「オプ・アート」(訳注:グラビア撮影が行われたスタジオ)特有の視覚効果でも彼女は落ち着いている。ヴィルジニー・ルドワイヤンは自分は地に脚が付いていると思っている。つまりハイヒールを履いていても自分を見失わないということだ。3歳の時、ベビーフードやラビオリの宣伝に出ていた。もうすぐ30歳、29本目の作品で女優生活15周年になる。しかし映写が終われば、すぐに帰宅の途へ、自分が育ったオーベルヴィリエと娘リラちゃんが育つモンルージュへ戻って行く。4歳にして母親のデビューよりも早くラプノー監督作品『ボン・ヴォヤージュ』のゆりかごの中で映画出演を果たした。ヴィルジニーはその娘に何よりも「本当の自由を・・・」望んでいる。きっと彼女も自分を見失うことなく夢を実現するに違いない。

14歳でスタートした映画のキャリア。今、プライベートでは一息ついて、ガド・エルマレと共演の"La Doublure" で30歳の誕生日を祝う。彼女には人生を薔薇色にする才能がある。ヴィルジニー・ルドワイヤンは動じることなくそのコツを教えてくれる。:「満足できる企画のオファーが続けてあるし、映画に出ない時には、自分の生活があるから。その生活にも満足してるわ」
 

映画でなら、嫌な感じの女性も、いやアバズレさえ彼女なら簡単に演じることができるだろう。フランシス・ヴェベール監督のために、恋する可愛そうなガド・エルマレへ矢を放つのも造作ないような印象を受ける。誇り高く、そっけなく優しさとは対照的だ。もう11年前に『シングル・ガール』で監督のブノワ・ジャコーは優しい表情には対比的なこの視線を使っていた:17-18歳で彼女は固い独立心を放っていた。実生活ではヴィルジニーはもっとニコニコしてはいるが、彼女の微笑みには権威めいたものがある。「自分の中には堅い芯があるのね、内側はすごく堅いのと彼女は同意する。独立してて意志が強いの。何かを手にするためにはトコトンやっちゃうみたい!最後まで行くの!」この「トコトン主義」そう、極端までやる傾向のせいでジャーナリストを苛立たせる一面を持ち合わせているから、抑制されてると感じるのだろうか?
 業界では彼女は自分の個性を持ってるとの評判だ。それは間違ってはいない。機転も利くし、効率的で時間を無駄にはしない実用主義者でもある。しかし努力することも惜しまない。「撮影現場では、とヴェベール監督は語る、彼女はとても臨機応変だったね、彼女の評判は聞いていたからそれで驚いたんだ。ガド・エルマレとのピザ屋のシーンでは、37テイク撮った!一緒に可笑しさとロマンティズムの中間にある相応しいトーンを見つけたんだ」37テイク撮る間は爆笑することもあったね。エルマレが言う「あのピザ屋のシーンでは、僕が彼女に指輪を渡すんだ。この小さな箱を開けるのに苦労してね。彼女が苦労すればするほど、僕は開けられないようにブロックするんだ!」ユーモアは人物評価をする際のテストでもある。ある夜、彼はロレアルの宣伝のヴィルジニー・ルドワイヤンを演じてみせる:「僕は髪が”後退してる”止めろ!ロレアルが・・・と言う」大爆笑。「彼女もあの文句は少し変だと思っているんだ・・・自分を嘲弄してる」
 そしていつもセルフ・コントロールもしている。撮影真っ只中、シャイヨー宮の上から男が投身自殺をした、ヴィルジニーは即製で出来た心理カウンセリングは必要としなかった。「スタッフはシャイヨー宮に背を向けて撮影してたから、男性が落ちて潰れるのを見たのは私だけだったの・・・私の出番の初日で、ガドにキスするシーンの撮影だったの・・・」彼女は帰宅せず、女友達と一緒に夕食を共にした。「現場で夜を過ごしたくなかったから」悪いことは忘れて、前進し、ポジティブに思考し、確かなバランスを取る。恐ろしい光景が”時々断片的に”甦ることがあっても。
 身を投げ出すことは他でやっている。私生活では間違いないだろう・・・演技でもそうだろう。「何も見えなくなる瞬間が好きなの、自分が自分でなくなる眩暈のような瞬間がね、別人になって自分を忘れて、自分を見ないで投げ出すの、あの投げ出す瞬間が好き・・・」29本の映画に出ることで演技を学んだ、彼女は演劇を勉強したことはない。「14歳から仕事をしながら学んだのね!」両親は娘が女優になるとは思っていなかった。スペインからの移民で名前はフェルナンデス、ビルバオ出身で、(大)家族の数人はまだそこで暮らしている。家ではどちらかと言うとフランス語で話していたが、ヴィルジニーはスペイン語も話す。女優をやることになり、彼女は父方フランス人の祖母の名前を芸名に選んだ。話を自ら複雑にする必要はない・・・古典的な美しさを持ったこのイベリア人は6年間(ロレアルとの契約で)世界中で典型とも言えるフランス製品を宣伝してきた。「外国では何がフランス的なのかあまり良く分らないわ。エレガンスさとか食べ物を体言することなら別かもしれないけど・・・」愛国心という考えには困惑するそうだ:「私たちが生きてる場所を国で縛ることなんかないのよ!」多様な従兄弟たちと彼女はベネトンの宣伝にも出演可能だ。「婚姻関係のおかげで家族にはカビル人も黒人もアジア人もいるの・・・」考えは左翼、リオネル・ジョスパン支持委員会にも顔を見せたが、政治にはあまりインスピレーションを感じないと言う。「私は旗手という感じはしないわ、手本や代弁者になるのはあまりにも複雑でしょ。扉を開かせるのって」
 しかし政治に関しては彼女にも一家言あるだろう。オーベルヴィリエで弟と育ち、環境が悪くなるのを目の当りにしてきた。ゲットー化した郊外、さびれる住居や学校、文盲や親の失業問題など・・・ヴィルジニーの父親は露天商をしていた。27歳になる弟はなぜ俳優をやっていないのかと質問される度にイライラするという。「まるでそれが最終手段みたいな感じでしょ?弟は思ってもない事をカメラの前で言うなんて出来ない性分なの!」幸福な家庭だと感じられる。両親はひっそりと理性的に離婚してしまったけれど。「新しいパートナーたちと一緒に旅行していたけれどね・・」そう、ヴィルジニーは調和を持って再生した家族を持つ世代の一員だ。でもそれは自分の別離を回避する理由にはならなかった。今リラちゃんは4歳で彼女の両親は激しく喧嘩をしてるわけではない。「娘を一人で育ててるわけじゃないの。とヴィルジニーは主張する。彼女の父親との素晴らしい関係は続いてるから、お互い近くに住んでるし。会いに来て、娘の面倒を見てくれるし、いい人よ」ルイは15歳年上の製作の仕事をしてて、ヴィルジニーが自分に自信をつけるのをとても助けてくれた人。
 二人の関係は10年続いた。初めて大きく破れた恋は幻想も吹き消しただろう。「愛の見方が変わったと思う。否定的な意味じゃないけどと彼女は急いで強調した。より大人の意味でね」それに30歳を目前に彼女は自己を再発見している。自分は安心できるピグマリオンに付き添っていると思っていた彼女だったが、「(自分)自身の魅力に驚かされている」ベンジャマン・ビオレー(彼女のために子供を2人もうけたキアラ・マストロヤンニを捨てたとされる)とのロマンスの噂について説明を求めるのは論外だ。2人の写真を掲載した雑誌をヴィルジニーは訴えた。「娘と二人暮らしなのに」沈黙が流れた・・・それから抜け目なくこう言った「誰かが人の恋人を奪うなんてあり得ないわ・・・」
 ではタイプの男性は?年配の賢者の如くこう答えた。「年を重ねると「好き」とか「嫌い」とか言わなくなるのね。もっと陰影があるものなのよ。ある日原因が分っていても、言葉と行動が合わないこともあるわ!偏屈な精神の持ち主じゃないって証明になるわね。
 そう笑ってタンドリー・チキンを少し口にする。反対にセックスの話は平気だ。「性的な連想の対象になるのは好きだから・・・」困った女優さんだ、眼鏡をかけてもマルゲリット・デュラスが大好きなインテリで通せるだろうし、同じ眼鏡をかけても低い声でナンパする男たちを赤面させることもできる。やはり大女優ってことかな・・・■


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