Elle 2004

パスカル・ロジエ監督の初監督作品『サンタンジュ』で、一人は意志が硬く、もう一人はなすがままだが、2人とも同じ恐怖を共有をしている。ヴィルジニー・ルドワイヤンが人気のない孤児院を歩き回り、幽霊たちがわめく中、掃除・清掃を続ける。しかし本当に幽霊なんだろうか?ルー・ドワイヨンが恐怖に脅えた忘れられた存在の女の子を演じ、自分の少女時代に篭っている。しかし誰に忘れられ、その理由は何なのか?戦後の時代、どこからともなく聞こえるうめき声・・・パスカル・ロジエ監督の初監督作品は、ジョルジュ・フランジュの『顔のない目』の遠い親戚と言えるのではないだろうか?ホラー映画と言う事で、2人の女優に恐怖に関しての聞く絶好の機会だった。ルーは話題に事欠かなかったが、ヴィルジニーは何が怖いのかを浮かび上がらせるのに苦労していた。

ELLE. ヴィルジニー・ルドワイヤン、怖いものってあります?
ヴィルジニー・ルドワイヤン.決まって何かが怖いと言うのはありませんが、自分の身内が亡くなるのはいつも怖いと思うわ。それから心配して、注意することもあるわね。例えば、デパートに行って娘の姿が見えなくなるとか。だから、絶対目を離さないわ。後は道を渡る時は、娘が私の手を離したら、その手をきちんと握るわ!

ELLE.アガり症ですが?
V.L.すごくアガる方ね。だから誤魔化そうとするの。他人も自分自身もね。常にそんな風に見えないようにしているつもりだけど、他人にはそれが見えないって自分だけ思っているのかも。でもおそらくミエミエなのかもね・・・顔にもそれがはっきりと出てて、それが見えないって思っているのは私だけなのかな?

ELLE.それも経験を重ねることで変化して来ましたか?
V.L.以前ほど怖くはなくなったみたい。それに身を投げ出すことも出来るようになかったし。以前は硬直しちゃって、こんなの無理って思うこともあったわ。でも今は平気。一線を越えたみたいね。

ELLE.子供の時、怖かったのは?
V.L.戦争。『アンネの日記』を読んで、食べ物がなくなったら、どうしようって想像が止まらなくなって。その時も心配になったの。家中の棚を開けて、絶対にもっと買い置きしなくちゃと思ったり。自分が両親から引き離されたらって想像もしたわ。そうなったらどう再会できるのかとか。もっと可笑しいのは、地球は丸いって知った時のことね:そんなのひどい、だっていつも倒れちゃうって思っていたの。私が知らない移動の方法を、他の子たちに教えているんだって。

ELLE.現実主義だと思いますか?
V.L.ええ。何かが怖くなっても、それを克服する方法があるんだと。子供の頃の思い出があって、これはその場限りの話ですけど、5歳の時、広場で遊んでいたら、男の子に親も死ぬんだぞって言われて、その子に嘘つきって言ったのね。その時の眩暈のような感じを今でも覚えています。

ELLE.訳のわからない恐怖は?
V.L.暗闇とか大きな家とか、一人でいることとか、飛行機に乗るのか、世界の果てへ行くのも平気です。自分よりも他の人のことで怖くなることが多いみたい。あと、昆虫が苦手ですね。嫌いです。このテラスにハチがいたら、話続けることはできるけど、体は硬直してるでしょうね。芋虫とか蝶もだめです。昆虫はどんな種類も好きになれないんですよね。うごめく奴はみんなもうダメ。

ELLE.学校に関連して怖かったことは?
V.L.子供の時は、代数と計算が得意だったんですね。その後、幾何学を習いはじめて。それが全く理解できなかったんです。まったくダメで、無能になった気がしました。幾何学にはコンクリートの壁を作ってしまったんです。もう少し違った反応ができていたらなって思いますけど・・・

ELLE.映画を見て怖がるのは好きですか?
V.L.ええ。登場人物に自己投影できて、その怖さがどこから来ているのか分らない時。ロマン・ポランスキー監督の『ローズマリーの赤ちゃん』『反撥』『テナント-恐怖を借りた男』が大好きですね、誰が狂っているのか分らないから。見ている方からも距離がないんです。反対にスプラッター映画は全然怖くないです。グロになるほど、恐怖は薄れますね。

ELLE.子供の頃見て、怖かった映画は?
V.L.スティーブン・スピルバーグが脚本を書いた『ポルターガイスト』です。TVを通して誰かがメッセージを送って、私たちを催眠にかけてしまう。番組が見えなくなってしまう、砂嵐状態のTVがとても怖くて、こちらには見えない催眠にかけようとする何かを受け入れるのがTVなんです。それがロボットの軍団に過ぎないのに、こちらにはそれが分らないというのが怖くて。でもこれは真実からそれほど遠くないって思います。同じ意味でジョージ・オーウェルの『1984年』を読んだ時も、私はパニックを起こしましたね。

ELLE.『サンタンジュ』を見て怖くなりましたか?
V.L.ええ。とても興味深かったです。お話は完全に暗記しているのに、ストーリーからは完全に遠ざかっていました。話の順序が分らなくなって、場面、音、音楽、そして映画の雰囲気に飲み込まれたような気がしました。

ELLE.繰り返し来る悪夢は?
V.L.近親者が死ぬこと。

ELLE.結論は?
V.L.私が怖いのは、あり得そうなことじゃなくて、一貫性だと思うの。


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