Vogue January 2000
 

彼女はシルバーの自分の携帯電話に決して出ないが、それはいつも鳴っている。彼女はじゃがいもは好きだが、フライド・ポテトは嫌いだ。パリ・マッチと同様にバルザックやヘンリー・ジェイムズを熱心に貪り読んでいる。9歳の時に、両親のためにモリエール(のお芝居)を演じたそうだ。健康は大切だと話をするが、彼女はこちらが驚くほどの勢いでマルボローの赤を吸っている。自分の事を中流だと思うけどブルジョワとは思っていない。チャーミングなところと同じ位、短気でもある。この話題の女の子であるヴィルジニー・ルドワイヤンをミレニアムに相応しいジョンヌ・フィーユ(若い女の子)と呼んでいいだろう。

この素敵な子は誰かと思っているかも知れないが、彼女はハリウッド最高の賞品を手に入れた23才になるパリの若手女優なのだ。原作はイギリスの作家アレックス・ガーランドのトレンディで、タイでの失楽園を描いた忘れがたい物語(トレインスポッティグで名声を得た)ダニー・ボイル監督作品の「ザ・ビーチ」で、レオナルド・ディキャプリオの恋人役を演じたのだ。

アート・シアター系の映画で、シリアスな若手女優として頭角を現した後で、マーチャント・アイボリー監督の"A Soldier's Daughter Never Cries."で小さな役で演じていた彼女をディキャプリオが目を付けた。モンパルナス通りのカフェ・セレクトで、ハーブ・ティーを飲みながら私の向かい側に座っているルドワイヤンは、エキゾチックな美人だ。彼女の栗色の髪はなめし皮のように輝いていて、ポニーテイルにして顔は高くて広い頬骨とチョコレート・ブラウンの瞳に乾いた薔薇の色で弓状の唇、うっとりするほどだ。

シャネルの展覧会から戻って来たばかりで、頭から足の先までフランス最高級ブランドを身にまとっている、茶色の毛皮のスカートとカシミアのセーターにハイ・ヒールだが、まるでリーバイスを着ているかのようなカジュアルな着こなしなのだ。仕上げには思っても見ないタッチとして、黒縁のメガネを遊び感覚でかけ左岸的シックな感じを出している。"私の一番の関心事は、読書なのね。"とこれまた魅力的ななまりで説明してくれた。

"彼女は凄くミステリアスなんだ。"と「ザ・ビーチ」の監督:ボイルが言う。"とても知性的で、もの凄くきれいなんだ。それで、映画作りに伴う騒ぎには少し退屈しているね。でもカメラが廻り始めると、フィルムが文字通り彼女を吸い上げる感じなんだ。"彼女はこれまでに出た映画、特に「シングル・ガール」はルドワイヤン本人も説明出来ない驚くほど自然な才能を示している。"どうやって恋愛を演じるかって?"彼女は驚いて尋ねる。"演技なんてしないわよ。誰もどうして恋するのか知らないでしょ。"イシュマイル・マーチャントとは、"ヴィルジニーは、'演技'の必要なんかない女優なんだ。そのままでいいんだよ。"と語る。

"外出はあまり好きじゃないの。ナイトクラブは嫌いよ。凄い退屈だもの。会話なんかとても無理ね。"と彼女はため息をつく。本と友人と自分がビアリッツ近くの別荘で飼っている3匹の猫:オリーブ、モーウグリとルル以外のほとんどの事に"すこし退屈"している様子なのだ。週末にはこの別荘に来て、自転車に乗り、夕食をたくさん作って、フランス産の美味しいワインを飲むのが最高の楽しみなのだ。

真剣に読書して、同じく真剣に映画も見る:ゴダールの「小さな兵隊」とピアラの「ヴァン・ゴッホ」は彼女お気に入りの2本だ。"映画で感動したいの、"フランス人だけが映画を議論する時に取っておく情熱で、彼女は語る。"感動するのが好きなの。それが商業的な物でも美術でも構わないわ。"つまり、私はジェームズ・キャメロンもブライアン・デ・パルマもフランスの監督と同じ位好きなのね。"ルドワイヤンはヨーロッパ映画界での若い力としての自分の役割を真剣に考えている。カンヌ映画祭では短編映画の審査員も務めた。

確かに知性的なのだが、彼女は爽やかなミーハー的な面も持っている。我々同様、官能的なパリの女優と言う考えに魅了されている。"とてもフランス的な事ね。"とヴィルジニー、"このドレスやあのブランドを着てるからセクシーとかじゃなくてね。スニーカーを履いてる子が見えるのね、凄く素敵なのよ、で、服も靴もいいんだけど別の子には見向きもしないの。私は着飾り過ぎるのはイヤ。我慢出来ない!"と彼女は顔をしかめて言う。(彼女が買物する時、服を買う時の基準の一つはジーンズと一緒に着れるかどうかだとか)"セクシーになるのは簡単だけど、官能的になるのはもっと大変なのよ。"と結果論のように付け加えた。

ルドワイアンは、官能性について説得力を持って語れる、と言うのも不公平と思えるほどの官能性を自分が持ち合わせているからだ。でもきちんとやることはやっている。月に2度温泉へ行き、お肌の手入れをしているし、プラハでしか買えないと言うモシュと言う名前のチェコスロヴァキア製のジャコウの香りがする香水を付けている。すっぴんでいられる位彼女は美しいし、リップグロスを塗るだけで充分だろう。彼女は夜なく昼もなく、ゲランのシャリマールの香水をつけていた母親の元で成長した。

格別にフランス的な方法で、ルドワイヤンは自分の知性と美しさを完璧なバランスが取れた全体像の相反さない部分として見ている。"ねえ、70年代にフランスではウーマンリブが凄かったのよ。私たちの母親は聖人で強い女性だったの。ファッションと香水の文化圏ではね、強い女性にはコケティシュなところが良く合うのね。"彼女は微笑んで言う。"フランスの女の子は、コケティシュだと思うわ - いい意味でね。"★

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