1937年、内戦の最中のスペイン。
アメリカの大学教授ロバート・ジョーダンは正義と自由のため自らゲリラに身を投じて反乱軍と戦っていた。
敵の重要な輸送路となっている山間の峡谷にある鉄橋の爆破を命じられたジョーダンはジプシーのゲリラ部隊に協力を要請。
リーダーのパブロは初めは協力を拒否するものの、単独でも任務を果たそうとするロバートの行動に打たれて仲間になった。
そんな中、ジョーダンは両親を殺されてゲリラに加わったスペインの娘マリアと恋に落ちてしまう・・・。
スペインの内乱を題材にしたアーネスト・ヘミングウェイのベストセラー小説を、ロマンスとアクションが見事に融合させて描いた超大作。
スペインを愛する作家のアーネスト・ヘミングウェイは、1936年に勃発したスペインの内乱に義勇軍として参加。
ナチスドイツやイタリアの支援を受けるフランコ軍と戦う共和国政府のために資金集めにも奔走した。
このスペインでの経験を基にして40年に長編小説『誰が為に鐘は鳴る』を発表。
発表と同時にセンセーションを巻き起こすと、
ヘミングウェイの親友であるゲーリー・クーパーはパラマウント社の製作者兼監督のセシル・B・デミルに映画化の話を持ち込む。
パラマウントは当時としては最高額の15万ドルで映画化権を獲得。
ヘミングウェイは主役のジョーダン役に彼の小説の最初の映画化『戦場よさらば』でも主演を務めたクーパーを指名。
クーパーも乗り気だったが、彼はサミュエル・ゴールドウィン社の専属だったため、この映画に出演させることは不可能だった。
しかし、ジョーダン役にクーパーを望む声が圧倒的に多かったため、
パラマウントはドル箱コメディアンのボブ・ホープと『教授と美女』(41)の脚本執筆のために
人気脚本家コンビ、ビリー・ワイルダーとチャールズ・ブラケットを貸し出すことを条件にクーパーを借り受けた。
また、ゴールドウィン製作、クーパー主演の『打撃王』(42)の監督が決まっていないことを知った製作と監督を務めるサム・ウッドは、
自ら『打撃王』の監督を引き受け、その結果クーパーとウッドは2本の映画を並行して撮影することになった。
『別離』(39)を観たヘミングウェイは、マリア役にイングリッド・バーグマンを希望し、彼女もこの役に乗り気だったが、
当時バーグマンは独立製作者のデヴィッド・O・セルズニックと専属契約を結んでいたため、
すでに苦労してクーパーを他社から借り受けていたパラマウントは、セルズニックが提示した15万ドルを払ってまでバーグマンを獲得しようとは考えなかった。
ウッドもバーグマンを望んでいたが彼女の起用をあきらめて、ベティ・フィールド、スーザン・ヘイワード、ポーレット・ゴダード、ルイーズ・ライナーといった候補の中からバレリーナのヴェラ・リゾーナを抜擢。
女戦士ピラー役にはギリシャ生まれでロンドンの舞台で活躍していたカティーナ・パクシノウが起用されるが、
この作品に出演するためイギリスからハリウッドに向かう途中でドイツ軍のUボートの攻撃に遭って、18個もの衣装ケースが海の藻屑となった。
また、パクシノウはこの映画の撮影助手も務め、キャメラマンとしてもクレジットされた。
撮影はスペインの産地に似ているということから、カリフォルニア州北部のシエラ・ネバダ山脈で41年の7月2日から開始。
標高2550〜2850メートルの空気の薄い高地で撮影は行われ、11月になると雪が降り始め、氷点下の吹雪の中でも撮影は続けられたが、
あまりの寒さにキャメラが凍って動かなくなったり、
戦闘シーンと凍てついた山道を辿る馬と群集のショットの撮影中に、監督があやうく凍え死にそうになったことがあった。
撮影開始から2週間経つと、ウッドはバレリーナの命である脚を痛める事を心配して演技に集中できないリゾーナに疑問を抱き、
彼女が適役ではないと判断したスタジオはマリア役の交替を決定。
この映画のために髪を短く切って撮影開始の3週間前からシェラネバダで待機していたゾリーナは、
この配役交替のニュースを聞くと怒ってスタジオを訴えると言い出したが、示談で解決し、彼女には別の映画の役が与えられた。
最終的にマリア役のためなら髪も喜んで切ると答えたバーグマンがスクリーン・テストを受けて役を獲得し、ゾリーナで撮った2週間分のシーンはバーグマンで撮り直された。
反乱軍の爆撃機がジョーダンたちを空襲するシーンの撮影は12月7日に行われたが、いつまで待っても爆撃機は現れなかった。
その後、真珠湾が日本軍に攻撃されたことが判明し、アメリカ本土も攻撃される恐れがあるということからこの日の撮影は中止された。
300万ドルもの巨費を投じたこの超大作は、公開されるとクーパーとバーグマンの初共演が話題を呼んでその年の全米興行成績第2位を記録。
世界的にも大ヒットして、アメリカではショート・ヘアのマリア・カットが大流行し、第12回アカデミー賞では作品賞を含む9部門にノミネートされ、パクシノウが助演女優賞を受賞した。
ヘミングウェイはバーグマンは小説のマリアそのものだと評したが、政治的側面が曖昧になり、小説のお気に入りのシーンがほとんどカットされた映画の出来には不満で、最後まで観るまで5回も映画館に足を運んだ。
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