Premiere 2000年2月号

23年の人生で、ヴィルジニーは13本の映画に出た。それは86年のジャンフランコ・ミンゴッチ監督の「蒼い衝動」で始まったが、真の始まりはそれから4年後、タイトル・ロールを演じた2作目、フィロメーヌ・エスポジート監督の「ミマ」からである。それから13本の作品が続いた。なかでも「ザ・ビーチ」はより国際的なキャリアへのパスポートなのだ。

「ザ・ビーチ」は後が大変だった!インタヴュー、写真撮影、世界中でのプロモと初めての大作の「アフター・サービス」に大忙しのヴィルジニー・ルドワイヤン。その間を縫って、昨日は郊外でストーミー・バグジーとジャン-フランソワ・リシェ監督の新作の撮影、明日はアメリカ人ジャーナリストとのインタヴューのためにハワイへ、明後日は、ジョゼ・ダヤンのフランス・アメリカ合作のテレビ映画、ドパルデューと共演中の「レ・ミゼラブル」の仕上げにプラハへと、常に飛行機を乗り継いで、息をつく暇もない。それでも地に足を付け、相変わらず読書と田舎での隠遁暮らしが大好きでもある。バニョレ風バーベキューと同じく既に長い自分のフィルモグラフィーの利点を有難く感じている今日この頃なのだ。

プレミエ:「ザ・ビーチ」のオーディションはどんな様子でしたか?

ヴィルジニー:フランスで外国の映画のオーディションをやる時と同じく通常通りのやり方で、キャスティング・ディレクターのケイト・ダウドがアメリカやイギリスのプロダクションのためにフランス人(俳優)を探していて、ダニー・ボイル監督が「ザ・ビーチ」のためにパリでオーディションをやっていると言うので、シナリオを受け取って、ダニーとプロデューサーのアンドリュー・マクドナルドやシナリオ・ライターのジョン・ホッジと会ったの。ボイル監督の「シャロウ・グレイブ」や「トレイン・スポッティング」を見てたから、きつめのセーターを着てとてもイギリス風な着こなしの、自分の映画に出て来るようなイメージの神経質そうな暗い監督なのかなって思っていたのね。でも、ダニーは本当に人が良さそうな、凄く表情豊かな目をした日本のアニメに出てくるような顔をしてて、いつもとても楽しそうなの。正確に言うとオーディションというより、自己紹介みたいな感じで、20分位話したわ。テストを受けてみるかいって言われたのね。だからふざけて、こう言ったの。「全然興味ないわ。私はテストなんて受けないの!」それからダニー本人が返事をしてくれたシーンをいくつかやって、2回目はギヨーム(カネ)と一緒にやったわ。その後は返事待ち。気を揉みたくなかったから、パリから離れていたの。3日後、ダニーから電話がかかって来て、この映画に出ることが分かったの。

プレミエ:派手にお祝いしたんですか?

ヴィルジニー:内輪でね。ほっとしたわ。役をもらえたからって訳じゃなくて、返事をもらえたから。自問しなくて済んだし。志願者もたくさんいて、テストが多いオーディションだと、チャレンジングだけど、すごくドライになるから。

プレミエ:その時は、競争を感じました?

ヴィルジニー:ええ、競争してるって感じがあって、居心地悪かったですね。いろいろ考えなくてもいいことまで考え始めてしまって。馬鹿馬鹿しくなってね。ダニー・ボイルと映画を撮れたら凄いけど、それが無理でも世界が終わるって訳じゃないから。

プレミエ:撮影当初はどんな感じだったのですか?

ヴィルジニー:'99年1月2日に現地入りして、小さな島、ピピリで2週間のリハーサルの後、16日から撮影が始まったのね。シーン、台詞、単語の意味とか、撮影に支障をきたさないように特訓したわ、技術的に大変な撮影だったから。

プレミエ:ディカプリオとの出会いは?

ヴィルジニー:現地に着いた、翌朝、浜辺でね。自己紹介するのに全員いたわ。レオはショーツ姿で、私たちを本土へと運んでくれるモーター付のカヌーに、共演する友人2人と一緒に乗ってやって来たの。挨拶をして、それで終わり、特別な事は何もなかったわ。おかしかったのは、世界中から集まった俳優たちが30人もいて、自己紹介するの、"こんにちは、名前はヴィルジニー、フランス人です。みたいにね・・・"ダニーは演劇界の出身だから、ああいうやり方が好きなんだと思う。私にとっては新鮮でとても勉強になったわ。皆の個性が分かったし、何も言わないシャイな人もいるし、自分の両親の話をし始める外向的な人もいたし。モリで魚を捕ったりとか、ストーリーで描かれるコミュニティでする活動を学んだのね、最低でも間違った身振りをすることはなくなったと思うわ。

プレミエ:"スター"とのラブ・シーンを撮るのは心配でしたか?

ヴィルジニー:いいえ。レオであれ、ギヨームであれ、大して変わらないもの。私が望んでいたのは、4ヶ月間一緒に仕事をする訳だから、お互いうまく行けばいいなって事よ。お互いのことを知らなかったし、私がレオについて知っていたことは、新聞で読んだりした馬鹿みたいなことと、いいルポルタージュに限られていたから。今では、皆が彼の事をばかり話題にしてもぜんぜん平気よ。気にならないわ。この映画に興味がある証拠だもの。よく体を使わなくてはならない役だったから、毎日コーチについてトレーニングがあったのね。ダニーやダリウス(カメラマン)を含めて皆、やっていたのよ。それで砂浜で四つん這いになっているところをパパラッチに激写されたりして・・・写真だけではなくて、記事も色々書かれたわね。タイに着いて一週間もしないうちにレオの子を妊娠したなんて!あまりに馬鹿げていたので、怒る気にもならなかった。それにそんな事で楽しくもならない訳だし、そんな記事を読んで自分の時間がなくなるのはイヤだったわ。だって絶対うんざりさせられるだろうし、自分の近親者が、これ本当?とか思うんじゃないかな、みたいな心配したくなかったしね。

プレミエ:ギャラは十分でしたか?

ヴィルジニー:ううん、これと同じスケールのフランス映画と比較すると良くはないわ。

プレミエ:レオナルドには2000万ドル・・・

ヴィルジニー:この映画の予算が5000万ドルだから、ほぼ半分ね。でも、レオナルドのギャラは、配給会社のフォックスが払うことになってて、その以外の費用はプロデューサーのマクドナルドの会社、フィグモンが支払うの。そんなに莫大な予算じゃないのね。使われたお金は画面に反映されていると思う。照明にはすごくお金がかかるし、サウンドトラックにセットなど、もろもろ。アメリカ映画だから、予算も破格って思ったら、失望するわね。でもダニーは予算についてはとてもうまく説明してくれたの。フォックスが私に2000万ドルくれないのは、私にはその額の値打ちがないからよ、レオナルドなら2億ドルの儲けを出してくれるわけ。それに私たちにはイギリスの製作会社がギャラを払ってくれるの、イギリスの俳優はフランスよりギャラが低いのね。

プレミエ:あなたのギャラは、10万ドルと言われていますが・・・

ヴィルジニー:もっとよ。いくらかなのかは言わないわ、だってプレミアの星取り表(注:星の数で映画を採点する)みたいになっちゃうでしょ。確かに映画って不当とも思える価値があるのね。ギャラも同じ、いくら稼ぐかで人を定義したり、サラリーマンの大半と比較したら、大金だと思うわ。私はこれ以上欲しくないって事じゃなくて、誤解を生みたくないだけよ。

プレミエ:契約はうるさいものではないのですか?

ヴィルジニー:そう思ったことはないわ。内容について他言しないと絶えず言われるのだけど、そういうのが契約の一部だってことさえ私知らないの。契約書を読まないのね!確かにそう書いてあるんでしょうけど、私にはショックでもないわ、だって「ザ・ビーチ」だろうと、今撮影中のリシェ監督の作品だろうと、私はなにも語るわけじゃないもの。それに「ザ・ビーチ」に関して何が言えるの?原作本があるのよ!知りたければ、それを読んだらいいわけだから!

プレミエ:「ザ・ビーチ」に出たお蔭で、オファーされるシナリオの数も増えましたか?

ヴィルジニー:特にアメリカからの物が増えたけど、興味が湧かないの。フランスでは変化なし。増えも減りもしてないけど。

プレミエ:この映画で仕事に対しての考えが変わりましたか?

ヴィルジニー:映画はどれも同じよ。外国で仕事したら、当然違いはあるわ。でも「ザ・ビーチ」に出たから、長年の夢がかなったとか、自分は別のカテゴリーの人間なんて思う訳じゃないし。本当の違いは、この映画は世界中で見られることよ。外国で見られるフランス映画は、制限が多い中で公開される事が常だから。今回は「世界へ配信」されるって言う面があって、とてもワクワクするわ。

プレミエ:"アフター・サービス"に時間がかかり過ぎると思いますか?

ヴィルジニー:いいえ。仕事の一部ね。プロモーションはニューヨークで9月から始まったの。映画はまだ完成してなかったんだけど、アメリカの雑誌は締め切りが早いらしくて、その後だと私はまだ撮影があったから戻ってこれなくなるから。でも「ミマ」以来、私が主演した最初の映画だけど、ユニフランス主催の映画祭などを通じて、外国でのインタヴューは慣れているわ。ただ気を付ける必要もあるの。例えばアメリカだとユーモアも違うでしょう。冗談を言っても全く受けないこともあるし、でも「ザ・ビーチ」の場合は、仕切ってくれるエージェントがいてくれるの。アメリカでは注意しないと:活字のメディアはあら探しをするし、ゴシップ好きよね、プライバシーについて色々聞いてくるから、インタヴューを止めてくれる人がいるほうがいいのよ。

プレミエ:ジョゼ・ダヤンのフランス・アメリカ合作の「レ・ミゼラブル」ではドパルデュー、クラヴィエ、マルコヴィッチと共演してますが、これも「ザ・ビーチ」の影響ですか?

ヴィルジニー:ジョゼはメディアに影響される人とは思わないけど。彼女は金髪で青い目のコゼットにしたくなかったんでしょう!それに英語を話せる俳優を探していたんですから。でもまったく無名な子を使うことも出来たでしょうね、アメリカでは、私はマドンナには程遠いですから!

プレミエ:エロディ・ブシェーズはライバルだと思いますか?

ヴィルジニー:うっ、そんな風に私は思いたくないなあ。エロディと私は子供の時から一緒にオーディションを受けてた仲だもの。オーディションを待つ長い列ですれ違っていたわ。競争とは思ってないの、それは当然なのよ、二人とも同じ仕事をしてて、2,3歳しか年も違わないしね、彼女は大好きよ、頻繁には会わないけど、会った時には、座って長いことおしゃべりするし。彼女には親しみを感じるけど、同じことはやらないもの。とにかく同じシナリオをオファーされたことがないから、彼女とはいつか共演してみたいわ。

プレミエ:多くの作家の映画の後で、より大衆的な映画に戻ってきたと思えますが・・・

ヴィルジニー:ジャン−フランソワ・リシェの映画はとても商業的とは言えないわよ!理想的なのはみんなが見てくれる映画に出演することでしょうけど。作家の映画だって、人気のあるやつもあるわよ、エロディについて言えば、「野生の葦」があるでしょ。

プレミエ:あの役はあなたには来なかったのですか?

ヴィルジニー:ううん。オーディションは受けたけど、私は落ちてしまったのね!

プレミエ:マルソー、ブシェーズ、そしてあなたと、フランス女優にはアメリカン・ドリームが再発したのですかね?

ヴィルジニー:マルソーやエロディーはどうか知らないけど、私に関しては、アメリカン・ドリームなんかじゃないわ。ハリウッドに住むなんて考えられないもの。フランスにだって、一緒に仕事がしたい監督たちはたくさんいるのよ。それに女優をするって言うのは国際的ってことだと思うの。違った文化や世界に出会う訳だから。今日は「ザ・ビーチ」、昨日は、「カップルズ」(フランス未公開)。宣伝じゃなくて、女優をするってこう言う事なのよね。

プレミエ:フランス語で吹き替えをするのは初めてですよね?

ヴィルジニー:ええ、アフレコと同じようなものですけど、英語で演じたシーンをフランス語で演じ直さなければならないんですね、イントネーションも違うし、それにフランス語でやり直すと、ずれてしまうんです。

プレミエ:フランスのディカプリオは?

ヴィルジニー:ダミアン・ヴィテカと言う人で、「タイタニック」で既にレオの吹き替えをやった人です。別の人とシーンを演じ直すと驚きますよ。今回、吹き替えをやって見て、この仕事はプロの技術が必要な仕事だって分かったわ。ダミアンは黒子に徹して、レオの演技に気を使いながら、同時に彼の真似をする訳でもない。彼の声を聞き始めてしばらくすると、全く違和感がなくなっているんですよ。

プレミエ:他の女優と比較すると、あなたのオリジナリティは何でしょう?

ヴィルジニー:何でしょうねえ、正直言って、それは何でもいいんです。自分の能力は判らないけど、どこかきっとユニークなんだと思います。
どの女優もそうでしょうけど。

プレミエ:キャリア・プランはありますか?

ヴィルジニー:どんな映画が成功するのか考えるのは、あべこべな考え方よ。10、20、30年経ったら、どうなるか分からないけど、女優は続けていたいわ。色々な事をやってみたいしね。全く計画がないって言ったら嘘になるわね。皆、キャリア・プランはあるんじゃないかな、自分はこうしたいって言うのだけはね。★

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