デッド・エンド Dead End
公開:
1937年
デッド・エンド
製作:
サミュエル・ゴールドウィン・プロダクション

サミュエル・ゴールドウィン
監督:
原作:
シドニー・キングスレー
脚本:
リリアン・へルマン
撮影:
音楽:
アルフレッド・ニューマン
出演:
シルビア・シドニー

ジョエル・マクレー

ハンフリー・ボガート

貧民と金持ちが同居するニューヨーク、イーストリバー・サイド。 工場で働くドリナと幼なじみで建築家志望のデイヴは、このスラム街で貧しさからの脱出を夢見ていた。 ある日、デイヴの前に旧友でお尋ね者のマーティンが現れる。 母親と昔の恋人フランシーに会いにきたマーティンだったが、母親は息子の帰郷を歓迎せず、フランシーも今では落ちぶれてしまっていた。 現実に打ちのめされたマーティンは、子分のハンクと共に金持ちの子供の誘拐を企むが、それを知ったデイヴは彼らの計画を阻止しようとする。 ニューヨークのスラム街を舞台に、貧しくも前向きに生きようと努力する人々の姿を描いたヒット戯曲の映画化。

製作者のサミュエル・ゴールドウィンはブロードウェイで成功を収めたシドニー・キングスレーの戯曲『デッド・エンド』の映画化に興味を示し、 ゴールドウィンに誘われてブロードウェイの舞台を観たウィリアム・ワイラーも、この劇に魅了されて監督することを承諾。 デビッド・O・セルズニックが15万ドルで映画化権を買い取ろうとしていることを聞いていたゴールドウィンは、ワイラーと舞台を観た翌日に16万5000ドルで権利を獲得する。 ゴールドウィンはこの映画を専属スター、ジョエル・マクリーの主演作として企画し、ヒロインのドリナ役にはウォルター・ウェンジャーと契約していたシルビア・シドニーを起用。 しかし、シドニーはワイラーが女優にはサディスティックな態度をとると評判だったため、最初は出演をためらっていた。 ゴールドウィンはシドニー・ハワードに脚本の執筆を依頼しようとしたが、彼はセルズニックと『風と共に去りぬ』(39)の脚本を執筆する契約をしていたために実現せず、 代わって劇作家で脚本家のリリアン・へルマンを起用。 ヘルマンは原作の露骨な部分を削りたいゴールドウィンの要望に沿って脚色を行い、その結果、 シドニー演じるドリナが映画の中心となり、原作では神経質で身体の不自由な主人公ジンプティはマクリーらしい正義感溢れるデイヴに、 デイヴが思いを寄せるギャングの娼婦は素性をぼかされて近所に住む金持ちの女性に変更され、フランシーが性病に冒されているという設定は削除された。 ゴールドゥインはベイビー・フェイス・マーティン役に人気ギャング俳優ジェームズ・キャグニーを使おうと考えていたが、彼はワーナー・ブラザーズ社と長期契約を巡って裁判で争っていたため、 争いに巻き込まれるのを恐れてキャグニーの起用をあきらめた。 続いて同じギャング俳優のジョージ・ラフトに出演を依頼。 ラフトはこの役が悪役すぎると考え、不良少年たちが憧れる英雄ではなく、犯罪者である自分を恥じている人物として描くことを条件にするが、その後、考えを改めて出演を断ってしまう。 最終的に『化石の森』の舞台と映画版の両方で犯罪者を演じて注目を集めたハンフリー・ボガードが抜擢され、彼はマーティン役の好演によって悪役スターとして更なる人気を獲得した。 また、マーティンを英雄視する不良少年役には、ブロードウェイ版にも出演したビリー・ハロップ、ハンツ・ホール、レオ・ジョージ、バーナード・パンスリーらが抜擢され、彼らは「デッド・エンド・キッズ」と呼ばれて人気を博し、 ワーナーは彼らと人気ギャング俳優を共演させて十代の犯罪を描いたシリーズを製作した。 撮影開始前にシドニーがテーブルにぶつかって鼻の骨を折ってしまい、撮影開始は2ヶ月延期されるが、 撮影が始まるとシドニーの予想通りワイラーは彼女を罵り、一つのシーンを何十回も撮り直しを強制して彼女を徹底的にしごいた。 しかし、シドニーの演技は絶賛され、デビュー以来最高の評価を獲得した。 美術監督のリチャード・デイは、高級なアパートと壊れかけた建物が隣り合わせの街並みや 不良少年たちが飛び込むイースト・リバーの入り江など、撮影所内に本物そっくりのニューヨークのスラム街を再現。 しかし、潔癖症のゴールドウィンは紙くずやゴミの散らばる汚らしいセットを嫌って、訪れるたびにゴミを片付けてしまい、 ワイラーとデイらはその度に新しいゴミでセットを飾り付けた。 製作予算90万ドルのこの作品は批評家から称賛され、興行的にも成功を収め、 第10回アカデミー賞では作品賞、助演女優賞(クレア・トレバー)、白黒撮影賞、室内装置賞の4部門にノミネートされた。


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