紳士協定 Gentleman's Agreement
公開:
1947年
紳士協定
製作:
20世紀フォックス・スタジオ

ダリル・F・ザナック
監督:
原作:
ローラ・Z・ホブソン
脚本:
モス・ハート
撮影:
アーサー・ミラー
音楽:
アルフレッド・ニューマン
出演:
グレゴリー・ペック

ドロシー・マグァイア

ジョン・ガーフィールド

妻に先立たれた人気ライターのフィルは、週刊誌の編集長からアメリカにおける反ユダヤ人問題の実態をルポするよう依頼される。 彼は自らユダヤ人と称して人々の反応を伺うが、反ユダヤ人感情はレストランやホテルといった公共の場だけでなく、リベラル層の多い雑誌社にまで浸透していた。 記事の発案者でフィルの婚約者キャシーもユダヤ人に対する偏見を露呈してしまい、二人は喧嘩別れしてしまう・・・。 それまで、ハリウッドではタブー視されていた反ユダヤ人問題(アンティ・セミティズム)に鋭いメスを入れた良質の社会派ドラマ。

ローラ・Z・ホブソンはアメリカではタブーとされていた反ユダヤ人問題をテーマにした小説『紳士協定』を発表。小説は大きな成功を収めてベストセラーとなる。 それまでハリウッドが手をつけずにいた反ユダヤ人主義というテーマに、大衆が広く関心を持っていると考えた20世紀フォックス社の社長ダリル・F・ザナックは、この小説の映画化権を獲得。 ザナックは、演劇界とハリウッドの両方で活躍するエリア・カザンを監督に指名する。 脚本家としてカザンは後に『エデンの東』(54)の脚本を手掛けるポール・オズボーンを推薦するが、多忙だったために起用出来ず、代わってニューヨークの劇作家モス・ハートが雇われた。 主役のフィル役はフォックス専属の若手俳優グレゴリー・ペックに打診されるが、 ペックは反ユダヤ人問題を告発するという内容が議論を巻き起こすのではないかと考えて最初は出演を見送ったものの、その後考えを改めて出演を承諾した。 ヒロインのキャシー役にはカザンの処女長編映画『ブルックリン横丁』(44)にも出演したドロシー・マグァガイアが起用され、フィルの幼なじみでユダヤ人のデビッドをジョン・ガーフィールドが演じて、カザンも認める好演技を披露した。 カザンは最初ニューヨークでのロケーション撮影を希望していたが実現せず、最終的にハリウッドのスタジオ内で撮影は行われた。 ザナックはこの映画をその年最大の話題作とするべく、製作にあたって惜しみない支援を行い、 ブーリン・オフィスが映画のヒロインは離婚を経験した女性であってはならないと忠告してくると、これを一蹴。 また、ユダヤ人社会であるハリウッドのスタジオ首脳陣たちは、『紳士協定』の映画化がユダヤ人に対する差別を悪化させるのではないかと恐れて、 この映画を作らないよう懇願したが、ザナックは彼らの意見を聞き入れることなく映画化を進めた。 映画の撮影が終了すると、カザンは舞台版『欲望という名の電車』の準備に入り、編集作業はザナックの指揮のもとで行われた。 ハリウッドの大作で初めて「Jew (ユダヤ人)」という言葉を使った映画となった今作は、批評家から高く評価されただけでなく、48年度の興行成績第8位を記録する大きな成功を収めた。 ニューヨーク批評家協会は『紳士協定』を作品賞と監督賞に選出し、第20回アカデミー賞では7部門にノミネートされ、同じ反ユダヤ人問題を扱った『十字砲火』(47)を抑えて作品賞、監督賞、助演女優賞(セレスト・ホーム)の3部門を受賞した。 アカデミー作品賞を受賞しながらも、反ユダヤ人主義というアメリカの暗部を描いていたため、日本では88年まで劇場公開される事はなかった。


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