Paris Match N°2812, avril 2003

映画に出ないスター・ヴィルジニー・ルドワイヤン:ジャン=ポール・ラプノー監督の"Bon Voyage"では、ドパルデューもアジャニーも脇役となった。主役は彼女が演じている。本当に素直に。

彼女は26歳で、フランス映画界の「大物」の一人だ。でも私生活で18ヶ月になるリラちゃんが何よりも大切。ヴィルジニー・ルドワイヤンはもう27にもなる様々な役を演じて来た、12歳でTVドラマ"la vie en panne"でデヴューを飾った彼女ならではの記録と言える。「あなたはマリリンじゃないのだから、食事の後片付けをしなさいね」と母親に繰り返し言われて来た。4月16日に公開となる"Bon Voyage"ではイザベル・アジャーニ、ジェラール・ドパルデュー、そしてグレゴリー・デランジェ、イヴァン・アタルと共演し、仕事をして来た著名な監督たちのリストにジャン=ポール・ラプノー監督の名前を付け加えた。でも彼女の幸福は高級ホテルから遠く離れたパリ郊外の庭に隠れている。

彼女は美しくて、なめらかなイメージだ。最初はそれで少し落胆してしまった。彼女にどんな風に質問して良いのか、どうすれば、どんな工夫をすれば彼女の気持ちを、告白や苛立ちを引き出すことが出来るのかが分からなかったから。ホテル・ラファエルのバーで、背筋を正して座っている彼女に何を聞いたらいいのだろう?彼女は優しさと洗練さと正確さを記して答えてくれたが、まったくユーモアが感じられなかった。でも少しづづ、心を開いてくれた。フランソワ・トリュフォー監督の『家庭』に登場する不倫のチューリップのように、秘密のささやきを一つ、また一つとしてくれた。

その秘密への鍵は、リラちゃんだ、18ヶ月になる彼女の娘。リラと言う名は、チャーリー・ブラウンのせい?決して来ない婚約者からの手紙を彼はいつも待っていますよね?「そうね、と驚いたように大きな笑顔で答えてくれた、なかなか入れない同じクラブの仲間みたいな感じよね。この名前は色や香りや花を連想するでしょう、“L”があるから柔らかい感じがするの、これは私の好きなアルファベットなの」これで少し違った目で彼女が見れる、少しばかりヴィルジニーの人となりを引っ掛けたみたいだ。自分の娘をリラという名前を付けたのは、自分が“L”という文字が好きだから。目新しいことが見えて来そうだ。彼女は自分の出先へリラちゃんを連れて行く。「彼女は全て変えたし、同時に何の変えてないわ!子供への愛情のキャパシティって本当に凄いの!毎日愛情が大きくなって、もっともっと大きくなって欲しいと望むの!私はいつも若い間に子供ができるって思ったいたのね。なぜだか分からないけど、そうなるって知っていたわ。リラは私が望んだ時にやって来てくれたの。その準備が出来たって思うと、事は運ぶのね。数年前なら、だめって思っていたでしょう。以前なら、だめよ、一本、二本と映画に出なくちゃならないものって、そしたらある日リラが出来たのね。自分の中に彼女を受け入れる精神的な場所があったのよ」彼女が出来て、ヴィルジニーはリラちゃんの発する同じ言葉の繰り返しに狂喜する。「子供がいない生活はもう考えられないくらい!たくさん欲しいわ!今、電話をかけてもいいかしら? ルイが小児科に彼女を連れて行っていて、問題なかったか知りたいから」いや、どうぞ、どうぞ。ルイって誰かって?彼女と一緒に住んでいる男性です。「今はパリの近くに家族で住んでいるのね。庭が付いている素敵な家なの。どうして彼と結婚しないのかって?私は宗教とは無縁で育てられたから、神様を信じてないの。でも娘がしてって言ったら、結婚するわ・・・娘が花嫁の付き添い人をやってくれるのならね!でも今のところは、結婚は私には意味がないことだもの。ルイは私が一緒に時間を過ごして、生活を築いて行きたい人だから。男性って自分を美しくしてくれるし、どんな映画にも出ればいいんだって言う間違いを犯さない力をくれるし、一緒に気遣いあって二人でやって行こうと思わせてくれるから」ルイは彼女より15歳年上。ルイはフランス系アメリカ人。ルイはフランスに住んでいる。ルイは製作の仕事に携わっているそうだ。

彼はやきもち焼きはやかないの?彼女がキスシーンを演じても?ううん、地に足がついてる人だから。彼は物をあるべき所へ置ける人だから。ヴィルジニーはどうキスシーンを演じいるのかしら?「本気でする人もいるし、そうじゃない人もいると思うわ。私は本気でキスするほうね!」知らない男性とラブシーンを演じるのは大変じゃない?「無呼吸状態って感じね!軽い昏睡状態みたいなの。“アクション”と“カット”の間は、時間が止まったような感じね。その時間を生きているんだけど、本当は生きていないような感じがするわけ。とても変な感じよ、思いだせない瞬間なのよ。それが好きなのね。眩暈がするみたいなの!映画って自分では考えてもみなかったような事を発見させてくれるわ!希望とか欲望とかね・・・」全てが一緒にならないのだろうか、そんな場合でも恋に落ちるってことはないのかしら?「俳優に恋したことはないわ」映画で初めてキスしたのはいつでしたっけ?「私はあれを待っていたのね、キスシーンを演じてみたいなって思っていて、その相手がマルチェロ・マストロイヤンニだったの。私は14歳で、彼が66歳の時!あの年齢の男性にキスしたことはなかったし、気後れしたわ、でも彼の方が私よりも困惑してたと思う!私はなされるがままだってけど、彼は居心地が悪かったでしょうね・・・」それで分かった。ヴィルジニーは二重構造で出来ているのね。とても賢くて私の前で姿勢を正している彼女と、映画が作る穴倉へ向こう見ずに飛び込んでいく彼女。料理もするし、子供も産んで、読書して、ルイや友人、そして両親を愛している月のような存在の彼女と、目を閉じたまま危険を顧みず、スクリーンの中を疾走する女優の彼女。「中途半端がだめなの。とことんやってしまうの。間違いを犯すこともあるけど、激しい生き方をしたいと思うわ。なんでも “やり過ぎ”てしまう方なのね。タバコを吸っていた頃は、一日2箱だったの。それでタバコは止めたわ。悲しい時は、とことん悲しくて。陽気な時は、底抜けに陽気なのね・・・」演技をする時と、彼女の2つの“L”のお守りであるリラちゃんとルイさんに囲まれて落ちついた時、奈落に落ちないためのバランス感覚。どうやっているのだろうか?彼女にも分からない。彼女は綱渡りで進んで行く。どうやってバランスを取っているの?右のポケットには幸福な少女時代、左のポケットには愛する人たちの愛が詰まっているから。「私は素晴らしい子供時代をおくれたと思う、とても愛されていて、大事にされていたから。小さかった時は、両親には私と弟はいつもきれいで最高で知的で、世界で一番素晴らしい子供たちだって言われていたから、もちろんそれで自信が付いたんでしょう!」映画が好きになったのは父のお陰だと思う。毎週火曜日になると映画に連れて行ってもらっていたのね、時には当時の私には理解できない映画も見たの。でもそういう作品にも影響を受けるってことが好きだったの。彼女に吹きこまれた映画が、ステージに上がってみたいと言う気にさせてのだ。彼女はあまりに可愛い赤ちゃんだったので、ブレディナ(訳注:ベイビーフードの会社)の宣伝に出ることなった。その後宣伝の仕事が次々来た。ヴィルジニーは撮影を続けながら、密かに本当の女優になっていく自分を発見して行く。「でも私は女優よって言えるようになるまで時間がかかったわ!」始めは、仕事だって思えなかったの、仕事は何?って聞かれた時は、「学生」ですって答えていたから。“女優”と言うのは大それたことだと思えたから。女優って言うのは横柄な気がしたの。“comedienne ”俳優って言えるようになって、5年前位に女優って言えるようになったわ。そうだって言える様になるにはキャリアも積まなくてはいけないし。言ってしまったら、自分でそれを認めて、受け入れることになるから。それからの人生を女優としておくるってことを自分に言うことだもの!でもそれを言えた日に実現するんでしょうね。今では彼女は一人前の女優となった。彼女のために映画も企画される。飛行機に乗って、高級ホテルで写真撮影、映画祭の司会、人から賛辞も受ける。すこしクラクラするんじゃない?スターの気分にはならないのかしら?「そうなったら、すぐに見方を変えるようにできないとだめ。仕事で旅行ばかりしていた時、不平を言ってたこともあったの:”飛行機とホテルばかりじゃ飽きちゃうわ”って。あの時両親にこう言われて目が覚めたの!「どういう事なんだい?もう誰に会う時間もないって?そんな生活何なの?人生仕事ばかりじゃないでしょ」親友の女性にも言われたことがあるの:"あなたの話にはうんざり"って。"どうして、私の話は面白いでしょ?"って私が言うと、"ううん、本当にうんざり、もうたんさくだわ"って言われたことがあるの。その時は傷ついて自己弁護したけど、その後で自分に本当に注意を払ってくれて、見方を変えさせてくれる人達がいるのは幸運だなって思ったの。それにルイもいるし、うまく行かない時はきちんと言ってくれるから、彼も私の視点を変えてくれる一人。他人に頼りぱなしではないわ、自分自身でも注意できるようにしているわ、"ほら、もうその位にして!"って自分に言えるようにね。まるで第三者が"止めなさい!だめ!"って言いながら、現行犯で私を捕まえるって感じでね」

女優になるための第1条件はなにかしら?「一貫性があることだと思う。自分の気に入らない役は断ることが出来て、自分に似ていて信じることが出来る役を選ぶこと。私が映画に出る時は監督と脚本が好きになったから。これからも自分が乗り気になれない作品をオファーされても、断れる力を持てるといいと思う。お金のためとか有名になりたいからとかで出演するのではなくて、一貫性を貫いてある種、誇りのために自分の考えを持ってがんばって行きたいの。一貫性は、全てについて回るから、情熱や人生にもね。いつも上を目指して行きたい、それが望みね、一番綺麗でいたいとか一番頭が良くありたいとかじゃなくて・・・」他の女優さんに嫉妬することはある?「女優さんにはないけど、自分がもらえなかった役や一緒に仕事をしたいと思っていたけど、私のことを考えてくれなかった監督たちに対してならある、でもこの気持ちがなくなってしまう日が来たら、私は女優を辞めてしまうでしょうね。映画館で夢を見させてくれた女性たちがいたから、女優になったの。美しくて才能に溢れていると思ったから。彼女たちに少しでも近づきたいの、刺激的でしょ!」お金も刺激的?「どうでもいいわ。そう思えるのは稼いでいるからでしょうけど。お金が好きなのは自由を与えてくれるから。自由は好きな事をする時間ってことね。そうね、ロレアルの仕事も大好きよ。でもどの女優さんがいくら貰っているとか、私のギャラより高いかとかを知りたいとは思わないわ。私が欲しいのは、映画の役だから」足の下には張ってない綱渡りの紐。それは彼女が生きれない映画の人生なのね。彼女の生活をアイスクリームに例えるなら、映画の層と実生活の層、それに重ねて映画の層がある・・・「女優の仕事は大好きだけど、でも映画に出ていない時も大好きよ、出てない時間も大切なの、それが互いに補給し合っているの、どちらかが欠けることは考えられないわ。映画の仕事をしなかったら退屈してしまうけど、映画の仕事オンリーだったら、同じく退屈すると思う。大好きな人たちが必要だし、家にいたり、友人に会ったり、何もしないでいたり、買い物したり、実在の人物や現実から充電することも必要なの・・・」欲望はその状態だと持続する。演じたいと思うし、愛したいとも思う。一方が他方をリチャージしてくれる。そして気持ちも変わらない・・・今自分の生活で変えたいものは何もないと言う。例えば監督になりたいとは思わないそうだ。特に監督にはね!「演技をつけてもらうのが好きだから。マゾって訳じゃないけど、そうしてもらうのが好き。自分とは別の人なること、考えを掴み、それに命を吹き込む、わくわくするもの」そして実生活でもきちんとやるべきことをやる。それがヴィルジニーの秘密、人生の錬金術。それでなめらかで賢い雰囲気なんだ、映画に惑わされても、実生活で彼女はきちんと頭を冷やしている、ホテル・ラファエルのバーで私の前でも背筋を正して椅子に座っていた。



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