公式サイト/雑誌 15 -25 ans.com のインタヴュー和訳:

-ジャン=フランソワ・リシェ監督との出会いは?

ジャン=フランソワとは数年前、映画祭で出会ったんですね。とても印象深かった" ETAT DES LIEUX" (直訳:現状証明書)を見たばかりで、その後、"MA 6-T VA CRACK-ER"にチョイ役で出演してくれないかと頼まれたんです。でも彼と本当に仕事をしたいなって思っていたので、不満だったんですよ。でもある日、この映画"De l'amour" になるストーリーを私にしてくれたんですね。

-映画への出発点だったアイデアとシナリオの完成版ではたくさんの違いがあったのですね。

ええ、これは彼の3本目の映画で、彼の人生でも映画へのアプローチの仕方でも変化があったのでしょうね。シナリオの第一稿は、5年前に出来ていて、あまりにも辛いものだったから。最終版も型にはまっていないし、より公正になっていると思う。彼が語ることがさらに聞こえてくるようになっていると思うし、より印象深くなっていると思うわ。

-そんな風に発展して行って、ラジカルに映画の題名さえ変えた訳ですよね。

そうなの!最初は" L'avenir est derriere nous"(直訳:未来は私たちの後ろにある。)だったのね。そのまま、このタイトル以外はない、絶対変えないはずだったのだけど。"De l'amour" なら変わって行く人たちに本当の希望をもたらすだろうってことになって。この映画は「許す」ことについての映画でもあるから。

-監督は、演技指導や映画を具体化するのに独自のやり方がある人ですか?

とてもシンプルなやり方ですね。演技指導にしろ、演出にしろ、照明にしろ、自分がどうしたいか知っている人です。でもいつでも対話をすることが出来る人です。マー・ソデュップと彼は、二人の女性が中絶について話をするシーンを書き直したんですよ。最初に書かれていたように女性は表現しないって皆、思ったからです。これは彼が本当の意味で女性の主人公を演出した初めての映画だと思います。

-マリアと言う人物になりきるのに、下準備をされたのですか?

その質問に答えるのは難しいわ。私は、登場人物もストーリーも受け入れる必要があるから。つまらない映画でいい役を演じるのは難しいもの。だから監督が持っている世界に完全に入り込まなければいけないのね。マリアは本当に演じてみたいと思った人物なの、ステレオタイプな役じゃないからよ。

-マリアはどんな人物なんですか?

自分自身を発見する、変化しつつある人物です。同時に私自身もこの役を見付け出して行ったのです。こう言う役を演じることが出来るのはいつも素晴らしいことですね。現在の、実社会に根ざした女性です。20歳で無意識から意識への変化があって、気まぐれで、イライラさせる所もあります。人より声も大きいですしね、誠実さもないし自分は人より賢いと思っています。他人の立場を考えない人ですね。工場で働いているんですけど、自分なら簡単にレストランの経営が出来ると思っているんです。彼女は下着を盗んでもそれを認めようとしません。あまり自問しない人です。自分は自己完結していると思っている。でも悲劇的な体験の後で、自分を発見し、自分が誰なのか、他人との関係において自分の立場がどうなのかを良く分るようになるのです。愛着が持てる人物ですけど、無垢な可愛そうな人物とならないようにする必要がありました。そうだったらあまりにも安易だからです。彼女は気が強くて反抗的で、怖い物知らずと言う役柄にした訳です。

-恋人であるカリムの役は、優しいマッチョと言う感じですが?

良くいるタイプの男の子ですよ。自分の車に固執しています。タバコも中で吸わせません。主義がたくさんあるんです。マリアの経験が彼の男性観や、逞しさに干渉するんです。これまでの考え方を揺さぶり、当惑するんです。それが愛なんですね、固まってしまった考えから抜け出て他者へ向こうとする。彼はマリアの敵を討つんじゃないかと思いますが、そうはしない。彼女は殺人は犯したくない。それでカリムは、お互いの愛を意識することが出来るんです。

-その経験が多くの人を変えていくきっかけとなる。

全員が変わったんです。他とは一線を記す経験かしら?私はそう思う。自分を恥じることってあるもの。でもそれをどう他人にしたらいいか分からないの。閉じ込んでしまう経験ね。マリアは起きた事を拒絶して、話そうとしない。言わない事で帳消しになるかのようにね。それでカリムと別れるの。

-この経験の後で、マリアの両親が画面に出て来なくなりますね、まるで彼女が完全に大人の世界に入ったことを意味するみたいに。

その通りね。まるでもう自分たちの居場所が突然なくなった見たいに。女性にとっては一番激しいやり方で彼女は大人の世界へと踏み込んだのだと思う。両親からも恋人からも友人からも離れて行ったのね。自分自身と向き合ったのよ。誰かの娘じゃなくて、マリアになったんだと思う。

-映画の冒頭では彼女はとても無関心ですよね。工場では自分はクビ寸前だと良く分かっているのに。

今は15歳の子供でも自分の生きてる社会を良く理解していると思う。そうせざるを得ないと思う。

-仕事場以外で、仕事の世界を描いた映画は少ないですね。

それが登場人物たちに現実味を与えているのよ。私もシナリオを読みながら、工場なんてもうないでしょと思っていたわ。でも違うの、あるのよ。現実に古くもなんともない。ジャン=フランソワの世界はとても現代的ですよ。インターネットの世界で仕事をしている人についての映画と同等と言ってもいいわ。工場で撮影した時、18の時からそこで働いて来たと言う40歳の女性と話しをしたのね。彼女たちは実在しているの。まだ多くの人たちが毎日をああやって過ごしているのよ。

-カリムを演じたヤジットは、自分で演技の勉強をしたとの事でしたが、これまでの共演者とは違いました?

同じですよ。最初は怖気づいて、どうしようって感じで可愛かったわ。でもとてもうまくカリムを演じたと思います。存在感がありましたね。最初に怖気づいていたのもすぐに自信へ変わって行きました。すぐに自分の居場所を見つけもの。登場人物は凄く書き込まれていましたから。手探りの必要はなかったですね。★