Numero Nー24, Juin 2001 Scenario de filles  2001年 6月  女の子たちのシナリオ texte et photos par Philip Utz

マリー・ジランとヴィルジニー・ルドワイヤンが、美人女優の辛い生活を話してくれる。化粧品のCM契約やポートレート写真の恐怖、そしてひどい横顔や言い寄って来る男たち・・・そう、やはり彼女たちにその価値があるからと思わせる様々なことを語ってもらった。
 

マリー・ジラン:このカセットって、どの位の長さがあるの?私たち、どの位おしゃべりすればいいのかなって思って?

ヌメロ誌:好きだだけ話してもらっていいですよ・・・じゃあ、お二人の中で、より美しいのはどちら?

マリー:(笑)

ヴィルジニー・ルドワイヤン:あー!こうして2人いたら分らないわね。

マリー:美しさって言っても色々あるものね?

ヴィルジニー:内面の美しさなら、もちろん私よね。はっきりさせておきましょうよ。外面の話は、あなたに任せるわ、マリー、どうぞ!(笑)私は、幸い鏡を見ても、誰かと自分を比較することはしない、それに鏡はあまり見ないし、どっちにしろメガネをかけないと全てぼやけちゃっているの。

マリー:考えて見ると、それは実用的よね。

ヴィルジニー:ええ、もう完璧。吹き出物があったとしても自分じゃ分らないから。それに美しさって凄く主観的だもの。ブロンドが好きな人もいれば、黒髪が好きな人もいる。背が高い人や太っているのが好きな人もね。知っている人の方がいつも美しいって思えるもの、顔の特徴も分るから。

マリー:俳優の仕事をして、イメージが固まることがないようにしているけど、写真はもっとデリケートね。私は写真撮影で自分を顔を分析するようになったわ、横顔は左側の方がいいなとか自分の鼻は少し長すぎるなとかね。

ヴィルジニー:私は自分の顔って、よく知らないの。この間もフランソワ・オゾン監督に横顔はどっちが好きかって聞かれて、返事に困ったわ。全然どう答えたらいいのか分らないんだもの!自分の顔はあまり見ないわ、それにいつも何か新しい事が見つかるの:ここにほくろがあるとか、あっちにあざがあるとか・・・自分を全体で捕らえる方なのね、手や身体や動き方とか・・・

マリー:それでいいんじゃない、つまり悪い横顔じゃないってことよ。あるいはどちらもひどい横顔ってことかも。

ヴィルジニー:うん、その方がいいのよ、方向音痴でいつも左右を間違えるの。左の横顔がいいって自分で言って本当は右って思っているのは
私なら完全ありえるから。

マリー:そうか方向音痴なら、こういう拘りもなくなるんだ。

ヴィルジニー:写真撮影だと自分の態度にいつも驚くのね、自分の姿勢の取り方とかに。映画では役柄に合わせた動きをするから違うでしょ、映画の撮影では自分の身体、声、気持ちで演技するけど、写真は動かないから。だから写真は気を使うわ。役柄の後ろに隠れることが出来ないから、余計難しいのね。

ヌメロ誌:でも、ヴィルジニー、あなたにはその価値があるから・・・

マリー:(面白がって、ヴィルジニーに)この質問への答えはもう準備済みでしょ?

ヴィルジニー:全然。聞かれたことがないもの。自分にはどんな価値があるのか知らないけど、価値があるわけなの、フランスではこのスローガン、受けが全く良くないわ、音の響きが悪いのね。でもうまいマーケティングだとは思うけど。つまり自分が誰であれ、自分には価値があるって言っている訳だから。私にはその価値があるからって言うのは、私がヴィルジニー・ルドワイヤンだからじゃなくて、むしろその反対なのよ。スローガンに自分を重ね合わるのであって、スローガンが自分に合うんじゃないのね。だからその価値がある女の子は広告にたくさん出ていて、道行く女の子を誰でもいいから選ぶと、彼女にもその価値があるわけ。自己認識に作用するのよ、マーケティング戦略なの、私にその価値があるのは、その商品を使う全員にもその価値があるわけ。素晴らしいアイデアでしょ。

ヌメロ誌:で、一体いくらの価値になるんですか?

ヴィルジニー:いくらもらっているかってこと?それは言わないわ。大金よ。映画でもらうギャラより多いわ。

ヌメロ誌:でもあなたがロレアルの宣伝で『私にはその価値があるから』と言う時、フケ止めシャンプーあるいはもらえる契約金のどちらをほのめかしているんですか?

ヴィルジニー:商品を使うに値すると言う意味で言っているわよ。ロレアルのシャンプーのことね。その商品を使うに相応しいから、それを使う価値がある、それが30フランであれ300フランであれ、それは関係ないわ。

マリー:これを謙遜しながら言うのは難しいわね。でも今では変ったんじゃない、『私たちにはその価値があるから』に。あるいは『あなたにはその価値があるから』。より庶民的になったと思うけど。

ヴィルジニー:でも撮影現場であのセリフを毎回言うのはもうたくさんって感じね。だってあの部分だけ数カ国語で撮るのね。日本語、ロシア語、イタリア語、ドイツ語・・・スローガンが嫌なんじゃない、その反対で、私は面白いと思う。自分が思うように言えるから。あのセリフはあらゆる方法でこき下ろされて来てるから、皮肉ったり、あざけ笑ったりね。それに私も最初は笑ちゃったから。今では軽くて可笑しくなってしまったのね。自分自身の価値を表現しているのはなくて、目配せなのよ、言葉遊びって言ってもいいかな、どんな風にも使えるのよ。

マリー:本当に色々解釈ができるのは明らかね。広告の仕事は写真家や監督たちとの出会いもあるわ。当初は自分自身のイメージが跳ね返って来て、頭が少し空白状態だったの、了見が狭かったのね。写真の版権を欲しがったくらいよ。今では演じる役が増えたんだくらいに思っている、結果が良ければそれでいいし、良くなければ仕方ないわって。とにかく写真家か演出家に任せて、自分は撮影を楽しめばいいんだって分ったの。宣伝に出たら、大作に出られるようになるかも知れないけど、作家の映画では、反対に邪魔になるかもね。

ヴィルジニー:でもあなたのランコムのイメージは物凄く自然よ・・・結局、私は監督の気持ちに影響出来るとは思わない。自分を撮りたいと思うか、撮りたくないかでしょ。それにイメージを超えて影響することもたくさんあると思うわ。ランコムであれロレアルであれ、化粧品会社はいつもメディアに露出していて大衆的だし、マーケティングが行き届いているから。女性誌を見たら、マリーか私が出ている広告があるんじゃない、ヌメロ誌の"向かい合って"見たいな女優としての私たちがあるテーマについて対談するなんて、有害かも知れないもの。でもメディアに曝され過ぎるのは避けたいわ。多くの監督たちは新人を発掘したいと思っているからこう言うわよ、「ああ、この人はもう見たし、今後も見るだろう、もうこれ以上見たくないな」ってね。

ヌメロ誌:契約では起き抜けに隈が出来ていたり、朝、鼻の下に風邪熱が出てたりしても平気なんですか?

マリー:風邪熱とは上手く折り合いをつけるわ、私が頼んだら消えてしまうもの。

ヴィルジニー:それに現場へ行ったら、きちんと面倒見てくれるのよ!才能溢れる人たちが綻びを直すために報酬を受け取っているんだもの・・・

マリー:ある種の整形って言ってもいいわね・・・

ヴィルジニー:でも美醜に関係なく、顔は常に何かを伝えると思う。

ヌメロ誌:今年、お二人はカンヌ(映画祭)へ行きますよね?

ヴィルジニー:私は行くけど、マリー、あなたは?

マリー:行くわよ。

ヌメロ誌:その際の衣装も自分で選ぶんですか?

ヴィルジニー:まさか!

マリー:あさって出発で、私はカンヌへ行く前日までパリに戻れないから少し心配なの。衣装が見つからなくて!

ヴィルジニー:あぁ!あさってカンヌへ行くの、「嫌だ、映画祭もう始まってるんだ!」って思っちゃった。私は20日に行くんだけど、閉会式に参加するだけ。でも行って何をするのかまだ分らないからギリギリになるまで何もしないわ。ロレアルの仕事で行くのね。私はあの階段を上がるのが大好きなの、怖気づいたりもしない。自分の映画が上映される時にあの階段を上がったことがないからね。だから自分の映画がカンヌで受けるかどうか心配している人と比べたらいつも自由な気持ちでいられたし。だけどいつも怪我をしないかって心配なの。でもそれは映画祭以外でも常に感じてることだから。とにかく不器用なんだもの。去年は映画祭の司会を任された時は、ステージでひっくり返って四つん這いになっている自分を想像しちゃって・・・あらゆる最悪のシナリオを考えてしまうのね!

マリー:だからハイ・ヒールに裾の長いドレスはなしね・・・

ヴィルジニー:そう、シャネルのオートクチュールだったわ。

マリー:あなたはよくシャネルを着てない?

ヴィルジニー:だってシャネルならいつもお気に入りが見つかるの。比較的派手じゃないし、体にフィットして、しかも着心地が素晴らしい服だから。

マリー:私はイヴ=サン・ローランとヴァレンチノが好きね。でも今年は何を着たらいいかまだ分らないの。今朝、サン・ローランのお店へ、冬服のコレクションを取りに行ったのだけど黒いのばっかりになっちゃって少し悲しい感じなの。だけどもう注文してしまったのにギリギリになって服を替えるにも気が引けるわ。

ヴィルジニー:でもあなたが服を買ってくれるのなら向うは大満足だと思うわ。広報は大喜びじゃないの!シャネルは、期限が迫っている時に行っても必ず何かが見つかるのね。でも衣装合わせは、うんざり。だからいつも自宅へ送ってもらっているのね。衣装はあまりに早くから用意してしまうと、着る時に面白味がなくなってしまうから。私が好きなのは、あのいつもとは違う、変身っていうか変装って面なの、着る衣装を仕上げるのに1週間もかかるなら、あの階段を上がる時にはもう見飽きてしまっているもの。

マリー:そうね、でもあの階段を上がる直前に、ギリギリで何かをすると一種の狂気っていうか、桁外れに大胆になって本当にクリスマス・ツリーみたいに自分を飾ってしまうの。それに髪型もよ。2人で行った年のことを思い出した。あなたは凄い地味なのに、私はクリスマス・ツリーだったもの。

ヴィルジニー:(爆笑)

マリー:髪を巻き毛にしていたのね、着る服が見つからなかったの、それまで考えていなかったから。それで当日になってカンヌのブティックで、
真珠が付いた魚網みたいな奴を見つけたの。本当に凄かったのよ!この黒いビュスチェが付いた古い魚網を見つけるのに町中のお店を回ったの。それで歩く度にスプリングみたいに揺れる巻き毛にしたらいいって思ったのね。

ヴィルジニー:閉会式で賞を渡さなければならない時のことを思い出した。本当に衣装の話は頭が痛いので、シャネルにロング・ドレスを4着、自宅に送ってくれるように頼んだのね。ドレスが着いて、でも私がすぐに試着したと思う?そのまま置いておいたの。気に入ったものを一着選んだだけで、その後は何も考えなかったのね。カンヌで閉会式へ行くのに7時に車で迎えに来てくれる手筈になっていたの。6時半位になって、着ようと思っていた服が私のサイズの3倍もあるのに気づいてね。バカでかいの。それでホテルにいた友人の編集者を呼んで、「来て手伝って、どうしたらいいか分らないの」って言って。その服を修繕しようとしたんだけど、まったく上手く行かなくて。それで彼女が黒のとても綺麗でシンプルなドレスを持ってきてくれたのね。それがモルガンだったの。凄いミニのドレスで階段を上がって行くと、皆一様に、「そのドレスは何?シャネル?イブ=サン・ローラン?」って聞いてくるの。私は大喜びで、「モルガンよ」って答えたわ。

マリー:映画祭で不安になるのは、突然全く知らない人たちに囲まれる時ね。空港に着いた途端に電話が鳴り始めるし。皆、君の部屋のところににいるぞ。連中は廊下で寝ているよとかね。それが3日続いたと思うと、皆来るより早くいなくなってしまうんだもの。

ヴィルジニー:特に何かを貸りている時がそうね。夜中ボディガートにいて欲しいの、だって目が飛び出るほど高額な代物なんだもの。

ヌメロ誌:お二人ほど顔が知られてしまうと、余計に声をかけてくる男性がいるんじゃないですか?

マリー:この間もカフェ・ド・フロールであったの。凄く感じのいい、自称小説家って言う男性が私の隣に座って、自分の本を話を私にするのね。
上機嫌で帰って行ったけど、私は鈍いから、分らなかったの、本を送るからって言われて、もう少しで住所を教えてしまうところだった・・・

ヴィルジニー:マリーのベルギー人的気質よね。凄くナイーブ。私なら相手にしないわ。それに私、ナンパされたことは少ないもの。

マリー:それは、きっとメガネをかけているからよ。あなたにある種の権威をもたらすのね。

ヴィルジニー:私は素早いわよ。

マリー:でもすぐにナンパだって分るの?私はいつも気づかないわ。

ヴィルジニー:私はすぐに察知するの。二人の男の人が自分に向かって来る時も、はっきり分かるわ。だから本に顔を埋めるようにしていると、5分も経てば、向こうも飽きて、計画中断。一番傑作なのは、いつもナンパしようとして、こちらが誰なのかを知らない振りをする人たちね。あるいは「俺はあなたが誰であろうとどうでもいいや、女優なんて興味ないから。」って態度を取って高飛車や感じの人たち、こっちは何も頼んでもいないのにね。その態度もミエミエ:こっちに気付いているけど、全く気付いていないように振るまうの・・・まるで偶然みたいに!でも自分の前を何度となく行き交いするのは、こっちを見ていないよって証明するためにね。古典的な手口でしょ。私も使った手口よ。特に好きな男の子がいて、彼にそれがバレないようにしたい場合ね。ほら、ツンとして、前を通って行くの、「彼、私を見た?私を見た?私を見た?」って思いながらね。

マリー:そこでおもむろに外へ出るんでしょ!

ヴィルジニー:そう、そう言った手口ね。(笑)私は転んだ時でも、さっと立ち上って、どんなに辛くても止まらないで歩くの。あるいは靴ヒモを縛るフリをするわね。

マリー:靴ヒモがない時でも?

ヴィルジニー:こう言う場合いつでも靴ヒモはあるのよ、なければきっと自分の鞄に何かあるわ。★

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