学生時代からの親友カレンとマーサは共同で寄宿制の私立学校を経営していた。
ある日、問題ばかり起こす女子生徒メアリーは二人が同性愛の関係にあると嘘の告げ口をする。
その噂は保護者たちの耳に届き、子供のデマによって女子高は閉鎖に追い込まれてしまう。
「同性愛」の汚名を着せられた二人は町中のさらし者にされ、
カレンは婚約者のジョーから不信感を抱かれてしまい、マーサはカレンに対する隠れた本心を知ってしまう・・・。
子供の心ない嘘に翻弄させられる二人の女性教師の苦悩を描いた、名匠ウィリアム・ワイラーによるリリアン・へルマンのヒット戯曲の2度目の映画化。
スコットランド人ウィリアム・ラフヘッドの小説をもとにした劇作家リリアン・へルマンの舞台劇『The Children's Hour (子供たちの時間)』は、
34年にビロードウェイで上演されると絶賛を浴びてロングランを記録。
ウィリアム・ワイラー監督はこのヒット戯曲をマール・オベロン、ミリアム・ホプキンス、ジョエル・マクリーの共演で36年に『この三人』として映画化。
しかし、当時世間ではレズビアニズムはタブー視されていたうえに、同性愛を映画の中で描く事はへイズ・オフィスから固く禁じられていたために、
一人の女性がもう一人の女性の婚約者を愛してしまうという三角関係の恋愛劇に改変され、悲劇的な結末はハリウッド的なハッピー・エンドに変えられてしまった。
『この三人』の出来に満足していなかったワイラーは、大ヒットした史劇超大作『ベン・ハー』(59)の次回作として『子供たちの時間』の再映画化を企画。
ミリッシュ・カンパニーは、最初の映画化を行った製作者サミュエル・ゴールドウィンから35万ドルで映画化権を獲得する。
ワイラーは最初ドリス・デイとキャサリン・ヘプバーンの共演を考えていたが、
『ローマの休日』(53)で一緒に仕事をしたオードリー・ヘプバーンをカレン役に、マーサ役には『アパートの鍵貸します』(60)の成功でスターの仲間入りを果たしたシャーリー・マクレーンを抜擢。
このタイプとは正反対の意外なキャスティングは多くの人々を驚かせた。
カレンの婚約者ジョー役には人気テレビ・シリーズ『マーヴェリック』のスター、ジェームズ・ガーナーを配し、
ワイラーは意地の悪い生徒メアリーの祖母役とマーサの叔母役を、オリジナル版でヒロインを演じたオベロンとホプキンスにオファーしたが、
ホプキンスは出演に同意したものの、オベロンは出演を断ったので、彼女に代わってフェイ・ベンダーがメアリーの祖母を演じた。
オリジナルでは13歳のボニータ・グランヴィルが演じて強烈な印象を残したメアリー役には、これが映画初出演となった12歳のカレン・バルキンが抜擢されるが、グランヴィルの域には達しなかった。
最初、原作者のヘルマン自身が脚本の執筆を進めていたが、愛人でハードボイルド作家のダシール・ハメットが不治の病にかかってしまったためにこの仕事をおりてしまう。
新たに『裏窓』(54)や『泥棒成金』(54)などアルフレッド・ヒッチコック監督映画の脚本を手掛けたジョン・マイケル・ヘイズが起用され、彼は最初の映画化では表現できなかったレズビアンの問題を復活させて、物語を60年代の雰囲気に会うように書き直した。
ハリウッドでは依然として同性愛に対する描写には厳しい検閲が行われていたが、ハリウッドの製作者や監督らの抗議によって1961年の10月3日に条件付きながらも同性愛を映画の中で描く事が認められ、『噂の二人』は性的規則が改正された後に映画協会の認可を受けた最初の同性愛を描いた映画となった。
しかし、ワイラーは戯曲と同じようにマーサがカレンを愛していることが観客に分かるように物語を展開させるのは、アメリカの中産階級には刺激が強すぎると考え、
二人の微妙な関係を示す多くのシーンを編集段階でカットしてしまう。
また、ワイラーはマーサが自殺したあと、カレンとジョーが結婚するハッピー・エンディングにすることまで考えていたといわれている。
そのため、同性愛描写はあたりさわりのないものとなり、この変更はヘプバーンとマクレーンを失望させたが、批評家やマスコミからはレズビアニズムを許容していると非難された。
第34回アカデミー賞では、これが最後の映画出演となったフェイ・ベンダーの助演女優賞、白黒撮影賞など5部門にノミネートされたが無冠に終わった。
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