「シャルロット・ゲンズブールが見るスタイル」  

独占、女優であり歌手でもある彼女が、もう一つの個性を垣間見せてくれる。

様式、魅力。絶対的な魅力なら尚、良いだろう。シャルロット・ゲンズブールが、次回のジェラール・ダレルの宣伝のためのフォトセッションに際して、撮影時の写真を今回特別に先行公開してもらえることになり、またファッションについても話してくれた。控えめな事を信条とする女性の打ち明け話・・・・
 

どんな風にファッションに目覚めたのですか?映画で?
クロード・ミレール監督の『なまいきシャルロット』と『小さな泥棒』で、衣装を担当してくれたジャクリーヌ・ブシャールのお陰で着る楽しみを知ったんですね。彼女は古着を持って来てくれて、とても気に入ってしまったんです。何年間も古着しか着なかったほどですよ。新品の服は全く我慢できませんでした、全部見た目もひどくて、使い込んで生まれて来る艶が全くないんです、自分の服を着ていた人がいたって考えられるのが素敵だと思いました。15、6歳のころ、週末はクリニャンクールのノミ市へいつも行っていたんですね、ファッションのことは何も知りませんでしたね、でも自分が欲しいものはきちんと知っていたんです:40年代のスタイルですね。可愛いブラウスをよく買っていました、スカートはあまり買いませんでしたね、母のジーンズを早い時期からくすねていたんです。

とてもはっきりしたスタイルを持っていたんですね?
ええ、でもこれでいいって気持ちではなかったんです。今ではこの年の女の子たちは自分にもっと自信があるんじゃないかしら、あまり恥ずかしがることもないし!でも私はとても子供っぽくしていたんです、女性らしい体つきじゃなかったので・・・自分を隠そうとしていた訳じゃないけど、自分のやり方で自分の価値を見つけようとしていたんですね。誘惑と戯れていたって感じではなかったけど、少しはそんな感じだったかな・・・当時は今よりも変身していましたね、少しは自意識過剰なスタイルだったんでしょうね。

ジェラール・ダレルのイメージ(キャラクター)をしていますね。有名な写真家のマリオ・テスティーノがキャンペーンの写真を担当していますが、彼にカメラを向けられると、ファッションのイコンのような気分になりますか?
自分がイコンだと思ったことはないですよ、ましてファッションのイコンだなんて・・・(ファッション)ショーにも行きませんし、雑誌も読まないんです。でも彼のような凄い人と写真を撮れるのはいい気分ですよ、でもとても和気あいあいと、撮るんです。マリオはとても可笑しな人なんです!こちらを緊張から解くためにふざけてくれるんですね。自分を茶化したり、私を茶化したり・・・シリアスにならないようにしてくれます。

撮影時の服は自分で選ぶのですか?
大体選びます。撮影スタッフは私の人となりに気を使ってくれるので、変装したような気分にはなりませんよ。それに自分が気にいらない時は、顔が引きつったようになるんです!今度のコレクションで私のお気に入りはロマンチックな毛の白いブラウスで、目立たない小さなフリルが付いているんです、撮影が終わったら、これはもらえるんです。すごく甘やかされていますよね、私は・・・

今、普段はどんな服を着ているんですか??
自分は全く変っていないんですね!自分にはスタイルがあって、そこから抜け出ないんです。ずーっとバーバリーのレインコートが好きだったんですね、この後ろに自分が隠れていて、このコートが私の盾って感じでしたね。ベルボトムのジーンズに古いブーツを履いて、コートを着てましたね。この格好を3、4年間、毎日していたので、さすがに少し飽きてしまいました。でもこれほど気に入って楽しい服を見つけることが難しいんですね。

時にはドレスも着るんですか?
絶対着ません。ドレスが欲しくなることもよくあります、子供っぽくない、とても女性的な感じの奴が欲しいって思うんです。季節が変るたびに買って、20着位あると思います、新品のものが!試着室では、これでいいって思うんです、がんばって着てみようって、だけとダメですね!(笑)あからさまな事に気付くんです:自分が持ってるドレスを着た女の子の理想的なイメージと比べると、私はあまりにも両性具有者的なんですね。だからドレスは似合わないんですよ。人形遊びをしたら私の人形はいつもジーンズを履いているような気がするんです!自分の考えでは、ドレスは「着れない」って思っているほどですよ。パリだと自由さが感じられないんですね。あまりにも視線を浴びてる気がして。恥ずかしくなって来るんですね。だから一番簡単な解決策は、人目を引かないって事なんです。

映画の撮影の時には、こうしたジレンマから開放されるのでは・・・
安心しますね!私の代わりに選んでもらえますから。でもよく自分の服を着て映画に出るんですよ、ミシェル・ゴンドリーの映画(『恋愛睡眠のすすめ』)もそうです。私でもあり私でもない、でも小さな目印になるのは気持ちいいですし、気も休まるので。

女性らしさや「セクシー」さ:こうした考えをどんな風に捕らえていますか?
自分でもセクシーだなって思う肉付きのいい女の子はいますね。それに私みたいに痩せた子でもとてもセクシーだなって思うこともあるわ!肉付きの具合にあるんじゃないかしら:優雅さが肝心なのよ・・・ケイト・モスは繊細で、でもとてもセクシーよね。

おめかしする時は、どんな風ですか?
無理は絶対しないの。あまり外出しないし、パーティ好きじゃないから。イヴァンと出かける時は、めかす時もあるけど。ヒールも履くけど、高いのはダメ、軽くメイクもするわ・・・少し気をつけて、気付かれたくないから。努力しているなって判るのは好きじゃないの。目立つのは大嫌い。でも誘惑する気持ちがないって意味じゃないけど・・・でも服じゃなくて自分に向いて欲しいわけね。

宝石は?
つけないわ。2つだけ例外があるの:イヴァンからもらった腕時計とダイヤのペンダント、これはクロード・ベリからのプレゼントなんです。私にはこれで十分ね。

公けのパーティの際は、あなたはよくバレンシアガのニコラ・ジェスキエールの服を着ていますね。なぜ彼を?
彼の服のシルエットがとても現代的で、彼の服は私みたいな痩せてて、胸のない女の子のために作られているようで、着るのが好きなんです。それにニコラは人間的にも好きな人で、安心できるんですね。2ヶ月前、私のアルバム5:55をリリースした時にも、私の別のイメージを作り出すのに彼に助けてもらったんです。ベルボトムのジーンズでベージュのトレンチコートのイメージから抜け出るためです。とてもボディコンなズボンと黒とグレイ、ジーンズで出来てるスリムを勧めてくれたので、買いました。それをシャツと短くてウェストを絞ったベストと一緒に着るんです。変身したい訳じゃないけど、私は自分のスタイルの違いが全然判らないので、人に色々と教えてもらうんです。

あなたの旦那さんもアドバイスをしてくれますか?
ええ、なかなか厳しいですよ、少しばかりは喜ばせたいと思う時には、聞くこともあります!彼は下品なのが嫌いなんですね:高すぎるヒールとか、シンプルじゃないあまりに流行を追ったものとか。私のTシャツにスニーカー姿の長過ぎた思春期の外見を払拭するようにしたのはイヴァンなんですから!当時、私はヒールやショートブーツを履こうとしていた時期だったんですね・・・

女性のエレガンスさを体現しているのは誰だと思いますか?
オードリー・ヘップバーン、究極のエレガンスさですよね。セクシーな面はありませんが、優雅で洗練されています。マリリン・モンローは私にはエレガントさよりも、優雅さや女性らしさ、彼女独特の魔法で比類ないイメージがありますね。あとジーナ・ローランズには優雅さやエレガントさじゃなくて、繊細さに裏打ちされた完璧な女性らしさがあると思います。

両性具有者的なイコンはあなたにとって誰ですか?
[長い沈黙] 両性具有者的なイメージのみには結びつけませんけど、母ですね。胸はほとんどないけど、本物の女性のお尻なんです。私には残念ながらないんですけど!

男性のエレガンスさは、どんなものであって欲しいですか?
男性のエレガンスさにはあまり関心がありません・・・私が魅力を感じる男性は、男性的な美しさがある人ですね。見るからに筋肉隆々じゃなければダメって事はありませんけど:男性らしさはある種暴力的でそれが隠されていますよね。童貞の人が考えるのとは反対じゃないかしら?(笑)私は天使みたいな感じでブロンドで背の高い青年タイプには惹かれないみたい。実際、ダラけた感じのする人が好きなんですね、ダラけて見える人が、とにかく私は父のイメージに強く影響されていて、初老風と言うか、無精ひげとか・・・そういう事が基本にあるみたいです。そうした事が参考になるんですね、特別なスタイルで、その人独特の計算された構わなさがあるような、他にいないような人が好きなんです。

イヴァン・アタルに服に関して、彼があなたにしたように、アドバイスするのですか?
ええ、でも言う事はあまり聞いてくれませんけどね。いつも私が大嫌いな若者のジーンズとか、私を逆上させる酷いシャツを着ているんですから。下着を着ないで丸首のセーターを着るし、本当に馬鹿みたいに長い袖のシャツを着ないで欲しいんですね!(笑)

あなたの祖父母はイギリス人とロシア人ですが、彼女たちからエレガンスさを学んだのですか?
イギリスの祖母からは、色々学びました!チェルシー界隈のシックな感じを醸し出していた人でしたね。とてもコケティッシュで!祖母が持っていた服を欲しいって思いましたが、亡くなった後で、祖母の服をあれこれ引っ掻き回すことはとても出来ませんでしたから。ロシアの祖母とは服の話はしませんでしたね、私が知り合いになれた頃には、大きなシャツで豊満な胸をした年老いたおばあちゃんでしたから。私にとってこの祖母はロシアの詩的さと憂鬱さを体現していた人でした。

あなたの母親は、スタイルを求めることについて、どんな役割でしたか?
母はこうしなさいとは決して言いませんが、良いアドバイスをしてくれます。どうしたら分らない時には、母に聞くんですね。母の横にいると、美を自然とむすびつけていました。何度も母はこんな事を言っていました:「60年代の厚化粧はひどかったわね!」

あなたの姉妹ケイト・ベリーやルー・ドワイヨンとファッションの話をするんですか?
ケイトにはとても影響を受けましたね、彼女は凄く詳しくて、クリスマスにオートクチュールをプレゼントしてくれるんです、ケイトのお陰で、ヘルムート・ラング、マルーニ、ドリス・ヴァン・ノーテンや多くの日本人デザイナーを知りました。ルーは独自のスタイルを持っていて、凄いなって思います。誠実なエクセントリックさで、楽しんでいるんですから。ルーは肉体的なコンプレックスがないから、とても自由気ままなんです。

娘のアリスはまだ3歳半ですが、スタイルの秘訣についてアドバイスするつもりですか?
娘には悩まないで欲しいなって思います。コンプレックスがあるのが悪いって事じゃないですよ!でも控えめで恥じらいがあるのは、悪い事じゃないから・・・(fin)


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