Paris-match Mai 2002

ヴィルジニー・ルドワイヤンのカンヌ映画祭好きは、クロード・シャブロル監督の"セレモニー”(邦題『沈黙の女』)に出演したからだろうか?クロワゼット通りの砂が、オリヴィエ・アサイヤスが彼女を沈めた『冷たい水』から遠く、数年前、レオナルド・ディカプリオの横で騒いでいたダニー・ボイル監督の『ビーチ』を思い出させたのだろうか?何であれ、オゾンの『8人の女たち』から第55回のカンヌ映画祭(カナル・プリュスが今年も放送する)の司会を務めるのは、ブノワ・ジャコー監督の『シングル・ガール』であるヴィルジニーなのだ。子育ての合間と撮影-ジャン−ポール・ラプノー監督の新作"Bon voyage"にイザベル・アジャーニと共演する-を縫って、彼女は半年前に母親となったのだが、カンヌの新しいミューズは、読者のために本誌パリ・マッチの階段を上がってくれた・・・

-司会を務めるのはこれで二度目ですが、司会をやるのは大変ですか、あるいは天職のようなものですか?

二年前に初めてやった時は、ストレスも感じましたが、おかしかったです。私は生中継と言うのも初めてのでしたから。カナル・プリュスのスタッフたちと楽しく仕事をしました。映画界の心臓部に入れて、それもジル・ジャゴブのお願いとあらば、断る訳には行きません。それに今年はウディ・アレンを迎えることが出来るのですから、素晴らしいですよね。

-”セレモニー”での台詞は自分で書いているのですか?

スタッフたちと共同でやります、書いた後は、それを暗記しなくてはならないんです、私は近視がひどくてプロンプターが使えないんですね。各賞を受賞するためにステージに上がって来る人たちの気持ちが直に伝わってくるので、開会式よりも閉会式の方が好きですねぇ。

-衣装も自分で選ぶのですか?

私が無名の頃から良くして頂いているんで、シャネルを着ることにしています。いつも衣装を貸してもらっているんです。シャネルの衣装とロレアルのメイクですね、ロレアルとは今も契約を続けてもらっています。

-あなたの話は少しシンデレラの話みたいですね、あなたはよく慎ましい郊外の美しい花だというように紹介されますよね。

いつもそんな風に語られるのは仕方のないことなんでしょうけど、郊外の話と言うのは、ファンタジー風なんでしょうね。でも両親もそうですが、パリで生まれて、オーベルヴィリエで育ったことも誇りに思っています。何かに困ったことはないし、私の両親は知的だと思うし、きちんと生活していますから・・・

-お父さんが露天商だと言うのは本当なんですか?

私の両親は離婚していて、縁日の露天商をしていたのは母の再婚相手です。私の父は、市場で働いていました。今では見本市で仕事をしています。輸入/輸出の仕事です。口八丁手八丁って感じでした。見物人たちに宣伝をしながら、商品を売っていたんです。父の口上を聞くのが大好きでしたね、まるでお芝居を見ているような感じで。あのエネルギーや話の流暢さはどこから来るんだろうっていつも思っていました。例えば、パリとマルセイユだったら、絶対同じやり方じゃやらないんです。熟練した俳優のように即興で出来るんですね、セールスの曲芸師と言ってもいいんじゃないかしら。

-これまでの作品で一番勉強になったと思うのはどの映画ですか?

何本があると思いますが、すぐに浮かんで来るのは、オリヴィエ・アサイヤス監督の『冷たい水』です。オーディションが大変だったからです。撮影中は、オーケストラの指揮者のように監督がどうやって映画を構築していくのか、そのやり方に初めて興味を持った作品なんです。ブノワ・ジャコー監督の『シングル・ガール』もあります。この映画はリアル・タイムの撮影なんです。私はほぼ全フレームに写っています。この映画ではカメラを怖がらずに、またカメラを誘惑するのでもなく、俳優とするようにカメラと演技していたと思います。

-レオナルド・ディカプリオと出た『ビーチ』ですが、これはあなたのキャリアで別格の経験でしたか?

あの映画は大変でした。でも少なくとも、あの大作で英語で演技をする機会があった訳ですから。自分の母語以外で演技をするのは難しかったですね。反射神経やいつもの行動も同じではなくなるし、それにスターとの撮影は、おかしな経験でした。警備の問題があったり、突然パパラッチたちやファンに狙われたりしたりで。

-『8人の女たち』では、密室での撮影でしたが、それも単純と言う訳ではありませんよね?

あれは、奇妙ですけど、殆ど演劇と同じ感じでした。同じセットで、各自に小部屋があって、同じ衣装を着て、同じメイクに同じ髪型でしたから。映画では珍しい事です。皆常に一緒に演技をしました。私たちが喧嘩をするんじゃないかとか言われていましたけど、そんな事全くありませんでしたね。女性同士だけで仕事をするのは素晴らしい経験でした。誘惑したり、裏切ったりする男性がいない訳ですから。あの映画では大衆演劇的な大げさな面も私は好きでした。とても演劇的な撮影だったと思います。

-では、観客と舞台がある本当のお芝居に出たいと思いますか?

以前は思っていましたけど。全然お呼びがかからなかったので。実はお芝居を見に行くとすぐに退屈してしまうんです。でもヒット作に恵まれたら、素晴らしい経験が出来るのでしょうね。映画では得られない気持ちがあるのだと思います。今ではそうですね、もし良いお芝居なら、やってみたい気にはなっています。

-あなたのような若い女優にとって、スターとは何ですか?

私にとって、スターはやはり才能のある人ですね。今では、スターにも自己投影出来ないとならないみたいですけど。例えば、マレーネ・ディートリッヒのような人だと自己投影なんて考えられませんけど。新しいスターは、ジュリア・ロバーツのような欲望をそそる女性なんでしょうね。

-自分にもスターの気質があると思ったことはありませんか?

そうならいいなって思ったことはありますけど、でもスターになるより私は映画に出る方がいいです。スターの待遇って、とても快適でしょうけどね!映画に出るって言う気持ちは、毎日の生活の中では長くは我慢できないことだと思います。それはカンヌ映画祭だけでの事でしょうし、スター気取りと言うのもとても楽しいことですでしょうけど。

-あなたは働き者で教養があり、セクシーだと言われると思いますが、自分でもそうだなって思います?

働き者はそうだと思います。でも映画を撮る時だけですけど。それ以外でも何もしないで、人に会ったり、読書したりするのが好きです。でも私に教養があるのは読書のせいだってことにはならないでしょう。読書しても頭の悪い人はたくさんいるでしょうし!セクシーだと言われるのは、悪い気はしませんよ、そうじゃないって言われるよりいいですもん。

−自分を鏡で見る時は、何を見ますか?

変かも知れませんけど、自分の目に映るものを分析しようとは思いませんね。だから女優をしているのでしょうね、多くの役を演じられるように。でも美しさは私の自我には入って来ませんね、仕事を優先していますから。だから私は美しすぎて困るってことはないと思います。

-オーディションでは悔しい思いをすることもあると思いますが、その経験はありますか?

自分には出来ない役があるんだって言う事をすぐに理解したんですね。その反対に、私にしか出来ない役もあるのだと思いますが、いつもそれがすぐに分かるって訳じゃないので。

-あなたはしばらく前に赤ちゃんが生まれましたね。マスコミは母親になるのはこれまでで最高の役だと書き立てていました。母親になることがミスキャストだったら大変ですけど!

ええ、娘は6ヶ月なんです。リラと言う名前で、最後に"s"を書かないで"Lila"です。カビル人の名前なんです。でも母親であることは役割以上のことを意味します。私はあまり理屈を考えないで自然に母親をやっていると思います。母親になって得したとか損したは考えませんね。特殊な立場でしょうけれど。多分、人が言うように新しい女性になったのかも知れないけど、別人になったとは思わないわ!★



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