新発明の蓄音機を売り込むため愛犬のバトンズと共にオーストリアにやってきたアメリカ人セールスマン、ヴァージル。
バトンズが伯爵令嬢ジョハンナの飼い犬シェラザーデと恋に落ちたことが縁で、ヴァージルとジョハンナも恋に落ち、二人は結婚の約束を交わす。
しかし、身分の違う二人の結婚を皇帝が許すはずもなく、ウァージルは嘘をついてジョハンナのもとを去ろうとするが・・・。
ビリー・ワイルダー監督が大スターのビング・クロスビーを主演に迎えて、豪華絢爛なセットと映像で魅せるミュージカル・コメディ。
アル中患者の苦悩を描いてアカデミー賞主要4部門を独占した『失われた週末』(45)の監督ビリー・ワイルダーは、
自分が師と仰ぐエルンスト・ルビッチ監督が得意としたオペレッタ風のミュージカルを企画。
『失われた週末』同様、ワイルダーのパートナー、チャールズ・ブラケットが製作を担当し、共同で脚本を執筆。
ワイルダーが幼年期を過ごしたオーストリアを舞台に、伯爵令嬢とアメリカ人の許されざる恋に彼らの飼い犬の恋を絡めた物語を書き上げた。
主演には当時マネーメイキング・スターNo.1だったビング・クロスビーと、オスカー女優ジョーン・フォンティーンを贅沢に起用。
映画の舞台となるオーストリアのチロリアン・アルプスのシーンは、主にカナディアン・ロッキーのジャスパー国立公園で撮影。
今までのカラー映画に満足していなかったワイルダーは、この初めてのテクニカラー映画で自分が望む色彩を手に入れるために、スタジオの金を湯水のように使用。
公園内にギラギラに輝く百合の花を持ち込み、松の木の形や色が気に入にいらないとカリフォルニアから2万ドルかけて数十本の松の木を持ってこさせ、自分の望む場所に場所に正確に植えさせた。
ダンス・ナンバーでひな菊が必要になると、カリフォルニアから4000本もの白いヒナ菊を輸送して自分の指示する場所に植えさせたが、
花がフィルムに写ると光りすぎたため、全てのヒナ菊をブラシでコバルト・ブルーに色づけさせた。
それ以外にも、ペンキ屋を呼んで周辺の何キロもの道路すべてを自分が望む黄土色に塗り替えさせるなど、ワイルダーは北アメリカ最高の景勝地と評されていた国立公園を、自分の望むままに作り変えていった。
また、ワイルダーはクロスビーの愛犬バトンズとフォンテーンの飼い犬シェラザーデが愛を交わす場面のためにリーチ湖に島を作らせ、
技術スタッフは湖に石油用のドラム缶を並べ、その上に土と岩を置き、木と花を植えて立派な島を作り上げたが、この9万ドルかけた島が劇中に登場するのはわずか2分程度だった。
ワイルダーは映画の製作面だけでなく、スタッフやキャストの行動にも口を出し、
地元の人間とのスタッフの恋愛沙汰は全面的に禁止され、地元の人とセックスしたり酒を飲んでいる現場を押さえられたスタッフや技術者は即座に解雇された。
ワイルダーとしては珍しく贅沢の限りを尽くしたこの映画は、観客からは好評を博して何百万ドルもの収益を上げる大ヒットを記録し、48年度の全米興行収入第7位に輝いた。
第21回アカデミー賞ではミュージカル映画音楽賞とカラー衣装デザイン賞の2部門にノミネートされたが、無冠に終わった。
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