イースター・パレード Easter Parade
公開:
1948年
イースター・パレード
製作:
M-G-Mスタジオ

アーサー・フリード
監督:
チャールズ・ウォルターズ
原作:
フランシス・グッドリッチ

アルバート・ハケット
脚本:
フランシス・グッドリッチ

アルバート・ハケット

シドニー・シェルダン
撮影:
ハリー・ストラドリング
音楽:
ジョニー・グリーン
出演:

イースターを控えたある日、ボードヴィル・ダンサーのドンはパートナーのへイルに逃げられてしまう。彼女を見返すために、ドンは素人同然の不器用な踊り子ハンナをスカウトして、彼女を来年のイースターまでに立派な自分のパートナーとして育て上げようとするが、二人の間には恋が芽生える。『オズの魔法使』(39)『巴里のアメリカ人』(51)などM-G-M社の傑作ミュージカルを数多く手掛けたアーサー・フリードが手掛けた、戦後最初に公開された本格的なテクニカラーミュージカル

タイロン・パワー主演のミュージカル映画『世紀の楽団』(38)が大きな成功を収めた20世紀フォックス社は、作詞と作曲を手掛けたアービング・バーリンに新しいミュージカル映画の製作を依頼。彼は33年のレビュー『As Thousands Cheer』に使った歌をタイトルにしたミュージカル『イースター・パレード』を提案するが、フォックスはバーリンが要求した映画収益の1%を支払うことを拒否する。M-G-Mの重役ルイス・B・メイヤーは『イースター〜』に惚れ込み、バーリンに50万ドルと彼が望む収益率を支払う事を承諾して映画化権を獲得する。 バーリンは脚本家のフランセス・グッドリッチとアルバート・ハケットと共に台本と歌を執筆。新たに書き下ろされた新曲7曲を含めた17曲がこの映画に採用された。 フリードは『踊る海賊』(48)に続いてジーン・ケリーとジュディ・ガーランドを主役に起用し、監督にはガーランドの夫であるヴィンセント・ミネリを抜擢。しかし、『踊る海賊』の撮影中にガーランドとミネリの夫婦仲は悪化しており、ガーランドはサナトリウムで情緒障害と薬物依存症の治療を受けて退院したばかりだった。医師たちは、結婚生活がうまくいっていない夫が監督では、ガーランドの健康状態が再び悪化すると考え、リハーサルの開始から5日後にミネリは監督を降ろされてしまう。フリードは新しい監督としてコーラス・ダンサー出身の振付師で『グッド・ニュース』(47)で監督デビューを果たしたばかりのチャールズ・ウォルターズを抜擢。ガーランドは初め、ウォルターズの経験の浅さに不安を覚えていたが、数日間一緒に仕事をすると彼の手腕を信頼するようになる。 ヘイル役を演じる予定だったシド・チャリースは『On an Island with You』(48)の撮影中に足を痛めて出演出来なくなり、M-G-MはRKO社からアン・ミラーを借り受ける。バーリンは最初B級ミュージカルにしか出演した経験のないミラーの起用には反対だったが、今作での彼女の仕事ぶりが大いに気に入り、彼女のためにブロードウィのショーを手掛けようと考えていたほどだった。 ケリーは撮影に備えて1ヶ月間ダンスのリハーサルをしていたが、自宅の裏庭でフットボールの練習中にダッチダウンされてくるぶしを折ってしまい、映画への出演は不可能となる。ケリーは代役としてフレッド・アステアを指名し、自らアステアに出演を依頼。当時48歳のアステアは『ブルー・スカイ』(46)を最後に映画界から遠ざかっていたが、ガーランドと一緒に仕事をすることと、バーリンの曲を歌って踊るという魅力的な誘いに勝てず2年ぶりの映画出演を承諾し、2年間のブランクがあったとは思えないほどの軽快な踊りを披露。「ドラム・クレイジー」では前もって録音された音楽にダンスをシンクロさせるという通常とは逆の過程で撮影を行い、満足出来るまで9回撮り直しを行った。 ミラーは37年に『踊る騎士』でアステアと共演するチャンスを掴みながらも、役をジョン・フォンティンに奪われるという苦い経験があったが、11年後の今作で初めてアステアとの共演を果たした。 脚本の出来に不満だったウォルターズは、後にベストセラー作家となるシドニー・シェルダンに書き直しを依頼。しかし、シェルダンはケリーのために書いたセリフはアステアには合わず、48歳のアステアはガーランドの相手役には老けすぎていると考えてアステアの起用に反対する。フリードは彼の意見を受け入れなかったが、後にシェルダンはフリードが正しかったことを認めた。 ガーランドは映画の撮影中は絶えず自分の体重の変動に悩まされ、それを抑えるために薬を飲んでいたために心身ともに不調で、撮影に遅刻することも少なくなかった。 また、ガーランドのお気に入りの衣装で、『サマーストック』(50)の「Get Happy」で初めて披露して彼女のトレードマークの一つになった、男もののトップ・ハットに、ハーフ・タキシード、網タイツのスタイルは『イースター〜』で初登場する予定だったが、彼女がこの衣装を着て「ミスター・モノトニー」を歌うシーンは彼女の演じたキャラクターには合わないためか最終的に本編からカットされてしまう。ちなみに、このカットされたシーンはM-G-Mミュージカルをダイジェストした映画『ザッツ・エンターテイメント PART3』(94)で見る事が出来る。 俳優やスタッフの交代が相次いで完成が大幅に遅れた映画だったものの、予算を20万ドルも下回る150万ドルで映画は完成。公開されると批評家と観客の両方から好評を持って迎えられ、680万ドルもの収入をあげて48年度の高収益映画の一本となり、アステアの映画復帰作として大きな成功を収める。アカデミー賞では唯一ノミネートされたミュージカル映画音楽賞を受賞する。


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