ジャイアンツ Giant
公開:
1956年
ジャイアンツ
製作:
ワーナー・ブラザーズ・スタジオ

ジョージ・スティーブンス

ヘンリー・ギンズバーグ
監督:
ジョージ・スティーブンス
原作:
エドナ・ファーバー
脚本:
フレッド・ギオール

アイバン・モッファット
撮影:
ウィリアム・C・メラー
音楽:
ディミトリ・ティオムキン
出演:

メリーランド州の牧場に馬の買い付けに来たテキサスの牧場主ヴィック・ベネディクトと牧場の娘レズリーは恋に落ち、結婚してテキサスにあるヴィックの農場に移る。レズリーは東部と西部の生活習慣の違いに最初は戸惑うものの、やがてベネディクト家の女主人として一家を支えるようになる。レズリーに片思いするベネディクト家の使用人ジェットは、石油を掘り当て一夜にして億万長者となるが、空しい心は満たされず孤独な人生を送る。『陽のあたる場所』(51)や『シェーン』(53)の名匠ジョージ・スティーブンス監督が開拓者たちの30年にも及ぶ壮大なドラマをダイナミックに描いた大河ウェスタン

女流作家エドナ・ファーバーが、12年の歳月を費やして今世紀初頭のアメリカ西部を舞台にして書き上げた同名小説が基になっており、440ページにも及ぶ原作は脚本家のフレッド・ギオールとイヴァン・モファットによって170ページの脚本にまとめあげられるが、ファーバーも脚本の手直しにノー・クレジットで雇われた。 スティーブンスは主人公のヴィック役にウィリアム・ホールディンの起用を考えていたが、考えを変えてロック・ハドソンを抜擢。出演のチャンスを逃したホールディンを落胆させる。当時『エデンの東』(55)を撮影中だったジェームズ・ディーンは、この企画を知ると映画のシナリオを練っていたスティーブンスとギオールのオフィスを頻繁に訪ねて、ジェット・リンク役が自分に最適の役であることを熱心にアピールする。ティーブンスは『エデンの東』を観て、彼の優れた俳優としての素質は高く評価していたが、リンクの複雑な性格や、21歳から45歳までの年齢をを演じるには無理があると考えていた。しかし、リンク役の第一候補であり『シェーン』でタイトル・ロールを演じたアラン・ラッドに申し出を断られた後、スティーブンスはリチャード・バートンの起用を考えるが、ディーンの熱意に負けてテストを行い、彼の熱演ぶりはスティーブンスの考えを改めさせる。 ヒロインのレズリー役にスティーブンスはグレース・ケリーを予定していたが、彼女はモナコの大公と結婚して映画界から引退したため出演は不可能となって、スティーブンスを大いに失望させる。代わってオードリー・ヘプバーンマレーネ・ディートリッヒらが候補に上がるが、前者は洗練されすぎているという理由から、後者はゲルマン人としてのイメージが強すぎるという理由からスティーブンスによって却下される。最終的にスティーブンスは、ハドソンの同意を得て彼の監督作『陽のあたる場所』(51)でもヒロインを務めたエリザベス・テイラーの起用を決め、彼女をM-G-M社から17万5,000ドルで借り受ける。しかし、撮影開始前にテイラーの妊娠が発覚、テイラーの出演に固執したスティーブンスは彼女が子供を出産するまで撮影を延期する。出産後、テイラーは妊娠中についた16キロ以上の贅肉を落とすために、数週間は固形物をいっさい取らず氷水とフルーツ・ジュースしか飲まない過激なダイエットを行って撮影開始に備える。 屋外ロケ地にはメキシコの国境に近いテキサス州にある人口3,600人の小さな砂漠の町マーファーが選ばれ、平均気温55度の酷暑の中で撮影を行い、街にある映画館がその日のラッシュ・フィルムを見る試写室がわりに使われる。町の大平原にヴィクトリア風の豪華なヴェネディクト邸のセットが建設されるが、このセットは正面しか作られていなかったため、撮影現場に見学に来た人には一定の角度からだけセットが見えるようにしていた。 スティーブンスはディーンの演技力は認めていたが、撮影セット内でオートバイの曲乗りするなど、彼の無責任で身勝手な行動には絶えず悩まされる。 その上、ディーンはヴィックやレズリーよりもリンクの影が薄いと感じて、自分の思い通りに役柄を膨らませることをスティーブンスに提案。しかし、スティーブンスは彼の意見を却下してしまい、以後二人の間では役柄をめぐる口論が絶えなかった。 また、ディーンは撮影現場で自分の出番を何時間も待っていると役に集中できないという理由から、助監督に自分の出番の時刻を知らせてもらうようにしていた。しかし、マーセデス・マッケンブリッジが撮影中に怪我をしてディーンの出番がくりあがった時、ディーンは買い物に出かけてしまって連絡を取る事が出来ずに現場を大騒ぎさせてしまう。 泥酔したリンクがレズリーへの思いをつぶやく晩餐会のシーンでは、ディーンは監督を説得して独創的な演技と切れぎれのセリフ回しで、アドリブとは思えない一世一代の熱演を披露。熱演のあまり演技が終わると失神してしまい、担架で運び出される。しかし、編集時にその場面を見たスティーブンスは、ディーンの聞き取りにくいセリフに失望して、セリフの吹き替えを予定していた。ところが、吹き替えを行う前にディーンが交通事故で死亡したために、彼の親友で物真似のうまかった俳優のニック・アダムスにセリフを吹き替えさせる。 スティーブンスは、撮影中に自分がどれほどケリーの起用を望んでいたかを絶えずスタッフに打ち明けていたため、彼女の代役として起用されたテイラーは、そんな監督の態度に腹を立てて、同じく監督の手腕に満足できず、彼を三流の監督だと考えていたディーンと意気投合する。テイラーはディーンの横柄な態度に腹を立てることがあっても絶えず彼に好感を抱いていたが、反対にハドソンは最後までディーンに好感をいただく事が出来なかった。彼とディーンは撮影中同じ宿舎で共同生活していたが、私生活でも演技の面でも自分勝手に振る舞い、他の俳優の気持ちをかえりみず、見せ場を横取りしようとするディーンの横柄な態度に我慢できず、いつもスティーブンスに不平を言っていた。また、映画撮影時、ハドソンは同性愛者の噂を否定する為にフィリス・ゲートと偽装結婚していたが、ハドソンがテイラーと仲良くしていたために二人の間にロマンスが芽生えたという噂が流れた。 テキサスでの撮影が終わると、屋内場面の撮影はワーナーの撮影所で行われるが、ディーンは自分の出演シーンを撮り終えた数日後に自動車事故で死亡する。他のキャストはセットでの撮影を続けていたが、テイラーはディーンの突然の死にショックを受けて病院に入院してしまう。スティーブンスは代役を使って撮影を終了しようとしたが、うまくいかずにテイラーが回復するまで撮影を中断。このため映画の完成が2週間遅れてしまう。 大作に相応しく撮影終了時には全部で60万フィートものフィルムが使用され、その内の2万5千フィートのみが本編に使用される。ディーンの最後の出演作となった今作は観客から絶大な支持を集めて大ヒットを記録、撮影中はスティーブンスとそりが合わなかったテイラーも完成した作品を観て彼の的確な手腕を高く評価する。アカデミー賞では作品賞を含む10部門にノミネートされ、スティーブンスが監督賞を獲得する。ディーンの演技も注目を集め、彼は『エデンの東』に続いて死後2年連続してアカデミー主演男優賞にノミネートされた。


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