ブラウン運動の仕組み
ブラウン粒子は,どのような力が働いて運動しているのでしょうか.
青い球はブラウン粒子(ブラウン運動をする粒子),小さな点は空気(あるいは水)の粒子をあらわしています.空気の粒子は熱運動によって飛び回っています.粒子の大きさは”小”のままにして,”温度”のスライダーを左に動かしてみましょう.空気の粒子の動きが遅くなり,ブラウン粒子に衝突している様子がわかります.このように,空気の粒子が様々な方向から様々な速さで衝突することによって,ブラウン粒子は規則性のない乱雑な動きをします.この動きがブラウン運動です.
温度が高くなれば,空気の粒子の熱運動は活発になります.”温度”のスライダーを右に動かして,温度を上げてみましょう.すると,空気の粒子は激しく飛び回るようになり,それにともなってブラウン粒子も動きが活発になります.空気の粒子が勢いよく衝突するので,ブラウン粒子が突き動かされる量も大きくなるのです.つまり,ブラウン運動は温度が高いほど活発になるということがわかります.
”温度”を適当な値にして,今度は粒子の大きさを”中”にしてみましょう.粒子の大きさが”小”だった先程より,ブラウン粒子は活発に動きません.粒子が大きくなると,質量も大きくなります.重たいものを動かすのには大きな力が必要となりますから,空気の粒子がブラウン粒子を突き動かす量は小さくなります.また,ブラウン粒子の表面積が広くなったことにより,一度にたくさんの空気の粒子が様々な方向から衝突してきます.すると,それらの力が打ち消しあってしまうので,ブラウン粒子が受ける力は小さくなります.このふたつの理由のために,ブラウン粒子が大きいとブラウン運動が起こりにくくなります.粒子の大きさを”大”にしてみると,ブラウン粒子はほとんど動かなくなります.つまり,ブラウン運動は粒子が小さいと活発であるということがわかります.
以上のことをまとめると,ブラウン運動は
- 空気あるいは水の粒子が衝突することによって起こる,不規則な運動である.
また,その性質としては,
- 温度が高いほど活発に運動する
- 粒子が小さいほど活発に運動する
ということがあります.
これらのことをふまえて,次に,ブラウン運動がどのように振舞うのかを1個のブラウン粒子のシミュレーションで見てみましょう.
補足:
ブラウン運動には,上記のことも含めて次のような性質があります.
- ブラウン運動は,並進と回転の組み合わせから成り立っているが,全く不規則で,粒子の軌道の接線を描くことができない.(到る所で微分不可能な曲線)
- ふたつのブラウン運動は,それぞれの直径より短い距離にまで接近しても,互いに全く独立な運動をする.(この性質は,ブラウン粒子が水の動きにつられて動くのではないことの証拠になっており,対流,蒸発,局所的な温度差などが運動の原因ではないことを示している.)
- 粒子が小さいほど運動は活発である.
- ブラウン運動は,粒子の濃度とか組成とかによって振る舞いが変わることはない.
- 粒子を浮かべる流体の種類がどのようなものであっても,ブラウン運動は見られる.ただし,流体の粘性が小さいほどブラウン運動は活発になる.
- 温度が高いほど,ブラウン運動はより激しくなる.(温度が上昇すると,流体の粘性率が著しく減少することによる二次的な効果もある.)
- ブラウン運動は時間が経っても,弱まったり,止まってしまったりすることはない.
- 微粒子が一個だけしかない場合でも,その一個の微粒子はブラウン運動をしている.(これは,ブラウン運動が微粒子どうしの衝突によるものではないことを示している.)
- 強い光を当てても,磁場をかけても,プラスとマイナスの電極を水に差し込んでも,ブラウン運動は影響を受けない.(この事実は,ブラウン粒子が外からの原因によるものとする説や,ブラウン粒子が,本来電気を帯びたものであるという説を否定している.)
次へ(ブラウン運動のシミュレーション)
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