけ離れた世界へと彼女を誘う。「次の映画も私が好きな事ばかりなんだけど、意図的にしている訳じゃないわ。前作とは違ったテーマの映画をわざと選んではいないから。私を別な世界へと連れてってくれるのは監督たちよ。それは女優という仕事の特性だと思うわ。どんなものであれ、役を受け入れるってこと。10歳の時から続けて映画に出演できたのは幸運なのでしょうね。鳴らない電話を待っているって言う不安はまだ私にはないの。私を満足させてくれる企画をどんどんオファーしてもらえるから。映画に出ていない時は、自分の生活があるし。自分の生活には満足しているもの」それは十分見て取れる。ヴィルジニーは"epanouie"(光輝くの意)と良く韻を踏む。お別れの時間が来たようだ。女優は母親の姿へと戻っていく。スタッフ全員に丁寧に挨拶して、彼女は別の冒険へと再び旅立っていく。気をつけて行ってらっしゃい、マドモアゼル・ルドワイヤン。



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