オゾン監督『8人の女』を語る

インスピレーション
もう長いこと、女性だけのキャストで映画を撮ることを考えて来ました。最近ジョージ・キューカー監督の"The Women"を再見し、この映画の原作となっている舞台劇への権利について問い合わせたのです。その権利はハリウッドでもう何年もの間ジュリア・ロバーツとメグ・ライアンが所有しているとの事でした。それで”フランス風 The Women”を作ることを諦めたのです。それから私のエージェント、ドミニク・ベスナールのお陰で、60年代にロベール・トマによって書かれた推理劇『8人の女』を発見しました、彼は1970年代に軽快なコメディでかなりの成功を収めた人で、あのアルフレッド・ヒッチコックも彼の作品の映画化権を購入したので、大もうけをした訳です。しかしその映画化を果たす前にヒッチコックは亡くなってしまったのです。

舞台から映画へ
『8人の女』はすぐにこの女性映画の企画にぴったりだと思ったのです。劇そのものは少し時代遅れになっている部分もあったので、大筋をキープして、推理劇の部分を単純にしました。登場人物に深みを与えて、また8人の女性たちの家族関係、ライバル意識もより複雑に現代的にして、ユーモアも強調したかったのです。

『推理劇』のサスペンスを加味したコメディ
古典的な推理劇、アガサ・クリスティ原作の映画を思い出すような密室で、犯人が登場人物の一人と言うサスペンスを加味したコメディを作りたかったのです。女性、女優、階級の関係や家族の秘密と言うことに関しても軽く面白い考察をしたいとも思っていました。ライナー・W・ファスビンダーの劇から映画化した『焼け石に水』もそうでしたが、今回の作品も人工的な映画なのです、女性の美しさやグラマラスさのために様式と仕掛けに重きを置いています。どの女優も美しく観客を夢見ごこちにしなくてはなりません、それで彼女たちの行動の残酷さや恐ろしさが観客に様々な反応をもたらすのです。

フランスの50年代
物語を50年代に設定したのも、それで籠に閉じ込められ一緒に生活をしている8人の女性の状況や、物語りのとっぴな部分や運命の逆転と言った事をより受け入れやすくするためです。また50年代、モノクロのジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャン・ドラノワやクロード・オータン−ララと言った監督たちの暗い映画よりも、ヴィンセント・ミネリ監督のミュージカルのテクニカラーの色合いやダグラス・サーク監督の絢爛なメロドラマを参考にしました。

シャンソン
50年代のアレンジを施し、出演した女優たちに歌ってもらったシャンソンが「異化」の役割を果たしていて、どの役も内面を曝け出して、感動的でコミカルなモノローグのような感じになっているのです。



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