地球の静止する日 The Day the Earth Stood Still
公開:
1951年
地球の静止する日
製作:
20世紀フォックス・スタジオ

ジュリアン・ブラウンスティン
監督:
ロバート・ワイズ
原作:
ハリー・ベイツ
脚本:
エドマンド・H・ノース
撮影:
レオ・トヴァー
音楽:
バーナード・ハーマン
出演:
マイケル・レニー

パトリシア・ニール

ヒュー・マローン

アメリカの首都マシントンDCに銀色の円盤が突如現れ、人間の姿をした宇宙人クラトゥとロボットのゴートが円盤から現れる。クラトゥは核兵器や戦争による殺戮は、やがて宇宙をも滅ぼしかねないことを地球の人々に訴えようとする。軍は聞く耳を持とうとしないので、クラトゥは軍の監視を抜け出し、街に出て人々の生活を観察する。彼は科学者と会い、自分の力を見せるために地球の全エネルギーを停止させる。SF映画は子供向けのお伽話だと思われていた50年代に、反戦のメッセージを込めて大人の観客を想定して作られた時代を先取りした知的な作品。

20世紀フォックス社の製作者ジュリアン・ブラウスティンは平和的なSF映画の製作を構想、1940年「アスタウンティング」誌に掲載されたハリー・ベイツの短編小説『Farewell to the Master(さらば主人)』の映画化を思いたち、僅か1,000ドルで映画化権を購入、フォックスの製作主任ダリル・F・ザナックは舞台を地球にするという条件付きで映画製作の許可を出す。ブラウンスティンは脚本家のエドモンド・H・ノースに小説の脚色を依頼、ノースは遠い宇宙から平和を訴えに来たクラトゥを密かにキリスト(クラトゥの偽名カーペンター(大工)はキリストの職業である)のイメージに重ね合わせる。監督には『市民ケーン』(41)等の編集者を経て監督に転向してにわかに注目を浴び始めたロバート・ワイズが抜擢される。音楽はワイズの希望で『市民ケーン』で共に仕事をしたバーナード・ハーマンが担当、バイオリンやベースを電気的に増幅してSF映画にふさわしい特異なサウンドを提供する。ザナックはクラトゥ役にスペンサー・トレイシーを希望するが、ワイズはクロード・レインズを選ぶ。しかしレインズのスケジュールの調整が合わなかったため、アメリカで無名の俳優の俳優を起用したいというブラウンスティンの意向を受けて、イギリスの俳優マイケル・レニーが起用される。作品中最も印象深いキャラクターであるロボット、ゴートのデザインは美術監督のライル・ウィーラーとアディソン・ヒールが手掛け、スーツは銀色に塗られたフォーム・ラバー製で、着用時のジッパーが見えないように後ろにジッパーがあるものと前にジッパーがある2着のスーツが製作された。ワイズ監督が知る者のなかで一番背が高かった、グローマンズ・チャイニーズ・シアターでドアマンをしていたロック・マーティンがゴートを演じ、彼がヘルメット被ってスーツを着ると身長は2メートル40センチにもなった。原作では、映画のクライマックスのあとに実はゴートがクラトゥの主人だったというショッキングなオチが付く。宇宙船は特殊撮影時の合成用として60センチと90センチの二種類のミニチュアが作られ、フォックスのスタジオには10万ドルかけて7メートル近い実物大の宇宙船も製作された。宇宙人と人間の友情と対立をオーソドックスな演出で描いた今作はSF映画の古典としてだけでなく、現在ではカルト映画の一本として高い評価を得て、後の音楽家や映画人たちに強い影響を与え、76年に制作されたニコラス・ローグ監督の『地球に落ちてきた男』はこの映画をヒントにしているといわれ、クラトゥがゴートに命令する時に使う有名な言葉「クラトゥ・バラタ・ニクト」は、『スターウォーズ・ジェダイの復讐』(83)に登場した宇宙人の名前や、『キャプテン・スーパーマーケット』(93)での呪文に流用される。


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